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あぱかば・ブログ篇

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2014年 01月 14日

リクルートスーツとチシャトウの日

きのうはいろんなことをした一日だった。
私の母がぼろぼろの携帯電話をiPhone5cに替えに行って、昼まではすったもんだと過ぎる。
それから次男「アキタコマチ」のスーツを買いに夫と3人で出かける。
「アキタコマチ」は、来年度には就活が始まるので、リクルートスーツを買ってくれとのこと。
私は男物のスーツはよくわからないので行く必要はないが、晩ごはんの買い物もあるから一緒に行った。

あちこち見て歩く。
今の若い人向けの洋服って、安いのねえ。
私は70000円くらいかなと思っていたのに、30000円もしないでスーツを買えるとは。
しかし「アキタコマチ」はすごくやせているので、なかなか服選びも大変なのだ。
カジュアルならやせていてもどうにかこうにか着こなせるが、スーツとなると胸が薄いのは致命的。
やはりやせている「ササニシキ」に買ってやったとき(就活ではなく成人のお祝い)にも苦労したけれど、「アキタコマチ」はさらにずっとやせている。

「あんなにやせてちゃ似合うスーツなんてないよ。」
試着をくり返す次男を見ながらと夫に言うと、
「俺のほうがまだマシか。」
「そうだね。あなたも昔やせてたけど、あそこまではやせてなかったわ。」
急に夫が笑い転げて、
「そうか、あなたは、俺があいつの年(19歳)のときから俺を知ってるんだもんな。あなたもすごいな。あんな子供のときから……すごい年月だ。」
なにがおもしろかったのかさっぱりわからないが、なにか心にはまるものがあったらしい。
「それが次男のリクルートスーツだもんなあ。」
と、一人でしみじみしていた。

トカナントカ歩いているうちに、風邪を引いたらしく、私はだんだん具合が悪くなってきた。
ちょうど次男もアルバイトが休みだったので、吉祥寺アトレの「ロンロン市場」を歩きながら「なにか作って」と甘える。
このロンロン市場には、肉でも野菜でも他の店ではまず売っていないような変わったものが売っているから、私も次男も大好きなのだ。

野菜のコーナーに、見たことのない野菜を発見した。
ふきのようでもあり、マコモダケのようでもあるがどちらでもない。
棚と棚の間の隙間みたいなところに、隠すようにして幾束か立ててあった。
しかも、名前はなんだろうと思って手に取ってみると、ラベルにはこんなことが!

リクルートスーツとチシャトウの日_c0042704_21123719.jpg


「アキタコマチ」に聞いてみた。
「ちょっとこの“野菜”ってなに?」
すると次男は、
「ん!これ、見たことある。学校で。調理したこともある。ええとこれの名前は……思い出した。チシャトウだ!」
まさか本当に名前を知っているとは思わなかった。

「これはねえチシャトウ(萵苣薹。読めない書けない)っていって、別名は茎レタス。中国では炒め物にしてよく使うんだけど、ものすごく外側の皮が硬くて、むくのが大変なの。うどみたいに、厚くむくときれいな緑色のしゃきしゃきした芯が出てくるんだけど、すごく鬆(す)が立ちやすいんだよね。
中国料理では鬆が立っても平気で使っちゃうけど、日本料理では鬆が立ったものなんて絶対に使わないから、鬆が立ちにくいようにこれを品種改良したものがあるんだ。それを『ともぎ』というんだけど……『ともぎ』はさすがに、検索しても出てこないくらいの、ほんとにマイナーな野菜だよ。チシャトウはけっこう出てくるね。(ネット検索しながら)そう、西京漬けにしたりする。
茎の部分はそんなふうにして使って、葉の部分はサンチュになる。でもこれは葉っぱがほとんどだめになってるから食べられないね……ああ、オレ楽しみになってきた!まさか家で、チシャトウを扱えるなんて!習ったばっかりのこんなマイナーな食材が手に入るなんて!」
さっきまでショッピングで疲れたと言っていたのに、猛烈に張り切り始めた。

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言われてみればこの葉っぱ部分のにんにく炒めを、台湾や香港でさんざん食べたような……漠然と「ベジタブル」と注文していたが

こういうところは、私にちっとも似てないなあ。
私は好き嫌いが皆無で、めずらしい食材が大好きだけれど、やっぱり料理はメンドクサイという気持ちが先立つことは事実。
でも「アキタコマチ」は本当にうれしがる。

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チシャトウの頑固な皮でのかつらむきの練習を、大喜びでやっていた。
「うほほっ、楽しい〜!これはほんとに危険だよ、おかーさんはやらないほうがいいよ。力がいるから、ざくっといくかもしれないからね。こんなにいい練習が家でできるなんておもしろいなあ〜!」
180円でこんなに喜んでくれるとはね。
厚くかつらむきをすると、美しい緑色が出てきた。
中国ではこれを翡翠の色に見立て、縁起のいい食材とされているという。

中華風に炒めるか、京風漬け物にするか、さんざん迷っていたが、梅肉とだしで和え物にした。

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野趣あふれる歯触りを楽しむために塩ゆでもせず、ジャキジャキとした硬さだが、みんな喜んで食べた。
日本料理店で出すなら、塩ゆでしてやわらかくすることだろう。
「うちはいいね、新しい食材でもみんな抵抗なく食べるし、第一おかーさんがなんでもおもしろがって買ってくるし。おかーさんがいなかったら、こういうオレは生まれなかったと思うよ。」
「アキタコマチ」が言うと、「コシヒカリ」が
「『育たなかったと思うよ』でしょう。おかーさんがめずらしい食べ物をおもしろがる人だからそういうふうに育ったんでしょう。おかーさんがいるから、うちはこういううちなんだよ。」
と訂正する。

リクルートスーツを買って、こんな話をして、感慨深い日だったなあ。
「アキタコマチ」の就活がんばってほしいなあ。

by apakaba | 2014-01-14 21:54 | 生活の話題 | Comments(0)


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