あぱかば・ブログ篇

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2012年 11月 18日

「ササニシキ」の横浜ドライブ

秋晴れつづきの東京で、きのう一日だけが悪夢のような悪天候になった。
そんな日にナゼわざわざドライブすることになったのか。
長男「ササニシキ」が「運転したい。」と言うからである。

「ササニシキ」は、免許はとったものの、車を必要としない毎日なので、ちっとも運転が上達しない。
これじゃいつまでも不安で、車の鍵を渡すことができない。
Facebookで友達に呼びかけて、半日で戻ってこられる場所を募集したら、横浜をまわるアイデアを出してくれた人がいた。
西や北を目指すことも考えたが、なにしろドライバーが9時過ぎまで寝ているから遠出はあきらめるとして、今回はこれに乗っかることにしよう。
土砂降りにはがっかりだが、「ササニシキ」は景色を見るよりも(そんな余裕ないし)、ただ運転をしたいだけだし、悪天候での運転も必要な経験だ。

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ここにたどり着くまで、苦労した……「ササニシキ」は首都高を走るのもまだ二度目。
なにをしてもめずらしくてうれしいのはわかるが、スピード出し過ぎ・対向車線にふくらんでカーブする・車間距離つめ過ぎ、おそろしくてしょうがない。
私は助手席に座るとたちまち眠ってしまうタイプなのだけど、こわくて寝るどころではない。

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ここは金沢文庫にある、称名寺というお寺である。
広大な敷地が市民の森になっているらしい。
私は結婚するまでの23年間、横浜から出たことがなかったが、ここは来たことがなかった。
「ササニシキ」は
「ほう。いいところだ。オレは神社仏閣めぐりが好き。」
と喜んで歩き回っている。

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「かわいい妹(「コシヒカリ」)が高校受験に合格できるように、お願いしてやりなよ。」と言うと
「いやだね、どうせ5円玉ないし……あ、あった。しょうがない、『コシヒカリ』の高校と、オレの司法試験合格とともに祈るか。」
司法試験なんて何年も先の話じゃないか。

神社とお寺の参拝の仕方のちがいなどしゃべりながら、誰もいない広い境内を歩く。

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こういうものがあると、飛びつかずにはいられないガキっぽい男である。
「よし、鳴らすぜ!」と張り切るが、撞木(しゅもく。鐘を撞く棒)が鎖で縛られていて動かせなかった。
「なんでこんなことするの。だったら立て札に[鐘を撞いてはいけません]って書いてあればいいのに。」
ガキっぽい、というより子供そのものの発言をする。

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お寺のまわりに、なにもないただの原っぱが広がっている。
鳩がたくさん、地面をつつきながらうろうろしている。

「人をおそれない。」
鳩を見て、いきなり「ササニシキ」がつぶやく。

サ :鳩って、なにを食べてるの。あんなに、ずーっと地面をつついて。
私 :知らない。木からこぼれ落ちた種とか、どんぐりがつぶれたりしてると、それを一生懸命つっついたりしてるよ。あとは、ちっちゃい虫じゃないかな。
サ :えっ。それだけ?それだけで生きてるの?
私 :だったら鳩がいっぱいいるあそこに行って、見てみたらいいじゃない。人をおそれないんだから。
サ :(鳩のいるところまで歩いていく)……あっ。これ?これかな(稲のような小さい粒があった)。こんなんで生きてるなんて。一日中食べてたって足りない。よくそれで……あの、鳩の形にまでなるね。
私 :……んんん〜?
サ :あんな食べ物で、よく、あんな丸々とした、鳥の形ができるね。それもこんなにいっぱいの鳩。

私 :まあけっこう、カラスなんかに食べられてるけどね。この前、空中戦をやってたよ。カラスが鳩をつっついて、もう鳩はよろよろなんだけど、一生懸命逃げてて、それを追っかけてカラスがすごいつっつき方をしてた。
サ :え!そんなの見たことない。なぜ鳩はやりかえさないの。
私 :だってくちばしの大きさを較べてみなよ。かないっこないじゃないの。
サ :そうか……。カラスは、鳩を食べるのか。ということは……やがて、鳩は、みんなカラスになっちゃうのか。
私 :……え?
サ :鳩はいつかはみんなカラス。……ここには、まだ鳩がいっぱい。カラスになってない。平和。ここは平和。

この息子の、独特なテンポの会話にはしばしばついていけない。
すごく幼い子供が、幼いアタマで真剣にものを考えたときのようなことを言う。

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称名寺からすぐそばの柴漁港へ移動した。
「ササニシキ」は「やった、海だ海だー」と盛り上がる。
友人の教えてくれた「小柴のどんぶりや」でお昼にした。

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特大のあなごが一本そのまま揚げてある丼と、煮穴子の丼。
敷いてあるごはんはほんのちょっとだが、てんぷらのボリュームがものすごい。
「ササニシキ」は広島旅行を懐かしんで(息子の書いたひろしま旅行記)煮穴子にしたが、
「厳島神社のあなごのほうがうまかった。でも、高い。」

夕方からサークルの友達と飲みに行くというので、「天気も悪いし、もう帰ろう」と言ってみるが、まだ運転したいらしい。
ではあとひとつ、おすすめルートの最後の三渓園に寄ろう。

三渓園への道のりも、行き過ぎたり道をまちがえたりとすったもんだをした(カーナビがないので)。
「お前こんなんじゃ女の子を載せてドライブデートなんか夢のまた夢だぞ。ふつう怒って帰るよ。」
「うひゃひゃひゃっ、そうかな?」
「もう少し、運転にも道路にも慣れないと。」

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「いいね。庭園めぐり。オレ庭園が好き。広島の一人旅でも、庭園に行ってた。金沢もよかった。」
「ふーん、よかったねえ。お前の好きなとこばっかりで。」
彼はなにかにつけて「オレは何々が好き」と言う。

「お前は“抹茶とお菓子が好き”でしょ。雨がひどいからとりあえず抹茶飲まない?」
「うん。オレは抹茶が好き。和菓子がいい。」
小さい子を連れているような錯覚を覚えることがある。

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「ああ、うまい。久しぶりの抹茶はうまい。」

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紅葉にはまだまだ早い。
西か北へ向かえば、もっと色づいていただろう。

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雨はどんどん強くなるし……

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私の好きな水仙はまだ植え込んだばかりだし……

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菊も好きだが、こういうリッパなのより小菊が好きだ。

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いや、小菊といってもこういうのとはちょっとちがうイメージで……

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まあ、私の好きな石蕗(つわぶき)があったから、今回はこれでよしとするか。
あれ。「私の好きな何々」は息子の影響か?
それとも逆か?

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結婚して東京に来たら東京が大好きになって、「横浜なんて東京に較べたらおもしろくない!東京が最高」と思ってきた。
でもやはりこのあたりは懐かしい。
三渓園も、誰か男の子と来たことがあったはずだ……どの人だっけ……ちがう相手と何回か来たのかもしれない……来たのは確かだが、相手をぜんぜん思い出せない。
まあどうせ相手のほうも忘れてるだろうし誰でもいいや。

最後に、この池で
「お前おかーさんの写真を撮れ。こんなとこ来るの何十年ぶりだから。」
とカメラを渡したが、「ササニシキ」は背が高いのにまったく気を遣わず、屈まないで撮るので、不格好な写りになった。

車で横浜南部を走りながら、運転に必死な息子に向かって「このあたりは、本当に懐かしいよ。」と何度も言った。
「この海は本当に懐かしい。」
「京浜工業地帯。この工場の風景は懐かしい。」
「出た、横浜名物“いきなり階段”(住宅地を走っているとだんだん道が狭くなり、最後に突然階段が現れて車で進めなくなってしまう)」
「横浜名物“暗いトンネル”(幽霊が出るという噂、平家の落ち武者の声が聞こえるという噂など、こわいトンネルがいっぱいある)」
いちいち口に出して言わないようなずっと昔の思い出も、次々と浮かんできた。
(中1のとき、金沢文庫まで自転車で行ったことがあったな……本牧ふ頭に夜中運転していったことがあったな……この市民プールに母がよく連れてきてくれたな……などなど)
小さいころに死んだ父(「ササニシキ」の実の祖父)の話などもする。

「オレはもっと運転がしたい。今度は山道をずーっと走って温泉とか。」
「ふーん、じゃあおかーさんを温泉に連れて行ってよ。」
「おかーさんと二人じゃ盛り上がらない。もっとたくさん人を載せて行きたい。」
「じゃあお父さんや『アキタコマチ』も載せてく?」
「うん。」

by apakaba | 2012-11-18 18:18 | 子供 | Comments(12)
Commented by Amano at 2012-11-18 19:48 x
アナゴがすっごく旨そうですねぇ。
検索してみると土日限定の営業みたい。
あのあたりは平日なら仕事でいくことがあるのになぁ・・・。
土日に行くには我が家からは遠いです。
Commented by apakaba at 2012-11-18 20:43
とにかくものすごい大きさで、「食った!!!!!!!!」という達成感が得られます。
ほかにも地魚の天丼もあり、激しく迷いました。
ただ、半屋外、というか簡単な風よけしかない場所なので、とても寒いです。
「海風に吹かれて、それも風情があるねえ」と笑っていられるのはぎりぎり11月まで……って感じ!
Commented by agsmatters05 at 2012-11-19 07:36
????写真が消えてるうううう????
Commented by apakaba at 2012-11-19 08:19
????消えてませんが……????
Commented by apakaba at 2012-11-19 08:25
あれ?やっぱり消えてるような?
ちょっと直します。
Commented by apakaba at 2012-11-19 09:06
今度は、大丈夫だと思います!
Commented by agsmatters05 at 2012-11-20 06:02
はい、全部見えました。やっぱり白紙の記事を読んで写真を想像してたのとは、全然ちがって、ずっとずっとよかったです。臨場感があって、説明以上のものも写真にあって、一緒に楽しませてもらいました。よかった!
Commented by apakaba at 2012-11-20 08:01
ありがとうございます。教えてくださってよかったです。
ちっとも気づいていませんでした。
写真はヘタなのだけど、エキサイトの「容量無制限」に契約したので、気前よく写真を貼ることに方針変更したのです〜。

ミチさんも、メグさんが初めて運転して出かけたときのこと覚えていますか!
私は、自分の子供が運転するというのは、すごく感慨深かったです。
Commented by ぴよ at 2012-11-20 08:05 x
成人した息子と母の2人きりドライブって珍しいよね。
この年頃のオトコは一番母親と一緒にいたがらない年代だと思う。
もっと歳を取って…嫁を持つと親孝行したがるものだけど。

雨で空が暗いのは残念だけど、雲の折り重なった空もまた
晩秋の風情があって見応えありますよ^^
次回は是非ササニシキの運転で家族で温泉旅行に!!
Commented by apakaba at 2012-11-20 09:34
私がイメージしていた家庭と、どんどんちがうノリになっていってるのが不思議です。
男の子は成長したら、親とは没交渉なのが当然だと思ってた。
私が子離れしないでベッタリタイプの母親かといったらぜんぜんそんなことないし、子供たちがマザコンかというとそうでもないし……なんか、いっしょにいるときの会話も多く、奇妙な家ですわ。

写真はアンダー気味に加工してみたんだ〜「悪天候でした……」ということを言いたくて!
Commented by 吉江仁実 at 2012-12-24 16:10 x
こんにちは、楽しそうな家族で子供のいない私は羨ましいです。
ササニシキ君の運転の上達を祈っております。
またこちらにいらっしゃったら、うちの店にも立ち寄って下さい。
無料駐車場あります!
Commented by apakaba at 2013-03-06 01:10
吉江さん、コメントにずっと気づきませんでした!すみません!
とても立ち寄りたいですが、「ササニシキ」はまだまだとんでもなく運転が下手なので、次の横浜ドライブはいつになるかわかりません!
ほんと、運転って性格ですね。


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