2012年 09月 13日

落ちた蝉

“なぜあんなにランドセルが大きいんだろう?”
いぶかしく思ったが体が小さいからだった。
黄色い帽子は1年生の証だ。
男の子ふたりは、しゃべりながら坂道を上がっていた。

ふたりともふと止まって、足下を見下ろしていた。
数秒黙ってから、ひとこと
「きれいに死んでるね。」
と漏らす。
仰向けに落ちた蝉が転がっている。

彼らの目に、蝉は“きれいに死んで”いた。
小さな死を観察する小さな目は冷徹で、でも神秘に打たれている。

自分が棺桶に入っているところをなぜか連想する。
「きれいに死んでるねえ。」
と、誰か頭の上で漏らしてくれるのかな。

あと数日で、父親の誕生日なのだった。
そしてそれからまた数日で、私の誕生日なのだった。
そして誕生日が来てひとつ年を取ると、私は父の死んだときの年齢に達するのであった。

by apakaba | 2012-09-13 22:55 | 生活の話題 | Comments(2)
Commented by kaneniwa at 2012-09-13 23:32
眞紀さんのお父さん、お誕生日おめでとう

Commented by apakaba at 2012-09-14 09:06
ワハハーどうもありがとう。
私は死んじゃった人の誕生日とか、「今生きていたら何歳か」とかってほとんど考えないタイプです。
父の誕生日も忘れている年の方がずっと多いのです。
そして今生きていたら何歳なのかもワカリマセン。計算めんどくさいし。
今年は自分が父の年になるというので、思い出しました。
秋のお彼岸も近いし「たまには思い出して」と父が思っているのかな?


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