あぱかば・ブログ篇

apakaba.exblog.jp
ブログトップ
2012年 06月 25日

はぐれた鴨

毎年この時期、川沿いの遊歩道を犬を連れて散歩していると、手すりから乗り出して川面を見つめている人だかりに出くわす。
鴨の親子を見ているのだ。
散歩・ランニング・ウォーキング・ただ通っているだけの人、いろんな人が「かわいいわねえ!」「7羽いたけど減ってる。流されちゃったのかな」などと言葉を交わし合ったりする。

今日はいちだんと遊歩道がにぎやかで、しかし人々は、いつものような平和な見守りの雰囲気ではなく、なぜか思案顔である。
「かわいそうに、はぐれちゃってる。」
「あれじゃ他の母親にいじめられるのよ。」
私も川を見下ろすと、まだ小さいひな鳥2羽が、親とはぐれてぴったり寄り添ったまま泳いでいる。
人間にたとえると、幼稚園児くらい。
あんなに頼りない様子では、カラスや猫にやられるだろう。

c0042704_239056.jpg


そのまま上流へ20分ほど歩いていくと、また人だかりがしている。
こんどは思案顔というより真剣そのものだ。
手すりを傘でがんがん叩いて音を出しているおじさん、犬を呼び寄せるような口笛を吹くおじさん、雑草を引っこ抜いては川へ投げ落とすおばさん、なんだあの騒ぎは。
下には、母鴨と4羽のひなが下流に向かって泳いでいた。
親子を脅かして泳がせ、下流へ差し向けようとしているのだった。

「あれがはぐれた親子よ!ガンバレ!もうすぐ別れた子たちに会える!」
でも私とコーシローの足でも20分も歩いてきたのに……この人たち、ほんとにはぐれた2羽と出会えると思っているんだろうか?

c0042704_2393593.jpg


そのまま公園へ犬を連れていって遊ばせ、また川沿いを下流に向かって戻ってくると、例の母鴨と4羽のひなを両岸から取り囲んで、手すりを叩くおじさんと、雑草を放り投げるおばさんと、ギャラリー一団が、だいぶ下流へと歩を進めていた。
亀の歩みというか鴨の泳ぎというか、のろのろながらも着実に下流の2羽に近づいている。
すごいがんばりだなあ。
しかしあれからもう30分ちかくたっているのに。
この人たち、ごはんのしたくとか、見たいテレビとか、いいのかしら。

彼らを追い越し、下流の2羽のところまで歩く。
2羽を見守りながら、人々が口々に
「かわいそうに。」
「でももうすぐ親子が追いつくよ。ほら、もうあの橋のところまで来てる。」
「あっほんとだ!」
「ぼくはここでもう1時間も待ってるんだよ。」
「ママ、なにがいるのー?」
「○○ちゃん、カモさんよ。ほら、もうすぐお迎えに来るよー」
見知らぬ人同士、すごい盛り上がりだ。
しょうがない、私も待機だ。彼らに付き合おう。
コーシローは「なぜ帰らないの?」と鼻をくんくん鳴らすが、感動の再会を見届けるか。

c0042704_23101730.jpg


上流から長距離を脅かされつづけて必死で泳いできた親子が近づくと、一瞬びっくりして叫びながらバタバタと逃げまどった2羽だったが、すぐに合流した。
両岸から、大拍手。

「東京の人は冷たい」と、面と向かって言われたことがあるけど、この善男善女を見ても同じことが言えるかな。

by apakaba | 2012-06-25 23:11 | 生活の話題 | Comments(2)
Commented by ぴよ at 2012-06-25 23:56 x
やだもう、この記事読んだだけで涙目…てか泣いてるんだけど!
よかったわー。再び出会えて本当によかったわー!

東京の人が冷たいって?そんな風に思った事、一度もないわっ
それって「=日本人って冷たい」じゃない?
だって東京って「日本全国の集積地」だもの。
少なくとも私にとって「東京人(東京の人)」ってそういうイメージよ
敢えて書くけど「江戸っ子」とは一線を画すからねっ

まーでも、「東京人」談義は横に置いて、鴨ちゃんファミリーには
本当に一安心しました。本当に良かったー♪^^
Commented by apakaba at 2012-06-26 07:31
私も、「娘が塾に行くまでにごはんを作らなければ」ってわかってても、やはり帰れなかったねえ。
おかげでおかずが一品減ってしまう事態になったのだけど、きっとあの人々のおうちでも、一品減って、でも満足していたことでしょうよ。

ラッシュ時にベビーカー押して新宿駅歩いてたら誰も助けてくれなかったから「東京の人は冷たい」と言われたことがアリ。
そう言われてもねえ……もしかしたら、そのサラリーマンたちはアナタの郷里から出てきてる人かもよ……とは言わなかったけどね。
まあ、あとは関西の人からのいわれ無きバッシングかな。
さびしいですよ。
私も自分のことを決して東京の人間とは思ってないけど、江戸の人は人情にあふれていて大好きです。


<< 浅草      胡蝶の夢ひらひら台北 4.金瓜... >>