あぱかば・ブログ篇

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2013年 02月 08日

受験秒読みの子にかける言葉

「コシヒカリ」の高校入試本番まであと二日だ。
あさってから続けて三校受ける。
親にも学校の先生にも塾の先生にも「無理だよ」と言われていた学校をどうしても受けたいと言って、がんばっている。
一応、実力相応校、滑り止め校も合わせて、ぜんぶで三つということだ。

勉強ぎらいで、なにかと理由をつけてはサボることばかり考えていた娘だが、さすがに周囲の反対を押し切ってチャレンジ校(といっても中堅校ですが、彼女にとってチャレンジ)に出願してからは本気になったようだ(遅い……)。
それでも、家では泣き言ばかり言っている。
落ちたらどうしよう、もうなにもかもイヤ、この人生から逃げ出したい、トカナントカ。
そういう言葉を吐き出して、不安を発散しているのだろう。

「もう少しだねえ、がんばっててえらいねえ。」
私はたいがい無意味な褒め言葉しか言わない。
しかし神経質になっている娘は、
「ああ〜そんなプレッシャーになること言わないで。」
と、メンタル面の弱さを強調する。
もうあさってに迫っているのに、この弱腰では本当に自分に負けてしまう。

うーん、まあ高校入試って、結婚ほどには重大なことじゃないよ。
思ってない高校に行くことになっても、結婚相手をまちがえるよりは、だいぶラク。
それに長い目で見ると、さほどひどいことって起こらないような気がする。
おかーさんは大学時代、学校さぼって旅ばっかりしてて、成績はボロボロで、それでもテレビ局の報道記者とか、新聞記者とか、出版社とか、大きなマスコミに入りたくてね。
それで30社くらい落ちまくって、友達はみんないいトコに内定もらって遊んだり卒論にとりかかったりしているのに、おかーさんだけ就活スーツで走り回って、みじめだったよ。
すごくふてくされてた。
それで結局一般企業に入って営業職をやってたんだけど、それから見る見るうちに、マスコミの権威は失墜するし、ネット時代に入って部数は落ちるし、がたがたになっちゃった。
まさかこんなにあっという間に変わってしまうなんて、思いもしなかった。

これはきっと、おかーさんがつらい目に遭わないように、お父さん(私の亡父)とかご先祖様が守ってくれてるんだなあ、って思ってるの。
もしマスコミに入っていたら、とっくに体を壊していたかもしれないし、結婚も、子供も、今とは違ってたはず。
おかーさんに一番いいように、お父さんが(就職試験を)落としてくれてたのかもなあ、と思うの。

「ええ〜それってご先祖様に責任を押し付けるの?うまくいかなかったときに。」

そういうことを言ってるんじゃないよ。
その逆で、うまくいかなかったように見えたことも、実はあとになるとうまくいくことになるのかもしれない、それを用意してくれているのかもしれないってこと。

「なんか都合のいい考え方だね。」

だってそれが身内だもん。
理屈なんてないのよ。
だから、今は、第一志望じゃなきゃ絶対にイヤ、でも無理みたいだしどうしようとか思ってくよくよしているけど、第一志望に合格したら、それはお父さんとかのご先祖様が選んでくれたの。そしてもしも別の学校しか合格できなくても、それは第一志望と思っているところよりもこっちのほうがいいって、ご先祖様が先回りして助けてくれているんだよ。
おかーさんはいつもそう思ってるの。
だから自分に嫌なことが起きても、あとになれば、きっと「正しかった」と思えるから、あんまり気にしないんだ。

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受験がないから一生気楽

子供に向かって、「長い目で見れば」とか「大人になればわかる」とかいう言葉は、できる限り言わないようにしている。
それを言われたらもうなにも言い返せないうえに、子供にとってはリアリティーがなく、ただ苛立たしくなるだけだからだ。
だが、娘ももうすぐ高校生だ。
そろそろ、名実共に“ガキ”である時代を脱していい年頃だ。
そろそろ、自分の遠い先、遠い過去に目を向けてもいい。
36年前のあさって、私の父は倒れて、翌日に亡くなった。
それは、娘の第一志望校の、合格発表の日。

今さら「最後まであきらめないで単語を覚えなさい」だの「当日は早く起きなさい」だの言うよりも、「ご先祖様が一番いいチョイスをしてくれるよ」と言葉をかけるほうが、ずっと気持ちが安らぐだろう。

by apakaba | 2013-02-08 20:35 | 子供 | Comments(0)


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