2014年 12月 09日

丸呑み

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Facebookに、お弁当の写真を撮ってアップすることがある(いつもまずそうな写真だが)。
今朝は夫と次男が持っていった。

銀ひらすの西京漬焼き、かぼちゃの煮付け、ビーツの茎の中華炒め、マッシュルームとフレッシュバジルのオムレツ、昆布佃煮(買った)、胡麻塩ごはん

簡単なメニューだが、いつもやさしい友人たちが「おいしそう」とかコメントを書いてくれる。
写真をアップする目的は料理を見せびらかすことではない。
たんに四方山話を書くための枕のようなものだ。
しばしば「旦那さんは幸せね。いつも大喜びでしょう」と言われたりするが、これまでほとんどお弁当のお礼や感想を夫から言われたことがない。
でも、そう言うと、まるでうちの夫が感謝知らずの嫌な人間のように思われそうで、なかなか正直にも言えない。

夫は、どうなんだろう。
弁当写真を友達に見せるようになってから、夫がお礼も感想も言わないことが、だんだん気になってきた。

この前、その気がかりに一気に答えが出た。
ししとうをごま油で炒めたおかずを入れたのだが、けっこう“当たり”の多いししとうで、からいものが絶望的に苦手な夫はさぞ苦しむだろうと心配になった。
「お弁当にししとうを入れたら、辛さヒット率高いです。ちょっとだけかじって確認してから食べてください」とメールまで入れた。
しかし、帰ってきて「大丈夫だった?」と聞いても、「からいのもあったような気がする、うん、たぶんあった。でもほとんど丸呑みで飲み込んでるからわからない」と言うではないか。

これを聞いて、本当にショックだった。
あんなにからさに弱い人が、味をまるで感じないくらいに早食いしないといけない職場って、いったいなんなんだろう。
かねがね、「弁当の時間は5分。自分の席で仕事をしながらかきこむ」と言っていたけど、大の苦手のからいものの一件で、その言葉がおおげさではなかったことを理解した。

つまり夫は、「弁当がうまかった」と思う余裕はまったくなく、なにを食べているかすらわからないままかきこんでいるのだった。
食べながらもメールの返信などに追われているから、食べ終わった瞬間に、もう昼食のことは忘れているのだろう。

ふつう、仕事が忙しいといっても、せめて昼食くらいは食べる時間があるんじゃないの?
オフィス街では、昼時になると、首からネームカードをぶら下げたサラリーマンがぞろぞろ出てきて、今日はどこで食べようかと談笑しているじゃないか。
たまに「仕事に忙殺されて昼飯抜き」なんて言っている人がいるけど、週六日、昼食を5分で丸呑みしないといけないほど忙しい人ってさほどいないと思う。
20代や30代ならともかく、50近くなってもこれでは、不憫すぎる。
しかもこの先、定年までずっとその暮らしは続くであろう。

最近、夫は「朝の通勤が疲れるから、早く出ることにする」と言って、今までより20分早い電車に乗るようになった。
当然それに合わせて弁当作りも早く起きないといけないわけで、内心かんべんしてくれと思うのだが、とてもそんなことは口に出せない。
20分早く仕事に行っても20分早く帰るようになったわけではない。
つまり20分多く働くようになっただけなのだ。

この人は疲れてもうすぐ死ぬんじゃないかと思う。
仕事をしすぎると、人は簡単に死んでしまうことはよく知っている。
私の父も仕事をしすぎて、元気だったはずなのに45歳でコロッと死んだ。
できる限りサポートをしたいが、彼の仕事量にはどうやったって追いつけない。
こんな人生、幸せなのかなあとも思う。
「こんなにおいしそうなお弁当を作ってもらって幸せね」と友達から言われるお弁当を持たせたって、当人は、何十年も、味もわからず丸呑みするだけの人生。
私にできることはなんだろう。
私がもしどんなにお金を稼いだとしても、それで夫の仕事量が減るわけではない。
とてもむなしく、悲しい。

by apakaba | 2014-12-09 10:05 | 生活の話題 | Comments(0)


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