2009年 04月 29日

ヌード撮影バナシ

私: 篠山紀信がさー、ちょっと前まで、どっかのビルでヌード展みたいなのやってたの、知ってる?(註:恵比寿のNADiff a/p/a/r/tにおいて開催されていた企画展。)

夫: 知らない。

私: なんかヌード写真集(NUDE by KISHIN)を出したらしくて、その出版記念みたい。
夫: へえー。興味ないな。

私: 私さー思うんだけど、ヌードって、モデルの限界を感じちゃうのよ。ヌードって、自分のハダカを不特定多数の人間の目にさらされてもいいという女がヌードになるわけでしょ。それは通常の神経の持ち主とはかけ離れてるよねえ。
やっぱり、体を世の中に出してかまわないという神経の女ってふつうじゃないよ。そうすると、写真にもそういうものが映ってきちゃうし。ポルノ女優っぽいというか、あ、ふつうの女の人じゃないやというのがすぐ見えちゃうし。
そうすると白けるのよねえ。

夫: うーん、それはしかたないことなんじゃないの。
だって、撮られていることを意識してないとかだったら、盗撮とかの世界だろ。
そしてそれが美しいかといったら、見ていてちっとも美しくないし。

私: そりゃそうだよ、盗撮とかハメ撮りとかじゃなくて、もっと、たとえばそこらへんの、きれいな素人で、絶対にヌードモデルになんかならないような女性をプライベートで撮ったりしていたら、それはずっと素敵で、撮った人間との関係性を感じさせる写真になると思うのよ。
でもそういう写真は決して世に出てこない。
それで、シノヤマとか荒木とかがすごいすごいともてはやされるのは、なんとなく納得いかない気がするんだよねえ。
だって荒木なんかは、モデルが素人だとしても、荒木に撮られるという時点ですでに欲情しちゃってるじゃないの。あれがいただけないのよねえ。

夫: うーん、シノヤマは、ふつうに写真を撮らせると本当にうまいんだよ。でも、途中からなんだか知らないけどハダカに芸術性を求めようとし始めて、いきなりつまらなくなった。
モデル云々というより、シノヤマの問題だろうと思うよ。

私: ヴィジョンズ・オブ・アメリカの第三部にシノヤマのヌード作品も出ていたけど、あれはダメだったなあ。
すごく、凡庸でがっかりした。

夫: あれなあ。作り込みすぎなんだよ。考えすぎなの。
そもそも、ヌードって本来が性的なものであって、撮る側は性的なものを感じているのに、シノヤマがいかにも性的なものを感じていないかのように作るところがつまらなさの原因なんだよ。
変に芸術らしさに走って、性的なものを排除しようとしたところが間違っていて、ふつうに撮ればすごくうまい写真家だったんだよ。

私: ふーん。たとえばさあ、メイプルソープのヌード写真見てマスターベーションするヤツっていないじゃない。

夫: 当たり前だよ、だって彼は性的なものを感じていないんだから。

私: あれはあれですごいよね。ああいう突き詰め方って彼にしかできないよね。
ただもう、肉体の美しさに圧倒されて、性欲なんか消し飛ぶじゃない?
でも、通常の男は、彼みたいなガラス玉みたいな目玉でヌードを凝視して、形の美しさを追求することってないもんね。
そうなると、ジョンベルの撮った女がやっぱり説得力あるよなあ。

夫: ジャン・フランソワ・ジョンベルな。あれは、だって寝てから撮ってるんだから。プライベートが出るだろう。

私: だからヌードって本来そういう魅力を持ったものだと思うのよ。作り込みを半端にしても、なんか、汚いよ。マスターベーションにも使えない、突き抜けた美も半端なモデルしか使ってないから感じられない、じゃあ、さっぱり撮る意味がわかんないよ。

夫: ま、日本の写真家はつまんないってことだな。
日本の写真家ですごいのは、星野道夫と、杉本博司だ!

私: バカねそれ両方とも限りなくニッポン人じゃないじゃん。

夫: そういうこと。ステージを海外に移しちゃった人な。


※以前、レノンの命日に、メイプルソープの美神を思い出すというのをここに書いたことがあったので、こちらもよければどうぞ。

by apakaba | 2009-04-29 23:19 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(6)
Commented by キョヤジ at 2009-04-30 00:16 x
シノヤマは透けて見えちゃうんだよなぁ。
巨匠と呼ばれたい欲がさぁ。
純粋な写真力はあるんだけどなぁ。

>日本の写真家ですごいのは

中村征夫と栗林慧だろ。
一芸入魂、頭が下がります。
あ、あと岩合な。
Commented by apakaba at 2009-04-30 09:01
キョショーという言葉はかくも魅惑的……なのか……
写真だけに限らないと思うけど、ひとりの人が、本来持っていたよいものをずっと保ち続け、磨き続けることって本当に大変だと思います。
よいものは周囲の環境によってすぐ摩滅するし、変形するし、そうやってつぶれていく写真家はたくさんいるように思う。
シノヤマについてはほとんど知識ないけど、なんとなく彼ってそういう感じがしてしまうなあ。

ああ、懐かしいお名前の羅列。
摩滅させないことへの強い意志ですね。
Commented by ogawa at 2009-04-30 21:12 x
メイプルソープの話で盛り上がったのは4年前ですね。
いや、懐かしい。

篠山紀信は「シルクロード」が好きなんです。
これが私の旅写真の原点ですもの。

ヌードねぇ、たくさん撮っていますけど、昔から好きじゃないなぁ。
作りすぎなんだよねぇ。
上手いけど欲情しないし、マネキンのヌード見ているみたいだし。

先日、息子が写真家デビューのニュースを見ました。
お父さんよりお母さんに似ていたかな。
Commented by apakaba at 2009-04-30 21:19
初めのうちはogawaさんしか反応がなくてコケたかなあと思っていました。
当時はコメントもにぎやかだったな。

篠山紀信がダメということではなくて、ヌードがつまらないということですね。
それがなんでヌードのキョショーになってしまうのか。
Commented by ogawa at 2009-04-30 22:26 x
篠山紀信は一流ですよ。
そりゃ、あれだけタレントのヌードを撮れば仕事は入ってきますよね。
だって淫靡ではなく、綺麗に撮ってしまうから。
だからアイドルにはいいのでしょう。
荒木の人妻のヌードのほうがよほどエロイですよね、でも、タレント抱える事務所は遠慮したいでしょう。

でも、篠山紀信はA女優のヌード写真を撮って、当然ポジは事務所に保管。
その時は発表しなくても、何年か経ってA女優がスキャンダルとかメジャーになったときに、未発表の写真を出版社に売り込むというのもあるそうです・・・う~む
Commented by apakaba at 2009-04-30 23:18
第一線の写真家として何十年も活躍しているのだから、キョゾー(虚像)のキョショーということはもちろん、ないでしょう。
それはogawaさんもキョヤジさんも夫も一致と。
私はモデル(裸を世に晒すことをなんとも感じないメンタリティーの持ち主)の限界が見えて嫌なだけなんですけどね。


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