あぱかば・ブログ篇

apakaba.exblog.jp
ブログトップ
2013年 03月 18日

ゴーゴー・ボルネオ!(最終回)〜キナバル公園編 その4・ラフレシア

キナバル公園編 その3・ポーリン温泉のつづき。

c0042704_23131928.jpg


ポーリン温泉を出るとき、往きと同じ橋を渡ると、陽射しが勢いをなくしていることに気づいた。
午前も午後も熱帯雨林散策で、だいぶ時間が経っていたのだった。





c0042704_23173390.jpg


ガイドのベンさんは、キャノピー・ウォークの料金所の係員に尋ねたり、あちこちに電話をかけて問い合わせてくれている。
問い合わせの内容はもちろん一つ、「ラフレシアは咲いているか?」だ。

「このポーリン温泉では、今は咲いていません。でもここの近くに、ラフレシアを育てているところがあるので、そこへ行けば見られますよ。行ってみましょうか。」
“ラフレシアガーデン”の所有者である地元の村人に安くない入園料を払うのだが、実物は当然見たい。
それに、幻の花といわれるラフレシアを保護して育てるのは大変だろう。
保護に役立つのなら、少々高くてもかまわない。

c0042704_2323413.jpg
咲いているときだけこの旗が出るらしい

c0042704_23262646.jpg
「あれなら1年中、確実に見られますよ」またかいな

c0042704_23282512.jpg


入り口にいた村の子供の案内で、このラフレシアガーデンの中まで入っていく。
森の中にラフレシアの生育に適した環境を整えた畑のような場所が確保されており、鳥やりすなどの小動物に荒らされないよう保護してあった。

c0042704_23322044.jpg
ふたつ並んでいる黒いのが咲き終わって腐っているラフレシア。右にある緑色の網はつぼみを荒らされないように保護しているところ

c0042704_23344461.jpg


そして!
写真だの数々のニセモノだのをさんざん見た後で、やっとほんもののラフレシアを見ることができました!
ただただうれしい……!
花はピークを過ぎてすでに腐りかけているが(やーん私みたい)、なんというか、やっぱりほんものの花弁のど迫力には驚嘆するしかない。
怪獣みたいだ。
どうしてこんなにもの凄いものを、咲かせなければならないのか、熱帯雨林は?
つい先ほど、世界最小のランを見たばかりだが、世界最大の花ラフレシアは、あのランとは正反対に、可憐さのかけらもなく、植物というよりもむしろ動物じみた、血の通った生き物のようななまぐさい存在感を放っている。

c0042704_23432578.jpg


完全に真っ黒に腐っている姿は、ますますこわい。
真っ黒な口から咆哮が聞こえるようである。
「あれ今、動いたよね?」と隣にいる人の袖を引きたくなるような、すさまじさだ。

c0042704_23514578.jpg


キャベツにそっくりな形のつぼみでさえ、かわいらしさよりも、エイリアンの卵みたいなふてぶてしさを感じる。
だが味がいいようで(キャベツに似てるし)、りすなどに食い荒らされてしまい、開花までこぎつけることが非常に難しいのだという。
開花までに2〜3年かかり、開花すると数日で腐っていくというラフレシアは、栽培も不可能なので(ここのようにつぼみの保護はできるが)、咲いているラフレシアを見られるのは幸運なのである。
私のすぐあとに、バスでツアーがやってきていた。

c0042704_813569.jpg


花は人のために咲いているわけではないけれど、人は花に引き寄せられる。
ラフレシアは熱帯雨林を象徴する存在に思えた。
“花”の概念をすべて否定するような奇怪な容貌、謎の多い生態、しかしそれは、この花が熱帯雨林で生き延びるために選んだ進化の形だ。
ガラマ川にいたテングザルも、奇怪な容貌をして、他のサルとは別の進化の道を選んでいた。
ボルネオで、動物と植物、環境に適応した形の頂点をふたつ、目にすることができた。
それは万人が「かわいい」とか「きれい」と感じる形ではなくとも、私にはきわめて感動的な孤高の姿に映った。
彼らの、生きるためのシビアな知恵に較べたら、人間など、どの人種であってもほとんど見分けがつかないほどおんなじではないか。

c0042704_8374938.jpg


道案内の少年は、ルソン族だという。
マレーの丸っこい顔立ちとちがって、やや色白で、中国系に近い。
だがテングザルやラフレシアの極端さに較べれば、ほぼ私とも同じ顔だ。
この子からすれば、ラフレシアは自分の土地に観光客がお金を落としてくれる幸運の花だろう。
彼が長じて、自分の身の回りの自然がいかに特徴的で貴重なものであるのか、気づくか気づかないままなのかはわからない。
大きくなるまで、しっかりとラフレシアのつぼみを守ってあげてくれ。

c0042704_1554275.jpg


これで自然観察ツアーはすべて終了した。
コタキナバルへ戻る間は、ほとんどグーグー眠っていた。

c0042704_15552813.jpg


西日が傾いてきたのを見て、思いつきで
「そうだケンさん、できれば海岸で夕日を撮りたいなあ。夕日に間に合うように帰れますか?」
と聞いてみると、ドライバーのケンさんは「がんばります!」と請け合ってくれるが、街への道は渋滞している。

c0042704_15593346.jpg
フロントガラスから見ると、ずっと車は渋滞

c0042704_1624730.jpg


「あ、あ、もう陽が沈んできちゃった。ケンさん、ちょっと間に合いそうにないから、ゆっくりでいいですよ。」
いくらケンさんが急ごうとしても、こうぎっしりと詰まっていては無理だ。
海に落ちる夕日はあきらめて、車窓から暮れていく空を楽しむことにした。

c0042704_1682942.jpg


c0042704_16101916.jpg


「すいません、道が混んでいて、もうすぐ海なんですけど、前に進めないですねえ……ううーん。」
「いやいいんですよ、十分きれいだし!」

c0042704_16124782.jpg


なぐさめではなくて、本当に、徐々に街へ近づいていく車から見る空の変化はすばらしかった。
コタキナバルに戻ったのは、結局、完全に日が暮れてからだった。

c0042704_1616849.jpg


今日の観光最後の1枚。
市立モスクの前で、車を降りて撮影だけする。
一日中、圧倒的な緑を見てきた目には、人造物のモスクが新鮮な美しさを持って迫ってくる。
しばし見とれた。

ガイドのベンさんとドライバーのケンさん、ふたりともよく仕事をしてくれた。
次回は、是非、キナバル山登山に再訪してみたい。

(おわり)

by apakaba | 2013-03-18 16:32 | ボルネオ | Comments(0)


<< ゴーゴー・ボルネオ!〜インデックス      ゴーゴー・ボルネオ!〜キナバル... >>