あぱかば・ブログ篇

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2010年 10月 06日

閻魔大王

「コシヒカリ」は水泳が好きで、「中学生になったら絶対に水泳部に入る!」と張り切っていたのに、入学してみたら廃部になっていた。
どうしても泳ぎをつづけたくて、下校してから近所の温水プールに一人で泳ぎに行っている。
今日は、泳ぎに行く曜日だった。
帰宅してから、更衣室での出来事を話し始めた。

コ :わたしが泳ぎ終わって、着替えてるときに、幼稚園の年中くらいの男の子とお母さんが入ってきて、お母さんが着替えさせてたの。男の子は「ボク男の子なのに、どうして女の子の部屋で着替えるの!」って言って、お母さんは「自分じゃ着替えられないでしょう。」とか言ってた。
スイミングの教室が始まるみたいで、その子はシャワーも浴びてた。
お母さんは着替えを手伝ったら、ロッカーのカギを持って「じゃあねー、がんばってねー」って言いながら出ていったの。
男の子は「うん、バイバーイ」とか言ってニコニコしてたんだけど……
お母さんが更衣室から出ていったら、「行っかなーいよ〜〜!」って。

私 :ん?スイミングをさぼろうってコト?

コ :そうみたい。ずっと更衣室にこもってさぼるつもりみたいで。

私 :ありゃー。まだそんなに小さいのに、悪いヤツだなー。しかもその調子じゃ何度もやってるね。




コ :それでわたし、思わずその男の子に、「キミ、スイミングは?」って聞いたの。

私 :えっ?

コ :だってお母さんが出て行くまで、ニコニコして、シャワーまで浴びてみせて、やる気満々みたいにしちゃって、それなのに出ていったとたんにいかにもお母さんをバカにしたような言い方するから。

私 :ははー。カチーンときたわけだ。「コシヒカリ」さんの正義の心にボッと火が点いたんだな。

コ :うん、まあ、そう。それに、わたしも昔、似たようなことをおかーさんにして、おかーさんを悲しませたから。

(この子はたしかに不良娘で、平気で私にウソを言ったりしていた。)

私 :ナルホド昔の自分に重なったわけだね。

コ :うん、そう。それでその子に「キミ、たった今お母さんにがんばるって言ったのに、ここでさぼるつもりなんだね?つまりお母さんを“だます”のね?」って、ちょっと強く言ったの。
そしたらその子はワーワー泣き出して……「ヒック、ヒック(しゃくりあげる)だって、およげないんだもんー!」って言うの。“だます”っていう言葉を言ったとたんに、泣き始めたの。
だから、ちょっとやさしく「泣くってことは、お母さんに対して悪いなという気持ちがあるからだよね?」と言ったの。

私 :うーんすごいな。ベテラン刑事みたいだ。取調室みたいだ。「カツ丼食うか?」とか言っちゃって。

コ :そしたらその子は「あとでほんとうのことを言うよぅー」って言ったから、わたしが「ちゃんとお母さんにさぼったことを言うの?」って聞いたら、「……言わないけど……」
ちょっと待てよ、とか言っていたら、ちょうどそこにプールの見回りのお姉さんが来たから、「この子、泳ぐのがイヤでプールに行かないでここにいるつもりみたいで、体が冷えるといけないし、お母さんはロッカーのカギを持って帰ってしまって」とか言ったの。なんかわたしが泣かしてるみたいじゃん。泣かしたんだけど。
そしたらお姉さんが「すぐに追いかければ、お母さんはまだその辺にいるかもしれません」って言って探しに行ったの。
わたしはその子といっしょに待ってたの。
でもそんなことやってるうちに、わたしの退出時間が来ちゃって、お姉さんが「お母さんがつかまりました」って戻ってきたのと入れ替わりに、出てきちゃったんだ。

私 :へえー。そのお母さんに事情を説明して、「お母さん、あまり怒らないでやってください。わたしも昔は悪くて、似たようなことをしたものですから(遠い目)」とか言えば、もうカンペキに教育番組のドラマに出てくる人みたいだったねえ。

コ :いやいやそこまではしたくないから。でも出口のところで、ジュース飲んで待ってたんだ。その子を泣かしたから、飴でもあげようかなっと思ってしばらく待ってたんだけど、二人ともぜんぜん更衣室から出てこなかったの。

私 :ははー。そりゃ中で揉めてたんだな。きっとお母さんがすごく怒ってたんだろうねえ。

コ :たぶんね。それでわたしも帰らなきゃいけない時間だから、残念だけど帰ってきちゃった。

私 :こうしてしゃべると長い時間みたいだけど、それってきっと5分か10分くらいの出来事でしょう?

コ :うん、そうだよ。

私 :それでも、その子にとっては一生忘れられない記憶になるよ。この先、なにか悪いことをしそうになったとき、「ハッ!あの、プールで会ったこわい大きなおねえさんが!」って思い出すよ。すごいね。「コシヒカリ」さんはその子の閻魔大王になったんだ。

コ :アハハ、うん、そうだねー。

by apakaba | 2010-10-06 22:27 | 子供 | Comments(2)
Commented by minmei316 at 2010-10-08 11:58
コニシキ・・・・・もとい、コシヒカリちゃん
(コシヒカリと打ち込もうとして、なぜだかササニシキが浮かんできて
そしたらコニシキになっちゃった・・・)
コシヒカリちゃん、えらいっす。よく言えた。感動した。
さてさて、これがもしうちの子なら、はたして言えただろうか・・・
と考えてしまいます
愛情あふれる素直ないい子ですね(コシヒカリちゃん)
だって、その子の為を思ってやったことだからね
閻魔大王はほんとは愛情あるいい人なのかもしれない・・・
と思ってしまった
Commented by apakaba at 2010-10-10 19:46
minmeiさん、二人合わせてヤンマーではなくてコニシキでしたか。
思いもしませんでしたねえ。
この辺りは、地域の意識が高くて、近所のつながりとかが密接なので、昔から人の家の子と絡み合って育ってます。
娘も基本的に不良なので、外で人さまからいろいろ注意されて大きくなっているんでしょうね。
「昔はやんちゃしました……」ってクチですね。
優等生より機微を知っていて、おもしろいです。


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