あぱかば・ブログ篇

apakaba.exblog.jp
ブログトップ
2009年 03月 25日

犠牲フライを知らなくても

きのうのWBC決勝戦の中継は、春休みに入った夫と「ササニシキ」がいっしょにいたのでギャーギャー言いながら見ていた。
優勝おめでとうございます。

しかし。
今の子って、昭和の我々とはちがって、なにしろ野球のルールを全然知らないのですよ。
今の子すべてがそうということはないけれど、ご家庭がプロ野球のどこかの球団のファンとか、野球部や少年野球などで子供自身が関わっているのでもなければ、一昔前の日本人には想像できないくらいに、子供が野球から離れている。

「ササニシキ」は、テレビを見ていても
「ピンチランナーってなに?一試合に何人まで出せるの?」
「スクイズってなに?」
「外角ってなに?」
と質問してくる。
昭和の子供なら小学生になるころには、みんなわかってるでしょ?

きのうの10回表でイチローの前のバッターが初球を打っちゃったでしょう。
あのとき、私らが
「ああ犠牲フライでも1点入ったのに」
と残念がっていたら、息子は
「犠牲フライってなに?」
とまで……!!!
質問のレベルが……!
でも見てないなら知るわけないもんな。

あれはなんともいえず不思議な気分ですよ。
一昔前までの、家族の団らんにはプロ野球のテレビ中継観戦という時代は遠くなったんだなあとつくづく思った。
でも、今回のWBCでのニッポン人の盛り上がりようを見ていると、ああ、やっぱり日本人は野球が嫌いになったわけじゃないんだ、今のプロ野球から心が離れているだけで、野球そのものは見るし応援もするんだなとも思ったな。自分も含めて。




私は完全に昭和アタマの母親なので、男の子が生まれたとき、「男の子は、歩き出したらバットとボール」と思いこんでいて、「ササニシキ」がまだ舌足らずなおしゃべりをしているくらいのころに、頼まれもしないのにプラスチックのバットとボールのおもちゃを買ってやったし、小学生になったらやはり頼まれもしないのに
「あんたもグローブとバットを買うでしょ!?」
と迫った。
「ササニシキ」はわけもわからずうなずき、私はスポーツ用品店に彼を引っ張っていって子供用のグローブと、“松井モデル”の金属バットを買ってやったのだった。
夫は当然ながら野球どっぷり世代だから、新しいグローブを早く柔らかくする方法や、「ボールはココで受ける」など教えてやったりしていた。
その様子を見て、私は「ニッポンの正しい父親と男の子の姿だわ!よしよし。」と満足していた。

しかし「ササニシキ」はそれきりほとんどグローブに触らなかった。
高い買い物をした私は怒って、
「どうして野球やらないのよ?壁当てくらいしなさいよ。」
と強要した。
「だって、野球をして遊ぶ相手がいないから……場所もないし……」
「うちの前の塀に当てていいわよ!練習しないと!」

子供からしたら実に迷惑な話だ。
頼みもしないのに道具を買い与え、興味が出てこないのに練習しろと押しつける。
私はどうしても、“ニッポンの男の子は野球をするものだ”という固定観念を捨てられなかったのだ。
その点、夫は私よりずっと柔軟だったのが意外だった。
私はてっきり、学生時代に野球サークルに入っていたくらいの人だから、息子を持ったら自分の愛用していたグローブを出して、休みのたびにキャッチボールをするだろうと思っていたのに、「ササニシキ」が
「キャッチボールつまんない。怖いし、すぐどっかに飛んでってボールをさがすのが大変。壁当てはもっとつまんない。ひとりで外にいても飽きちゃう。友だちも誰もやってないし、やってる子はチームに入っているし。」
というと、淡々と
「じゃあサッカーでもやったら?サッカーならせまい場所でもできるし、人数そろわなくてもできるだろ。」
と切り替えた。
私は、
「えーっ、男の子は野球でしょう〜〜〜〜!あなた残念じゃないの?せっかく新品のグローブもバットも買ったのに!“松井モデル”よ?!もったいないわね!」
としつこく言っていたが、
「だって本人が興味ないって言ってるんだからしょうがないだろ。今は広い場所をとって野球できる環境がなかなかないんだよ。Jリーグも発足したし(「ササニシキ」の生まれた年に発足して盛り上がっていた)、これからはサッカーサッカー。」
と、こだわりはないようだった。

結局「ササニシキ」はすぐに少年サッカーチームに入って、中学でも高校でも部活でサッカーを続けている。

二番目がまた男の子だったので、次男の「アキタコマチ」が幼稚園に上がると、私は性懲りもなく
「お兄ちゃんに買ったグローブがあるのよ。新しいまんまで、きれいだよ。あんたが使いなさい。」
と命令した。
ところが「アキタコマチ」はあっさり、
「あー、オレ、左利きだから。お兄ちゃんのグローブは使えないの。左利き用の新しいのを買ってくれてもいいけど、オレ、サッカーやってるし(すでに幼稚園のチームに入っていた)。」
……また新しいのを買って、またもやらなかったら。
スポーツって人から押しつけられてすることでは、ないのよね。

「アキタコマチ」も、兄と同様に現在もサッカー部にいる。
野球は、「ササニシキ」以上に興味がないらしい。

母と姉しか家族のいなかった私は、自分の育った家にはなかったものを欲しがっていたのだと思う。
「男の子」と「父親」。その組み合わせ。
それにはなんとしても、「野球」が必要だった。
休みの日はキャッチボール。
日に日に球威が上がってくる息子を褒めながら、やがて息子にかなわなくなるお父さん。
テレビで野球中継を見て、「ここで一発!」「行くか?」「抜けた!」と短く叫んだり、たまには球場まで見に行ったり。

息子たちが小学生だったころには、親子で家の前や公園に行き、サッカーボールで遊びもしたし、今でもサッカーの国際試合のときには家族そろってテレビにかじりついている。
でも、自分も実をいうと野球観戦よりサッカー観戦のほうがずっと好きなくせに、“どこか違う”と心の奥で思っている。
こうじゃなかった。
お父さんと息子は、サッカーじゃなくて野球で結びついていくはずだったのに。
と、思っている。
私には煮ても焼いても、昭和が染みついているのね。

だから、きのう、夫婦プラス長男でWBC決勝を手に汗握って見ていたのは、あのドラマに満ちた試合内容とは別に、なんとも感慨深かった。
“ああ、これだ、これだよ男の子のいる家庭は。”
と、思っていたのですよ。
高校生にもなって犠牲フライを知らなくても、いいや。
昭和生まれには、やっぱりテレビで野球!
サッカーと違って、適当に席を外したりよそ見したりもできるしね!

by apakaba | 2009-03-25 10:22 | 子供 | Comments(16)
Commented by キョヤジ at 2009-03-25 11:49 x
木造平屋

砂利まじりの路地

キャッチボールの親子

背中にでっかい夕陽

ああ、昭和・・・
Commented by のこのこ at 2009-03-25 12:38 x
ああ、涙出そう。

うちもゆうだいが生まれる前からキャッチボールキャッチボールと騒いでました。明日香が女の子とわかった時にもキャッチボールできないじゃん、と。(笑)
ちなみに私と付き合い始めた時、最初に野球帽(というかキャップね)をプレゼントされ、次には左用のグローブを買ってきました。頼みもしないのに。
昭和のオヤジというのはそういうもんです。(笑)
Commented by apakaba at 2009-03-25 13:17
野球レス。

キョヤジさん、えええっ、私の生家をどうしてご存じで?!
まさに木造平屋の三軒長屋。
おぼっちゃまな夫とは大違いの幼年時代!
とにかく、あのころの子供たちは、話題がね。
ナイターの内容が、そのまま翌日の学校の話題になってたから、女子も誰が退場してどこが乱闘したとかって詳しかったのね。
もう少し大きくなると、プロ野球選手たちの夜の暴れん坊ぶりとかにも詳しくなってきて、そのへんもしゃべってたり。
野球が、社会の中での話題も多く提供していたんですよね。

のこのこさん、うわーおたくの旦那さんも昭和よのう。
プレゼントも暴走しててナイス!
これ書いていて、自分の昭和な妄想の暴走ぶりが情けないというか苦笑というか。
まだ生まれたばかりなのに、チビな息子がだぶだぶのユニフォームを着て、バットを振り回す姿とかを想像してうっとりしていたのよ!
私はサッカーは大好きだけど、というかスポーツとしては野球よりずっと好きなんだけど、やっぱり昭和の妄想にはサッカーじゃダメなのよう〜!
このこだわりは、娘しかいない家や、若いママにはわかんない感覚だろうなあ!
Commented by タカモト at 2009-03-25 20:45 x
ちなみに「昭和アタマ」の高倉健氏は打って3塁に走っていった逸話があります。
「玉ねぎアタマ」のばーさんはバッターもポジションだと思ってたらしい。


まー今の子はやっぱサッカーやバスケだろ。
あの甲子園のイガグリ頭見て「よし!野球をやろう!」って思うか?
そー思うのは松井ぐらいだろ。
スピード感がねーしね。
1球投げては休んで・・・って感じでさぁ。
物足りないんぢゃねーか。
環境が無いってのもそーだが。
あと野球って何時間掛かるかわからないぢゃん。
サッカーなら90分だし。

まー俺はどっちも普通ですね。(笑)
エセファンですわ。

餓鬼の頃は少年野球をやってたよ。(4年間)
守備がイマイチだったんでファーストだったなぁ。
そこそこだったぞ。
中学でも当然やるものだと回りも両親も思ってたが。
帰宅部ですた。
Commented by kaneniwa at 2009-03-25 21:29
大人の草野球の試合。

最終回(7イニング制の7回裏)の1アウト3塁。
4-4の同点で一打サヨナラのチャンスに、
なんちゃってヤンキースの打者はマーヒー。

マーヒー、レフトオーバーの大きな当たり。
よりによって3塁ランナーはバスケットの選手でもあり、
身体能力は高いものの野球のルールの学習能力には
難点のある選手。

打った瞬間にスタートしており、3塁コーチは大声を張り上げて
「3塁に戻れ!」 のかけ声。
その声に慌てて戻る3塁ランナー。

相手チームのレフトがバックしながらマーヒーの打球を好捕。
3塁コーチは 戻ったばかりの3塁ランナーに
「タッチアップだぁ、今度は行けぇ!」
と大声を出すものの、3塁ランナーは
「えっ?タッチがアップ?」 とコーチに聞き直す。
その間に送球がショートに帰ってきました。
次打者は凡退して、なかなか勝てない
難敵にサヨナラ勝ちするはずだったのに引き分け。

憎めない3塁ランナーなんだけれども、
昭和ではなくて平成世代のおかげで
サヨナラ打というお祭り騒ぎをフイにしたことが
あるマーヒーでした。

BYマーヒー
Commented by apakaba at 2009-03-25 22:13
野球レスまた。
タカモトさん、いつの世もナントカ音痴っているもので、突拍子もないマチガイをしている人も、いるんでしょうな。
私も、正直いって、今のコドモたちが、日本のプロ野球選手に憧れること自体がなかなかに難しくなってると思います。
サッカー選手のほうが派手で自由っぽくてカッコイイし。
真剣なスポーツの世界に優劣はないんだろうけど、やっぱりイメージって大事だもんね。
F1とテニスはハンサム率高しとか、そういうの。
しかし子供が野球やると、お金がかかるからやらなくてホッとしている自分もいる。
身につけるものや道具代がサッカーよりずっと多いんだもん。

マーヒーさん、ああ、いい思い出……(か?)。
うちの息子もタッチアップという言葉を絶対に知らないだろう。
野球は進行がのんびりしている分、逸話も生まれやすいですよね。
夫は、ガクセイ時代によく長島(一茂じゃ、ないよ)の送球の真似をしていましたねえ。
「この、投げたあとの手がポイント。指先がなぜかピンと揃って伸びている。フツーに投げたら、そんなんなるわけないのに。そこが長島だぁ!」とか言って。
昭和の男ですよ。
Commented by ぴよ at 2009-03-25 23:36 x
今の子って本当に野球しないね。
でも私の友達の息子は少年野球やってるよ。勧めたのは当然だけど昭和生まれの両親(友達)ね。
友達が息子に野球を勧めた時に言った言葉が凄くて

「サッカーはね、貧乏な国の子の方が絶対強いのよ。なぜかと言うとサッカーはボール1つあれば出来るスポーツだから。野球はバットやグローブや色々揃えなきゃいけないから金が掛かるでしょ。だから貧乏な子は野球は出来ないのよ。
そんな貧乏な国の子達はね、何とか貧乏から這い出そうと思ったらサッカーに強くなってイタリアやスペインのチームからスカウトが来る位にならなきゃいけないって、そりゃー必死なの。朝から晩までサッカーしかやらないような生活しなくちゃ、ロナウジーニョやロベルトみたいになれないのよ!
日本人サッカー選手で年収が億まで行くような選手って本当に少ないわよ。でも野球選手なら日本のチームにいたって億の年収稼ぐ人が沢山いるんだから。サッカーより野球やった方が断然稼げるのよー♪」

・・・このセリフでサッカー止めて野球に切り替えた息子も凄いと思うんだけどさ(苦笑)
Commented by apakaba at 2009-03-26 08:05
ぴよさん、あらそれはうちも言ってるよもちろん。
うちの場合、「だからサッカーはうちに向いてる(貧乏だからボール1個でもできる)」という結論に達するところ(そして子供たちもすんなり納得するところ)が正反対ですが!
Commented by kaneniwa at 2009-03-26 11:57
コメントを書き込みながら自分で気がついた。

草野球とはいえ、一打サヨナラの場面で
相手ピッチャーは俺を敬遠せずに勝負してきた。

これに初めて気がつきましたよ。

ああ、なおさら幻のサヨナラ犠牲フライが惜しい。

BYマーヒー
Commented by apakaba at 2009-03-26 12:52
男だねえ……
Commented by タカモト at 2009-03-26 22:11 x
俺は。
ソフトボールのチームに入っていた。(30歳手前で)
大差で勝っていたんですが2塁に盗塁。
すべり方が悪かったのか・・・ボキッっと左手首が。
悲しいかな、セーフでさぁ。
次の打者が打って。
みんなは「ホームに突っ込め!」って。
3塁で激痛のため止まったら・・・「なにやってるんだ!」と。
泣きながらホームに突っ込んだよ。
あーーー、良き思い出だよ。

BYモートー
Commented by apakaba at 2009-03-27 10:06
男だのう!
なんか、おもひではみんな泣き笑い……!
Commented by sora at 2009-03-28 19:03 x
親類宅で思いっきり観戦したよ。関西人の野球に対する情熱は関東人のそれとは比較にならないということを理解しました。
久しぶりに真剣に野球を見たなぁ。
野球って面白いんだね。サッカーでここまで感動しないかな。

最近の子供は野球帽をかぶらないよね。僕らの世代は必ずって言っていいほど野球帽をかぶっていたと思う。

小学校~中学校の昼休みはいつも竹バットで野球やってたなぁ。
竹やぶに行って、竹を切って、「Myバット」を作ったものだ。
スィートスポットあたりに節がくるようにね。
庭球のボール使って。
ホント、寸暇を惜しんでやってた。

明日、真剣にオープン戦を見に行こうか?って思ったり。
たまにはいいかも。
Commented by apakaba at 2009-03-30 15:06
soraさん、お帰りなさい。
野球は間(ま)の長さがねえ。
長所と短所の両面があるんでしょう。
あの間によって、サッカーでは生まれないドラマが生まれるし。
観戦しているほうが、自分ので劇画を組み立てられるでしょ。
カット割りして、好きなセリフを吹き出しに入れて……と、誰でも脳内劇画家になれるのが、ニッポンの野球のよさ!
一方で試合時間が長すぎて、つきあいきれないというのも事実。
私も4時間とか観る気しないもん。

野球観戦は、ナマいいですね。
うおーっと腹の底に響く歓声。
適度にだらだらできるし、デートにも向きます。
Commented by さると at 2009-03-30 19:10 x
野球離れというより―

三丁目の夕日ではありませんが・・昭和の時代はそれこそ
一家団欒の中心にあったテレビの影響が強いんだと思う。
プロレスや野球なんてテレビがなかったらこれほど盛り上がっていなかったかもーと。

娯楽がマジョリティ的で皆が同じことに喜んでいた時代から
マイノリティに興味が多様化するとそれはそれで共通点探すのが大変ですよね

犠牲(←この漢字書けない…)フライ知らなくても友達との会話困らないのね。
今の子達ってどんな会話してるんやろ?と思ったりします。
先日、マックで見た光景は一つのテーブルで皆がゲームしたりマンガ読んでた。爆
Commented by apakaba at 2009-03-30 20:43
さるとさん、まあ、社会が成熟化していくにつれて大衆娯楽は多様化する、というのが道筋だからね。

犠牲という字は「いけにえには牛ちゃん」と覚えておくと大丈夫。
今、目の前に長男(4月で高3)がいたので「友だちと食事のときとかになにしゃべってるのか」と聞いたら、勉強のことやサッカーのことだって。
ゲームや漫画を各々ということはしたことないってさ。
「それじゃいっしょにいる意味がないじゃん」と至極まっとうな意見。
今の若い子がみんな個別に遊んでいるというわけでもなさそうですよ。


<< 春休みの主婦      あなたの命と私の命は同じだ >>