2008年 11月 10日

恋に翻弄される

以前、見た夢の情景をそのまま書いてみるということをやってコメントをたくさんもらった。
それからも私はストーリーに満ちた夢を日々見ているのだが、なかなか書く機会がない。
今朝見た夢は久しぶりによく覚えていたので書いてみる。
いくらなんでも長いので、今回は初めてMore機能を使ってみることにした。


こんな夢を見た。

私は多分、今よりだいぶ歳が若い。
何歳くらいなのかわからないが、制服を着ているから高校生のような気がする。
でも一度大人になって、再び高校生の姿に戻った高校生だ。
私のクラスは、クラスのいろんなことを決めるのに、学級会ではなく10人くらいのメンバーが円陣を組んで会議をするらしい。
私もその10人に入っているがよく遅刻する。
私が歩いていると、すでに円陣はできていて、リーダー格の男の子がいつも「あっ、来た来た。ほら、早く入って。」と、円を自分のところで切って私を入れてくれる。
私はこの男の子がひそかに好きなのだ。
彼は私をとくに好きでもないようだが、私は彼がいつも隣に入れてくれるのがうれしい。

ここは夢でなく実話だが、この人は、高校時代の同級生ではなく、本当は小学校の同級生だった子で、Tくんと呼んでいた。
4年生のときに同じクラスで、勉強ができるわけでもなくリーダータイプでもないふつうの男子だったが、やさしくて気のいい人で私は好きだった。
でも5年生になって、私は1組、彼は4組になり、さらに6年生になると学校も別れて、中学も別々になったのでそれきりになった。
4年生のときはあれほどいいなと思っていたのに、その後、高校、大学と進んでごくたまにTくんを見かけると、まったくステキさが伸び悩んでしまったことにがっかりしたものだった。
私にとっては、彼のピークは4年生だった。


そのTくんを中心とした首脳陣(というには人数が多いが)は、校内だけでなく、道でも円陣で会議をする。
いつものように私が遅刻気味で、交通量の多い道路で会議をしていたら、幼稚園の遠足のための貸し切りバスが何台も通りかかり、我々のすぐ前で停まって、先生たちが降りてきた。
若い女の先生たちは非常に怒っている。
我々が道路の交通に迷惑をかけているし、クルマにも人にも危険だ、という。
そんな当たり前のことが夢なのでわからないのだ。

幼稚園の先生たちは、私にお詫びの言葉を要求してくる。
園長先生はここにいないが、私たちが園児のバスを危険な目に遭わせたお詫びを書き、園長に読ませるのだという。
私のカバンに入っているプラダの化粧ポーチ(本当はそんなもの持っていないが夢なので持っているらしい)に、白いペンでお詫びの言葉を書けといわれ、
「そんなことしたらポーチがダメになっちゃう!」
とブツブツ言いながらも、素直に先生たちの無茶な要求に従って、プラダの化粧ポーチは取り上げられてしまった。

ところで夢のなかの私はコンデジ撮影に燃えている。
私が高校生だったころはコンデジなど存在していなかったのだが、一度大人になってまた高校生に戻っているから、私だけがコンデジを携えている。
友だちやいろんな風景を次々と活写している。
ほんとうは活写などといえるレベルではなく、ただただ量を撮っているだけなのだが、本人は夢のなかのモノローグですっかりその気で語る。
「なぜ、高校生だった当時、写真をたくさん撮ってこなかったんだろう。二度と撮れないものばかりなのに。
制服姿の友だちの笑い顔や、学校生活を、もっと撮っていたかった。
だから、今、がんばってみたい。」
とかなんとか独白しながら無我夢中で撮影しているのだった。

ここでいったん目が覚め、Tくんとの顛末が見たいと思いながらまた寝た。



夢のつづき。

円陣会議ばかりしていた時代から、もう少し時は流れたようだ。
私はちょっぴり大人になっている。
もう高校の制服は着ていない。
Tくんがなにかの用事で、家に呼んでくれている。
緊張していて、どのようにして彼の住むアパートまでたどり着いたのかまったく覚えていない。
そこが、いま私が住んでいる東京や、生まれ育った横浜とはまったくちがう空気の流れている街であり、山梨県か長野県か、どこともつかないけれど山の空気を感じる場所だった。
雨の降ったあとらしく、街は湿っていて、沼の底のような緑色を帯びて薄暗い。
薄暗いのは、もう夕方だからなのかもしれない。
駅からすぐ、どこへ向かうにも急な坂が伸びている。
今はすたれてしまった観光地なのか、歴史ある神社仏閣でも山あいに抱いているのか、ふつうの住宅地とは明らかに雰囲気のちがう街である。

遠景にはトンネルと針葉樹、ぽつぽつと続く紅い幟。
近景には古いそば屋、花屋、なかが暗くてなにを売っているのかよく見えないお店。
冷涼というほどさわやかではない、湿って重たい空気が私と街を包む。

小さい坂を幾重にも曲がりながらのぼると坂の途中に彼のアパートがあり、私はすでにそこに足を踏み入れようとしていた。

部屋のなかはさらに暗くて、空気は重い。
部屋に入れてくれたのに、なぜか彼は、いないような気がする。
玄関をあがるとすぐにテレビのある部屋。
テレビの上に、スプレータイプのデルフィニウムを飾ってある小さな花瓶と、人の形の飾り物が置いてあって、とてもしゃれているなと感じる。
でもテレビの上に水を置くのはどうだろうともちらっと考える。

奥の一室はなにがあるというわけでもない、オブジェがちょっと置いてある部屋。
テレビのある部屋の右手は書斎で、伝統ある図書館のような、ひどく大きな本、本というより“書物”がたくさん書架に並んでいた。
そして書架の空きスペースにも、やはりしゃれたオブジェが飾ってあった。
ドン・キホーテや、いろんな物語のモチーフの人物像を、針金や粘土で作っている。
どの部屋の壁も濃い茶色の木の板張りで、ただでさえ暗い室内が、ことさらにせまく、暗く感じられる。
それでもひとり暮らしにしてはずいぶん贅沢に暮らしているものだと思う。

「これ、なかなかしゃれてるわよね。」
「すごい本よね。」
「あたしはこれが好きかなって思ってたの。」
いちいち話しかけてくる彼女の声の調子がうっとうしい。
私に気を遣っていながら私に勝利を宣言している。

Tくんはいるのかいないのかわからないのに、彼女ははっきりと室内にいる。
私が訪問するのといっしょにこの部屋に来たのか、私が入ったらすでに室内にいたのか、どちらだかわからないけれど、私が歩き回るのといっしょに彼女はついてきていた。
この人も昔の友だちで、円陣会議のメンバーでもあった。
どうやら、私は初めてなのに、彼女はこの部屋に何度も来ているらしい。
私に向けてくる視線と声色が、
「眞紀ちゃんには悪いけど……あたしとTくんはこの部屋でもう何度も……、ねっ、わかるでしょ……?」
と告げてくる。

私に居場所はないんだ、と思い知り、なにかの用事で来たはずなのにそれも忘れて、「帰るわ。」と、彼女と、いるのかいないのか最後までわからなかったTくんに言い、玄関を閉めた。

自分がバスで来たのか、電車で来たのか、どうしても思い出せない。
でも外へ出ると本当に駅のすぐ近くだったので、きっと電車で来たんだろう……帰ろう……ここの地名も駅名もわからないから、とにかく切符を買って、知っている駅名の方面まで戻ろう。
街のあちこちで駅名を確認しようと試みても、駅名の書いてある表示板や標識などにはかならずその前に障害物があって、どうやっても読めないのである。

駅の券売機へ通じる暗いトンネルのような通路を暗い気分で歩いていると、通路内に出店を出している花屋のおじさんが、私を呼び止める。
グレーの野球帽、グレーと薄茶色を基調とした目立たない服装に長靴の、小柄なおじさんだった。
「ちょっと、あんたにプレゼントを頼まれてるよ。待ってな。」
なんのことやらわからずぼんやり立って待っていると、並んだ青いバケツに突っ込んである花ではなく、わざわざ段ボールの箱を開けて、なにやら大きな白い花を取り出した。
なかでも一番大きな美しい花をつけている1本を選び出す。
長い茎を惜しげもなく切り落とし、花の部分だけにして、私の手に載せた。
両手で持たないといけないくらいに大きな花で、見たことのない形だ。
「薔薇だよ。」
とおじさんは言うが、どう見ても薔薇ではなく、目に近づけてみるとほんものの花ではなくて生クリームで作った飾り物のように見えた。
「え?これ薔薇じゃないでしょう?」
と、奇妙な展開も忘れて思わず聞き返すと、
「いや、薔薇だよこれ。」
おじさんは言い張る。
そのとたん、手の中の生クリームの花はみるみるうちにほんものの薔薇に変わっていた。
「うわあーきれい!」
我を忘れて叫んだ。
「この花、あそこのTさんから。あんたが家を出たときに電話で注文があったんだよ。」

うれしい……と、いうのか?
手慣れている……よね?
花屋のおじさんは、注文をたびたび受けているような口ぶりだった。
ということはつまり、女が彼の家から出ると、駅前でお花のプレゼントを受け取る、と、そういう運びなのですね?

言いしれぬ気持ちに打ちひしがれて、ホームに行って電車を待つ。
田舎っぽい駅に似合わぬ大きな電光掲示板で、「あと5分で到着します」「あと4分で到着します」と、1分ごとに知らされる。
あと5分、あと4分、あと3分、ああ、私はこのまま帰るんだ。
Tくんがあのアパートから飛び出して、このホームまで来てくれたらな。
あと2分。
花はスマートなプレゼントだったけど、そんなことをしてほしいんじゃ、なかったのに。
あと1分。
あれ、私って本当に電車で来たんだっけ?
バスだったような気もする。
駅前はバスのロータリーになっていたし。
バスだったかな。
どうしよう。
裏が白い、ぺらぺらの紙の切符が手のなかで湿っていく。


そこで目が覚めた。
私って夢のなかではすごい勢いで恋に翻弄されているのね。
おばさんの妄想ってえらいことだわ!と自分で感心しちゃう。

by apakaba | 2008-11-10 12:27 | 生活の話題 | Comments(6)
Commented by ぴよ at 2008-11-10 23:44 x
恋愛妄想か?この夢・・・
夢診断とか出来ないからよく判らないんだけど、全部読んでみても恋愛色をまるで感じなかったよ。
何かもっと別なもの・・・なんだろう?
物事が思う通りに進まない焦燥感とか、思惑が外れた虚脱感とか、そんなようなモノを感じましたが。

あー。誰かこの夢を診断してー!(苦笑)
Commented by apakaba at 2008-11-11 07:51
ぴよさん、こんなもん誰も読んでくれないと思ったわ。
どうもありがとう〜〜〜。

昔好きだった人とかつきあってた人が夢に出ることはあるけど、まさか小学生時代までさかのぼるとは……私もいよいよネタ切れだなあと思っていました。
でも恋の話じゃ、ないのね。
そういわれるとそう思えてしまうところが夢の自由なところだなあ。
でも夢は自由に見えて、とても型にはまったパターンがあるんでしょうね。
だからこそ夢診断ができるわけで。
Commented by kaneniwa at 2008-11-11 11:50
夢の続きがご覧になれ、その細部を記憶できるというのは、
素晴らしい才能です。
私も、10年ほど前、自己分析のために毎日、夢日記を
つけていた時代にはできたのですが、今はダメですね。

人様の夢について、分析的なことを書くのは失礼と
思いつつ、「10名程度の円陣会議」 というものが、
眞紀さんのなかの 「社会というものを象徴する原風景」 と
なっておられるような印象をもちました。

その原風景が、現実社会(夢の中では象徴的に
道路を往く園児の乗ったバスとそれを管理する先生)
のなかでどのように写っているのか、関わっているのかが
潜在的課題(もしくは気がかり)となっていて、
それが思想のノイズとして夢のなかに
噴出しているように思えました。

私は草野球をやっているので、
「10名程度の円陣会議」 は現実そのものなのですが。

BYマーヒー
Commented by さると at 2008-11-11 13:04 x
20世紀少年の「ケンヂくん遊びましょう~」が聞こえてきそうです。謎

恋に翻弄されているというよりは事象に翻弄されているような?
過去の出来事に対して今の私なら対処できるのでは?という願望?
結局翻弄されているようですが・・笑
Commented by apakaba at 2008-11-11 15:52
マーヒーさん、クソタレ文章を最後まで読んでくれてありがとう。
人から夢をバサバサと分析されるのは好きです。
自分では、映像のなかでひとときを過ごしてきた体感が残っていて、軽くパニックになっているんだけど、人が「そりゃーこうだからだろ」とばっさり言うと「そうか。ナルホド。」と、文字どおり夢から覚めたような気分になります。

しかしマーヒーさんの分析はふつうの人とはぜんぜん視点がちがっていて……さすがというのか、飛躍しているような、ズバリ的を射ているような……興味が尽きないですね。
私は本当に、本文のような長くてストーリー性の高い夢をよく見て、よく覚えているので、恰好の夢診断ドナーになれそうな気がします。
頭の中を皆さんにのぞかれるのは照れくさいですが。


>私は草野球をやっているので、
「10名程度の円陣会議」 は現実そのものなのですが。

アハハ。いつか芝生に腰を下ろしてマーヒーさんの融資を応援してみたいですわ。
おっと、勇姿だよ。
Commented by apakaba at 2008-11-11 17:27
さるとさん、お互いあれやこれやと翻弄されるお年頃なのね。
自分が思っているほどには「恋」に翻弄されているわけでは、ないのね……ナルホドー。


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