あぱかば・ブログ篇

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2012年 05月 29日

本能にしたがうようになる

さきほど、フジテレビ系ドラマ『リーガル ハイ』のオンエアを見ていた。
(あとで見る人のためにネタバレでは申し訳ないのでぼやかすが)ある女性がある男性の手を胸に持っていって触らせる。
ついこの前、こんな光景を見たな……と思い出した。

大盛況の美術展だ。
大作が並んだ展示と人込みと熱気の抜けない館内を歩くことに疲れてしまい、展示スペースの中央部分にあるソファに座ろうかと目をやった。
ソファにもすでに隙間なく人が腰掛けており、私が座ることは難しそうだった。
皆黙って、展示された絵を眺めて休んでいた。

おじいさんが並んで座った女性と談笑していた。
おじいさんは70代ほど、いっしょの女性はもう少し下で60〜70代前半のように見えた。
夫婦なのか、女性がおじいさんを介護しているのか、関係がよくわからないが、途切れ途切れに聞こえる会話は「〜〜でしたね。」「ええ、そうですね。」といった、ていねいな話し言葉だった。
おじいさんの左手は、女性の右胸を休みなく揉んでいた。
作品保護のための暗がりの中だし、女性の服の裾から手を入れているので、ほとんど誰も気付いていないようだった。
私は視力がいいのと、空席をさがしていたから、二人の様子が妙であることに気付いたまでだった。

いや、二人の様子は、妙ではなかった。
仲よく寄り添って、ほがらかに会話を楽しんでいるだけの夫婦のように見えた。
ただ一点、ひっきりなしに胸を揉んでいる手をのぞけば。

はじめ、ひどく不愉快になり、そのあと、悲しくなった。
おじいさんは、通常の理性をもう持っていない状態の人なのだろう。
そうでなければ、泥酔もしていないのに、いくら暗がりとはいえ昼間の公衆の面前で女性の胸は揉まない。
あの女性は、介護の一環としてあんなことをゆるしているのだろうか。
介護の現実からしたら、ありふれたことなのかもしれないけれど、ふだん目にすることがないから、ショックだったし考えさせられた。

理性をなくしていくことは、残酷なことだなあ。
おっぱいが好き、だから触る、というのでは赤ちゃんか幼児と同じだ。
名画にかこまれ、入場料を払って鑑賞しに来ている人々のまっただ中で、それをするのか。
二人の表情には、卑猥なところはまるでなく、ただにこやかで明るいのだった。
他の入場者や係員に見つかる前に、早くやめて……と願いながら、立ち去るしかなかった。

by apakaba | 2012-05-29 23:26 | 生活の話題 | Comments(0)


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