2010年 04月 19日
(第2回のつづき) [2日目・朝〜午前中] MRTリトルインディア駅への道。 きのう到着してからずっと感じていたことだが、この国は工事ばかりしているなあ。 ちょっと歩けばたいてい、なにかしらの工事現場に行き当たる。 鉄道網拡張のための工事も、いろいろやっているらしい。 インド人率90%の地下へ降りていくと、壁面は120%インドだった。 どの国も、外国向けの観光キャッチコピーを作っているが(ちなみに日本はYokoso Japan)、ここには「Incredible India」というコピーとともに、インドの、目にもあざやかな名所の写真が並んでいた。 シンガポールの中でもとくにインドにゆかりの深いこの地域に、重点的にキャンペーンを張っているのだろうか。 正面の柱にある写真は、顔を緑色に塗って舞台衣装をつけたカタカリダンサー。 カタカリはインド古典舞踊のひとつで、私もケララ州のコーチンで鑑賞した。 舞台が終わってから、今しがた踊ったばかりのダンサーに、「交際してくれ」「日本へ招待してくれ」「せめて、そのボールペンをくれ」などなど、迫られたりねだられたりして複雑な思いをしたことを思い出した。 旅に出ると旅が懐かしくなる……インド各地の、行ったことのある名所、行ってみたいと胸を焦がした名所が、ずらーっと続いていて、ホームへ向かう足取りが自然とゆるんだ。 シンガポールは、国のなかに小さい国がいくつもあるようなところだな。 歩いていて飽きない。本当におもしろい。 国のなかに小さい日本も。 しかしこれはほとんど日本らしさを連想させないね。 サマセット駅で地上へ。 オーチャード・ロード沿いに、見えてきました、お目当てが! うう、すごーく複雑なガラスの建物!これは期待大です! 見上げてみても、高い高い! シンガポールでやってみたいことのひとつが、これだった。 建築物、それも超近代建築を、見てみたい。 ラッフルズ卿時代のコロニアルな建物もいいが、より興味を持ったのが、ビジュアルに鋭く訴えるショッピングセンター。 日本のデパートのような、機能性重視の地味な外観ではなく、ひたすら人を驚かせることに腐心したような、派手なつくりの外国の建築を、見てみたかった。 午前中に、見込みより時間ができたので、欲張ってオーチャードでふたつ廻ることにした。 出たーー! ついに正面。異様なまでの威容。 なんでここまでゴタゴタと、工事屋泣かせのムズカシイ設計にする必要があるのか? こんなにムズカシくしちゃったら、四角い建物に較べてコストははるかにかかるし、雨漏りなどのメンテも大変そう! でも効率なんてカンケーないね。ド派手にいきたい心意気。 超近代建築は、無理を承知の“勢い”がキモだ。 2009年11月にオープンしたばかりというこのOrchard Central オーチャード・セントラルは、ガラス多用の外観もおもしろそうだったが、それ以上にここを選んだポイントは、地下2階と屋上の庭園のデザインを、インテリア設計事務所「スーパー・ポテト」の杉本貴志氏が担当したということだ。 館内には現代アート作品が点在していて、なかでも屋上の草間彌生氏の作品には、非常に興味がある。 しかし……なんだか、外からうかがうと、中が、暗い……? まだ開店前?いや、10時開店のはずだが。 外から2階へ直行するエスカレーターも動いていないし、不安になって、通行人に尋ねてみる。 紺のポロシャツを着てデイパックをしょった30歳くらいのインド系の男性、地元っぽい雰囲気だ。 「ここは、10時開店じゃないの?もしかして営業してない?」 「いや、10時開店だよ。もう開いてるよ。」 「ああそうなの。よかった。なんだかあまり電気がついていないから。」 「やっている店と、まだ開業していない店があるんだ。レストランは開業してるよ。キミ日本人?」 「うん。」 「ボクはここの日本食レストランで働いているんだ。ウオトヤ。」 「えっ、そうだったの?……ウオトヤ?」 「ウオトヤ、ウオトヤ。」 大戸屋のことらしい。 「大戸屋かー、あとで寄るね!」 ウソばかり言って別れた。 中へ一歩入ると、さっそくアートだ。 このステキな足の持ち主は、この女性だ。 どんな美人だか、これじゃあ知りようがアリマセン! 私は名古屋のナナちゃんよりも大きな女性を、この日まで見たことがアリマセンでした! 入ってすぐの、強烈なアートのパンチだ。 Shopping Girlという名前だった。 床に敷き詰められたアート。 ルービックキューブで作られている。 こんな労作が無造作に展示されているような、おもしろいところなのに、ひとけがほとんど、ない……テナントがまだぜんぜん埋まっていないのだ。 とにかくアート置いて、飲食店だけはオープンさせてしまえ!あとからショップはついてくる、というノリでしょうか。 すごい見切り発車だなあ。 まあ私もショッピングをしにきたわけじゃないから、えらそうなことは言えないが、アートを見た人間がブログなどを書けば、それなりに宣伝効果もあるのか。 ではいよいよ、天井もガラスで透け透けのエレベーターに乗って、屋上へ行ってみよう! (第4回へつづく)
by apakaba
| 2010-04-19 10:03
| シンガポール2010
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Comments(10)
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ぴよ
at 2010-04-19 13:57
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遅ればせながらシンガポール旅行記、一気に読んで追いつきました。
すごいビルだなぁ~。ってかナナちゃん負けた(涙) このビルの巨大女性も名古屋のナナちゃんのように地元に愛されるキャラに成長して末永くこの地で頑張って欲しい。 実は私、シンガポール未踏でして。 あんなに何度もバリ島に通ったのに、どうしてシンガに足を踏み入れないのか。 いや、行きたいんだけどシンガって案外物価が高いからさ(滝汗) そんなこんなで夜景から近代建築まで、余すことなくシンガの魅力を伝えてもらえて大感激ですよ。続きをお待ちしております!
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apakaba at 2010-04-19 14:05
ぴよさん、追いついてくれてありがとうありがとう!
いや、あの、実はこの旅行記、どう考えてもとんでもなく長くなってしまいそうで……最後までどうか放り出さないで見てやってください。 最後の最後まで話題は尽きず(当たり前だが)、がんばりますから。 ナナちゃんの例を挙げても、よく考えたらナナちゃんを見たことのない人には比較のしようがない気がして、すでに残念な気持ちになっていたのだけど、名古屋の人から先にコメントしてくれると助かります。 バリとシンガポールは物価がぜんぜんちがうでしょ! そりゃ2日半だから喜んで遊べるのよ。 これでまともに遊園地だのなんだのの観光名所に行っていたら、お金が続かないわ。 デパート行ったって写真撮って退散するだけだしねえ。
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saltyspeedy at 2010-04-19 15:31
シンガポール旅行記、楽しく拝見しています(インド式占星術、今から楽しみ♪)。
オーチャード・セントラル、すごい建物ですね。建築のことはよくわかりませんが、正面から見上げた姿は水戸芸術館のタワーみたい。新宿パークタワーが出来たばかりの頃も、がらーんとしていてこんな感じでした(国内の、しかも最新ではない建築物しか思い浮かばないのですが・・・)。 ケーブルテレビで「Incredible India」のCMを時々見るのですが、映像がすばらしく、見るたびにいつも「いいな~」と思って見入っています。探してみたらYouTube(http://www.youtube.com/watch?v=ed-EwgJfoCk)にありました。凧揚げてますね。
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ミケ
at 2010-04-19 17:33
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バリ在住15年の前半は、1年に2度はシンガポールに足をはこんでいましたが、あの都市(まち)にインド占星術師がいるとは思いもしませんでした。早くつづきが読みたい!
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apakaba at 2010-04-19 22:30
ayaさん、どうもありがとうありがとう!
水戸芸術館には行ったことがないのですが、新宿パークタワーは近いのでよく行きます。 たしかに、箱だけできちゃうとうつろな感じがして心配になりますね。 「Incredible India」のCMのご案内、ありがとうございました。 初めて見ましたがタビゴコロがうずくすばらしい映像ですねえ! くだんのカタカリも前半にちらっと出てきます。 凧揚げは、南アジアの男の娯楽なので、休前日は徹夜でやったりしていましたね。
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apakaba at 2010-04-19 22:40
ミケさん、ナナちゃんを知るひとりとしてコメントありがたいです!(次回分では、すでにShopping Girlのことをナナちゃんと呼んでいるし)
でも、名古屋駅で初めてあのひとを見たとき、私はほんっとう〜〜〜にびっくりしたんですよ! なんか日本離れしたトコ?名古屋って?と思ったものでした。 あれも旅だったのだな。 星占いは午後1時ですが、まだ10時開店の店の前にいますので。
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apakaba at 2010-04-19 22:46
bananaさん、初めまして。
コメントありがとうございます! バリ旅行記もふたつ書いたのですが、今は思いきり頓挫しています。 トホホ。(でもやる気だけはあります!) 私は、20年前にインドネシアをほんとにぷらぷら一人でほっつき歩いていました。 初対面の人の家に長く泊まったり。楽しかったな。 でもシンガポールのぎゅーっと詰まった2日半が、あのバリのぷらぷらした旅行と同じくらいにおもしろおかしかったことを、自分で幸せに思います。 ええとー占い師が出てくるのはまだかなり先です。 気長にお願いしまーす。
旅に出れば旅が懐かしくなる・・・
いつも、言葉に感銘を受けます。 元気さが、元気を呼ぶというのでしょうか。 私もシンガポールを訪ねたことがありますが、20年前です。 お写真を拝見し、懐かしさより、全く新しい街を見ているようでした。 連載期待しています。
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apakaba at 2010-05-15 22:07
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アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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