あぱかば・ブログ篇

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2017年 07月 14日

この春の文化的活動

4月から学校の仕事が増えたため、ブログの更新がますます難しい日々。
あちこち出かけたことも書けないままになっている。
歌舞伎のツイートがやっとだわ。
1学期終了目前という節目でもあるので、春に出かけた美術展などの写真を載せておく。


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草間彌生展「わが永遠の魂」
予想よりもおもしろくなかったのが自分でも意外だった。
2004年、同じ六本木で開催された個展はすばらしくおもしろかったのに。
自分がこの人に慣れてしまったのかとも思ったが、慣れたというより、この人の精神世界に興味を失ったという方が正しい。
あくまでも個を掘り下げていく姿勢に、今は共感を覚えにくくなっている。


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同時に行った「ミュシャ展」
こちらは前回に行ったミュシャ展をはるかに凌駕するスケールで感動、興奮した。
はからずも草間展と一緒に見ることとなったが、草間が個(自己)へ徹底的に内向きに執着しているのに対し、祖国・民族への愛という壮大に外向きな興味へとうつり、ライフワークとしたミュシャ。
対比して見るとおもしろく、今の自分の興味もミュシャの熱さの方により強く向かっていると感じた。


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アラン・チャン「HELLO GINZA!」
香港生まれのデザイナー。
しゃれてたなあ。
対象を見る「目」によって対象がつくられるということはあると思うけど、アラン・チャンが見ると銀座はこう見えるのか?
私の目から見えている銀座と、ぜんぜん違っていたり、パッと一致したり。


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ソウル・ライター展
これはよかったなあ〜。
写真は絵画と違って、その場所に行けばこの風景が撮れるような気になるけど、今ニューヨークに行ったところでこの写真は絶対に撮れない。
もうこのニューヨークは、地上のどこにもない。
そして肖像権が猛烈に厳しくなってしまった昨今、こんなふうに市井の人々を撮った写真を公表すること自体が、もう過去のものとなってしまった。
人物写真は、この先衰退していくだろうな。


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茶の湯展
2回行った。
展示替えがあり、2回ともおもしろかった。
曜変天目茶碗はサントリー美術館で見た時の方がよかったなあ。
茶碗は芸術品でもあるけど本来は道具だから、手で触れば触るほど、身体的に愛着が増すんだろうと思う。
そうしていくうちに、世間的な価値とは別に、だんだんと自分だけの逸品になっていくのだろう。
昔、茶道をやっていたから、ガラスケースの中の茶碗を見ただけで、「茶筅が引っかかりそうだな」「口当たりが悪そう」「このくぼみが手にしっくり馴染みそう」「触り心地がよさそう」と使った時の感触に想像がつくが、茶道をまったくしない人はどのように感じるのだろうか。


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アスリート展
ここ数年の21_21の展示はヒットが多いが、これも予想よりおもしろかった。
体を動かしてスポーツに参加する形の展示はデート向き。
だが行列するほどのものでもないので、空いている時間でないと楽しさも半減か。


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TOTOギャラリー「間」の坂茂「プロジェクツ・イン・プログレス」。
尊敬する建築家、坂氏の個展。
めざすものが明快。
模型が美しくてうっとり!



この他にも行っていたが、こんなところで。
すぐに書かないと、言葉にするのがおっくうになっていくのね……。


# by apakaba | 2017-07-14 22:38 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)
2017年 07月 11日

体を鍛えて筋肉をつけましょう(指にも)

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6月初め頃の散歩コースで



去年の4月に右手の薬指にひびが入ってしまった。
たいした治療も受けずに放置していたが、ずーっと違和感があった。
動きが悪く、ぐらぐらしている感じが続いていて、むずむずとかゆい。
指先の皮も厚くなって、繰り返しぼろぼろむける。
骨折の時に神経を傷つけてしまうと、むずがゆい感覚が残るという。

いずれよくなるだろうと思っていたのに、6月になってかゆみが増してきた。
仕事でキーボードを叩き続けているうちに、かゆいだけでなく指から腕にかけて、しびれるような痛みも走るようになってきた。
まずいことだ!

たまに行っている鍼灸整骨院へ行き、超音波治療にかかる。
私の両手を丹念に触っていた先生が、「ミタニさんは、右利き?」と聞いてくる。
「もともとは左利きです。子供の頃に矯正されて。」と答えると、「あっ、やっぱり。」
左手の方が、全体に筋肉がしっかりついていて、右手は弱々しく、やや関節に隙間があるようにぐらぐらしがちだという。
なるほどねえ。
だから簡単に折れるんだな。

「神経の痛みを軽くするのは、ひとつには運動をして、筋肉をつけることです。たとえばボールを握るとか、簡単な運動で筋肉をつけて神経の周りを吊るようにすると、あまり神経が敏感に感じなくなって痛まなくなりますよ。」

テニス肘でここに来たときも、同じことを言われた。
テニス肘は、2年経つが今でも少し痛い。
若い頃はこういう助言もなんだかピンとこなくて、あまり真剣に考えず、手っ取り早く痛みを取る“治療”に頼ろうとしていた。
今になると、体を鍛えることがいかに大切か、とってもよくわかる。
体が大事ね〜。
日頃からちょっとずつ体を動かすだけでも、痛みの少ない老後を送れるだろうなあ。

ちなみにその日一度きり超音波治療にかかっただけで、指のかゆみとしびれと違和感はすっかりなくなっちゃった。
やっぱり行ってよかった。


# by apakaba | 2017-07-11 21:22 | 健康・病気 | Comments(0)
2017年 07月 04日

平成29年7月歌舞伎鑑賞教室「鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚(きいちほうげんさんりゃくのまき いちじょうおおくらものがたり)」

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七夕飾りの国立劇場大ホール


7月3日、国立劇場歌舞伎鑑賞教室、初日。初めて行った。亀蔵さんの「歌舞伎のみかた」は口跡さわやか、完璧なガ行鼻濁音に惚れ惚れ。絶滅危惧種。派手な舞台装置のオープニング、カタカナ言葉多用の解説に感心しきり。なんとわかりやすくカッコいい解説か。あれはセリフ?淀みなさに驚くばかり(続

2)一條大蔵譚、菊之助は予想をはるかに上回る出来。作り阿呆は絵のように愛らしい。もともと顔立ちのいい人がやるから似合うのだが、美しい顔を忘れるほどの愛嬌。ぶっ返りの美貌は当然としても、演技を超えた菊之助ならではの「気持ち悪さ」が久々に見られ、驚嘆とともに戦慄。これは吉右衛門も(続

3)思い及ばなかったのでは?吉右衛門、仁左衛門で見たときには、両者とも作り阿呆は当然完璧、ぶっ返りの堂々たる気品、人物の大きさや正しさに納得、感心するばかりだったが、菊之助にはその正しい殿様ぶりよりも、むしろ異常性を孕んだ、ぞっとする不気味さが出ていた。首を放り投げて戯れる(続

4)とき、吉右衛門仁左衛門では感じなかった「ヤバイやつ」が(おそらく)図らずも出た。菊之助は真面目でつまらない演技のことが多いが、ごくたまにあの爬虫類のようなぬめぬめとした気持ち悪さが光る時がある。女殺し油地獄でも見せた。あの時の、殺される七之助は本当に怖がって見えた。(続

5)吉右衛門仁左衛門にはなかった長成像が、美貌とともにぬめぬめと立ち上がる。菊之助の真の魅力はあそこにあるのでは?菊五郎とは別の、深い業(ごう)を感じさせる、新しいタイプの役者。がんばってください。歌舞伎鑑賞教室は安くておもしろい。おすすめ!(終わり)


# by apakaba | 2017-07-04 22:08 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)
2017年 06月 27日

新しい、遠い目標



今年度も、昨年度から引き続き、土日のボランティア講師をやっている。
平日の授業中は、教科のサポートに入っているだけなので、私自身が勉強をじっくり教える機会はあまりない。
でも土日の自習教室で質問をされると、こちらも時間をとって教えることができる。
先週末は、英語で悩んでいた女子に教えたあとで、その子のお母さんから「塾の先生よりずーっとよくわかったって、喜んでました」とお礼を言っていただいた。
うれしい〜。
とにかく中学生に、勉強がわかるようになってほしい!


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4月28日の散歩道


「先生、先生って……ぼくのこと、マークしてるでしょ! 授業中に。」
平日にはそんなこと聞いてこない1年生が、自習時間に言う。
その男子は、真面目だけど授業中にぼんやりしてしまうことが多くて、板書や演習が追いつかないことがしばしばあるので、ちょっとノートを確認する頻度が高い。
でも「マークなんかしてませーん。」としらばっくれる。
「君だけをかわいがってるわけじゃないもん。みんなのことを見て回ってるよ!」
「そうかなあ〜。」


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人生のたそがれどきはいつだろうか


平日には、学習支援という仕事がはっきり決まっているため、いろんな生徒と話せるチャンスがあまりない。
土日なら、ふだんは交流のない生徒とも、ちょっとのんびり話すこともできる。
それも楽しい。
たとえば読書好きな子には「こないだ村上春樹を読んでたでしょ。今は何を読みたいの?」といった会話ができる。

昨年度はボランティア講師が少なくて、実行委員は運営が大変そうだったが、今年度は大学生ボランティアがたくさん入ってくれたので、人材豊富になってますます盛況だ。
控え室もサークルの部室みたいににぎやか!
そんな中、「教員をリタイアしてしばらく経っているんですが、今年度から入りました……」という男の先生がいらした。


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私のような、お母さんみたいなおばさん、ワイワイにぎやかなお兄さんお姉さん、そして自分のおじいちゃんみたいな感覚で話せる、年配の先生。
バラエティー豊かな大人に囲まれて自習するのは、中学生にとってもいい経験だと思う。
期末試験直前の土日、来ている生徒はみんなよく勉強していた。

終了後、控え室で話していると、その年配の先生が、実は83歳くらいということを知った。
なんとまあ! 信じられない!!!!!
その方は、姿勢もぴしっとしていて、白いワイシャツをきちんと着こなし、休むことなく生徒に教えていた。
「リタイアしてしばらく経って」というのはきっと数年で、63歳くらいかな?と私は思っていたのだ。
テニスや卓球もしているとのことなので、体も日々しっかり動かしていらっしゃるのね。
てっきり自分よりちょっぴり先輩くらいと思っていたのに、自分の親より上だったとは。
仰天し、感銘を受けた。


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たそがれどきでも夕陽を受けて輝く


私は、シンガポールでインド人占星術師から「あなたは一生幸せに恵まれ、84歳で死ぬでしょう」という占いをされてから、その占いだけを信じて生きている。
でも、あの先生は83歳で、まだまだ子供の役に立っている。
私も長生きしたい。
そうしたら、私もあの先生のように、おばあちゃんになっても、まだ地域の子供に勉強を教えられるかもしれない。
自分がおばあちゃんになって、今の生徒たちの子供が中学生になって、勉強を教えるところを想像する。
健康のために体を動かして、勉強を続けよう。
学校は毎日楽しいが、またひとつ、新しい、遠い目標ができた。


# by apakaba | 2017-06-27 18:16 | 生活の話題 | Comments(0)
2017年 06月 21日

名古屋平成中村座、歌舞伎座六月大歌舞伎連続ツイート

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名城公園に建った芝居小屋




6月4日、名古屋平成中村座夜の部、義経千本桜、川連法眼館。何度も見た演目だが役者が変わるたび新鮮に驚く。扇雀の佐藤忠信は意外なかっこよさ。いつも女形で見ているので、颯爽とした登場に、本来の佐藤忠信らしさが出る。だが狐忠信は妙味あるもおばさんのような発声、あれは難役だなあ。(続

2)勘九郎義経は立っているだけでも気品と憂いのある名演。つまらない役者だと“義経”千本桜にならない。弁天娘女男白浪、注目の七之助の菊之助は……うーむ敢闘賞。見目はかなりパーフェクトだが男に戻った時に戻りきれてない……それではおもしろさが半減。あれは勘九郎がやるべき役では。(続

3)勘九郎なら女でもなかなか見栄よし、男に戻って凄むセリフを聞いてみたい。七之助は赤星のときが素晴らしかった。亀蔵南郷はワルの魅力出しきれず、七之助との絵的な釣り合いもいまいち。仇ゆめ、まるで知らない演目に不安大、でも勘九郎に泣かされるかもという期待も大。いかにも勘三郎好み。(続

4)期待通りの勘九郎、愛らしさと図々しさと憂愁を湛えて恋する狸に。七之助も面目躍如の艶、やっぱり兄弟は相性バッチリ。平成中村座らしい悪ノリ、芝居小屋ならではの大仕掛けな舞台、ずっと応援していきたい。今回は最高の席で、至近距離で見る七之助の美しさに仰天。2回、目が合ったぞ!ほんと!


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なんと花道のすぐ脇。
「勘三郎の目」が芝居小屋のあちこちに描かれている。



6月11日、歌舞伎座昼の部、名月八幡祭。松緑新助は、うーん敢闘賞。真面目さはよく出ているが芝居が一本調子になりすぎ?狂気へ進みきれず。ファムファタール美代吉は笑也の見目がかなりいい線。だが芝居が通り一遍で異常性を出しきれず。以前の雀右衛門では見目は少し落ちるも芝居が抜群だった(続

2)とことんクズな女の美代吉がこの話の見せ場だと思うが。誰かやってください。ただし魚惣は歌六よりも猿弥がはまっていた。浮世風呂、なんですかねこの踊りは……よくわからないが幕開けのシルエットはカッコいい。弁慶上使、あいかわらず変な話だ……変な話も吉右衛門で説得される。(続

3)一度だけ契った相手が弁慶と知ったときの雀右衛門のあのシーンは、なんともかとも。長々とムフフな音楽が続き、過去の一夜がよみがえっているらしいのだが、居心地が悪い……今後の課題という感じ。あのムフフタイムを乗り越えると、雀右衛門の新しい芝居になる気がする。(終わり
2017年 06月 07日

團菊祭五月大歌舞伎連続ツイート

ライターの仕事に加えて新しい仕事を始めてから、ブログを書く時間がとにかくない。
ほそぼそと記録をつけていく。


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5月5日、團菊祭歌舞伎座昼の部、石切梶原。新・彦三郎さん、おめでとうございます。真面目で見目のよい梶原。松緑がだいぶ持っていってたけど良し。吉野山、海老蔵の狐忠信はきっとああだろうという予想通り、ああだった。うん、まるっきり狐じゃなくて海老のまま…誰か彼に狐になれって教えて!(続

2)菊之助の静御前は10年以上前にも見たが、完璧な見栄え。あの時にはこの若さでこれほどやれるかと驚いたが、ちょっと伸び悩み気味?美貌は良し。魚屋宗五郎、待ってました菊五郎宗五郎。大好きです!菊之助がこの域に達するのは何十年先か。時蔵とのペアは毎度スゴイ!しかし、思いっきり(続

3)笑った後で泣かされる。妹の生きていたあの頃をふりかえるくだり。見事。女房時蔵の愛情深さにも打たれる。名作。ブラボー黙阿弥。そして寺嶋家ご長男さん、お見事なデビュー。余裕綽々の舞台度胸、笑顔が愛らしい上に大物感たっぷり。これは期待大!だがあの子の円熟期に、私はこの世にいない(続


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4)5月6日、続けて歌舞伎座夜の部。壽曽我対面。劇中襲名披露で喝采。襲名披露はいいなあ。しょっちゅう見る演目だけど菊五郎が颯爽としていてほとんどカッコいい。怪物ですかあの人は。伽羅先代萩、菊之助が政岡にチャレンジ。痛恨の飯炊きシーン全カットにはがっかりしたが、今回に限っては(続

5)カットでよかったかも。荷が重すぎる気が。なにしろ玉三郎のあの飯炊きが目の裏に残っているうちは難しすぎる。だが菊之助は予想以上の大健闘だった。政岡をやることの気迫がビリビリ。母親らしい情愛を玉三郎以上に感じさせ、別の政岡像が立ち上がる。海老蔵登場からはいきなり海老蔵ショーへ(続

6)この演目の面白さは前半女だらけ、後半男だらけとまるっきり変わること。海老蔵の仁木弾正はばっちり。はまるときは大ハマリする海老蔵。深みも因縁も何もない、ただナチュラルに悪いだけの奴。吉右衛門がやったときは、弾正の悪党ぶりに深い情念を感じさせ、最期は殺した千松と同じ場所、同じ(続

7)姿で果てるところに、この芝居の壮絶な因縁を覚えたものだが。そんなのは一切ナシ。ただもう底なしに悪い奴、それが海老蔵の弾正。おもしろい役者だ。扱いかねる男。浅草祭、松緑は踊りがうまいなあ〜。運動神経抜群なんだろう。亀蔵もいいのだけど、松緑の方が頑張りを感じない。つまりうまい(終


# by apakaba | 2017-06-07 18:14 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)
2017年 05月 28日

「アキタコマチ」の最後のディナーへ


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ウニとコンソメジュレ、にんじんのムース。次男作。
ウニを敬遠しがちな「コシヒカリ」もぺろぺろと平らげた


ご無沙汰でございます。
新しい仕事を始めてから、ブログを書く時間がぜんぜんなくなってしまった。
いろんなことがあるから書きたいけど、その気力と体力が残ってない〜。
せめて子供の話題だけでも。


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宮古直送のサクラマスは、片面だけを軽く焼く。
レンズ豆にはコリアンダーなどのエスニックな風味づけが似合う。



次男「アキタコマチ」はフランス料理のコックだが、勤め先のレストランが、諸般の事情により5月いっぱいで閉店することになった。
4月に告知が出ると、閉店を惜しむ常連のお客さんや、「興味はあったけど閉店するなら一度行ってみよう」という新規のお客さんがどんどん予約を入れてきて、ランチもディナーも殺人的な忙しさとなった。


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このお店のスペシャリテ、コンソメスープ。
他店ではまず口にすることはできないであろう味。


実は、閉店の今なのでカミングアウトすると、このレストランは掛け値無しのすばらしい料理を出すのだが、コックの数が異常に少なかった。
息子が就職した2年前の春には、シェフとスーシェフ(二番手シェフ)の二人の下、3人目として働き始めたが、スーシェフは1年もたたないうちに退職してしまった。
そのため、この1年以上、ずっとシェフと息子の二人きりで料理を作ってきた。
街のラーメン屋や洋食屋などの店に何人の料理人がいるかを考えたら、36席のフレンチレストランを二人で回すのがいかに過酷かは想像がつく。
たとえばホテルのレストランなどだったらパセリのみじん切りから始めていたはずのひよっこが、「オレが実質スーシェフとか!」


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アマダイ。腰を抜かすおいしさ。
うろこを逆立ててぱりぱりに焼き、身の方はやっと火が通るだけに仕立てる。
身の厚みに関わらず均一な(やっとの)火通し、神業だ。
ソースの濃さ、味わいの奥行き、採算度外視。


シェフは、まるで息子を育てるように、この2年間ですべての技を「アキタコマチ」に注いでくれた。
他のどこでも味わえないコンソメスープの作り方は、他の誰にも教えてこなかった。前のスーシェフにさえ。
まさに一子相伝の教育には、心から感謝している。
そして、新しい勤め先もしっかり用意してくださった。
こんどのお店は、私のお小遣いでは手が届かない、日本でも屈指のフレンチレストランだ。


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口直しのグラニテは、ルビーグレープフルーツ?
ここまででだいぶ飲んで、忘れてしまった。


ゆうべ、家族で最後のディナーへ行ってきた。
息子が作ったものを、コック姿の本人から直接説明を受けて食べるという機会も、もう最後かもしれない。
いつ来てもおいしかったが、ゆうべは特に、気迫のこもった調理場からのメッセージをダイレクトに受け取るような時間だった。


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乳飲み仔羊。
煮込み、コンフィ、ステーキの3種類の調理法で(ピエール・ガニェールか!)。
今流行りの、やたらと盛り付けがファンタスティックなレストランとは一線を画す質実剛健な料理。
このあとは、食べ物とは思えない香りを発するチーズと、ポートワイン。



小学生から高校生までの間は私が料理を教えたけれど、そのあとは、調理学校とバイト先の人気パブ、そして就職先のレストランで育ててもらった。
ありがたいこと。
すべての関係者に、お礼を言いたい。

5月いっぱいで閉店したら、7月から新しいレストランに移る。
6月は、ひとりであちこち海外旅行へ行くという。
幸あれ。
あ、長男の司法試験も終わってます。まあ受かるでしょう。
ということは……6月の我が家は、無職の男が二人か!
ありゃりゃあ〜〜〜〜。


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ぐるぐるとまわっているように見える人生も、実はちょっとずつ、進んでいる。



# by apakaba | 2017-05-28 12:47 | 子供 | Comments(0)
2017年 04月 09日

ピル服用後、絶不調

男性が読んでも、最初から最後まで何が何だかさっぱりわからない話。
でも情報共有のこの時代、健康や病気に関するブログには、私もとても助かっている。
今まさに苦しんでいる、生理とピルのことを書いておくことにした。

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ソウルで最後に食べたのは冷麺でした


「いたたたたた。今日もまだおっぱいが痛い……」
顔をしかめながら起き上がる毎日。
もう十日ほど、おっぱいが激しく痛い。

先月、ソウルへ行ってきた。
私は生理がとても重い。
生理痛もひどいが、それ以上に出血が多くて、ほとんど外出できない。
トイレの用が1時間ともたないので、楽しみにしていた飲み会もキャンセルするレベル。
履いていたズボンに次々と血がついて、1日のうちに3回取り替えたこともある。
ひどい日は夜中にシーツを剥がして血を洗ったりする。
ホテルや飛行機内でこんなことになったら大変だ。
ソウルに行く日程は、ばっちり生理の予定に当たっていた。

そのため、中用量ピルで生理を遅らせることにした。
これまでも、旅行の日程に当たるときはピルを飲んでずらしたことが何度かあるが、いずれも「次の生理を早める」方法をとってきた。
予定が前からわかっていれば、この方法は失敗が少なく、副作用も少ない。
しかし、今回のソウル行きは急に決めたので、早める方法が間に合わなかったのだ。
それで初めて、「旅行中は生理が来ないように、遅らせる」方法をとってみた。

遅らせる方法は、私のように日が迫ってしまえば仕方がないが、早めるよりも副作用が強く出やすい。
服用期間中、ずっと吐き気がする人もいるらしいが、私はソウルでは元気いっぱいでもりもり食べていた。
帰国して服用をやめたとたんに生理が来て、いつもより長く出血が続いた。
やっと止まったと思ったら、それと入れ替わるようにして、胸の激痛が始まったのである。

初めはピルの副作用と気付かず、ブラジャーの布地が肌に合っていないのかと思った。
ブラジャーで覆っている箇所が痛む。前だけでなく、背中までぐるりと、ひりひり、ずきずきと痛い。
ピルの副作用だと思い当たって、数日はがまんしていたが、「いたたたたた……」とうめき声が出るほど痛い。
一週間以上、強い痛みが続くので、義母に相談してみた。
夫の叔父一家が産婦人科医で、私もピルを出してもらったりしている。
義母はそこで働いているので、痛み止めなど飲んでもいいのかどうか、聞いてもらうことにした。

電話で義母に痛みを訴えると、「どこらへんがどんなふうに痛いの?」と尋ねてくる。
「ええとー、すっごく痛いにきびみたいな感じ。ひどく膿んだ、おっぱいの大きさのにきびがあったら、痛いでしょう。」
「そりゃ痛いわね……。痛みはどんな感じ、張ってるような感じ?」
「いやもうトシですから。張ってはきませんよ〜あははははは。もう大きくなりませんからー。」
「ははあ……それで場所としてはどうなの。胸のどのあたりが主に痛いの?」
「ええと(そう言われて、初めて気づいたが)下の方。」
「下とは?」
「うーん、乳首より下半分、上の方は痛くなくて、“南半球”ってとこかな!」
「はあ……。」
わかりやすく表現しようとしつつも、うまいこと言って少しウケようとする悲しい性。

ピルを長く飲み続けると、血栓ができてしまう人もいるというが、たった一週間かそこら飲んだだけで血栓ができるなどはありえないので、やはりホルモンバランスが大きく崩れて、このように痛みが出てくるとのこと。
次の生理が来るまでは治らないから、痛み止めを飲んで様子見ということになった。
そうだろうとは思っていたけど、ああ、苦しい。
やっぱり、生理とはよくいったもので、生命体として生きているうえでの理りであり、それを人為的に操作するから痛いことも出てくるわけね。
ピルを飲む目的は人それぞれだから、ピルを飲んではいけないとは思わない。
ただまあ、私のような理由の人は、何かしら別の工夫をすべきだと思う。
懲りた!
遅らせる方法!
もうしないよ!


# by apakaba | 2017-04-09 23:32 | 健康・病気 | Comments(2)
2017年 04月 08日

四月大歌舞伎、連続ツイート&ロバート・メイプルソープ展

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パクチーと春菊のサラダ


4月4日、歌舞伎座夜の部、傾城反魂香。繰り返し見ている芝居だが、吉右衛門は今回が一番いいように思う。3月の国立劇場の立ち回りではやや軽く感じられた芝居が、吃又では味方となる軽み。菊之助の女房は真心がこもる表情ながらも、やっぱりちょっと美人すぎ?もう少し世話っぽさが出ても。(続

2)帯屋、うむむむ〜白状すると、私は、上方歌舞伎が……苦手なんです……江戸歌舞伎の方が合う。藤十郎の風貌、異様な若さにたじろぐ。14歳の娘に手を出し妊娠させるのもありえそうな優男ぶり、だが、如何にしても台詞の不明瞭さ、声量の足りなさは。役者は、声が出なければ。孫の壱太郎、(続

3)舌が長いのか、才気を感じるいい芝居なのにやっぱり台詞が不明瞭、残念。女形の時の声の方がうまく響いている。美女でもないが妙な魅力がある少女、ああいう女って手強いですね。少女の恋でもない段階まで関係が進んでいることも匂わせる。染五郎、楽しげだがう〜む。見目が少しステキすぎかな(続

4)奴道成寺、猿之助は踊りがうまいなあ。多くの女形が、踊ること(動き)に精一杯で、周りへオーラを発するまでに達しないのに、猿之助が踊ると場を支配する力がすごい。客席がピンとする。だがこの演目では道成寺という「物語」の必然性は限りなく薄まる。やはりオリジナルは物語が完璧である。(続


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おまけ)同じ銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催中のロバート・メイプルソープ展へも。学生のころ衝撃を受けたきりのメイプルソープ、今にして見ると、あの頃の感覚とはなんだか違う。女性をただの美しい物体のように撮る客観性と、男性を執拗に撮りまくる粘着性、ゲイならではの力とは思うが(続

2)今見ると、男性の撮り方は愛と嘲笑的諧謔性とがないまぜでは?むしろ滑稽味が感じられた。同族嫌悪でもあるのか。ストレートの男が撮る女は性的な存在だが、メイプルソープの女はまったく性的ではなく、だからといって男を撮っても、やっぱり性的とも言い難い。ねじれ。孤独。芸術の手前の冷笑(続

3)肉体の写真に較べて、花などの静物写真は完璧な美をたたえている。プリントの美しさにもうっとり。プリントはいいなあ。何十年もたってから同じ写真家を見るのは意義あることだと思った。シャネル・ネクサス・ホールは初めて来たが、すばらしいホールなんだなあ。入場無料とは太っ腹。(おしまい)


# by apakaba | 2017-04-08 23:11 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)
2017年 04月 02日

香港フード合宿・後編

ふと気づけば、前回の投稿から2ヶ月以上も空いてしまった。
その間に、エイビーロードの記事でこのフード合宿のことを書いたので、それでなんとなく満足してしまった。
でも中編までというのもなんなので、最後まで作ろう。

コックの次男を連れた香港フード合宿の最後は、やっぱり本人の専門のフランス料理で。
私たちが何度も訪れている、ミシュラン二つ星の「カプリス」だ。
ここではいつもアラカルトにしているが、今回は勉強という目的でフルコースにしてみた。
もうフルコースなんて何年も食べていなかったけれど、やっぱりフルコースにしてよかった!
組み立てがすばらしい。
ワインのセレクトも、息子に任せてみた。

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まあ、このクラスになると、「おいしいってことくらい、見ればわかりますよね!?」という品々が並ぶのだが、この魚だけはいたって平凡であった。
やはり魚の扱いは、日本人シェフが世界一だと思う。
日本の一流フレンチで食べる魚料理は本当においしいな。
「アキタコマチ」の勤め先の魚は、立ち上がるほどにおいしい。


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メインの肉が、豚の三枚肉というところが、どこか中華圏の雰囲気が漂っていて楽しい。
わりと硬めなキャベツが敷いてあって、軽くてナイスなメイン。

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ここまで、「アキタコマチ」は例によって「うまい!」「さすが、グランメゾンの仕事!」などと感激していた。
チーズを追加すると、この品揃え。
サービスの副チーフがチーズの説明をしつつ切り分けてくれたので、
「実は息子がコックで、東京のフレンチレストランで働いているんです。」
と話してみた。
すると、このあと予想もしなかったとんでもない展開に!!!!!

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副チーフは日本から来た若いコックの感激ぶりにとても喜んでくれ、「厨房を案内しましょうか。奥のセラーもいかがですか?」と、息子を連れて行ってしまったのである。
最新型の機器を備えた厨房で、きびきび働くスタッフの脇を通り、年代物のワインやチーズを保管するセラーにまで通してくれて、写真も撮らせてくれたという。

私たちは遠慮して席で待っていた。
一緒についていけば行けたと思うが、私たちはただ食べるだけのお客。
プロ以外が足を踏み入れる場所ではない。
「アキタコマチ」は、世界レベルの厨房を見学し、感無量の表情で戻ってきた。
(英語も話せないのに)いろいろ質問し、副チーフの名刺ももらって、「自分の携帯番号直通だからいつでも電話していい」と言ってもらったという。

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「あんなすごいチーズのセラーは初めて見た……わらが敷いてあるとか……4年熟成のコンテチーズとか! ありえないでしょ!」とひとり興奮する「アキタコマチ」。
おそらく、シェフ自らが目の前で調理してもてなすような上得意の顧客など、わずかなお客さんが入れる場所なのだろう。
それを、いくら私たちが何度も行っているとはいえ、ひょっこり来ただけのまだ若造のコックのために、ここまでしてくれるとは。


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フード合宿のしめくくりにふさわしい、超一流の料理とサービスだった。
二泊三日で、食べて食べて食べるだけの合宿で、私は、ふたつのことが心に残った。
ひとつは、香港の人々が、若い料理人の来訪に、礼を尽くしてもてなしてくれたこと。
やはり、料理の世界という同業者どうし、響くものがあるのだろうか。
これには、親としてすべての店にあらためてお礼を言いたいくらいに感激した。
もうひとつは、私たち夫婦も食べるのが好きでかなりおいしいものを食べに行っているが、プロ(で話すのがうまいやつ)を連れて行くと、楽しさが段違いになるということ。
おいしいと思うその味は、どうやって作られているのか?
それを解析してもらうと、料理というものが科学であり芸術であることがよくわかる。
パクッと一瞬で口の中に消える、そのひとくちに、どれだけのことが込められているか、今までよりもずっとよくわかるようになった。
実り多い旅だった。
そして夫は、「来年の正月も行こうぜ、恒例にしよう!」とか言っていた……そんなに出せません。お金をくださーい。
(終わり)


# by apakaba | 2017-04-02 15:23 | 食べたり飲んだり | Comments(0)