2011年 12月 11日
5.バリ到着・クタへのつづき(1.はこちら)。 それにしても、初クタの印象は、さっぱりいいものではない。 なんというか、工夫がないというか。 おそらく、そんなに必死になって工夫しなくても、そこそこ生きていけるからなのだと思うが、20年前に初めてインドネシアをまわっていたときの感想と同じである。 似たようなくだらない土産物屋がずらーっと軒を並べているのは、いろいろな国で見てきたが、その街のテイストが合う・合わないというのはあると思う。 たとえば香港(2011年3月・同8月)はおもしろかったが、香港の廟街(巨大な土産物街)はまったくおもしろくなかった。二度と行かなくてかまわない。 しかしエルサレム旧市街のバザールは、行かれるものならすぐにもまた行きたい。 バリは、どうだろう? 私はバリが好きなのだろうか? 気候は、わりと好きだと思う。 でもどこか「好き!」と言い切れないなにかがある。なぜだろう。 日本とのあまりの経済格差だろうか。 外国人のお金に群がる感じは、たしかにつらいな。 その一方で、あまりに工夫がない店の商売とか、それでも暮らしていける、土地が持っている豊かさとかは、うらやましいというか歯がゆいというか。 歯がゆく感じるのは、自分が資本主義に浸かっているからか。 ろくに働きもしないでも、餓死もしないし栄養失調で病気になっている人もいない(乞食を見ない)ことは、インドやアフリカの国々のような、“息を呑むほどの貧しさ”とはレベルがちがうのであって、そのことに無性に苛立つときがあるのだ。 それは自分でも実に不思議な感覚である。 苛烈な自然環境(暑いというだけで人がバタバタ死んだりする)でもなく、手を伸ばせばバナナだのなんだのが食べられてなんとなく暮らしていけるという、この土地のものすごい豊かさを、素直に「いいねえ」と思う気持ちもあるが、どうしても「生きることへのシビアさが足りないから、ルーズになるのではないか?」「サラリーを得ることをナメてるんじゃないの?」などと思ってしまう。 そういう考え方は狭隘なワーカホリック的考えなのかもしれないけど。 その思いとともに、バリ(インドネシア全土がそうなのかもしれないが、観光地としてのバリ)が、見る見るうちに自然を破壊していく様子にも驚く。 “隠れ家ヴィラ”というと聞こえはいいが、森林をどんどん切り拓いて観光客にホテルなどを提供するのは、もうやめたほうがいい、と、前から思っていたけど、ちっとも勢いが衰えない。 こんなふうにあまり考えもなく乱開発(しているように見える)してしまっては、ゆくゆくは自分の首を絞めることになるのに。 自然が売りのはずなのに、どんどんなくなっている。 そのうち米やフルーツも輸入しないといけなくなったりして。それじゃ本末転倒だ。 大気汚染もひどい。 私は空気が悪いことが激しく苦手なので、この排気ガスと粉塵にはほとほと滅入る。 クタが好きになれないのは、そういうバリのマイナスなところが詰まっているからのように思う。 (7.ジンバランの夕陽〜プリ・バンブーのプールへつづく)
by apakaba
| 2011-12-11 14:51
| バリ&シンガポール2011.11
|
Comments(11)
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タカモト
at 2011-12-11 21:39
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確かに。
同じ仕入れ先であろうところから隣同士で購入して売る。 メイン通りならともかく裏通りでも同じ感じで。 商売(生活)が成り立つのか不思議でした。(バリだけではなくどこでも) で、客が来ないのか横になってる売り子が多い。(笑) でも、生きてるってことは成立してるんだろうと。 餓鬼のころはそれでも乞食は居たね、日本にも。 で、気が付けば見なくなって再び見たのはバンコクだった。 衝撃だった記憶が。 まー昨日カルロス氏も言ってたけど。 尋常ぢゃない排気ガスだよねぇ。 活気があると言えばそーなのだけど。 ホーチミンも凄かった。 でも東南アジアは大好きだなぁ。
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apakaba at 2011-12-11 22:08
なんだかんだいって、気候がいいからね。
日中50度、陽が落ちると10度切るような砂漠とかだと、あんなにのんびりしていられないもの。 それだけ「生きる」ことにシビアになってくるし。 バリに来たときの、なんともいえない感覚(好きと素直に言いがたい感じ。何度も来るのだけど)、他の旅先にはなかなか感じにくい感覚です。
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ヒロ
at 2011-12-12 08:55
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一発屋で観光客から大きく儲けを頂いたら、まじめにヤル気がなくなったりして…
テロ直後で観光客が激減した時は、こりゃまじでヤバイぞと真剣に考えたのかなぁ。(´Д` )
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banana
at 2011-12-12 08:58
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このユルみが居心地いいんですわ。なんだかんだいっても、選ぶとすればやっぱりシビアよりもユルみだなと、加齢とともにますますユルみ志向のつよまるわたくしには、16年前に、この島を移住の地に選択したのは正解だったなと思ってます。
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ふくちゃん♪
at 2011-12-12 10:00
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あの店達はどうやって成立してるのか、謎ですよね。
まさか店やってる人がその辺のバナナ取って食べて暮らしてるとも思えず、、、 最近はみんな高そうな車乗ってるし携帯とか電化製品とか色々持ってるけど、どこからお金が?ってものすごく不思議です。 何度も来るけど好きと素直に言いがたい感じ、わたしもそうです。 友達がはじめてバリに行くとかいう時、どこをおすすめしたらよいのかちょっと悩むし。 わたしは怠け者だから、だらだらしてるの好きだけど(微笑) 段々、そうも行かなくなってる感じもあります。 やっぱりお金がないと、やって行けない世知辛い感じ。
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apakaba at 2011-12-12 10:09
クタレス。
ヒロさん、バリにいても、たまに「目端の利くヤツだなあ」と感心する人に会うことはあるけど、多くの人はのんびりですよね。 あのテロは、ほんとにショックでした。 bananaさん、私も暮らすなら砂漠の厳しさよりはバリのほうがいいな。 「暑い」といっても50度になんかならないもん。 たいしたことないですよね。 ここのところ、温暖化が強まって日本もだんだん暮らしにくくなってきました。 日本の誇る「春」と「秋」が消えて、酷暑か極寒のどちらかの二季制に……けっこう激しい気候です。 気候は決定的に人間をつくると思うので、この先の日本人はもっと激しくなっていくかも。
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apakaba at 2011-12-12 10:16
ふくちゃん♪、ワハハーさすがにバナナとって食べるは極端なたとえですけど!
でもほんとに農作物を育てるのには向いているよねー。 日本のコメ作りとかが、ばかばかしくなってきそう。 中国系の人々の、世界各国でシビアに暮らしているたくましさなどを見ると、まったくキミらののんびりさはどうしたことだと思ってしまう。 でもバリは、インドとネパールで較べるとネパールみたいな感じで、ジャカルタからバリにやってくるととんでもなくくつろいだ気分になる……なんていう効果はありそう。 過酷でなければならないってもんでもないし。 でもちょっと踏み込むと、噂や嫉妬やプライドもせめぎ合っていて……バリにもいろいろあるのねと思うわ。
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ぴよ
at 2011-12-13 08:14
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昔のクタ(と言っても私が知ってるのはせいぜい15,6年前)と今のクタを比べてみても・・・大して変りがない、というのが逆に不思議な気持ちになるんだけどね。
ウブドなんて10年行かない間にびっくりする位醜悪になってて(ヲイ)、眞紀さんがおっしゃるとおり乱開発でのどかな田園風景が全くなくなってしまって正直がっかりしたんだけど、クタは逆に爆破テロで観光客が激減した事で少しは「観光地としての在り方」を考えて小奇麗にするとかアジアンリゾートとして洗練するとか、何か変化があったのかな?ってちょっとは期待してたんだけど ・・・びっくりする位変わりなく混沌としてると言うか、更に妙に近代的なデザインの商業複合ビルをところどころに作っちゃって、それが周囲のやる気のない土産物屋と相まって絶妙な安っぽさを醸し出しちゃって、やる事成す事全部裏目みたいな状態になっててwww でも私、それでもバリ島大好きだけどね! 何だろうあの吸引力は?自分でも説明が付かないけどまだ飽きないね!
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apakaba at 2011-12-13 09:06
クタレス。
ナルホドー昔から同じだったのですね。 私の場合、けっこう、旅先の印象を決定づけるのって、「空気」であることが多い。 排気ガスと粉塵が苦手で、空気が悪いと印象がすごく悪くなってしまうの。 だから香港やバンコクなどの中心部はとてもツライ。 クタも空気悪かったなあ〜。 あと、多分、もっともっと「昔なつかしいバックパッカーのたまり場」的スポット(カトマンズなど)みたいな場所に較べて、たまり場っぽさが妙に薄いのがなんとも中途半端で。 それでも世界中から旅行者を集めているのだから、魅力のあるところなんだろうなとは思ったわ。 旅行をしていて、「旅行ではなく、少しならここに住みたい」と思えるか?と考えることがあるのだけど、バリは「リピートする旅先」だな〜。
こんにちは~。次々古い記事にすみません。
ドラゴンタトゥー、見ていないんですが、フィンチャーですもの 見ておかねばですね! ところでバリ島に何度もいらしてるのですね!ちょうど今旅行記書いていたので、反応しました(笑)。 ウブドの目覚ましい開発されっぷりに、今回もびっくりした旅でした。田んぼなくなっちゃーう!
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apakaba at 2012-10-01 09:29
マイキーさん、すっかり返信が遅くなってごめんなさい!
フィンチャー版は小説のよさを汲んでいてとてもよかったですよ。 バリはなんだかんだいって何回か行っています。 初めて行ったのは91年でした。 マイキーさんの旅行記も是非読みたいです。 最近PCに向かえる時間が厳しくなっているので、すぐには読めないでしょうが絶対読みますね! |
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以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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