2016年 12月 01日

根津美術館「円山応挙」展と、ヱビスビール記念館

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根津美術館の「円山応挙」展に行ってきた。

これだけの展示数の円山応挙を一度に見たのは初めて。
「写生図巻」の誠実で正確な写生の力に目を見張る。
どうも兎や鼠の口元に尋常ならぬ興味があったのか、もしくは難しくて練習したのか、全体の写生の横に口元だけのデッサンがあるのがおもしろかった。

動物もいいが、紅葉したり枯れかけたりしている木の葉の描写など、ほんものそっくりである。
子供のころ、O.ヘンリーの『最後の一葉』を読んだ時、「さすがに壁に描かれた葉っぱを本物と思い込むなんて、無理がありすぎる……」と疑いのまなざしだったけれど、応挙ならいけるかもしれないと思った。

根津美術館所蔵の「藤花図屏風」は、かなり人類の宝。
金の屏風に、西洋の油絵のように立体的に描きこまれた藤の花は、実物の藤の花よりも輝かしい美しさを見せる。
ポスターではごく平凡な日本画に見えたのに、これほどきれいだとは知らず。うっとり。
しかし金屏風って美しいなあ。
状態の良い金屏風は、やはり人の目を捉える。

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写ってないけど、庭園に「井筒」がある。
同行の友人は井筒も「筒井筒」も知らなくて、ビックリした。


根津美術館の庭は、ちょうど紅葉が見頃だった。

恵比寿に移動して、ヱビスビール記念館の見学ツアーへ。
参加料500円で、試飲付き。
私はヱビスビールが大好きで、国産ビールはこれ以外ほとんど飲まない。
外国のビールにも、正直いってあまり興味がない。
それくらい好きで、毎日飲んでまったく飽きない。
この日はふつうの金ヱビスの生の他に、いつもの試飲にはない贈答用の限定品「和の芳醇」を試飲させてもらえた!!!
ありがとうございまーす!

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1900年のパリ万国博覧会で、ヱビスビールが金賞を獲得したそうだ。
さすがだ!!!
これは受賞記念の贈答用木箱。
「この中に何本のヱビスビールが入っていたでしょう」というクイズを出される。


少し酸味の感じられる、さわやかなホップの香りが素敵。
とにかく家から出ない生活なので、たまに出かけるととても楽しい。
そして若いカップルはものすごくベタベタしていることにも驚いた。
「いまどきの人は、あまり恋愛をしない(そしていきなり結婚する)」ということが、クローズアップ現代+の放送から、数日前にネットで話題になっていた矢先だったので、「いや〜そうでもないぞ」とちょっと頼もしくなったのだった。
(リンクはトゥギャッターですスミマセン)


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おいしうございました……!


過去に根津美術館に行った時の記事はこちら。写真満載です。



# by apakaba | 2016-12-01 14:20 | 生活の話題 | Comments(0)
2016年 11月 28日

病気自慢経過報告

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ここ最近の私の健康について、まとめ書き。
年を取ってくると話題は病気自慢ばかりになるとはよくいわれることだが、御多分に洩れずということで。

・足の裏にいぼができて、ずーっと通院しているのだが、ちっとも取れない。
もう何年も液体窒素を吹き付けている。
1回行くと840円かかって、一週間から二週間にいっぺん通院する。
バカにならない。
とうとう、レーザーで皮膚をえぐりとることになった。あ〜。痛そう。
でもこれで治るんなら、やったほうがマシか〜。


・耳硬化症と上半規管裂隙症候群。
難聴は、とくに進行していない感じがする。
ただ、影絵の声を担当しているので、練習期間中はなかなか地獄。
再来週に本番のある劇は『西遊記』で、孫悟空の声をあてるが、セリフの数が膨大な上に、役柄上、大きな声を出し続けているので、とても堪える。
以前、「釣鐘に閉じ込められてガンガン叩かれているような感じ」と書いたことがあったが(閉じ込められたことはありませんが)、そんな状態でずーっと声を出していると、本当にふらふらになる。
先日、練習直後に、人形担当の人から話しかけられ、私に向かって30秒ほど話しているその声が、まるっきり聞き取れなかった。
これは心底焦った。
釣鐘に閉じ込められてガンガン叩き続けられたら、そりゃ出てきた時にはふっらふらで、何も聞き取れなくなるでしょう(きっと)。

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・難聴のくせに何をいうのかと思われそうだが、私は聴覚が非常に敏感で、夜は耳栓をしないと眠れない。
耳の穴がふつうの大人よりもかなり小さいので、ネットで小さいサイズの耳栓を探して買っていた。
これがすばらしい製品で大の気に入りだったのだが、生産終了して、新製品に代わった。
新製品は材質が変わって、サイズも前より大きくなってしまった。
ウレタン製で、復元力が高く、耳の穴を一晩かけてじっくりこじ開けていくような感じがする。
じわーっと押し広げられて、朝になると頭が痛い。
しかもアレルギー体質なので、ウレタンが耳の穴に密着するとかゆくてたまらず、夜中に飛び起きる。
耳栓をしないと眠れないけど新製品になったら結局かゆくて眠れない。

また探して、別のものを買ってみた。
今度はシリコン製で、耳の穴に詰めるのではなく、耳の穴をふさぐタイプ。
大きくてベタベタした丸いもので、粘着力を利用して耳の皮膚に貼り付ける。
とても遮蔽性が高い。
ウレタン特有のかゆさもなくなった。
が、耳の穴をふさぐときに、ちょっと押し込み気味にすると、外耳の中が真空に近くなり、鼓膜を吸い込むような感覚がある。
これは鼓膜にとって負担なのではないか。

さらに、耳の外の音は遮断されて快適だが、体の中の音(自分の呼吸音など)はウレタン製よりも響く。
耳栓のこれが嫌だという人は多い。
私は病気のために、もはやこの体の中の音が頭に響き渡ることは24時間なので、今さらという感じだが。
耳鳴りも24時間していて、シリコン製に替えたら体の中の音が響くようになったので、寝る前は耳鳴りもよく聞こえる。
耳鳴りはふだんは小さく鳴り続けていて、数日にいっぺんくらい、飛行機が通ったみたいに大きくなることがある。
そうなったときは注意力が落ちるので、ちょっと危険。
シリコン製に替えてからは、毎晩、左耳と右耳の耳鳴りの音のちがいを聞き分けているうちに眠りに落ちる。

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渋谷の鳥竹、なんこつ揚げ



・顔の湿疹はあいかわらずで、一生ステロイドのお世話になる感じ。
しかし頭皮の湿疹は、ヘナを始めてから劇的に改善した。
ヘナはインドの天然染料で、ヘナを頭に塗るとデトックス効果が高く、かゆみが治まる。すごいねえ。
顔の湿疹も治まってくれるといいんだけど。


・テニス肘はあいかわらず、ちょっと痛い。すごく痛いということにはもうならない気がするけど、やっぱり少し痛みが残っている。
生理痛はほぼ毎月ひっくりかえるほどつらい。
だが長らく鉄剤を真面目に飲んできたおかげで、深刻な貧血は改善し、薬を飲む間隔を今までよりも空けていいと内科で言われた。
これはうれしい話。

そんなところかなー。
重大な病気に較べて、私の病気や故障のなんとしょぼいことよ。


# by apakaba | 2016-11-28 08:54 | 健康・病気 | Comments(0)
2016年 11月 22日

死因

きのう、「ママ友のお通夜に行く」と題して書いた。
今日、告別式に行ったという共通のママ友に会ったので、「それで、何が原因で亡くなったの?」と、あらためて尋ねてみた。
その答えはあまりにも意外だった。
原因は「アスベスト」だという。

亡くなった友達が30年前に住んでいた神戸で、アスベストを吸ったことが原因だそうだ。
どんな仕事もしくは住環境にいたのかまでは知らないが、1年前に健康診断でわかったという。
アスベストが原因の「中皮腫」というがんの一種にかかっていたというのだった。

「30年前? そんなことってあるの?!」
思わず叫んだが、帰宅して調べてみると、アスベストを吸ってから発病するまでの潜伏期間は平均40年ほどだそうで、現在50〜60代の人から発見されるのはこの長い潜伏期間によるのだ。


まさしく、亡くなった友達の年代なのだった。

きのうまでは、ただ死を悲しむだけだったが、今日はやり場のない怒りとむなしさに襲われた。
そんな昔のことが原因で、しかも毒性が確認されず、ふつうに働いたり暮らしてきたりしていただけなのに、こんなふうに命を絶たれるなんて。
健康被害問題って、頭では「大変なことだ」と知っていても、どこか自分とは関係ない遠いところにある問題のような気がしていた。
自分を恥じた。
並んで立っていたパパとお嬢さんたちの姿を思い出し、悔しくて仕方がなかった。

いろんな他の国のことも思った。
いちおう先進国のはしくれである日本でも、このありさまだ。
世界の発展途上国では、今日も、今も、劣悪な環境のもとで労働し続け、暮らし続けている人たちがいる。
有毒物質に曝露されて、健康をゆっくりむしばまれていく。
何十年後かに発見されたときには、もう手の施しようがないほど致命的に病気が進んでしまうことがあるとしても、彼らは今日の労働をやめることができないだろう。
どうせ、その前に死んでしまうかもしれないさ。
それよりも、今日の日銭が大事だ——。
そんな彼らは、明日の幸せをゆっくりと手放してしまう。
私のママ友が、美しく成長した二人のお嬢さんの未来を見ることができなくなったように。


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倒れたように見えるがこれから植えられる


文明生活を送る以上、すべての有害物質・有毒物質を排除することはできない。
しかし、こんなに長い期間を経てからツケを払わされるのは、やはりたまらない気持ちだ。
それはやはり、人間同士、誰かが誰かをゆっくりと殺していくことに思える。
たまらない。たまらなく悲しく、やるせない。


# by apakaba | 2016-11-22 22:50 | Comments(0)
2016年 11月 21日

ママ友のお通夜に行く

ゆうべ、ママ友のお通夜に行ってきた。
娘が幼稚園から中学卒業までの間に一緒だった人で、さほど親しくなかったが長いお付き合いだった。
大学生の娘の友達と、そのお姉ちゃんの二人姉妹は、そろってしっかり者だから、もうおうちのことなどは助け合ってきちんとできると思う。
それより、これからさまざまな悩みを乗り越えていくはずの二人のお嬢さんは、女性の先輩としてのお母さんと、もっと話したかっただろう。

斎場に着くと、昔のママ友の顔がたくさん見えた。
幼稚園の卒園以来、ほとんど会っていない顔などを見ると、あの当時ののんびり過ごしていたことを思い出す。
私はものすごく泣いてしまうタイプなので、もっと楽しい場での再会を願って、誰とも話さないよう遠くに並んだ。
パパと二人のお嬢さんは、涙も見せず気丈に並んで立っていた。
長く臥せっていたというので、心の準備はできていたのだと思う。
こちらは寝耳に水だったから、やっぱり正体なく泣いて、「いないいないばあ」の「いないいない」のように顔全部を両手で塞いでいた。
娘と同級生のお嬢さんは、しばらく会わないうちにスッキリと美しく成長していた。
そしてお姉ちゃんの方は、喪服も着物姿で、もうすっかり一人前の女性になっていた。
小学生の頃、「あっ、『コシヒカリ』ちゃんのママー」と手を振ってくれていたことを、私の顔を見てお姉ちゃんは思い出してくれただろうか。


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亡くなった日の空



パパはまだまだ現役でお勤めだし、金銭的に困ることはないと思うが、それでも自分の子供たちと同年輩のお嬢さんたちを見ると、ほんの少額でもお香典を持って参列してよかったと思う。
いくら未来のある若い人を応援したくても、私が直接にできることは何もない。
これが最初で最後の、直接渡せる現金だ。
「がんばって」と心の中で祈った。

亡くなったママと、最後に話したのはいつだっただろう。
最後に会った時、とても幸せそうだった。
長らく専業主婦だった彼女は外で働き始めて、「毎日勉強になることばかりよ。私ってなんにも知らなかったんだなあって。とっても楽しいの!」と、職場の楽しさとやりがいを話していた。
それまでは、パパのことと娘たちのことしか話していなかったから、「ずいぶん幸せそう。仕事を始めて、すっかり変わって別人みたい!」と驚いたのだ。
周りのママ友も、口を揃えて同じことを言っていた。
その幸せそうな姿が、昔のママ友の間での、共通の思い出になったのだった。


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その翌日の空



人が亡くなると、その人にまつわることをとりとめなく思い出す。
そして自分の身に置き換えたりする。
もし今、私が死んだら、ママ友はやっぱり「ミタニさんと最後に会ったのはいつだっけ」とか「いつもこんなことを言ってたよね」と話したり思い出したりするのだろうか。
私が死んでも、私が書いたものは山のようにネット上に残る。
ブログや仕事の記事を読んでほしいなあ。
私を知ってほしい。
私の考えていたことを。
生きていた印を残したい。

しかしママ友が亡くなるのって堪(こた)える。
他のつながりとは違った重さを感じる。
ご本人の分と、その小さかった子供たちの分と、考えることが増えるからなのかな。


# by apakaba | 2016-11-21 16:38 | 生活の話題 | Comments(0)
2016年 11月 10日

「ササニシキ」25歳の誕生日祝いなど

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秋生まれの誕生会ラッシュも、長男「ササニシキ」の誕生日をもって終了。
次男「アキタコマチ」のディナーは、とりもものソテーだ。
焼き具合がうまいのは当然としても、ソースが完璧にフレンチのソース。
鶏ガラからちゃんと作ったソース、コンソメなどの調味料ゼロのおいしさに一同うなる。


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デセール(デザート)は柿。
柿をキャラメリゼして、ヨーグルトと生クリームを共立てしたクリームに、ナツメグなどで風味づけし、お酒にも合うデセールになっている。
「アキタコマチ」から「ササニシキ」へのプレゼントのワインは4人ですぐに空けてしまい、グレンモーレンジのソーテルヌカスクも全部空けちゃった。
(結婚記念日祝いに「アキタコマチ」がくれた。その日の記事はこちら)


飲みながらアメリカ大統領選の話をする。
我が家でもトランプが勝つとは予想していなかった。
夫に勧められ、今さらながら、『アメリカの反知性主義』を読み始めた。


# by apakaba | 2016-11-10 21:10 | 食べたり飲んだり | Comments(0)
2016年 11月 08日

見た夢をそのまま書いてみる(誕生日)

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本文と関係ありませんが、早稲田大学近辺にある、悪夢を見そうなビル。
昔からあった。
革マルのアジトとかいわれていたけど、ほんとはそんなことありません


母と二人でバス旅行に行くことにした。
だが母は実際の母とはぜんぜん別人のようだ。
とても体が大きい。
いや、私の体が幼児並みの小ささになっているのかもしれない。
でも心の中は、現在の自分だ。

いろいろな観光スポット(一つも覚えてない)をまわり、すでに暗くなってきて、休憩のあと乗客はバスに乗り込む。
私は母の胸に抱っこされて席に着く。
やっぱり幼児だ。
もしくは母が巨人。

バスは異常な勾配の坂道を下り始める。
その角度は、道路の角度ではなく、ジェットコースターの角度だ。
それを猛スピードで走っていく。
乗客は皆、恐怖のどん底。
あちこちから叫び声が上がり、パニックになるが、運転手の姿はわからない。
こんな状況では席を立つことができないから、それぞれの席にしがみついたまま、運転手に「止めて!止めて!」とむなしく叫ぶばかりだ。

私は抱っこされているので進行方向の後ろ向きになっており、まるで背中から落下していくような恐怖を存分に味わう。
私はジェットコースターならどんな激しいものでも怖くない。
でもこんな異常な坂道で暴走するバスは怖い。
自分が泣き叫んでいるのか、声も上げられずに震えているのか、それもわからない。
バスは他の車やバイクを今にも引っかけそうになりながら、猛スピードであぶなく脇をすり抜けて行く。
そのたびにキャーッという絶叫と、嗚呼という安堵の嘆声が上がる。

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ある日。
ネパール料理店のパニプリ。
コロコロ、かわいくて大好きなスナック



はっと気づくと、また休憩になっている。
私は靴紐が何メートルもある白いスニーカーを履いている。
スニーカー自体はプレーンな形だが、紐が何メートルもあるから、それが足の甲のところで束にまとめてあって、とても邪魔くさい。
私はその靴紐の束を頬張る。
邪魔だから食べようとしている。
埃くさい、スニーカーのにおいが鼻をつく。
なぜ私の夢は、しばしばにおいがあるんだろう……と、いうところで目が覚めた。

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ある日。
ハラミステーキ、おいしうございました



今日は長男「ササニシキ」の誕生日だ。
朝、学校(大学院)へ行く前に、コーヒーを淹れていた。
長身なので、台所でわずかに腰を屈めている。
スエット上下を着ているが、ズボンが下がって、下着のパンツもゴムがゆるゆるで一緒に下がって、お尻が半分くらい出ている。
びっくりして、「あんたパンツ穿いてないの」と聞くと「穿いてる」と言う。
「ゆるいパンツは捨てて新しいのを買いなさい。そんなんじゃだめ。お尻の穴まで見えそうだよ。」
「うひひっ。新しくしたいと思っている。」
「新しくしなよ……」
「このパンツはおかーさんが買ってきた。」
「どんなパンツだって古くなったらゆるくなるんだから、そしたら処分しなさいよ……」
「いや、かなり最初からあっという間にゆるゆるになった。それを(おかーさんのために)穿いてあげてる。」
「ありがとうよ……」

バカな母親だが息子もバカだ。
人の親になってからの人生の方が、長くなったことに今朝気づいたが、この息子との関係はこのあとどう変わるんだろう。


# by apakaba | 2016-11-08 17:42 | 生活の話題 | Comments(0)
2016年 10月 26日

夫の誕生日祝いの宴

うちの家族は5人中4人が秋生まれで、この時期はお誕生日ラッシュ。
今日は夫の誕生日祝いをした。
夫は、もう本当の誕生日は過ぎて、すでに50歳になっている。
今日は次男の「アキタコマチ」が休みなので、例によってディナーを作ってくれた。
ディナーといっても、おつまみだけというすごいメニュー。

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焼きなすとガルバンゾーのレモン風味ムース。


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とりレバーと砂肝のパテ。


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里芋と栗のピュレ。

ビジュアル的には限りなく離乳食だが、どれも素人には決して作れない味で、かなり食べ過ぎた。
「アキタコマチ」が、日本ではめったに見ることのできないトカイの「アスー・エッセンシア」をプレゼントしてくれて、一同、大盛り上がりのうちに一瞬で飲みきってしまう。


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ありがたやー。

「ササニシキ」に「おいしい?」と聞くと、
「長野県の。長野県の……なんだっけ、地名。」
と言う。
「長野県の避暑地。……軽井沢。軽井沢の……コテージの……2階。2階の……」
そこまで聞いて、一同が耳を傾け続けることを諦めたとき、「アキタコマチ」があとを受けて
「うん、木の香りを感じるよね。」
ととてつもなく絶妙な合いの手を入れて、助け舟を出す。
私はビックリする。
長野県長野県と切れぎれにつぶやいている男の言いたいことをそんなに汲んでやれるなんて、「アキタコマチ」にしかできないのではないだろうか。

「わかる。木っていうか樽の香りだよね。」
「そう。そう。あと、えっと……他にも、長野県の……香りがする。……りんごの……」
「ああ、そうだね、カルヴァドスみたいな香りも感じるよね。」
すごいなこの二人。
ちゃんと通じ合っている。
断片的な言葉を拾える「アキタコマチ」がすごいのか、「ササニシキ」が実は的確なのか?

「ササニシキ」に「お父さんへの誕生日プレゼントはないの?」と促すと、
「もちろんあるに決まってるじゃない。」
と、得意満面でポケットから取り出す。
「お父さんに、というかおふたりに。」
私も先月が誕生日だったが軽く無視されていた。
映画館で使える「シネマギフトカード」をくれた。
夫婦のどちらかが50歳になると、多くの映画館で割引になることだし、「これで二人で映画を見てきてください。」と。

ありがたやー。

ちなみに「コシヒカリ」は、食あたりでほとんど何も食べられず、プレゼントも用意できず、失意の日。


# by apakaba | 2016-10-26 23:02 | 食べたり飲んだり | Comments(0)
2016年 10月 05日

『恋人たちの予感』から

映画が好きな娘「コシヒカリ」は、レンタルショップでバイトを始めて、毎日のように家で映画を見ている。
メグ・ライアンの『ニューヨークの恋人』を見て、メグ・ライアンつながりで『恋人たちの予感』を見ていた。
あのころ、メグ・ライアンはほんとにかわいかったね。
しかしまったく同時代ではない「コシヒカリ」はなかなか見る目がシビアで、
「『ニューヨークの恋人』の方が、演技がうまい。たしかに『恋人たちの予感』の方が若くてかわいいけど、演技があんまり。」
と言う。
ううむ、当時は「メグ・ライアンならなんでも最高!」ってくらいの人気だったから、演技力なんて考えたこともなかったわ。

『恋人たちの予感』は、私にとっては無条件にバンコクを思い出す、懐かしい映画だ。
映画の公開は1989年で、もちろん見たが、1990年の1月から3月、大学の卒業旅行でインド・ネパール・パキスタンをまわっていた。
トランジットで、最初の数日間、滞在したのがバンコクだった。
“安宿ゲットーともいうべき”と当時の『地球の歩き方』に書かれていたカオサンに泊まって、長期旅行の人々に囲まれて食事をしているとき、ちょうど食堂のビデオで『恋人たちの予感』一番の名シーンが流れていた。

 食堂では、ビデオで『恋人たちの予感』をやっていて、ガイジンたちはそれをくい入るように見ていた。通りにはみ出して立って見ている人もいた。(ちょうど、メグ・ライアンが男友達の前で、「恋人とのセックスはどうやっているのか?」と聞かれて、実演するシーンだった。)
ギャハギャハと笑ったりしつつじーっと1つのTVを見つめるガイジンたちに囲まれ、ここはホントにリゾート地なのねと思った。足元をうろうろするおびただしい数の犬と猫(どこかしら病気で、やせている)は、何となくタイの人に似た顔をしている。



娘にその夜の思い出話をするが、当然ながらピンとこない様子だった。
海外へバックパッカー旅行をしたことのない子には、あまりよくわからない感覚か。
危険なことはいっぱいあるけど、やっぱりいろんな国に行ってほしい。
でもかわいい娘が危険な目に遭うのは嫌だな。
息子二人は勝手にタビビトになっているが、女の子は心配だもん。
と、昔は女の子だった私の複雑な思い。

娘が『恋人たちの予感』の感想を話す。
「まーしかしね、男女の友情はないですよ。」
と私が断じると、「えーっ、わたしはあると思うけど!」と猛反発してくる。

「いや、もちろんあるよ。男女の友情は。でも、それはかなり女の側の裁量に委ねられやすいってこと。
一般的に男の方が、セックスへのハードルはとっても低いから。
友達だって思っている相手でも、女の方が『いいわヨ』みたいな態度をすれば、『え、いいのー?! わーいいっただっきまーす!』ていうことになるよ。多くの場合。
男女の友情が成り立っていられるのは、女が『いいわヨ』って態度を取らずにいることで保たれていることが多いの。
もちろん全部じゃないよ。でもそんなに男女の友情を信じきるのは、ちょっとどうかと思うよ。
だってメグ・ライアンとビリー・クリスタルだって、長年友達だったのにやっぱりこうなってるじゃん。」

はじめは「そんなのあるわけがない……」と反発していたが、「ああ、そういうのもあるかもしれない。」と、少し思い当たったようだ。

「とにかく自分の身を守るのは自分ですから。」
旅行も同じですね。
旅先のレンアイもね。

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以前にも載せましたが。
1990年3月、最後の滞在先ネパールのカトマンズで。
この旅の男性は、どの国でもけっこうなれなれしかったです。
娘がそろそろこの年頃に。


# by apakaba | 2016-10-05 11:13 | 子供 | Comments(0)
2016年 09月 30日

歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎、昼夜連続ツイート

歌舞伎ツイートをさぼりがちな今日この頃、昼の部と夜の部、両方ともいっぺんに転載しておく。

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だいぶ過ぎちゃったけど、9月11日、歌舞伎座昼の部、碁盤忠信。染五郎は優男系だけでなく、大きな立役も見栄えよくなったな。幸四郎より「吉右衛門に似てる?」と思ったが、むしろ祖父なのか。6月に見た碇知盛も、吉右衛門には遠く及ばないものの、「生き変わり〜死に変わり〜」には痺れた。(続


2)太刀盗人、とりたてて言うべきことナシ、錦之助のぼけっと店を見物している表情などがよし。一條大蔵譚、見るのは3回目だが吉右衛門は安定の芝居。若干声が小さくなった?心配。菊之助の美貌と、長成役吉右衛門の芝居に圧倒される様がよし。本心から驚き、本心から敬服しているように見える。(続


3)鬼次郎を梅玉がやったときもよかった。が、妻の梅枝は悪くはないが引き込まれるような切迫感が足りない。孝太郎のときが圧勝。武士の妻として危険を冒しつつ長成の元へ飛び込む覚悟がビシッと伝わり。花道の引っ込みでの表情、目の真剣さ。あの刃物のような覚悟を、梅枝が出せるのはいつ?(終わり


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9月前半には萩の花がきれいに咲いていたものだが


今日で9月も終わりなのか。焦って歌舞伎ツイート。9月20日、歌舞伎座夜の部、吉野川。吉右衛門がすごいすごいとの評判だったが、ううーん、これは、凄いのは玉三郎ではないのか。あの吉右衛門と互角以上、瞠目の母親。染五郎菊之助の若い美貌のカップルの前に「ママも昔はスゴかったのよ」と(続


2)立ちはだかる存在の厚みよ。毎度思うが不世出の女形。話は相変わらず無茶苦茶で、ついていけない観客多数。両花道の様式美。らくだ、爆笑しながらも江戸というなんでもありな時代を思う。半次、久六、馬吉、みんな世間のはみ出し者。現代なら精神障害のさまざまな病名がつくであろう人々。(続


3)ギャンブル依存症、ADHD、知的障害との境界あたりの、社会の周縁にいる人々。彼らは病気として隔離されることなく、これもヤクザ者すれすれの家主が住まわせて、なんとなく世間と行ったり来たりして、少し迷惑をかけて、生きていた。歌舞伎にはそんな人たちが、さりげなくたくさん出てくる(続



4)黙ってたたずんでいる染五郎の表情に、独特の(発達障害らしい)雰囲気を感じ、なるほどと腑に落ちた。他の芝居でも、ゲイもたくさん出てくる。三人吉三や白浪五人男は明らかにBL(レズビアンはついぞ見かけないのは、作者が男ばかりだろうか)。周縁に生きる人とそれ以外の世間を峻別しない(続

5)ままに芝居の題材にする。現代では生まれづらい芝居。染五郎の完璧なコメディアンぶりは、「コメディアン」という役回りの最も難しい部分(周縁の人であることを感じさせる)が凝縮していた。元禄花見踊、はい、玉三郎さんのもとにみんないらっしゃーい。まさしく全員を手玉にとる踊り。眼福(終


# by apakaba | 2016-09-30 14:21 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)
2016年 09月 25日

FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園

会期終了してだいぶ経ってしまったが、去る8月26日、「FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園(公式サイトこちら)へ行ってきた。
私のブログを読んでくださったネイキッドの方が、ご招待してくれたのだった。
「ぜひ、我々の仕事も見てください」というお誘いに甘えて、東京ミッドタウンへ行ってみた。

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恥ずかしながら、ネイキッドという会社も、その事業についても寡聞にして知らなかった。
「ネイキッドは映像やインスタレーション プロジェクションマッピングなど 人々の体験をデザインするクリエイティブカンパニーです」とホームページにあるとおり、空間演出でのエキスパートらしい。
たしかに、うん、モノスゴク、イケてた。


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インスタで撮影した写真を、スマホからこの大きな画面に飾っていくことができる。



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プロジェクションマッピングを、花に当ててさらに立体的に見せている。
プロジェクションマッピングは平面的な対象を考えがちだが、ここまで凹凸の激しいものに大胆に当てていくのはおもしろいし、美しいと思った。


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水の中から水面を見上げているような気分になるが、枝(?)を揺らすと、雨粒のような水滴の波紋が葉の裏側に映る。

ひとつの大きな会場を区切って、いろいろな空間演出を次々と見せる。
各コーナーには、そのイメージにぴったり合う香りを流している。


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あまり注意を払われないところに、鳥の影が映りこんでいく。


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ここだけは会場のオリジナルな香りとは異なり、高田賢三のパフュームが使われている。
中央には、切り絵で繊細な葉が。


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「バニヤンツリー」に使われているのは、「未来紙」(とネイキッドの方が呼んでいた)という不織布。

この他にもたくさんのコーナーがあるが、ひとつの大きな会場に入り組んで並んでいるので、少しずつ他のコーナーが見えていて、全体の景色に影響しあっている。
遊園地に来ると、しばしばこういう風景がある。

ネイキッドの方が懇切丁寧な解説をつけてくださったおかげで、だいぶ舞台裏というか、ふつうの来場者が知らない仕掛けなどを教えてもらえた。
多くの人が見落としてしまいがちなところでも作り込んでいて、それを「実はここにこんなモノを映しています」とか、「実はこのコーナーの木はほんものの木を使っています」「これはここにセンサーが仕込んであります」と教えてくれる。
そうやって見ていくと、たしかに大変な人材と技術を駆使して、この空間を作り上げているのだとわかる。
しかし、多くのお客さんはそんなことを知らない。
自分の感じられる範囲で、自分たちなりに楽しんでいる。

ネイキッドは、その方針として、極力説明を排除して、見る人の感性に依存し、言い方を変えれば感性を信じて、種明かし的な説明がなくてもビビッドな体験となってくれることをめざしているとのことだった。
「説明はダサい」と切り捨てることで、お客を選別しているように思えるが、会場を見回す限り、来場者(ほぼすべてが女性!)の表情は皆幸せそうである。


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いかにも女性に受けそうなイベントだな……少しもちゃちなところがなく、隙間なく美しく、隅々まで幸せな感覚が満ちている。
物販コーナーも、女性の購買意欲にマッチしている。
さほど高くなく、気の利いたものだけが売られている。
うーんこれはモテそう。
代表の村松亮太郎氏が、やたらと男前なことが、会の成功を約束している感じ。


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メディアに出ているどの写真を見ても、隙なく色男だもんね。
たぶんこれだけのステキ空間を緻密につくりあげるのだから、相当の美的センスとカリスマを持った人なんだろうなとは想像がつくが、「モテそうな感じ」という直感は、おそらくこの村松氏の発するオーラによるものではないかと思った。

インタラクティブなデジタルアートというと、まずチームラボが浮かんでしまうが、見ていくうちに、ネイキッドがめざしているのは、チームラボとはまったく別のものだ。
両者を引き比べることには意味がない。
チームラボが「日本」「教育」に鋭く切り込み、古典への志向を明確に打ち出して、それをデジタルで表すことに徹底的にこだわっているのに対し、ネイキッドにとっては、デジタルはひとつの手段であり、美しいこの世の楽園を現出させるためには、アナログ的な手法もどんどん取り入れる。
たとえば、イミテーションの木にほんものの熱帯植物が混じり込んでいたり、切り絵しかり「未来紙」しかり、質量を持った「ほんもの」と、光や音や香りといった質量のないものをまじえて置くことで、その区別は曖昧になる。
多面的に快楽を引き出す。
チームラボが、見つめていると胸を締め付けられるような切なさが込み上げてくるのに対し、ネイキッドはその逆に、ひたすら胸の締め付けから解放され、快楽で満たされる感覚になる。

「FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園」は、東京では終了してしまったが、10月からは沖縄で開催されるようだし、東京では「SWEETS BY NAKED(公式ページこちら)」がスタートしている。
ああ、またも女性に大受けしそうなイベントなんですね。
映像(ましてや写真)ではネイキッドの魅力をうまく伝えきれないので、空間演出の最先端の仕事を知りたければ、会場に行ってみるしかない。
テクノロジーとマニュファクチュアの融合で、幸福感が呼び起こされる。


# by apakaba | 2016-09-25 22:54 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)