2009年 05月 27日
明日から、隣に住む親たちが旅行に行く。 4日間で中国の大連・旅順・藩陽(しんよう)を回るパックツアー。 新型インフルエンザのことなど、なにひとつ気にしていないようだ。 夏には南米を回るのだとか。怖いモノなしだねえ。 ツアー名は「郷愁の大連・旅順・藩陽4日間」というので失笑する。 郷愁とはアハハ。 二〇三高地を見学したりするんだって。 100歳オーバーの軍人でもなければ二〇三高地に「郷愁」なんか感じないでしょ……テキトーなツアー名だな。 夫は 「よく今行くよなあ。検疫とかすごそうなのに。俺なら絶対に嫌だな。苦痛なことはしたくないもん。俺はもう完璧にリゾート志向だから。」 よほど去年のバリが気に入ったようで、長年の自称リゾート嫌いをコロッと宗旨変えして、「また行きたい」としょっちゅうくり返している。 「今年は受験生ふたりだからムリとしても、来年か再来年あたりにまた行けたらな。ダイビングして、プライベートプールでゴロゴロ。うひひ。今度はザ・レギャン(バリの高級リゾートホテル)に泊まりたいな。あー早く行きたいな。」 私は、ふたりでまた海外旅行に行くなどずーっと先だと思っていたので、「来年か再来年」というのにはびっくりした。 私とのふたり旅にステキな夢を思い描いているのね!それは妻としてとてもうれしいことだけれど……!私は、ふたりもいいけど、ひとりでぶらぶらどこかへ行きたいという欲求が、ひどく高まっているのですよ。 夫が邪魔だとか嫌いだとかいうわけではないのよ。 私だって、そりゃザ・レギャンに泊まってダイビングしてエステやってふたりでフラワーバスに入って、なんて幸せに決まってるよ。 でも、昔やっていたように、ひとりで長い日程を好きに使って、その場でチケットを買って夜行バスや夜行列車に乗ったり、知らない人とひとときいっしょに歩いたりまた別れたり、ドミトリーに押し込められて弱ったり、いろんな国の人といろんな言葉でしゃべったりしたいのよ。 もう二度と、できないのかなあ…… だって、自分では気は若いつもりでも、端から見たらリッパに中年だし、おばさんがひとりでうろうろ安宿にいるのはいかにも場違いではないのかな。 最初はうきうきしていても、あるときふと、とてもとても、情けない気持ちに、襲われるような気もする。 というか襲われた経験がある。 7年前にウズベキスタンをひとりでまわっていて、長距離タクシーに乗り、ふと自分の手足を見下ろしたら、あまりの汚らしさにうんざりし、“なんだこの真っ黒の手と足は。高い旅費を払い、好きこのんでこんなふうに汚くなりに来ているのか私は?”とつくづく嫌悪感を覚えたのだ。 昔、長い自由旅行をしていた人たちは、ごく自然に、ザ・レギャンへステップアップし、「郷愁の大連ナントカ」のパックツアーを選ぶようになっていくのか。 そこに、迷いや、悪あがきの気持ちは生まれないのか? 不思議でたまらない。 まあ、年金バックパッカーの星、金井重(かないしげ)さんみたいな偉大な先達もいらっしゃるから、私もその路線かしら。 ふたり旅とひとり旅の間で、悩むねえ。
by apakaba
| 2009-05-27 23:32
| 旅行の話
|
Comments(8)
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キョヤジ
at 2009-05-28 00:54
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何いってんだか。
旅なんか汚くなるのは当たり前じゃん。 リゾートへ行って、綺麗な格好をして・・・って、そりゃ旅行だけど、旅じゃぁ無いな。 まぁ、何だ。 今は無理だけど、コシヒカリさんが高校生になれば多少は余裕が出来るでしょ。 そうしたら「三谷眞紀」から「眞紀」に戻れる機会もあるはずだ、きっと。 問題はあれだ、タケシが一人旅を許してくれるかどうかだな。 二人で行っちゃぁ「眞紀」には戻れないもんな。
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apakaba at 2009-05-28 09:00
うちの夫はけっこうコロコロ宗旨変えする人なのでつきあうのが大変なんだわ。
でも考えてみたら人生の半分は知り合ってるんだから、その長い間に志向が変わってもおかしくはないのか。 昔は南方が嫌い、リゾート嫌い、北方が好きで、ひとりで火をおこしてたき火の前で沈思黙考しながらウイスキーを飲む俺様……という感じだったのよ。 それが今じゃすっかり女と酒の旅、だらだら志向だもんね。 でもその「女」っていうのがつまり私なので、旅費も出してくれるし最大限おつきあいしないとねえ。 典型的なボロボロ旅も好きだし、高級リゾートも好き。 でもリゾートだけだとつまんないな。
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ぴよ
at 2009-05-29 00:06
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私は元々バックパッカーじゃないので、リゾート行くならうんとステキな高級ホテルを選んで、うんと贅沢な時間の使い方をしたいタチよ。
そして遺跡系(ヨゴレ系とも?)の旅も、宿はある程度の水準をクリアしてないトコロは受け付けないの。 若い頃は「苦労は金で買え」くらいのノリだけど、この歳になると 「快適は金さえあれば手に入る」が合言葉になっていたり(苦笑) 1人旅も憧れるけど、英語もロクに出来ない自分は1人旅に出ても きっと現地で日本人旅行者を探して粘着するんだろうなと。 それじゃー1人旅とは呼べないもんね。 苦労は金で売り、快適を金で手に入れるヘタレですわ(苦笑)
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apakaba at 2009-05-29 08:27
旅レス。
ぴよさん、私はキレイとヨゴレの両極端がどっちも好きなのだわ。 悪夢のようなハードな旅も大丈夫。 ゴージャスホテルの旅も大丈夫なの。 だからひとり旅のときも、荷物はバックパックではない(バックパッカーという言葉も実は好きじゃないんだ)。 あーどっか行きたいわ。
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のこのこ
at 2009-05-30 13:14
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すみません旅から帰ってきました。(笑)
上の若者旅の話も久々で読んで楽しめましたわ。 若い女の子二人旅ってのは大人になってからの旅では絶対に出せない甘酸っぱい味が出るわねぇ。 うんうん。 20年前にさかのぼる思いでした。 えと。 旅ってホレ、その時その時の状況にあわせたスタイルになるし、体中汚れとニオイが染み込んで私なにやってるんだろう。。。と旅先でさめざめと泣くような旅も楽しいし、彼とリゾートっていう旅も子連れの旅もそれぞれみんな楽しいよね。 若いときの旅と熟年の旅、どちらもそれぞれに味わいがあるんだと思う。 大事なことは今は無理~とか思わずにとにかく出かけることだよね。
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apakaba at 2009-05-30 23:40
のこのこさんお帰りなさい。
若者旅も読んでくれてありがとう。 そっちの旅行記の更新を見てたら、やっぱ完結させようと思ってさ。 途中ってキモチワルイもんね。 窮乏から脱したらまた出かけたいと思ってます。 夫は私を愛しているので、きっと止めないと思う。
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子ヤギ
at 2009-05-31 22:33
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私も旅虫がそろそろ騒ぎだしてるの~旅は自分の想像を超えるものがたくさんあるし、たくさん驚いたり感動したり、オモシロイ。
自分たちの忘れがちな当たり前の幸せ♪にも気付けるんだよね。 1%の勢いから始まる旅なんだけれど、最後の1%が勢いに変わるんだな・・・・だから旅が好き。 旅の始まりについて 「みすみす、ろくな結果にならないとわかっていても、強行しなければならないなりゆきもあり、またなんのたしにもならないことに、身を ついやすのが生きがいである人生にもときには遭遇する」 金子光晴
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apakaba at 2009-05-31 22:39
出たよ金子光晴……じつは!恥ずかしながら、未だ読んでいません!
なんとなく、「砦」って感じです。 機が熟するのを待っているというか。 おいそれと手にとってはいけないような、ひとつの聖域。 でもまーそろそろ、読んでもいいお年頃かな……とも思ってます。 子ヤギさんの旅はどんな旅なのかなあ。 いろんなところへ行ってきたのでしょうね。 それ以上に、「どこへ行ったか・何カ国へ行ったか」以上に、いろんなものをインプットしてきているのだろうなと想像しています。 |
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以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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