2009年 04月 30日
以前、アイマスク、ラヴラヴ!にも書いたとおり、私はとても寝付きが悪くて、ちょっとしたことですぐ眠れなくなってしまう。 昼寝のできるときにはアイマスクを使うようにしていたが、最近は音が気になるので、耳栓も使うことにしている。 聴覚は、人間の体の感覚の中で最後まで起きていて最初に起きる感覚だという。 だからたとえば手術のとき、患者の麻酔がかかっていると思って、周りの医者や看護師たちがその患者のうわさ話などをするのは厳禁だということだ。 寝ているように見えても、案外、耳だけは寝ていないのだそうだ。 ちょっとした物音もイヤ、ちょっとした明るさもイヤ。 まったく神経質なことよ。 今まで耳栓はたまの昼寝のときだけに使っていた。 もともとは旅行用に買ったもので、飛行機の中と旅先で寝るときに使っていた。 しかし、最近、夜に寝付けないことが多くなってきたので(そんなに昼寝ばっかりしているわけじゃないんですよ!)、夜も耳栓をしてみようかなあと思っていた。 でも翌朝に目覚ましの音にも気付かなかったら困るし、どうしよう。 夫は、私がお弁当を作れる時間に起きてこないと、私を起こさずに、そのまま寝かしておいてそっと出かけて行ってしまう。 「あーっ、お弁当を作れなかった!」 と、取り残されて驚いて飛び起きることになる。 それも悪いし……でも、夜に眠れないでいるのもつらいし。 ゆうべ、初めて耳栓を夜に使ってみた。 これはとてもよい! 長男が夜中にどたどた歩き回るのも、隣の家かどこかでやっているように遠い。 耳栓は、水の中に潜ったときの感じにそっくりだ。 外からの音がよく聞こえなくなり、代わりに自分の体の中の音がダイレクトに鼓膜に響く。 呼吸の音、唾を飲み込む音、軽く咳払いをする音、耳を澄ますと脈の音もする。 はじめはそれらの音が外の音よりもよほど鼓膜に近く響き、かえってうるさくて気になるかもしれないと思うのだが、それは自分の音なので、外からの騒音に較べて、慣れる。 自分の音とならすぐ仲よくつきあえる。 家族がトイレの電気をぱちぱちつけたり消したりする音や、階段を駆け上ったりする音より、自分の呼吸の音のほうが自分にとって心安らかなのは当たり前だ。 そのうちに眠くなるわけだ。 久しぶりに、心安らかに眠ることができた。 そして得意の長い夢を見た。 いつものような、長くて支離滅裂な夢の最後のシーンは、お膳が並んだ部屋だった。 夏目漱石の小説の登場人物のような初老の男性と、その年ごろの娘と、私と夫で、向かい合って和食の会食をしている。 初の顔合わせのようで、はじめは場が和まない。 やがてお燗したお銚子が出てきて、全員でおちょこの代わりに金柑をくりぬいたものでそれを飲む。 「カンミカンですな」 「いやまったくこれこそはカンミカンですなあ」 「はははは」 「ほほほほ」 おもしろくも何ともないのだが、我々は“缶みかん”と“お燗を金柑のおちょこで飲む=燗みかん”を無理矢理に引っかけて笑い交わし、酌み交わしているのであった。 「カンミカン、カンミカン」という響きが頭をぐるぐると駆けめぐったところではっと目が覚めた。 夫がネクタイを締めてもう出かけるところだった。 ああ、やはり寝過ごしてしまった! 目覚ましが聞こえなかったよ! ああちくしょうなにがカンミカンだ。 やっぱり耳栓はダメかな。 どうしたらいいんだろう、酒量が足りないのかな?(そのせいなのか!)
by apakaba
| 2009-04-30 17:57
| 健康・病気
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Comments(4)
想定どおりの結果だね(笑)。
神経質そうには見えないんだけど(笑)。 寝つきはいい僕だけど、やたら早く目が覚めるのは、耳栓では解決しないしなー。 寝てるときに夢も見ないしなぁ。 いずれにしても、睡眠が浅いんじゃないのかな?でも夢が「お笑い系ハッピーネタ」だから大丈夫かな?
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apakaba at 2009-05-02 12:45
soraさん、性格は神経質ではないんだけど、寝ることに関してだけ異常に神経質なの。
うたた寝系(乗り物の中とか、病院の待合室とか)では、瞬時に眠りこけるのに、本当に布団に入って寝付くのが下手でね。 おそらく、睡眠不足が大変ニガテなので、「今寝ないとダメだ、睡眠不足になったら困る」というのがかえってプレッシャーになってますます眠れなくなるのね。 睡眠不足心配性ということね。 soraさんが早起きなのは、自分の時間確保心配性だから?とか思ったり。 夢はほんと、いくらでも見るので、たいてい人に聞かせず忘れることにしています。
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子ヤギ
at 2009-05-04 12:05
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浅い眠りと貯め寝だと・・・?可笑しな、真か不思議な夢を見られるようで、楽しみです。笑
本来、呼吸音や心臓の音は安らぐ、落ち着く音なんですよね。 赤ちゃんは母体で母親のその音に包まれてスヤスヤ眠っているのだし、オッパイの時も母の音が聞こえると、子守唄になっているのかもね。あぱかぱさんも、赤ちゃんみたいでかわいい。笑
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apakaba at 2009-05-05 00:14
子ヤギさん、私は寝るのが人生の大きな楽しみの一つなのです。
寝ている間にもうひとつの人生を生きているんじゃないかというくらいにさまざまな夢を見るし。 >あぱかぱさんも、赤ちゃんみたいでかわいい。笑 トホホ。 自分の音というのが限りなく情けないですが、赤ちゃんは言うまでもなく、小さい子も、お母さんの体の音を聞くのがとても好きですね。 子供は必ずやります。 お腹や胸に耳をつけて、「心臓の音がする〜」「お腹がぎゅるって鳴った〜」「息をしている音がする〜」とかって。 |
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以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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