2009年 08月 10日

後輩と会う・前編

彼の呼び名をCくんとする。
「自分(自分のことを自分という)“カリメロ(Calimero)”に似てるんですよー。似てるでしょう!」
出会ったばかりのころ、自己紹介代わりによくそう言っていたから。
たしかにカリメロみたいなかわいい顔をしていたが、なんといっても彼は存在そのものがかわいかった。
大学のサークルでの後輩であり、しかもサークル内では、マンモス大学のなかでめずらしく学部学科も直属の後輩だった。
3年生のときに新入生として入ってきたから、2学年離れているという意識があったが、彼は浪人生なので年齢はひとつしかちがわず、大人になってみれば1歳の差など、ないに等しい。
それでも、サークルの雰囲気じたいがそうであったこともあいまってか、彼は私に完全な敬語口調で話した。
相対的に、こちらは先輩然とした態度をとらざるをえない。
後輩たちに対して、できるだけフラットで、親密な態度をとるようには心がけてはいたが、学年の差は大きいものだなと、当時感じていた。

Cくんと、もう少し話せたかもしれないなあ。
そう思いながら私は卒業して、たちまち結婚してしまった。

彼は、サークルに入るか入らないかというときから、私のことをとても慕ってくれていた。
私も、べろべろに酔って千鳥足の彼を駅までかつぐようにして運んだり、これまたべろべろで夜に電話をかけてきては「Iさん(私の旧姓)!Iさんは……カッコイイです!Iさんは……%$#’”!!(全然意味ワカンナイ音声)」などと一方的に言うのを聞いてあげたりしていた。
パキスタンの国境の街ペシャワールで、アフガン人のかぶる帽子をおみやげに買ってあげたりした。
そんなふうにしてかわいがっていたわりには、卒業後に1,2度会ったきり、連絡もしなくなってしまった。

人の縁って、切れたりまたつながったりするものだな。

彼のことを、長い間忘れていた。
それが、この5月末にあったサークルの記念行事(早稲田大学茶道研究会創立六十周年記念茶会)で再会した。
そのときは、他に人がたくさんいたし、彼も忙しくしていたからほぼ挨拶しかしなかった。
20年近く会っていなかったけど、今でもやっぱりちょっとカリメロっぽかった。
そのとき私は、サークルのかつての仲間の顔をたくさん見て、なつかしいなあと感じただけだったが、Cくんは「Iさんだ!大変だ!」と思ったらしい。
というのも、私は彼に「卒論の書き方を教えてください。できれば卒論を貸してください」と頼まれて、自分の卒論を貸したことがあったのだ。
それきり20年近く返ってこなかったのでとっくにあきらめていた。
大事な卒論だけど、まああいつなら、持ちっぱなしでもいいか。くらいの気持ちだった。
しかし向こうは、私の顔を見たら「卒論を返さなくては!」という気持ちが湧き上がってきたらしい。

実家で私の卒論を探し出し、会うことになった。
私は、郵送でもいいと思ったものの、それも水くさいかと思い直し、なつかしの後輩と一杯やることに決めた。
彼はけっこうリリカルな男なので、「Iさんと飲むなら是非、高田馬場(大学の近く)がいいですねえ。」と押し、私にとっても彼にとっても、馬場は地理的に便利でもないのになと思った。
でも、こういうちょっとした無駄っぽいことは、大人(とくに職場)同士での人間関係ではなかなか出ない発想だ。

大学生のころに4年間かよったきり、ほとんど行くことのなくなった高田馬場へ行った。

(長くなったのでつづく)

by apakaba | 2009-08-10 23:14 | 生活の話題 | Comments(3)
Commented by キョヤジ at 2009-08-11 00:40 x
おー。
Commented by のこのこ at 2009-08-11 03:47 x
そんでそんで?
Commented by apakaba at 2009-08-11 09:06

キミらは子供か!


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