あぱかば・ブログ篇

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2009年 08月 12日

後輩と会う・後編

彼はなかなかに泣かせる文章を書いた。
サークルの記念行事以降に数回やりとりした分と、長時間の飲み会のお礼メールを見て、曲がりなりにも国文科卒だけのことはあるよ、と思う。
逆に言うと、こういう情緒的で、腐れ文学的(腐れは余計です)な文章というのは、国文科のヤツぐらいにしか書けない。
たまらなくなつかしく、そして気恥ずかしい。
まるで私が書きそうな文章だ、と、不意に昔の自分が写っている写真でも見せられるような照れくささを感じる。

メールの中でとても驚いたのが、彼が私のことを、「昔と全く変わっていなかった。身体の隅々まで生気がみなぎっている、可愛い小動物みたいに」「時間が経つにつれて少女のような顔になっていくのが不思議だった」「くるくる変わる表情」と表現していることだった。
セルフイメージとのあまりのギャップにとまどう。
自分では自分のことをこんな元気のいい女性だとは見ていない。
血圧低いし。
貧血だし。
生理痛で毎月寝込んでるし。
肌は弱いし。
無表情だとよく言われるし。
しょっちゅう鼻水に苦しんでるし。
隙あらばうたた寝してるし。
すごーく、生命力の弱ーいタイプにイメージしている。

あっ、あの夜はずっと飲んでたからか!
たしかに、飲んでいる間だけは少し元気。ナルホド。

元気そうだったのは酒がガソリンだったからだということはわかったけれど、気になるのは“少女のような”というところで、大人になってからそんなことを言われたことがない。
“つんつんしていそう”とか“自分から挨拶しなさそう”とかは言われるけどね(ほっといてください)。
それは、いってみれば彼が勝手に感じたことだから、私が分析する必要もないのだけれど、とてもめずらしい表現だったのでそれについていろいろ考え、ふたつ理由が思い浮かんだ。

ひとつは、私たちはもうセンパイ後輩ではなくなったということ。
学生当時は厳然として2学年の隔たりがあった。
新入生の勧誘の出店で、彼をサークルに引っ張り込んだのは私だし、記憶にないけど茶道の稽古も、きっとはじめのうちは手取り足取りで教えたのだろう。
国文学科の教授の話や、もっと広く、国文学の話などもしたと思う。
彼自身も、
「大学のころ、Iさん(私の旧姓)がいつもこわかった。怒られるとかいうことではないけど、『あんたこの本も読んでないの?あの作家も知らないの?ふーん』とかってバカにされそうで……」
と言っていた。
けれどもそれからずーっと会っていなくて、今や彼に教えることなど当然ながらなにひとつないし、私はただのつまらない主婦で、彼は世界中が知っている企業で順調に(だと信じてます)働いている。
私は彼に先輩面する必要もなくなったし、第一、したくてももうできなくなった。
私はまったくの空身、徒手空拳で飲んでいるだけの、愉快なおばさんになった。
それが無意識に、カッコつけずに子供っぽい顔つきになる原因になったのかな、と思う。

もうひとつは、彼が私に“そういうもの(=少女っぽい感じ)”として在ってほしいという目で見ていたということ。
人は、自分の見たいものを見る。
写真や絵画作品にしろ、文学作品にしろ、人は個の感情を投影することなくしては鑑賞することができない。
“大人の女性”でもなく“愉快なおばさん”でもなく、“少女”だよ、よりによって。
少女……“不可侵”な感じ?
不可侵、オカスベカラズ。
大学時代を象徴する、大好きなワタクシですから。
侵すべからざるおもひでの人ということで。
ああ〜遠い。なんという年月だ。
会ってしゃべっていたときはなんとも思わなかったが、メールを読んでみて、途方もない年月を感じずにはいられなかった。
そして、長く生きるのはたまらなく楽しいことだなと思った。
切れたと思っていた縁がまたつながるし、これから新しい縁もきっとたくさんできてくるし。

若かった自分のことや現在の自分のことを考え直したりした飲み会だった。
その後輩の心の中に、二十歳そこそこだった私と、一気に20年も年を取った今の私が違和感なく重なることが、とても嬉しく感じる。

by apakaba | 2009-08-12 23:40 | 生活の話題 | Comments(8)
Commented by キョヤジ at 2009-08-13 00:43 x
>人は、自分の見たいものを見る

まさに、その通り。
網膜に映った情報を処理するのは、その人の脳ですから。

写真だってそうでしょ。
今まで、あまたの写真を送られたと思うんだけど、撮り手によってかなり違いが有るでしょ。
そこに、素の「ミタニマキ」が居たり、エロい「ミタニマキ」や少女のような「ミタニマキ」が居たり。
ああ、ササニシキが撮った写真には母親が写っていたよ。
Commented by apakaba at 2009-08-13 00:47
でも「アキタコマチ」が撮ると女が写ってるんだ。
Commented by キョヤジ at 2009-08-13 00:51 x
マザコンか?(大笑)
Commented by apakaba at 2009-08-13 08:53
おおーぅ(クレヨンしんちゃん)
Commented by のこのこ at 2009-08-13 10:48 x
私、あなたが母ちゃんやってるときばかり会っているから想像がつかないんだけど、すごく楽しかったんだね。
私にも仲の良い後輩君たちがいて、こちらは今でも海ご飯に来てくれたり私の好きそうな音楽をプレゼントしてくれたりり。青春を共にした間柄ってホント特別なんだよね。何を話しても深いところから分かり合えるし。同級生ではなく先輩後輩という適度な距離感も丁度いいんじゃないかな。

しかしいくら楽しいお酒でも男性と飲んで朝帰りはイケマセン。
これは男性が気をつくないと。お友達の方、反省ですよ。また誘えばいいんだもの。
Commented by apakaba at 2009-08-13 11:15
まったくだよ(朝帰り)。
多分、男だ女だというキケンさが皆無だから昔のノリで飲んじゃうんだよねえ。
家庭持ちには道徳的によくないということね。

私は、子供がいてもいなくても、誰が相手でも同じ(低め)テンションでいるつもりなんだけど、子供がいるときといないときでは、話の内容は変わるもんね。
奥さんたちの飲みでも、子供抜きで夜中まで飲むと「ミタニさんっておもしろーい!また飲みたい、子供抜きで!」と言われるよ。

でもさー卒業して20年近くたって、社会的地位とかってまったく変わるじゃない?
とくに男と女では……それがすごく不思議というか、当時は圧倒的にこっちがセンパイだったはずなのにあれれ?みたいなのが、可笑しいわ。
それでも、大学当時のアイコンだった私が、すっかりがっかりな中年になっていなくて、時間も忘れてしゃべり倒せる相手だったというのはいいことだと思うわ。
彼にとっても、私にとっても。
きっとアナタの後輩諸君もそうやって慕ってくれているのね。
いいことだよ。
Commented by 通りすがり at 2009-08-19 20:55 x
マキさんが、「ファン」である後輩氏に口説かれて嬉しそうにしているのが伝わってきます。
具体的に男女の関係になったのではなくても、そんな不倫めいた感情をおおっぴらに書いて大丈夫ですか?
Commented by apakaba at 2009-08-20 20:31
私は、個人ブログに捨てハンでコメントを書くことに対して違和感を感じますので、これまで拙ブログにコメントされた捨てハンの方にはまともな返信を返していません。
しかし文面の様子から、本当に通りすがりなのではなくて私の知り合いのどなたかかな?という感じを受けたのと、後輩の名誉のために、返信いたします。

後輩は、口説いていません。
ですから口説かれて嬉しそうにも、していません。
そのように読めたのだとしたら、私の文章がまずいせいで、いやらしい関係だと誤解を招いたのだと思います。
無用なご心配をおかけして申し訳ありません。
女友達に言わせると、私はただ単に「呼べば来る人と思われてるだけ」の人材ですからねえ。

異性同士で会うと、すぐに口説くとか不倫とかに結びつけるのはなんとかならないものかと頭が痛いです。
ここに書いてきた話の真意が伝わらず、残念です。
これからもっと、人にいらぬ誤解をされないよう修行します。

もしまたここにコメントをくださるようでしたら、せめてカギコメでよろしくお願いします。
捨てハンは人と人の最低限度のつながりを信じられなくする方法だと思っていますので。


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