あぱかば・ブログ篇

apakaba.exblog.jp
ブログトップ
2009年 05月 15日

音楽は、音を大きくしてこそ

先日、忘れえぬロシア 国立トレチャコフ美術館展の記事を書いたところ、コメント欄で【絵を見るときの適正な距離】という話が出た。
そこから、先月の美容師さんとの会話を思い出した(その日のことは髪型を変えに行く(そしてその道中の音楽)に書きました)。

道楽者の美容師さんは、音楽ももちろん好きで、若いころはおきまりのエレキギターかき鳴らし青少年(1960年生まれなので大体そんな調子でしょう)だった。
私は彼よりはやや遅く生まれたが、彼と同い年の姉もいるし、自分自身もクラシックロック・ハードロック・ヘヴィメタルなどをよく聴いていたので、彼がどんな感じの青少年だったのかは容易に想像がつく。
音楽の話題になり、
「眞紀ちゃん、アンダーワールドは聴く?」
と尋ねるので、
「ああ、(ほんとはあまりよく知らないけど知ったかぶって)大音量……が合うよね。」
と言ったら、その短いリアクションがばっちりツボにはまったらしく、
「そうそう!そうなんだよね!」
と喜ぶ。

そこで【絵を見るときの適正な距離】との連想が出てくるわけだが、私は
「音楽って、その音楽にふさわしい、適正な音量があるでしょう?ボリューム小さめに流して心地よい音楽もあるけど、思いきり大音量で聴いて初めてよさがわかる音楽もありますよね。」
と言った。
元バンド青少年だった彼はうれしがって
「そうそう!オーディオでも、サラウンド効かせて『あ〜、いい感じ〜』という音楽もたしかにあるけど、やっぱり、大音量で、心臓や肺にどん、どん、ずん、ずん、と響くようなよさってあるよね。体の芯にくるっていうか。それが快感だよね。
ボクの若いころは、オーディオはつねにMAXで、音量調整なんかナシ。スイッチ入れたらすでにフルボリューム。そんな感じでしたよ。」
「アハハ!男らしいな!若いからできるんで今じゃ近所迷惑とか考えるもんね。
だからクルマの中だけが好きな音量で聴ける場所だけど……あまり大音量なのは、ちょっと危ないですからねえ。」
「そうそう、救急車、どっちから来るんだ?って感じで。しょっちゅうミラーで確認だね……ああ、眞紀ちゃんと音楽の話をしてると楽しいなあ!」
まあ、昭和の女なんで。

「でも、今の子は音楽も我々のころみたいに音量MAXなんてやってないですよ。そういう、大音量に堪えるレベルの音楽が新しく作られていないせいだというのもあると思うけど。」
と私が言うと、
「へえ?そうなの?」
と不思議がる。

私の知る限りの印象でしかないが、少なくとも私の子供たちは、音楽をとても小さい音で聴いている。
私からすると、もの足りないを通り越してイライラしてくる。
こんなちっこくて歌詞もわからないような音楽じゃ、かけてる意味がないじゃん?!
子供たちからすると、私の聴いている音量は常識外れに大きくて、耳も頭も痛くなるらしい。
いつも「おかーさん!うるさいよ!」と怒られる。
昔取った杵柄というか、どこが杵柄なのかわからないが、昔に大音量で聴いていたから、大音量に対する耐性がついているのである。
食事をするときには会話の邪魔にならないようにボリュームを絞るけれど、ふだんはできるだけ大きい音がいい。

音を大きくしてこそ感じる、ボーカルや楽器の微妙な表現力を、逃したくない。
それはなにも、ハードなロックばかりの話ではない。
TOTOの『Africa』のイントロに「ハッハッハッハ」という男の笑い声が入っているのは、並みのボリュームでは聴き取れない。
ZEPの『Stairway To Heaven』の、何度もくり返されるOoh, it makes me wonder……直前のギターは、大音量で聴いてこそ、少しずつ重い扉が開いて光が差し込んでくるような情景を思い浮かべられる。
キース・ジャレットの『Koln Concert』にところどころ挿入されている、キース・ジャレット自身の声は、ピアノと自らの肉体とのしのぎを削る掛け合いだ。
グレン・グールドの鼻歌とキーキー軋む椅子の音、独特のお釣りが跳ねっ返ってくるようなピアノの音色も、小さい音では楽しめない。

子供たちは、音楽のこういう楽しみを知らない。
つまんない世代だよと思う。
もちろん、「おかーさんは近所迷惑・運転中は危険・イヤホンだと難聴予備軍」という子供たちの意見のほうが全面的に正論なのだが。

by apakaba | 2009-05-15 18:35 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(16)
Commented by キョヤジ at 2009-05-15 19:57 x
今の住環境では、なかなか爆音を許してくれないですな。
ワシも爆音を轟かせるのが好きなんだけど、スピーカーが経年劣化でイカレちまってからはトントご無沙汰。
カーステごときのクオリティでは満足出来ないしなぁ・・・。
ああ、修理したいなぁ。(一本12000円ほどかかる)
Commented by apakaba at 2009-05-15 20:56
高校生くらいのころは、爆音で近所迷惑しているなんて考えもしなかったし、親も働いていて留守だったから、爆音放題、シャウト放題という状態でしたね。
実家の周りのご近所の皆さんは「また眞紀ちゃんは妙な声で叫んで……」と思っていたでしょう。

ちなみに上記の道楽者の美容師さんは、カーステも凝り凝りで、スピーカー7台積んでいるそうです。
平民には関係のないことでござんす。木枯らし紋次郎。
Commented by kaneniwa at 2009-05-15 22:08
年末の閉店後のライブハウスで、
カラヤン指揮ベルリンフィルの第九交響曲のCDを
実際よりも大きい音で聞いてみようという話になって
4名ほどでやってみたことがあります。

ベートーベンも聴いたことのない世界に入ろう、ということで
(もっともその時期のベートーベンは耳が不自由だったのですが)
業務用アンプをボリュームで、ライブハウスのPA装置で
再生したのですが、
第一楽章冒頭のチューニング音からゾクゾクして、
最初のフルオーケストラのいきなりのフォルティシモから、
一同、音だけでトリップした74分間でした。

BYマーヒー
Commented by ogawa at 2009-05-15 22:10 x
高校から大学生まではガンガンに鳴らして聞いていました。
5年前に家を買ってから、気持ちよく大音量で鳴らしていたのですが母と同居をはじめてから、それもままならくなっています。
JBLのスピーカーが泣いています。

今、一番ガンガン鳴らすのは車の中です・・・ハハ
結構、良いオーディオ組んでいるんですよ。
Commented by apakaba at 2009-05-15 22:59
あい。
今はコルトレーンをBOSEで音量絞ってかけています。
昭和のおやじさん、いらっさーい。
マーヒーさん、そういうことを思いつくことが非凡ですね。
(非凡ってナイスな言葉だと思いませんか。)
大音量はステキな世界にいざなってくれるけど、やっぱ難聴が心配なお年頃です。

ogawaさん、室内で大音量をやっていると奥様やお嬢さんが「お父さん!うるさいよ!」とうちの子たちみたいに怒りませんか?
もしいっしょになってノリノリだったら、なんてステキな家族だろう。
うちでは私だけが飛び抜けて大音量に耐性があるので、つねに孤独です。
クルマの中も危ないんだけどね。
Commented by ogawa at 2009-05-15 23:05 x
コルトレーンと言えば「四条の愛」でなく「至上の愛」かな。
名盤ですよね。

えー、私が休みの日。
妻はパート、娘はアルバイト・・・その時を狙って大音量で・・・う~む、悲しいのぉ。
Commented by apakaba at 2009-05-15 23:41
家族を不幸にしてまで大音量をかけるわけにはいきませんからね。
私も唄うのが好きだけど夫が嫌がるので彼がいるときは我慢我慢です。
ogawaさんも四条で愛をはぐくんでください(テキトーレスとつにゅ)
Commented by キョヤジ at 2009-05-15 23:56 x
アジトに置いてあるスピーカー。
実はTANNOYと言う名の知れた物なんですよ。
クラッシックやボーカルなどに威力を発揮します。
あの環境下では爆音上等!ですから、次回行く時には「お気に入り」のCDを持って行きましょうか。
Commented by apakaba at 2009-05-16 00:01
ありゃ本当にいい音だよねえ。
あれは本当にすごい。久しぶりに音で感動しました。
お気に入りCDをかける順番争奪戦になりそう。
そんでまた例のあみだくじが始まる(テキトーレスとつにゅ)
Commented by Amano at 2009-05-16 00:33 x
私も大音量派。
TOTO、Queenなんかを大音量で鳴らすのが大好きです・・・^^;

けど今は奥さんから禁止令が出ておとなしくしています。

横レスで
キョヤジさん、TANNOY持っているんですか!!
あれを鳴らすのは難しいでしょう。
是非聞かせてほしいです。
Commented by apakaba at 2009-05-16 07:17
また昭和のおやじさんいらっさーい。
昭和の男は大音量ということで、いいですね?
TOTOがデビュー(子供の凱歌とかの)から1枚ごとに変遷していった(あか抜けたというかポピュラーなサウンドになった)のも、小さい音じゃなんだかワカラナイもの。

でも皆さん、奥さんは嫌がるのか?
女は大音量が嫌いなのかな。
奥さん自ら家族につまはじきにされている大音量の昭和の女はどうしたらいいんだろ。

>是非聞かせてほしいです。

お宅のそばで鳴らしてまーす。
決めごとはあみだくじで決めまーす。是非。
Commented by kaneniwa at 2009-05-16 09:56
オーディオメーカーや大企業のオーディオ部門が
低調ななか、BOSEだけはけっこう好調みたいですね。

BOSE丸儲け

私の言いたかったことは、それだけ。

BYマーヒー
Commented by ぴよ at 2009-05-16 10:05 x
イマドキの若いもんはiPodをヘッドフォンで聞くのが主流だから
大音量では聞けないでしょ。流石に難聴になるわ。
音楽配信する側もヘッドフォンで小さな音で聞いてもらう事を見据えて
音作りしてるんじゃなかろうかと。だから大音量に耐えられない。

BOSEのショールーム行くとさ、最新の機器と最高の環境で大音量で
聞かせてくれる試聴ROOMがあるじゃんね。行った事ある?
アレはすげーよー。感動するよ。本当にシビレルね。心震えるよ。
思わず「買って帰ろう!」って思っちゃうんだけど・・・

値段見てぶっ飛ぶ(涙)
Commented by apakaba at 2009-05-16 17:57
音量レスつづき。
マーヒーさん、最近ではお寺のお経もBOSEのスピーカーで流していて坊主はBOSEだそうじゃないですか。

ぴよさん、試聴ルームは「あは〜ん」ですね。
中学生のときに、初代ウォークマンが出たので、やっぱり爆音で聴いていたな……当時は電車に乗らなかったからシャカシャカ迷惑野郎ではなかったけど。
Commented by sora at 2009-05-17 17:42 x
なるほど。最近の若モノは大音量で聴かないのか。

さすがに社宅暮らしが長かったからスピーカーから大音量ってことは無かったけど、ヘッドフォンは高校の頃から密閉式(当時はそう呼んでいた)のデカイのを愛用してたよ。

イコライザーかまして、クラシックでも洋楽でも低音をガンガンに効かせてたなぁ。大音量で聴いてた。

今でも家ではヘッドフォンでガンガンに聴いてる。
聴き終わったあとは「キーン」って耳鳴りがしてキモチいい。

ジュリアナとかのレイヴ系を聴いてた頃は耳もイカれそうだったし、体中がボワ~ンとして、麻薬ってこんな感じになるのか?というようなトランス状態に陥っていたよ。

ハウス系とか単調なリズムを大音量で繰り返し聴いていると、トリップしやすいんだと思うなぁ。

車の中も一人の時は大音量だったけど、踏み切りの音に気付かずに線路に進入しそうになってから、気をつけるようになったけど・・。

Commented by apakaba at 2009-05-17 18:10
まあホラ。
soraさんも、昭和の男だから。
耳鳴りを愛し、トランスを愛し、トリップを愛し……うーん、危険な昭和の男だね。
でも、自分もそうだけど、運転中は憩いの場だけど危ないのは事実。
気をつけましょ。


<< 12歳の文学賞、知ってる?      どの言葉づかいがキモチワルイ?... >>