あぱかば・ブログ篇

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2014年 10月 24日

サントリー美術館「高野山の名宝」と国立新美術館「チューリヒ美術館展」

六本木の三大美術館、「サントリー美術館」「国立新美術館」「森美術館」を「六本木アートトライアングル」というらしいが、今日は森美術館以外のふたつをまわってきた。

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サントリー美術館併設カフェ「不室屋」の麩焼きお汁弁当。私にはお酒がないと味が濃いがここに来るといつも食べる

サントリー美術館で開催中の「高野山の名宝」は、ハズレ企画なしのサントリー美術館らしい、満足度の高い展示。
とりわけ運慶作の「八大童子像」の露出展示(ガラスケースなし)がすばらしい。
よく、「仏像はお寺で見なければ。美術館では、ムードが出ないよねえ」などと言う人がいるけれど、私はそれにはまったく賛成しない。
こんなに間近く、好きな角度から仏像を眺められるなどという贅沢がゆるされるなんて、まったくいい時代だ。

「八大童子像」は、運慶の作品と、時代がはるかに下ったあとの作品が混在している不思議な集合体なのだが、誰でも一目で「これは運慶、これも運慶、これは運慶じゃない。」と区別がつく。
運慶の作品はあまりにもあまりにも、独創的だ。
あまりにも写実的。
童子の顔(と妙な髪型)を見て、まず衆生(と敢えて呼ぶ)が感じるのは、ありがたみよりも“親近感と嫌悪感”ではないか?
「あ〜こんな顔のヤツいるわ、昔同じクラスだった、すごい性格悪かった小太りのヤツ」とか、「あっ!この人見たことある!ん、たまに弁当屋の前で会う隣の部署の人?」とでもいうような……なんともいえない、気まずいような距離感。
それなのに、やっぱりこの世の人間では絶対にない超人的なはかり知れなさを湛えている。
美少年でもなんでもないのに、目が離せない。
関わり合いたくないのに、関わらずにはいられない、そんな感じの童子の一群だ。
よくぞ高野山から降りてきてくれた。
快慶の四天王像もいいけれど、やっぱり運慶の魅力には及ばなかった。

それにしても「玉眼」というのは、当時の美術界において、ドラスティックな改革をもたらしたものだったんだろうなあ。
あれをやったらもう後戻りはできない。
ただの一片の木が、玉眼を得ることでほんものの仏像になる。
平安末期から鎌倉時代に起こった玉眼ブーム(?)を見ていると、当時の日本文化の質の高さには感動する。

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次に国立新美術館の「チューリヒ美術館展」へ。
こっちの展示は、けっこうヒドいと思った。
副題どおりの“印象派からシュルレアリズムまで”の錚々たる作家の作品を、ただただ、ずらずらと並べているだけ。
倉庫みたいな展示だ。
キュレーターはなにをしているの?
ふつう、スイスという国の説明とか、チューリヒ美術館での実際の展示の様子や日本との関わりなどを、展示の合間に写真などで解説してあったりしないか。
それでも、このキュレーターの時代に、こんな企画展でも千客万来なのだから、東京とはおめでたい街だ。

なにしろ超有名作家ぞろいなので、いい作品はいっぱいある。
しかし一回りすると、結局なにを見ていたのかよく思い出せない。
なにかに向かってグッと引き寄せられていくような、大きな力に導かれるような企画がない。

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地元の喫茶店に戻る

ふたつの企画展を見て、作品そのものの持つ力よりも、都心で開催する美術展には企画力が大事だなあと感じた。
まあいつも感じるのだけど。
やっぱり私はサントリー美術館が好き。相性がいい。

by apakaba | 2014-10-24 22:46 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(2)
Commented by desire_san at 2014-12-02 23:36
こんばんは。
私もチューリヒ美術館展をみてきましたので、楽しく拝見しました。
「モネの部屋」の睡蓮の大作を始め、ゴッホ、セザンヌから。スイスを代表する画家、ホドラー、セガンティーニ、ココシュカの作品まで楽しむことができました。

私もこの美術展の作品の魅力などを整理してみましたので、読んでいただけると嬉しいです。よろしければブログにご感想などコメントをいただけると感謝致します。
Commented by apakaba at 2014-12-04 15:40
コメントありがとうございました。
すばらしいレビューで、勉強になりました。
思い返すとあれはいい作品ぞろいでしたね。
ところがただただ並べるだけだったので、印象が薄まってしまったのが残念です。
desire_sanのように、しっかり感想を書くことができるといいなと思います。
見ながらメモをとっていくといいんですよね〜。


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