2008年 12月 27日

年の瀬、自転車

家族5人全員で、そろって自転車に乗ることは、年にいっぺんあるかないかだ。
先日の、友人宅での食事のあと、5台の自転車をつらねて帰った。

並びはたいてい、自然に決まっている。
先頭に「アキタコマチ」が行く。
「『アキタコマチ』について行きなさい。」
と言って、「コシヒカリ」を次に行かせる。
5人いたらどうしても遅れがちになるのは娘なので(とくに、夜遅くに帰るときはくたくたなので)私と夫が娘のあとさきをなんとなく守るようにしてつながる。
夫は、「アキタコマチ」のすぐあとに行ったり、たまに先頭に出ることもある。
私は、一応、念のために「コシヒカリ」の前に出ることはない。
最後には「ササニシキ」がつながる。
「あんたが最後を守りなさいよ」なんていうことは、なにも言いつけていないが、なぜかいつも最後尾を走る。
きっと親兄弟と団子になって走るのがイヤなのだろう。
それと、「ササニシキ」は昔はよく勝手に走っていってしまい、そのたびに
「そんなに速く走ったらダメなの!『コシヒカリ』や『アキタコマチ』の前に出たらだめ、誰も追いつけないでしょう。」
と怒られつづけていたのでさすがに懲りているのだろう。

「コシヒカリ」に合わせて、みんなゆっくり走る。
それぞれはもっとうんと速く走れるし、「コシヒカリ」だって昔ならともかく、今ではもっと速いのだろうけど、私でさえ“もう幼児じゃないんだから、こんなにゆっくりでなくても、大丈夫なんじゃない?”と思うほど、みんなゆっくり走る。
家族の“癖”なのだ。

先頭の「アキタコマチ」は、頻繁に後ろを振り向いて、みんながついてきているか確認する。
毎朝の登校ではどうやらおそろしいスピードで駅まですっ飛ばしているらしい(目撃者情報多数)「ササニシキ」も、文句ひとつ言わず、のろのろのサイクリングの最後を行く。

なにを話すわけでもなく——実際に、長ーい縦列で走っているのでおしゃべりは不可能だが——のろのろつながって走る。

家のすぐ近くまで戻ってきて、下り坂のカーブになると、初めて「ササニシキ」は後ろからひゅーっと風を切って先頭に付け、「アキタコマチ」となにやらしゃべりながら併走し、夫は「コシヒカリ」を私に任せて息子たちをさらに追い抜かし、鍵を開けて暖房を入れるため、ひとりで家に一番に戻ってしまう。

だいたいこんな調子。

この、5人のだらだらしたサイクリングを、私はかけがえのない時間に感じている。
みんなの自転車を漕ぐ背中を見ながら涙が出そうになることさえある。
頻繁に後ろを振り向く「アキタコマチ」や、決して4人を追い抜かさない「ササニシキ」を、会話はしないが、頼もしく、かけがえのないものに感じる。
年々成長していく子供たちに囲まれて、こうして5人でつながって走ることが、もうあと何回もないということをわかっているから、さらにゆっくり走ってもいいかなとも思う。

by apakaba | 2008-12-27 18:35 | 生活の話題 | Comments(6)
Commented by ogawa at 2008-12-27 21:00 x
う~ん。
もしかして、眞紀さんの今年のブログで一番感動したかもしれない。

3人のお子さんを知っているせいか情景が目に浮かびます。

最後の2行が秀逸・・・拍手。
Commented by のこのこ at 2008-12-28 00:55 x
この前の床下手紙の話といい、なんと感動的な。
今は両手に二人抱きしめて可愛すぎて泣きそうになっている私もそのうちこういう感動を味わえるのかしら。楽しみだわ。

それにしても5台もの自転車はどこにおいてあるのだろう?
自転車5台・・・ってのもすごいよな~あはは。
今日、たまたまお散歩帰りに小饅頭10個を明日香がひとつ、ゆうだいが4つ、私が5つ食べた時に、三谷家だったらこれ、一人アタマ2つづつしかないわ。1パックじゃとても足りないよなー、とか思っていたところ。そう考えると家族5人ってのはかなりのボリュームだなぁ。
でも憧れるわ。毎日「また妊娠してたらいいのになー」、とか思ってるの。(←お気楽)
Commented by apakaba at 2008-12-28 11:10
ogawaさん、ありがとうございます。
子供が大きくなるのはうれしいけど、せつなさのあることですよね。
5人でクルマに乗ることも今はめったにないけど、1台のクルマに乗るのと5台の自転車でつながって走るのは、ぜんぜん感慨が違います。
「もうすぐ、二度となくなる」とわかっていることは、せつないことです。
Commented by apakaba at 2008-12-28 11:10
のこのこさん、なんかここのところ、母親のベタベタバナシと思われるかなあと危惧しているんだけど、やっぱり子供との関係ってどんどん形が変わっていくから、書いておきたいのよ!
毎日、つらいニュースとか見るじゃない。
そのたびに、家族を大事に思っていくという当たり前の感覚の大切さを思い直すのです。
それが人間の基本だもん!
細かいバカ母話でもいいやーっと。

自転車は、庭(というか単なる自転車置き場)に3台、外に1台、一応、隣の母にあげたという名目で隣の家に1台止めています。

子供は人数に関係なくかわいいし大変だと思うけど、経済的・時間的には絶対に子だくさんなほど大変。
でも幸せな気持ちを運んでくれる回数は、絶対に子だくさんなほど多いんだ。
とくに、育ってきて、せつなさの混じる幸せさというのは子だくさんの親ならではの感覚だよ!というわけで初詣にはご懐妊祈願〜。
Commented by のこのこ at 2008-12-28 12:25 x
いいのよあなたは文章力があるから。ベタベタの子供バナシも読ませる力があるから大歓迎。これがラクダバナシみたいただの家族のアルバムみたいなのじゃ辟易だけど(笑)

私もねえ、こんなふとした事をこんなに素敵に書ければいいのにな。以前はいつも文章力が欲しいと願っていたけど今はすっかり忘れて願うのはいつも家族の健康ばかりだよ(笑)
そんなわけで初詣は三人目了解!
Commented by apakaba at 2008-12-28 22:27
年とると涙もろくなるよねえ。
しかも、人の親になるとほんとに細かいことにいちいち涙出ちゃうよね。
これが幼稚園にでも上がってご覧。
制服着ただけで感動、ちゃんと席に座ってるだけで感動、「はい」って返事できただけで感動、お遊戯できたら感動、卒園なんかボロ泣きだよ。
これから、一からそれを体験できるのこのこさんがうらやましいですよ。
しかもそれを発表できるネットという場があるんだから……文章力よりなにより、やっぱ感動の力の大きさですよ。
私もちびっ子子育て真っ最中にネットデビューできていたらなあ〜〜。
今やすっかりご隠居気分だもんね。


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