あぱかば・ブログ篇

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2012年 05月 14日

娘の行きたい京都へ行く 5.新選組めぐり・光縁寺

4.新選組以外の目的地(後編)のつづき。

やっと本来の目的「新選組の聖地めぐり」!
とかなんとかいっているうちに、この旅行から早二ヶ月が過ぎ、娘の「コシヒカリ」は先週、修学旅行でまたも京都に行ってきた。
娘の班はすべて娘が仕切って、結局またまた新選組めぐりをしてきたという。

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娘がなにをおいてもまず「行きたい」と言っていたのが、この光縁寺(こうえんじ)だ。
「コシヒカリ」は新選組総長・山南(やまなみ)敬助の大ファン、というかNHK大河ドラマ『新選組!』で山南さんを演じた堺雅人の大ファンなのだ。
このお寺には、山南さんが眠っているのである。
山南さんは、規律を厳しくして統制を図ろうとする土方歳三らと意見が対立して孤立するようになり、遊女を連れて組を抜けようとするがそれは許されず、切腹することになる。

ちなみに、なぜ私が「山南さん」と「さん」づけしているかというと、単に娘がいつも言っているのがうつっただけである。
娘は山南さん以外、「土方」「沖田」「近藤」「いとうかしたろう」などと、すべて呼び捨てにしている。
おそるべし堺雅人。
いや、私も堺雅人は好きですけど。



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寒いがいい天気で、庭先でひなたぼっこをしていた住職さんに来意を告げる。
来意、それはもちろん「娘が山南さんが好きで、お参りをしたくてうかがいました」。
若いお嬢さんをダシにするとたいていのことはうまく運びますよね。

「ほう!あんた山南さんが好きなの!なら、ちょっといいものを見せてあげよう。こっちへ来な。ほら、これ。」
ひからびた骨を取り出す。
娘が
「え!こ、これは……!!!!!???????」
と目を丸くしていると、
「これはな。これは……おっちゃんが食べたファミチキの骨や!」
(ちなみに二ヶ月後に再訪すると、まったく同じギャグを修学旅行生たちにもかましていたという。娘のことは完全に忘れていたらしい。)

「壬生寺やなんかには行ったの?」
「いえ、まだです。まずこちらに来たいと思って。」
と言うとすっかり住職さんは喜び、娘相手にあれこれしゃべる。

曰く、壬生寺やら旧前川邸やらよりも、ここ光縁寺こそが第一の新選組ゆかりの場所である。
自分の祖父(曽祖父かも)が山南さんと親交があり、当時逆賊と呼ばれながらも彼の亡骸をここへ運んで埋葬したのだ。
しかし新選組ファンも、大河ドラマの撮影クルーも、みんなここは素通りして壬生寺だのなんだのへ行ってしまう。
大河の連中で来たのは唯一、堺雅人だけだった。
「え?堺さん来たんですか!」
「ああ、来たよ。来たいうてもあいつはきょろきょろ見ていっただけですぐに帰りよったわ。」

いろいろと不満をかこつ住職さんだが、「コシヒカリ」は堺雅人も来たということですでにカンゲキで胸がいっぱいのようだ。
「さすが!堺さんはまじめだもん!」

お堂に上がらせてもらうと、きれいな位牌があった。

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来訪者のノートを見てみると、やはり山南さんへの言葉が圧倒的に多い。
若い女の子が「山南さん、やっと会えました……」などと書いている。
うーん、どっちかというと堺雅人ファンなのでは……と私は思ったが、娘は「ちがうってば。山南さんはやっぱり人気なの!」と言い張り、自分も熱心にナニゴトか書きつけていた。
(二ヶ月後に再訪してみたら、娘の書き込んだノートはすでに使い終わっていて次のノートになっていたという。思ったより来訪者が多いようだ。)

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本堂の裏手にせまい墓地がある。
そのすぐ後ろに嵐山本線が走り、建物に囲まれている。
新選組の隊士たちはこんなところに入っているのか。おもしろい光景だ。

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新しい木の塔婆を見ると、不思議な気持ちだ。
新選組の人々が死んだのは、まだつい最近のことなんだな。
堺雅人は好きだがとくに山南さんのファンではない私でさえ、なんだか親戚でも亡くなったかのような、少し悲しい気分になった。
それも、隣で「コシヒカリ」が「わたし、泣きそう。」とか言って本気で山南さんの死を悼んでいるからなのだ。
長い時間、お墓の前にいて、
「もうわたし満足した。京都に来た目的はもうこれで達成された。もうなにも思い残すことはない。」
と言う。
歴史上の人物にここまで入れ込めるって大人には理解不能だけど、これが若さなんだろうな。

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山南さんの隣、一番奥の小さい墓が、沖田総司の“縁者”の墓だ。
お参りし終わって庭へもどると、住職さんが娘に話しかける。
「見てきたか?奥に沖田の縁者いうのがあったやろ!」

住職曰く……
あれは、山南といい仲になって逃げようとした遊女の明里(あけさと。山南さんがつけた源氏名)ではないかといわれている。
山南が切腹するとき、介錯したのは、もっとも信頼していた沖田だ。
沖田に、自分の死後、明里をよろしくと頼んだ。
沖田は約束を守って明里の面倒を見るが、若い男女のこと、その二人がいい仲になってしまった……のではないか。
しかし山南の遺言があるから、二人がおおっぴらに結ばれるわけにはいかない。
だから“縁者”ということにして、沖田と明里ちゃん(住職が「ちゃん」づけした)はあの世で結ばれることにしたでのはないか。
この出所不明の女性の戒名は、「院」のついた最高位の戒名になっている。
これは自分の尊敬していた総長の女を取った沖田からの気持ちなのではないか……。

「え、えええ〜〜〜〜……。そんな……」
オトナな事情を話されて、幕末ロマンを打ち砕かれる「コシヒカリ」。
脳裡には、きっと切腹前夜の、堺雅人と明里の最後の会話シーンが浮かんでいたことだろう。
そうです。新選組なんて基本的にはならず者の集まりですよ。
そんなに聖人ばかりじゃありません。
でもそんな生臭いヤツらが、本気で日本を救えると信じて命を張っていた。
だからおもしろいんだね。
ここのご住職も、生臭坊主な感じがすごくよかったね。

(最終回6.新選組めぐり・八木邸・旧前川邸・新選組記念館につづく)

by apakaba | 2012-05-14 16:12 | 国内旅行 | Comments(7)
Commented by kajikko at 2012-05-14 21:12 x
私も堺雅人人気だと思うけど、新選組!の山南さんは最高だったからなあ。山南さん切腹で新選組!は終わっている感じがする(うん、そうでもないか。竜馬暗殺の回もショックで、印象に残っているな)。
Commented by apakaba at 2012-05-14 21:19
ものすごくぴったりとはまっていたよね>堺雅人
まー我々の後輩だからねえ。いい俳優だよ(少し、鼻高々)
龍馬は、あのドラマでは福山よりももっと無頼派っぽさの出ている江口洋介でしたね。
そして『新選組!』にも『龍馬伝』にも、どちらにも谷原章介が出ていて、ちょっぴりコンラン
Commented by あさり at 2012-05-14 22:39 x
はじめまして。
うちも親子で組!ファン、私は堺ファンでもあります。
光縁寺の住職さん、私たちが行った時も「あっちは1000円も入場料とるんだよ…」などとボヤいていらっしゃいました。
そして、高1の娘に沖田と明里についてこんな説があるらしいよと話したら、そんな話聞きたくなかった…聞かなかったことにする。と、ものすごいショックを受けてました。
このくらいの年齢の女子にはショックな話なんでしょうね。
Commented by apakaba at 2012-05-14 22:51
あさりさん、コメントありがとうございます!
うわーなんだか似た雰囲気の母子ですね。
うれしいです。
今、一家で『リーガル・ハイ』を視聴していて、私だけ家事で見られなくて乗り遅れております。
堺雅人はなにをやってもうまいですが、『クライマーズ・ハイ』の佐山役、よかったですねー!

うちの中3の娘ばかりか、お嬢さんのロマンまで打ち砕いてしまって、罪な住職さんです。
なんか憎めない人ですけどね。
あと一回分、新選組めぐりしますのでつづけてお読みください〜!
Commented by 那由他 at 2012-05-15 14:24 x
「新撰組!」を見てなかったのですが、
娘の読んでいたコミック「新撰組異聞PEACE MAKER 」では、
「山南(さんなん)さん」は、眼鏡をかけて優しそうなヴィジュアルでした。
漫画なので脚色してありますが、魅力的な人物として描いてありました。
そんなわけで、私もつい「山南さん」と呼んでしまいます。
ご住職さんのお祖父さんが山南さんと親交があった…
明治維新直前に亡くなっているので、
ご住職のお祖父さんは、江戸時代生まれですか!

大河ドラマになるのを見ていると、
ずいぶん昔の出来事のように感じますが、
割りと近い時代のことなんですね。


漫画では、明里は、元風魔の忍びで山南さんに近づいたが、
いつの間にか山南さんを本気で愛すようになったという設定でした。

「沖田氏縁者」の正体には、いくつか説があるようですね。
Commented by apakaba at 2012-05-15 16:17
おお〜そのコミックはきっと娘も大はまりしそうです!
「さんなんさん」と呼ばれていたようですね。

きっとご住職は、娘みたいなキラキラ歴史ロマン女子が「がーん」となるのがおもしろくて、あの話をさも真実のように語っているんだと思いますよ。
他にも諸説あり、なんともいえませんものねえ。
お人が悪い。
でもおもしろかった。
Commented by apakaba at 2012-05-15 17:35
そして、娘とも、「江戸時代生まれはやっぱり世代的になにかなー」という話にもなりました。
ひいおじいさんかもしれませんね。
本文にも入れておこう。


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