あぱかば・ブログ篇

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2014年 09月 20日

耳硬化症

受け止めることがあまりにも大きなことだったので、なかなか書けずにいたが、私の耳の不調は「耳管開放症」ではなく、もっとずっと深刻なもののようだ。

左耳の具合が悪くなって2ヶ月半ほど、いろいろな漢方薬を処方されて飲み続けてきたが少しもよくならず、いくらなんでもおかしいと思って、都内でも有数の耳鼻科専門病院(といえばわかる、というくらいの有名な病院)へ行ってきた。
来月に影絵の公演が迫っており、今回の声パートは主役の重要度がきわめて高い。
主演復活のためには早く治さなければと本気を出すことにしたのだ。

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未来を知らないというのは、いいものだな……と、このランチ写真を見て思う。
診察前の腹ごしらえにこれを食べているときは、希望がいっぱいだった。
大きな病院にかかれば、たちまち全快すると思ってた。
このランチの時間に、戻れたらいいのに。

しかし、診断は「耳硬化症(じこうかしょう)」(ググってね)。
日本ではきわめて稀な症例のため、診断をつけるのも難しい、いわゆる奇病だ。

症状は「難聴」「耳の閉塞感」「絶え間ない耳鳴り」。
しばしば聴力を測っているが、だんだんと落ちてきている。

この病気は、手術以外に快方に向かう手だてがほぼないという。
担当医がとてもひどい態度だったので、ますます絶望した。
なにしろ
「このあとだんだんと聴力が落ち、やがて聴覚を失います。右もいずれ聞こえなくなる確率が高いです。そうしたらまあ手術か、補聴器ですね(笑)」
という言い方をする。

「飲み薬は効きませんが、血流をよくする効果のある薬を出しますから、それで多少は耳鳴りがマシになるかもしれませんね(笑)。まああんまり期待しないでください(笑)。まだ手術するほど聴力が落ちていませんから、もっと聴力が落ちて補聴器という段階になったら手術するかどうか決めてください。」
「私は耳鳴りはまだ我慢できるし、難聴といってもぜんぜん聞こえないほどでもないです。なによりもつらいのが、耳がふさがったような感覚で、自分の声が頭蓋骨に反響してがんがん響き渡ってしまうような感じなんです。この症状は飲み薬でよくなりますか?」
「まあ、無理ですね(笑)」
「……」
「とにかく今はすることがないので、難聴がひどくなったら手術です。」
「……」
「仮に手術で聴力が戻っても、今までどおりに聞こえるようになることはもう無理です(笑)」

帰り道、泣きながら帰った。

ちゃんと聞こえる人生は、もう終わりですね(笑)

ということですね。

命に別状ないからよかった?
外見には変わりがないからよかった?
そういわれてしまえば、なにも言えない。

しかし、好きだった音楽を聴いても、前とはまったくちがった音に聞こえるし、自分の声量の加減がわからなくて、つい小さい声で話してしまうようになった(相手の反応を見て適当にボリューム調節をしている)。
歌を唄うのが好きだった。
でもすごく音痴になった。
自分がどの高さの音を出しているのかわからない。
人の話も、ぜんぜん聞き取れないことがある。その回数が着実に増えてきている。
音楽や人の声だけでなく、たとえば風の音や、茶席で釜のお湯が静かに沸く音や、そういうかすかな、ひそかな音が。
まだまだ生きるつもりなのに……半分くらいで、聞こえない人生というステージに入ったのか。
信じられない。

ほんとうに信じられない。
実際、難聴はひどくなってきている。
手術できるなら今すぐにでもしたいが、まだそれには時期尚早だと。
そんなことをしているうちに右も悪くなったらどうしよう。
補聴器について調べなければ。

現実を受け入れなければ。

この不調に早く慣れて、手術ができる日を待とう。
手術は失敗すると味覚障害になったり、聞こえるようにならないばかりか、聴力を完全に失ったりすることもあるという。
それでもやらないよりはやってみようと思う。
もしかしたら、劇的によくなるかもしれないんだし。

難聴がひどくなったら、演技は難しくなるかもしれない。
いつまでも主演をやれないとしたら、今すでによく聞こえなくても、来月は無理してでも出ようと思う。
今回の劇で、死んでいく主人公の最後の台詞は、
「俺は、この運命を、受け入れる」
私ほどこの台詞をうまく演じられる人は、いないのかもしれない。

毎日、悲しみと耳鳴りがうるさいのとで、睡眠薬がないと眠れない。
こんなことになってしまい、本当に悲しい。

でも、もしかしたら、もしかしたら耳硬化症ではないのかもしれない、という希望も捨てきれないのだ。
近いうちに、もう一つくらい大きな病院へ行ってみようとも思っている。

by apakaba | 2014-09-20 23:17 | 健康・病気 | Comments(14)
Commented by ナオコ at 2015-07-30 13:09 x
はじめまして。

私も耳硬化症ですが、昨日、久々に検査に行ったところ、

なにしろ
「このあとだんだんと聴力が落ち、やがて聴覚を失います。右もいずれ聞こえなくなる確率が高いです。そうしたらまあ手術か、補聴器ですね(笑)」
という言い方をする。

まったく同じような言われ方をしてショックを受けて帰ってきまして、検索をしていたところ、こちらのブログを見つけました。

常に(笑)が最後につくところなんて一緒で、同じ先生なんじゃ?と思うくらいです。

次に行かれた頼りになる先生がどこなのか教えて頂きたいくらいです。
Commented by apakaba at 2015-07-30 13:35
ナオコさん、コメントありがとうございます。
耳硬化症つらいですよね。
日本での発症は少なく、白人とインド人が罹る率が高いと言われていますが、私が思うに、単にこれまで日本での認知度が低かっただけではないかと。
日本中の耳鼻科で、耳硬化症がもっと認知されるには、患者が声を上げるのが一番ですよね!

最初の「(笑)」の先生は、神尾記念病院というところでした。
そのあと虎ノ門病院に移りました。
そこでの主治医が、まるで皇帝みたいな先生だったのですが(熊谷先生という)、なんと3月いっぱいで聴覚センター長を退かれてしまいました。
私も1年後に検査なのですが、参ったなあと思ってます。
Commented by ナオコ at 2015-07-30 17:19 x
返信ありがとうございます!

しかも病院名も教えてくださってありがとうございます。
残念ながら私が昨日行ったところとは別でした。
同じ先生かと思いましたが、私が行ったのは、慶應大学病院です。K先生でした。(名前は既に忘れました。)

虎ノ門病院だったのですね!
しかし、先生が退かれるとは残念・・・。私も是非診察してもらいたかったです。

私が9年くらい前に始めて診断された病院は、東京医科歯科大学病院だったのですが、納得できずセカンドオピニオンで行ったのが昨日の病院でした。9年ぶりに調子が悪くて行ったらこんな事に・・・。気が向いたら、もとの東京医科歯科大学病院に行こうかなと思っています。

ただ、本当に、医学は日進月歩なので、まだ手術はいっかな・・なんて思ってしまっています。

9年前はほんとに情報が無かったのに、年月が経つと、ブログに書かれている方も沢山いらっしゃってびっくりしました!

色々ありがとうございました、またブログ拝見させて頂きますね。
Commented by apakaba at 2015-07-30 17:58
えええっ、ナオコさんは9年も具合が悪いんですか。
なんと。
私などまだ1年なのでひよっこですわ。
しかし、このままじりじりと聴力が落ちるのをただ待つなんて、本当にげんなりです。

ナオコさんは自声強調はありますか?
私は、まだ難聴自体はさほどでもなく、それより自分の声や音が頭蓋骨に響き渡るような感覚が、耐え難いです。
耳鳴りはわりとすぐ慣れましたが。
Commented by ナオコ at 2015-07-31 13:18 x
そうなんです、かなり前からなんですよね・・・。
ある日、耳鳴りが止まらなくなっている事に気付いたのですが仕事上休めず、二週間位放置したら突発性難聴にもなってしまって、色々手遅れでした。その当時は手術するほど聴力悪くないという病院の判断で経過を見るという事になり、次第に、しばらく来なくて大丈夫という事になり、今に至ります。

私の症状は、24時間の耳鳴りと、特に低音の難聴です。
生活に支障は無いと思っていたのですが、渋い声の男性の声はほんと聞き取りづらいですね。泣

ところで、自声強調の方は私は無いです。
自声強調お辛いことと思います。

確かに耳鳴りは慣れますよね、周囲がざわついていると忘れちゃうくらいです。

今後どうしようかなぁといった所なのですが、中国鍼にでも行ってみようかしらと思っている次第です。過去にも行ってあまり効果無かったのですけどね。汗



Commented by apakaba at 2015-08-01 10:42
突発性難聴と耳硬化症が同時期に来たのですね。
私は顔面神経麻痺のあとに、同じ側の耳から耳硬化症になりました。
素人からすれば、なにか関係があると思いますが、病院では「関係はない」と。
なんだかわかりませんが。

頭を覆われているような感覚が絶え間なく続いているというのは、ほんとにうっとうしいです。
痛みがあるとかではないのだけど、うっとうしいし不便です!

私は「官足法(足揉み)」が効くと聞きました。
ものすごく痛いらしいですが!(怖くて、行っていません)
Commented by ナオコ at 2015-08-01 14:21 x
こんにちは。返信ありがとうございます。

官足法、初めて耳にしました。
指をもんだり足裏を揉んだりするんですね。
こちらもとても気になります。
そういえば昔足裏マッサージに行った時に、やはり耳に関係する部分がかたくなっていると言われたことがあります。

顔面神経麻痺のあとの耳硬化症だったのですね。
色々な発生方法があるのですね。
関係ありそうな気がします、私も。

何か効果がありそうな情報があれば、またこちらで共有させて頂きますね。

Commented by apakaba at 2015-08-02 20:10
ナオコさん、私も足つぼマッサージをやって同じことを言われました。
そのつぼを押したからといって、耳硬化症が治るとも思えませんが、きっとよく聞こえないから耳が疲れているんだろうなあと思ってます。
まあまだまだ先は長そうですけど!
お互いがんばりましょう!
コメントはいつでもいいので、忘れた頃でも書いてくださって大丈夫ですよ!
Commented by きづき at 2015-09-08 12:47 x
耳硬化症の件で検索していたらたどり着き、
ブログ拝見させていただいております。
私の場合、左はまだ辛うじて動いてますが
右は完全に硬化していると言われ、早2年です。
最近右耳は自声強調が始まりました。

診断された時、医者には
「急いで手術しなくていいよ」
「でも、出産とかすると一気に悪化するかも。そうなってから手術か補聴器か考えなさい」
と言われました。
そんなこと言われても、定期検診も特に言い渡されてないし…。

ちなみに転職済みですが、前職場では病院勤務歴のある上司に
「そんな病気知らない。」一言を言われ
更には「耳だとわかりにくいから体調不良の言い訳をしているのでは」
と、すごい失礼なことを言われたのも良き?思い出です。
(あまり名前の通っていないとはいえ失礼な…)

不安に思っていながらこの記事を読んでいたら、
ああ病院が違くてもそういう反応なんだなあ。
ってちょっと軽くなったような気がします。

なんだか、とりとめのない内容失礼しました。
つい、書き込みたくなってしまいました…。
Commented by apakaba at 2015-09-09 09:32
きづきさん、コメントありがとうございます!
すごくすごくつらいですよね。
お察しします。
聞こえの不調は、本人ががんばってしまうと、周りからは「もう治ったのかな」などと思われてしまうし、生死に関わる話ではないから軽く見られがちだし、ほんとうに孤独です。
佐村河内さんじゃあるまいし。

きづきさんは、補聴器を使っていますか?
左は聴力を失った状態でしょうか。
そうなるまでに、どれくらいかかったのでしょう。
とにかく周りに同じ病気の人がいないので、どんなふうに症状が進むのか、まったくわからないのです。
目安がないというか……聞こえないといってもまだ聞こえづらいという段階だし、あまりこの話題を出すと周りに嫌がられるかと思ってしまって。
また教えてくださいね。
Commented by きづき at 2015-09-16 16:17 x
apakabaさん、こんにちわ。

私は診断されて2年半ほどたちましたが、まだ左右どちらも補聴器は使わずに生活できる程度ではあります。
先生曰く、耳硬化症のアブミ骨の周りの筋肉が硬化してもそれだけでは聴力0にはならないそうです。
ホルモンバランスとか影響しながら徐々に徐々に聞こえなくなるよ~と言われました。
ただ、以前は平気でしたが今は電車のホームとか電車内…での会話は、
特に硬化して症状が進んでいる右耳で聞くとなんとなくしか聞こえないなあ、と感じることは増えてきました。
左耳のほうが聞こえてるかな?って感覚はあります。

進行性のものとはいえ、目に見えて良くない状態って「聞こえない」のでしょうし
そこに至るまで時間がかかるって周囲に話すと「じゃあ大丈夫じゃん」で済んだり「早く手術してしまえば?」とか…
認知が低い病気でなかなか話題に出しにくいところですよね。
でもこうやってapakabaさんのようにブログにかかれたりされてる方がいらっしゃると、
不安だったり悩んでるひとが声をあげたり少しずつ共有しやすくなって、認知もされやすくなっていくといいなあ…なんてちょっと思ったりします。
Commented by apakaba at 2015-09-18 12:09
きづきさん、遅くなってすみません。
やっぱり、長く付き合わなければならない病気ですね。
慣れてしまうと、気にならないときはすっかり聞こえが悪いことを忘れているんですが、つねに頭を軽く締め付けられているような、重たいような感覚があります。
私は今は左だけが悪く、右はごく初期の症状なので、左がそんな感覚です。
でもこのあと右も進んでくると、両方の頭が締め付けられたような感じになるとかと思い、ガックリです。

いっそ早く聞こえなくなって、手術したいとも思うし、それでも昔と同じには戻らないと思うと悲しくなります。
未来にどうにか楽になる方法が生まれないでしょうかね。
Commented by のれり at 2016-01-20 20:59 x
通りすがりで失礼します
私は16年ほど前に両耳を耳硬化症で手術した経験があります。当時29歳でした。

高校の頃から健康診断で毎回難聴の疑いを指摘されるようになり、30歳目前で日常生活に支障をきたすレベルになり通院を始めました。
最初に行ったのは地元の大きな総合病院で、そこでは原因がわからずあまつさえ「これぐらいなら生活できるでしょ?」ぐらいの事を言われ話にならず、次に個人経営の小さな耳鼻科ではろくに検査もせずに山のような薬を処方されてこれまたまったく話にならず、半分諦めてました。
それで自分でネット等で調べてるうちに耳硬化症のことを知り、次の病院でまた原因不明と言われたらこちらから切り出そうと思って大学病院(栃木県の独協医大)に行ったところ、こちらではすぐに耳硬化症の疑い有りと診察していただき、手術へと話が進みました。

両耳でしたので、夏に右、半年後の冬に左と、間を空けてやりました。入院期間はそれぞれ2週間ぐらいでした。残念ながら私の場合右耳は劇的回復というわけには行きませんでしたが、左は大成功で、しばらくは音が大きく聞こえ過ぎて困るぐらいでした(これは脳が慣れると自然に調整されるようです)
手術自体は全身麻酔なので痛くも痒くもありませんが、術後の体温低下と天地がひっくり返る程の激しいめまいは覚悟して下さいw
手術費用は当時で方耳20万ちょいだったと記憶してます。これは高額医療の対象になったので半額ほど後から返還されましたし、残りも生命保険でまかなえたので負担は0でした。むしろ保険でプラスにw

16年経ち、また右耳はほとんど聞こえなくなってしまい、もう一度手術or補聴器か……と考えて検索したところこちらを見つけたもので、少しでも参考になればと思い経験談を書かせて頂きました。
耳鳴りや偏頭痛はたしかに嫌なものですが、ポジティブ思考で「自分はこれが正常なのだ」と思って付き合えばそれほど苦にはなりませんよ。
私などもう何十年も頭の中にセミを飼ってるような大音量が常に流れていますからw
Commented by apakaba at 2016-01-21 21:24
のれりさん、コメントありがとうございます!!!!!
とても参考になり、やっぱり一人じゃないんだと実感しました。
今は手術もだんだん簡単になってきているようですが、やはり不安はあります。
私はまだまだ、手術レベルには至らないので、長いお付き合いになってしまいそうです。
耳鳴りは、すぐ慣れますね。
私は影絵の劇団で大きな声を出すので、自声強調が本当にキツイです。
とにかく不安ですが、なかなか周りには理解しづらいのが聞こえの困ったところですね。


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