2015年 03月 28日
少し前のことになるが、トルコ旅行から帰ってきた次男「アキタコマチ」が、家へのお土産にお菓子を買ってきた。 「おかーさんが好きな、マカオの飴売りの飴(その話はこちら→あなたを香港・マカオに連れて行くよ・15)。あれのトルコ版だよ。」 中華圏で人気のある、ふわっ、サクサクっとした口当たりのいいお菓子だ(これをエイビーロードで記事に書いたこともある。→甘い!美しい!最高の路上パフォーマンス!マカオの飴売りおじさん)。 あれが大好きなので、「ほんと?やったあ!」と言って開けてみた。 だが、一目見て、記憶の奥底を掻かれるような気持ちになった。 これをどこかで見たことがある、いや、食べたこともある。 マカオの屋台じゃなくて、もっとずっと昔。 とても大切な思い出。 それは、シリアのダマスカスのスーク(市場)でだった。 6歳だった長男「ササニシキ」を連れて、ダマスカスへ行った。 そのときに受けた親切を思い出すと、どうしても今のシリア内戦や自称「イスラム国」ISISのニュースを知るたびに涙がこみ上げてしまう。 むしろ今のシリアが悲惨だから、どんなに小さな思い出も宝物のように輝いてしまうのかもしれない。 このトルコのお菓子は、シリアにもあった。 以下、私の旅日記より。 こんなことがあった。 -------------------------------------------------------------------- スークの出口にある、フレッシュジュース屋のおじさんからは、最後の一杯を買う。 暑くてたまらないので、腹具合が悪くても、一日に何度もここのジュースを飲んでしまっていた。ジュースを買う私たちを、向かい側に店を出している本屋のお兄さんはいつも笑いながら見ていた。 おととい、その本屋さんが、物売りの子供の運んできたトレーから、ふわふわしたものをつまんで食べているところへ通りかかった。 なんなのか想像もつかず、思わずふたりで彼の目の前に立ち止まって見つめてしまったら、「味見したいんだろ?」という様子で、トレーを私たちに突き出した。 それは綿菓子だった。 見た目は、ほんものの綿のかたまりのようである。日本の夜店で買う、なじみのある綿菓子よりどっしりしていて、荒っぽい味がする。精製していない砂糖の味だった。 人ごみのなかで、私たちが「わあ、おいしい!」「おいしい!」と食べているのを、満足そうにみんなが見ていた。 お代は、と尋ねたとたん、本屋のお兄さんをはじめ、周りにいたひげ面の男性たちが、いっせいに怒ったような表情をつくって、オイ、怒るぞ!そんなこと言うな!いいんだ!というようなことを、手を振り回して口々に言った。 アラブの男は、荒っぽくて、甘い。 ------------------------------------------------------------------ もちろん、こんな“いい話”は私が幼い息子連れの母親だったからで、たとえばもしも外国人の若い女が一人でふらふら歩いていれば、別の扱いを受けただろう。 とにかく彼らは徹底的に子供好き、そして「お母さん」にやさしい。 ある意味では私は、アラブの国で最上の旅をしたのだろう。 だからこそ、あんなに子供を愛し、母親を敬愛してくれるアラブの男同士、武器を取って血を流していることがつらいのだ。 トルコでは「ピシュマニエ」という名前のそのお菓子を食べてみると、まさにダマスカスのスーク・ハミディーエの味だった。 長男との思い出の味を、偶然に次男が持ち帰ってきてくれた。 旅は、いろいろなものをつなぐ。 私と息子たちをつなぐ。 私と遠い国をつなぐ。 子供たちと世界をつなぐ。 馬鹿の一つ覚えで祈る、世界平和を! (それにしても、先月に似たような記事を書いた。 これが個人ブログにしては異様な閲覧数となり、フェイスブックの「いいね」が1400以上となり、ビックリした。 今の世の中、何が検索に引っかかって人目に留まるかわからない。 twitterでも、ちょっと「うまいこと」を書くとすぐリツイートされたりリプライが飛んできたり。 ネット世界の食いつきの速さはすごいなあ。 おもしろくも恐ろしくもある。)
by apakaba
| 2015-03-28 14:43
| 旅行の話
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アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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