2013年 12月 02日
バルカン半島に興味を持ったことがほぼなかった。 しばらく体調の悪かった蔵前さんがお元気になって一発目の本格的な旅行に行った報告会、というのがうれしかったから聞きに行っただけだったのだが。 お話が進むにつれどんどんバルカン半島が好きになる! 精神的に縁遠かった場所が、具体的な“次の旅の候補地”としてピカピカと輝き始める! この快感は久しぶりだった! 2時間のトークはあっという間だった。 次々と飛び出してくる蔵前さん的名所の数々やエピソードを映像と地図で追いながら、「これはやっぱり蔵前さんにしかできない報告会だ」と考えていた。 命の危険にさらされるようなとてつもないスリルにあふれた冒険譚などはまるっきり出てこないし、話術がいやに巧みとかいうこともないのだが、蔵前さん自身の好奇心や満足感と共にいる感覚になるのである。 蔵前さんがほんとうに旅行が好きで、旅先を心からおもしろがっていることがまっすぐにわかるからだ。 「教えてやろう」「見せてやろう」という態度は皆無。 「昔のタビビトはああだったこうだった」という懐古趣味な自慢も皆無。 今、この旅行を楽しむことだけに邁進している、その率直さがどの世代の旅行者も惹かれる一番の理由だ。 そしてこの報告会の、採算度外視な入念な準備ぶりよ。 お手製特製「バルカンの旅ミニガイド」と来年のカレンダーがお土産につき、動画を現地であんなにいっぱい撮って、シーンにぴったり添うすばらしいBGMをつけて編集し……これで参加費が1000円! ご本人の労働を考えたら、完全に足が出るはずだが、動画を見たりミニガイドを読んだりしていると、「この人は、根っから好きなんだなあ、旅に関わることを作っていくのが。」とひしひし感じるのである。 もちろん、このネタ(という言い方は品がないが)をこれだけにとどめるはずがなく、今後なんらかの形になっていくだろうが、「鉄は熱いうちに打て!旅報告は新鮮なうちにしとけ!(忘れる前に!)」という気概がいい。 時間と金銭の余裕がない今、実現がいつになるかはわからないが、ともかく私にとってはバルカン半島が旅の候補地として燦然と輝き始めた。 蔵前さんのいいところは、「蔵前さんが行ったのなら、私も大丈夫かな?」と思わせるところである。 蔵前さんは、ぜんぜんマッチョでもストイックな旅人でもなく、どちらかというとあまり体が強くない。 しばしば旅先で寝込んだりしていることに、親近感を覚える。 私も旅好きではあるが体が弱くて、重いものは持てないしたいていお腹を壊すし筋肉痛にもなるし眠れないと翌日の行動がつらい。 だから蔵前さんが報告で「ここを10キロくらい歩いて……」などと言っていると、「えっ、楽しそうなところだけど10キロも歩くのか。でも蔵前さんが平然とああ言っているなら大丈夫か……」と、希望を持って旅計画を進める気持ちになる。 あれだけの有名人(教祖だの元祖だのカリスマだのと勝手に称される)にして、この壁のなさ。 つくづく、特異な人だ。 蔵前さんと『旅行人』が、どれだけ私に出会いをもたらしてくれたか、数えきれない。 新しい友達との出会いと、未知の旅先との出会いだ。 ファン歴27年、もはや人生の一部だ。 感謝してもしきれない。 でも、私の中では蔵前さんは永遠に35歳くらいだが、実はけっこういい年だ。 これからも体に気をつけて、永遠に中年の星、老年の星として旅を続けてください。 *以前書いた旅行人関連の記事。 ファン歴25年の蔵前仁一さんと『旅行人』のこと 「インド先住民アートの世界」蔵前仁一コレクション 旅行人文化祭 大学生だった私へ……『旅をせずにはいられない、アジアの魅力』
by apakaba
| 2013-12-02 12:27
| 旅行の話
|
Comments(2)
|
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
ご案内
直島の旅行情報 blog links (エキサイトブログ以外) 彼の地への道すがら 三毛猫日記 ムスリムの女たちのインド 王様の耳そうじ 細道 紀行地図へと続く道。 「いい子」をやめたら人生がきらめく! greenmanbaliの日記 すきなものだけでいいです Avance(アヴァンセ)でいこうっ ライオンシティからリバーシティへ カテゴリ
全体 映画・ドラマ 歌舞伎・音楽・美術など 生活の話題 子供 国内旅行 旅行の話 ニュース・評論 文芸・文学・言語 健康・病気 食べたり飲んだり ファッション ベトナム2023.3 ソウル2022.11 思い出話 サイト・ブログについて 1990年の春休み 1990年の春休み.remix ver. 香港・マカオ2006 シンガポール2010 直島旅行2010 バリ&シンガポール2011.1 香港マカオ2011 香港2011夏 バリ&シンガポール2011.11 台北2012 家族旅行香港マカオ2012 ボルネオ 台湾2013 ヨルダン・シリア1998 イスラエル1999 エッセイ フランス インド2000 香港2013 スコットランド 大腸がん闘病 ソウル2023.1~3 シンガポール2023 台北旅行2023 未分類 最新のコメント
ライフログ
お気に入りブログ
Tatsuo Kotaki 草仏教ブログ ガタム ( ghatam ) 子供部屋 紅茶国C村の日々 梟通信~ホンの戯言 みんなのヒンディー語教室 勝手に僻地散歩 Atelier Kotaro SALTY SPEEDY シニアバイクマンⅡ FC2ブログに移転しました 旅行・映画ライター前原利... 塩と胡椒 いいあんべぇブログ 折原恵のニューヨーク写真... ブログパーツ
以前の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||