あぱかば・ブログ篇

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2013年 03月 04日

「アキタコマチ」の、高校最後の出し物

次男「アキタコマチ」は、今週末に高校を卒業する。
2月の終わりから何度も
「もう卒業か!信じられない。高校生じゃなくなるのか!」
と繰り返してきた息子は、3年間、自分の高校を愛してきた。

今日は、「卒展」に行ってきた。
都立工芸高校という特殊な学校なので、まるで美大のように、卒業制作の展覧会をする。
東京都美術館に、娘と、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に見に行った。

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プロ裸足。ポスターはもちろんオリジナルデザイン

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家族の食卓に違和感なく並びそう

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イマドキな阿修羅

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落ち穂拾いで馬跳び中。模写部分もうまいこと

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この椅子は分解できることがポイント。引っ越しや片付けが楽だという

あいかわらずのレベルの高さだ(昨年秋の高校の文化祭・本編参照)。
「アキタコマチ」も、そのなかに交じって健闘していた。

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息子は得意の写真作品で勝負。高校時代を通して撮りためてきたライブ写真をコラージュして、マイクのポスターを制作していた。デザインがクール

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学年でもほとんどやる人のいなかった銅版印刷で、本を作っていた

文化祭のときにも感じたことだが、この人たちの作品は、あまりにも完成度が高過ぎて、かえってすごさをわかってもらいにくい。
ちょっとヘタクソなところがあれば、見学者はもっと「(子供にしては)うまいねえ!」と感心していたような気がする。
どの科の作品も、素人っぽい隙を感じさせないどころか、十分にお金を取れるレベル(実際、注文を受けてバイトをしている子も多いらしい)であるため、微笑ましさがないのだ。
すでに世に流通している製品のような気分でうっかり通り過ぎ、「いや、これ、18歳の子供の作ったものだ」といったん頭の中を整理してもう一度見直すということが何度もあった。

「アキタコマチ」の科では、映像作品も流していた。
30秒以上2分以内でCMを制作するという展示で、これが大変おもしろくてほとんど全作品を見た。
「アキタコマチ」の作った「Handshaking!」という作品は、親の欲目もあるが試みとしてきわめて野心的なものだと思った。

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フリーハグというムーブメントに、「でも、日本人が日本でやろうとしても、だめなんじゃないか?」と懐疑的になった息子が、

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「だったら、握手なら?握手なら、見知らぬ人も応じてくれるかもしれない。やってみよう!」と、実際に試してみることにする——、というストーリーだ。

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このあと、ほとんど全編が早送りで展開する。
「アキタコマチ」が東京駅でロケをする。
「高校の課題で映像制作をしているから協力してほしい」と、見知らぬ他人に声をかけるのだ。
目標人数は100人。

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握手のお礼に、記念撮影のお手伝いをしているのも可笑しい

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10人ごとにカウントが入り、これが最後のカウント

早送りの映像の写真だからひどくブレているが、見知らぬ人たちの表情をよく見てほしい。
みんな笑い、息子の顔や手を見つめ返してくれている。
息子の顔は一度も正面から映らず、最初から最後まで横か斜め後ろからの映像なのに、すべてモノスゴクにこやかに笑っていることが見て取れる。
相手にとっては一瞬の出来事で、遠くから東京駅に降りたばかりの人などは「東京の高校生の考えることはワカランねえ」と、すぐに忘れてしまうのかもしれない。
けれども100という人間の数は、やはり数十秒で並べられると圧巻だ。
律儀に頭を下げている息子に代わって、親として一人一人に頭を下げたくなる。

おばあちゃん(私の母)は「それにしても、知らない人が、よく応じてくれるものねえ。」と驚いていたが、警戒心を抱かせず、知らない他人の懐にスッと入っていけるのは、彼の才能なのだと思う。
映像としては凝った作りではなくごくシンプルだが、それだけにコンセプトがはっきりと伝わる、気持ちのいい作品だと思った。

さて、これで本当に「アキタコマチ」の、“課題”に追われまくった高校生活も終わりだ。
東京都美術館から出たとき、「コシヒカリ」が、「わたし、ずっと前、ここに来たことある。」と言い出す。
「思い出した?『アキタコマチ』が小学校4年生のときに、みんなで来たよ。ほら、『アキタコマチ』が図工で作った“ゆかいなお面”ていうのが東京都の代表に選ばれて、展示を見に行ったでしょう。(その日の話→東京都美術館で、「アキタコマチ」のお面とミュシャ展を見た)」
「ああ、そうだった。わたしはまだ小さかったからそのときのことはあんまり覚えてないけど……たしか、どこかの大学かなんかの作品展もやってて、『アキタコマチ』お兄ちゃんは、それをじーっと見ながら、“オレも大きくなったら、ここに作品を展示されるようになる。”って言ってたんだよ。それだけはよく覚えてる。」

芸大の学生さんたちの様子を熱心に見つめていたのは覚えているが(記事にも書いてある)、その言葉は、私は聞いていなかった。
8年たって、夢は叶ったのだった。


*会期3月5日まで。どうぞお越しください。ただし月曜休館です。

*東京都の代表に選ばれる前の、区の代表になったときの記事はこちら→当選!!
最後のほう、8年前と書いてあることが同じ……

by apakaba | 2013-03-04 01:07 | 子供 | Comments(11)
Commented by kaneniwa at 2013-03-04 02:02
SHURE ( シュアー ) のマイクロフォン、たぶんSM58という
型番のヤツだと思うけれども
「いろんな声を届けているよ感」があって、
それはこのマイクの特徴でもありいいポスターだなぁ。

他の人の作品のなかでは分解できる椅子がいい。
いいというよりもこりゃ欲しい。
引越しが楽というよりもキャンピングカーのなかに
セットしたいなぁ。

BYマーヒー
Commented by apakaba at 2013-03-04 09:22
息子は絵が下手で、デッサンの入る課題は絶望的でしたが、得意の写真を使うことでその不得手をカバーできるようになったみたいです。
1年生のときはベースをやると言っていたけど、楽器はうまくいかず、いつの間にかいろんなバンドをバイトで撮影するカメラマンになってました。
楽器をやらなくても、お客さんの誰よりもバンドの音のそばにいた高校3年間。
それがそのままポスターになったようで、シンプルながらいいものだと思いました。

この椅子は、そろそろ売り始めてもいいね!
Commented by saheizi-inokori at 2013-03-04 09:55
卒業おめでとう。
マスプロが主体ですから、ていねいな手作りは素晴らしくとも流通に馴染まないのかもしれないですね。
だいぶ前に原宿の駅までハグする若い女性をみました。
「私とハグしましょう」と書いたプラカードをもっていました。
通り過ぎてから振り返ったら外国人が嬉しそうにハグしてました。
Commented by apakaba at 2013-03-04 10:16
saheiziさんありがとうございます。
なんでもかんでも大量生産のモノに囲まれていると、いろんなことに鈍感になる気がしますね。
まだ18歳の彼らの作品を見ていると、けっこう夢と希望を感じますよ。

フリーハグには私も抵抗あります。
もちろん試みとしてはすばらしいし、外国でやるなら成果も上がりそうだけど、日本の中では難しいと思います。
Commented by saltyspeedy at 2013-03-04 10:24
マイクのポスターかっこいいですね!銅板印刷の本も……私も高校時代、本の装幀(造本)がやりたいなーと思っていたので、羨ましいです。

「完成度が高過ぎて、かえってすごさをわかってもらいにくい」というの、わかります。高校生が一生懸命作った作品というより、立派な製品ですものね。高校生の作品にしては……というのも鑑賞者の決めつけに過ぎないのですが、そういう微笑ましさを求めてしまう…なかなかに欲張りですよね。なんだか考えさせられました。

アキタコマチさんの卒業、コシヒカリさんの卒業、おめでとうございます(あ、コーシローさんのお誕生日も)!
Commented by ぴよ at 2013-03-05 10:06 x
アキタコマチ、高校卒業おめでとう。
Free Hugが日本で定着しないのは同意。私自身街で時々見掛ける事があるけど、見知らぬ人とHugするのは物凄く抵抗がありますもん。
だからアキタコマチのHree Handshakingという企画はとても有意義で日本人のメンタリティに適った試みだったと思いますね。
お互いが笑顔で手を握り合う…その程度の触れ合いが奥ゆかしい日本人には丁度心地良い「癒しの距離」になるでしょう。

高校を卒業しても、大人になっても、いつまでも誰の懐にも「すっ」と入って行って、相手を知らぬ間に笑顔にさせられるキャラは変わらないでいて欲しいわ。
アキタコマチは本当に多才だと会う度に感心させられるけど、でもその中でもこの「人を笑顔にする魔法を持っている」という事が彼の最大のGIFTだと思うから。
Commented by ぴよ at 2013-03-05 10:09 x
>Hree Handshaking

なんぢゃこりゃあああああ(恥
Commented by minmei316 at 2013-03-05 19:04
凄いね!
子供達の発想力ってつくづく感心させられる。
そして何これ?この完成度?高すぎじゃね?
素晴らしい!
うちの娘の学校もね、同じように
卒業生の展示会みたいなのやっていたみたいだけど
行けなかった。
娘は今度2年になるとき、本格的に何を学ぶか
コースを選択しなければいけないみたいで
本人は漆器と陶芸とどちらにするか悩んでいたよ。
いずれ卒業するときは、アキタコマチ君のように
何か作品を作って展示するんだろうな。楽しみ。
そのときは何が何でも見に行かないと!!

アキタコマチくん ご卒業おめでとう。
無限大の可能性を秘めた若人!!頑張れい!!
Commented by apakaba at 2013-03-06 08:33
ayaさん、本を作るのって、“できあがったもの”に慣れている人間には大変さがわからないようです。
息子はグラフィックアーツ科という科なんだけど、その科は広告ポスターや、製品のパッケージデザインなどを実習で作ります。
でもそういうものは、製品に取り囲まれている普通の人は見過ごしてしまうのね。
まあ貴重な3年間を送れたと思いますよ。
人に評価されなくても、本人は世界の見方ががらりと変わったようだし(ちまたにあふれるデザインに目を向けるようになった)。
Commented by apakaba at 2013-03-06 08:37
ぴよさん、ありがとうございます。
本当に彼は特技がいっぱいで、ついでに「酔っぱらいの相手もそつなくこなせます」という……
あの握手100人斬りは、後輩さんたちもおもしろかったみたい。
現場では、私らみたいなオバさんが「まー若い男の子よ!手を握れるわよ!」とか盛り上がったり……なんだかいろいろとあったようですよ!
Commented by apakaba at 2013-03-06 08:45
minmeiさん、ありがとうございます。
娘さんの学校の展示会に行かれなくて残念でしたねえ。
私も、文化祭や体育祭など、行ったり行かなかったりだったけど、行くまでは「前と同じようなものだろう」と思っているのに、行くと毎回感動してしまいます。
息子はクラスの貴重な男子(クラスに4人だけ)だから、クラスの女子の映像作品にも便利に出演させられてました。
そういうのを見るのも楽しいし。
これで最後かと思うとさびしい。

漆器か陶芸か……
悩んだときは、一度鑑賞者の目に徹してみるのもいいかなと。
(学校の先生などの)大人は、「自分で作ってみてどっちが楽しいの?」と聞くかもしれないけど、インプットに徹して、漆器と陶芸のすばらしい作品を見まくる。
そしてどちらがインプットとして自分にぐいぐい入ってくるか、じっくり考えてみる……そんな感じで決めるのもいいかと思います。
アウトプットばかりだとすぐに枯渇してしまいます。


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