あぱかば・ブログ篇

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2009年 05月 23日

日本科学未来館を満たすキヨシローの声 sanpo

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出かけるとき、つねにカメラを忘れてしまう私。
今日も忘れて、やむなく携帯撮影。

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日本科学未来館へ行ってきた。
お化け屋敷で科学する!—恐怖の研究という企画展がおもしろそうだったのと、もうひとつ、どうしても行きたい企画展があったため。
「コシヒカリ」と、女の子の友だちふたりを連れて行った。

今年6年生の「コシヒカリ」は、中学生になれば土日も部活や勉強の予定が入るようになるだろう。
こういう場所に親が連れて行く機会も、ぐっと減るだろう。
いつも仲よくしている友だちとも、おそらく中学進学では別れるだろう。
土曜はたいていほったらかしでいることだし、たまには遊びに連れて行こうと思った。
あと、私も近所への買い物以外の運転もしたいしね。
レインボーブリッジを飛ばしましょう。

子供を乗せているといっても、子供の好きそうな音楽なんかかけない。
往きはドナルド・フェイゲン、帰りはトリスタン・プリティマン。

【お化け屋敷で科学する】は、やや期待はずれだった。
体感コーナーはまあまあだが、展示コーナーは手書きの黒板を並べただけの、ほとんど文化祭ノリ。

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素人っぽさが親しみやすさという狙いなのかもしれないとはいえ、もう少しハイレベルなものを期待していた。
数年ぶりに科学未来館に来たが、以前とは少し雰囲気が変わっていた。
以前はとてもおいしかった7階のレストランの味がガタ落ちして、よくあるただの「博物館とかに併設されている、オイシクナイレストラン」になっていた。
このレストランには、好印象を持っていただけにがっかりした。
お台場の独特な風景を臨むにはいいけれど、食べるなら5階のカフェのほうがよかったかなあ。

開催中の企画展のひとつ、ターミネーター展〜戦うか、共に生きるか?ロボットとボクらの未来〜は、単に新作映画「ターミネーター4」の公開に先駆けての企画だと思いたいして期待していなかったが、映画制作現場の込み入った解説つきで見ごたえがあった。
タイアップ企画ということを差し引いても、映画ファンはそれなりに興奮する。

新作も気にはなるけれど、私の世代にはやっぱりこれ……

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「サラ・コナーはいるか?」

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「I'll be back. 」

悪の魅力にあふれている。
一作目の、ただただ強くてコワカッタT1。
薄暗い照明の中でコイツと向き合うと、動かないのにゾクッとする。

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女の子3人で、一日中キャーキャーとじゃれ合っている。
小学校最後の1年。
楽しい一日になっているかな?
朝から夕方までたっぷり時間をとって、お土産コーナーも好きなだけ吟味させて、体験コーナーでは私はコーヒーを飲んで文庫本を読んで、子供だけでゆっくり遊ばせた。
来年はバラバラになってしまうかもしれない3人に、できるだけ思い出を作ってあげることにはやぶさかではない……のだけど……

あと一個の企画展だけは、おばさんのわがままにつきあってくれ。

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それはこれです。
2007年にここで開催されていた全天周映画アースストーリー〜恐竜の進化とヒトの未来〜を、もう一度観たかったから。

キヨシローがナレーションとエンディングテーマ曲を担当している。
故人を偲んでの、二週間だけの再上映なのだ。
ポスターにある「忌野清志郎さんを偲ぶ」という文字を見ただけで、すでに口の中で、舌が喉にひくっとひっついてしまう。

前に観たとき、キヨシローのナレーションが深く心に残った。
ナレーターというものは、あくまで流ちょうに聞き手に向かって話しかけ、内容を理解させるのが仕事だ。
ところがこの映画でのキヨシローのナレーションは、今にもつっかえそうなのだがなぜかつっかえず、まるで両手を広げてバランスを取って、細い塀の上でも歩いているかのような語り、それなのにすとんすとんと胸に言葉が落ちて、いい場所に納まっていく。
ああこの人は、聞き手に理解させようとして語っているのではなく、まず自分に向けてしゃべっているのだなあ……ということを感じた。
「恐竜は、どこへ消えてしまったのだろう。」は、彼自身の胸へ向けてのつぶやきとして発せられ、「そうです。恐竜は、鳥に姿を変え、この地球に生き残ったのです。」というちょっぴり明るい語りは、彼自身の中での発見の喜びとして発せられる。
こんなナレーションは初めて聞いた。
そのとき連れて行ったうちの子供も、「あの声、よかったー。」と話していた。

それは咽頭癌の告知を受けて、すべての音楽活動を休止していたときの仕事だった。
だからこその、あの深みだったのか……着席して3Dメガネをかける前からすでに涙が出てくる。
子供たちの前で涙を流しているのはいくらなんでも奇異だろうから必死でこらえながら、また映画を観て、会場にあふれるキヨシローの声を聴いた。

この子たちは、今日のことを忘れちゃうかな。
覚えているかな。
この声を、(2回観た「コシヒカリ」以外は)覚えてはいないだろうなあ。
でも、こういうところって、大人だけではなかなか来ない。
今日のお出かけは、子供へのサービスでもあるが、私がドライブして、今いちどキヨシローの語りを聴きたかったからというのもある。
来ることができてよかった。
お化け屋敷の企画展は今ひとつだったしレストランは味が落ちたしターミネーター展はタイアップ臭芬々としていたけれど、この再上映をやってくれただけで、科学未来館にありがとうと言いたい!
そしてここを再訪する口実となってくれた子供たちよありがとう。

by apakaba | 2009-05-23 23:51 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(8)
Commented by J at 2009-05-24 22:15 x
【お化け屋敷】は、「お化け屋敷」という言葉を使ったのが、ダメだったかな。
普通に「恐怖を科学する」ならばあれで良かったと思いますが。

アースストーリ、観れてよかったですね。
そんなにも良いナレーションならば、自分もこっちを
観れば良かったかな。

早く治るといいですね。お大事に。
Commented by apakaba at 2009-05-24 23:33
Jくん、なんかお見舞いコメントを強要したようでスミマセン!
でもありがとう。
抗生剤を飲むとたちまち軽快するんですわ(膀胱炎の興亡)

あなたのブログを読んでいなければ、きのう行こうと思い立つこともありませんでした。
そしてアースストーリーを再上映していることも知らずじまいだっただろう。
貴ブログ記事に感謝してます。
いつも楽しげなところにお出かけしているもんね。
Commented by ぴよ at 2009-05-25 23:30 x
アースストーリー・・・名古屋でもこの催しはあったのかなぁ?
もしあったとしたら名古屋市立科学館か名古屋市立博物館か。
調べてみよう。いや調べても今から見れなければ意味がないか(涙)

子供がどんどん成長していくにつれて、親と一緒に出かけなくなる。
それは正しく子が親の手を離れて自立していく過程な訳で。
親にしてみれば嬉しくもあり、ちと寂しくもある?
私には子供がいないから、そういう気持ちは推し量れないけど、
コシヒカリちゃんはきっとこの日の事を後々まで覚えていると思うよ。
そして何年も経ってから、このBLOGを読んで
「ああ、ママはあの時こんな風に思ってたんだ」とやや大人の視線で
物思うのだろうなと。なんだかステキね。
Commented by apakaba at 2009-05-26 09:05
ぴよさん、日本科学未来館の企画モノがどこかへ貸し出されていくのかどうかはわからないけど、もしもそんなことになったら、絶対に行ってね。
いや、なんなら今月中にお台場へお越しになって!
3Dメガネが涙で曇るぞ!ただでさえ見にくいのに!

子供の成長はいちいち感慨深いですよ。
遊園地や動物園や、うんざりするほどあちこち行ってたけど、「いよいよ最後かなあ」「もうここに来ることはないだろうな」とか考えるし。やっぱり。
だから孫に期待しちゃうんだね。やーね。
Commented by nagami at 2009-06-02 19:24 x
ここまで書いて頂くと、制作者冥利につきるので、書きこませて頂きます。私自身は、館を離れて数年になりますが、今は全国に散り散りになっている旧制作スタッフが、訃報を聞いて連絡を取り合いました。あの映像は、デジタル化され、より小規模な会場も含めて全国を巡回しているはずです。名古屋市科学館では、フィルム版でかつて、上映されたと記憶しています。
Commented by apakaba at 2009-06-02 22:51
nagamiさん、初めまして。
書き込みありがとうございます。
とても、感激しました。
この日のことを書いてよかったです。

そちらでのキヨシローの(というより、ここはちゃんと忌野清志郎さんと書きたい感じ)お話を読み、また涙がボロボロと出ました。
私は科学館系が好きでいろんなものを見に行くのですが、「アースストーリー」は、お世辞じゃなくてとてもいいと思いました。
ナレーションが「キメ打ち」だったとは思いもしませんでしたが……道理で、分かちがたく結びついていたわけだ……

メンフィスのサイン、宝物ですね。
胸がぎゅっと締め付けられますね。
この5月は、キヨシロー追悼記事を何度も書きました。

http://apakaba.exblog.jp/11491115/

http://apakaba.exblog.jp/11477546/

よろしければ、ご一読ください。

またどこか会場で、nagamiさんのことを思い出しながら、アースストーリーを見たいな。
きっと見ることができると思う。
そしてまた泣きそう。
Commented by nagami at 2009-07-21 19:54 x
お気づきかと存じますが、未来館で、夏休み期間中、毎日、13時から、アースストーリーのリバイバル上映がされています。流石に高頻度過ぎるかと存じますが、お知らせまで。
Commented by apakaba at 2009-07-22 18:17
nagamiさん、後妻法

がーん。

ご再訪ありがとうございます!

そしてご案内ありがとうございました。
ぜんぜん、お気づきではありませんでした。
まさか、夏休み中ずっととは、科学未来館もやりますね。
どう考えてもコドモの親たち狙いですね!
きっと夫が行きたがると思うので行きます!(まんまと狙いどおり!)
よく、夫と飲みながらキヨシローのことを話すのですが、未だに泣きます。

先日、小6の娘が、コンビニでTVBrosのキヨシロー特集号を買ってきてくれました。
「おかーさんが喜ぶと思って。」って小学生の女の子がひとりで買っていたら奇妙でしょう……でもうれしかったですねえ。
それも泣けました。


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