2012年 08月 29日

テマヒマ展に行って思ったこと

21_21 DESIGN SIGHTで開催されていた、テマヒマ展〈東北の食と住〉に行ってきた。

c0042704_14471667.png


東北地方で受け継がれてきた保存食品や伝統工芸品などを陳列している。
映像で実際にそれらをつくっている様子を見て、大判の写真で東北の自然や農家の軒先などを見る。
この展覧会は、もちろん東日本大震災を受けてのシリーズ企画であるが、展示の中では震災のことには触れていない。
ただただ、美しいモノが並んでいるだけ。
それが胸にぎゅうっと迫る、すばらしい企画展だった。

ここには何度か来ているが、これまでで一番よかった。
今までは、「なにを見ても、プログラムが建築(安藤忠雄)に負けてる」という感想しか出なかったが、今回は安藤氏のことはすっかり頭から消えていた(安藤建築のことが頭から消え去る瞬間こそが、最も安藤建築を輝かせる瞬間でもあると私は思っている。建築家の本望というか)。

残念ながらもう会期終了なので、あまり展示内容に詳しく触れてもしょうがないのだけれど、私がとくに感動したことを書いておく。
それは、来場者の多さと、その多くが若い人だったということだ。
ここがこんなに混みあっているのを見たのはまったく初めてのことだった。
六本木という都会の真ん中だから、という理由では決してないはずだ。
東京のいろいろな展覧会に行っているが、がらがらの展覧会はいくらでもある。
ひとえに、“東北への関心の高さ”ゆえだ。
やはり、震災を経て、東北への注目度は俄然高まっている。
有名西洋画家の美術展などによくいる、レベルの低いおばさん来場者たちとはまるでちがって、皆、展示品にうっとりと見入っている。
その、人々の真面目な見学態度を見るにつけてもすっかり感激して、涙が込み上げそうになった(震災のことを考えると異常に涙もろくなってしまう私)。

来場者の若者の比率の高さも目を惹いた。
記憶にある限りでは、直島のアート巡り(旅行記へ)に匹敵する“若者率”だった。
若い人は本当に真面目だな。
大学生くらいの男性二人が、
「少し、展示が無機質なんじゃないかと思ったんだよ。あれだと親しみが感じられないような。」
「俺はそこがよかったと思う。むしろああいう、べたべたした感傷を排したような、わざとそっけなく並べた展示が狙いっていうかさ。それがあの、並んでるモノを引き立たせてるというかね。」
「ああ、展示に集中できるって感じ?」
「うん。」
などと、真剣に感想を述べあって議論していた。

c0042704_14482372.png
やっぱり私は東京が大好き。真面目な若者が好き。老害退散。

東京は、東北とこんな形でつながってる、と思えた。
東京っていいなあと思っちゃった。
やっぱり、若い人は国の宝だな。
東北の美しい品々にしみじみとし、若い人たちの動員数を目の当たりにして、希望に満ちた気持ちになった。

※以前、21_21 DESIGN SIGHT を訪れて、安藤忠雄氏ご本人とお会いできた話はこちら→安藤忠雄ギャラリートーク@21_21 DESIGN SIGHT
この建築本体のことについて、アツくレビューしてます。こちらも是非。

by apakaba | 2012-08-29 15:06 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)


<< 窓を開けて風を入れて……      夫を迎えに行ったはずが >>