あぱかば・ブログ篇

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2012年 08月 30日

窓を開けて風を入れて……

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陽が落ちた川沿いの遊歩道を犬の散歩で歩く。
後ろから歌声がとぎれとぎれに聞こえてくる。

自転車に乗った人は、聞かれても一瞬で遠ざかってしまえる気安さからか、鼻歌を唄いながら、時に大きな声で熱唱しながら遊歩道を走っていることがある。
後ろから聞こえてくるのは男性の歌声だった。

聞いたことのある歌詞だな?と思い当たり、なんだっけなんだっけ……と、同じ進行方向に歩きながらも、その自転車が追いついてくるまで考えている。
“窓を開けて風を入れて……”
“二人きりの夕涼みは……”

ユーミンか?

はっと思い出して顔を上げた瞬間、ぴたりと歌が止まった。
その人は、私の背中がすぐそばに近づいてきたら、聞かれるのが恥ずかしくなったらしい。
なかなか上手なのに。
恥ずかしがっているのに、振り向いて相手を見るのも悪いので、なにも聞いていなかったふりをして歩き続けた。

私を追い越したその人は、若いお父さんだった。
“お父さん”とわかるのは、後ろの席に小さい娘がちょこんと載っていたからだった。
保育園のお迎えの帰りだ。
その日は金曜日で、明日はお休みなのだろう、後ろの席からこぼれ落ちそうなくらいに、持ち帰りの荷物も積んでいた。
タンクトップを着て、夏用の中折れ帽をかぶったお父さんは、私を追い越したら安心したのか、また歌のつづきを始めた。

“窓を開けて風を入れてむせるくらい吸い込んだね 二人きりの夕涼みは二度と来ない季節……”

まだ聞こえてるよー。
あの人は娘に、帰り道でああやって夏の歌を聞かせているのか。
タンクトップの大きな背中と、麦わら帽子の小さい背中は、すぐに闇に消えた。
何十年も思い出さなかった歌だったな。

by apakaba | 2012-08-30 11:03 | 生活の話題 | Comments(4)
Commented by えみぞう at 2012-08-30 18:35 x
その歌がまた誰かの思い出になるんですねぇ。
Commented by apakaba at 2012-08-30 18:47
たぶん、その小さいおじょうちゃんのね!
Commented by kaneniwa at 2012-08-31 10:27
鼻歌を人に聴かれるのは、
ちょっと恥ずかしい。
鼻歌の続きを妻(シャラポア・日本人)に
歌われてしまうのは、
何だかくやしい。

BYマーヒー
Commented by apakaba at 2012-08-31 13:15
わかります。
シャラポアさんにはなにも恨みはないですが、私は「人が唄っている歌にハモったり、つづきを唄われたりする」のは苦手です。
やたらそうしてくる人っているでしょ。
相手からすれば気を許しているのだろうけど、「あれ?あたしが唄ってたんですけど!」という気分になってしまうの。
それと同じで、「あいづちがわりに、語尾をハモってくる」人もだめだわ。


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