あぱかば・ブログ篇

apakaba.exblog.jp
ブログトップ
2015年 04月 16日

2歳児にとっての祝祭

今日は託児のお手伝いに行ってきた。
保育園のパート時代(私は難聴のため昨年11月末に退職)に一緒だった人から、きのう急に連絡が来た。
近隣の小学校で保護者会があり、その間に未就学児を校内の図書室で預かるという手伝い。
人手が足りず困っているようだし、私もあれほど子供まみれだったのに退職したらぱったりと子供と疎遠になったので、たまにはいいかと思って行くことにした。

近所なのに初めて行く小学校、Googleマップを見ながらたどり着く。
1歳から5歳の子供が、母親に連れられ次々と図書室に入ってくる。
小学生のママは若いなあ。みんなきれいだなあ。
見とれていると、「ほら、このおねえさんと仲よくしてもらってね」と子供に言い聞かせている。
「おねえさん」とは笑っちゃうが、目の前で「おばさん」と言うのもはばかられるんだろうなあ。
おねえさんっていい言葉だわ。

配られたおそろいの赤いエプロンをつけて、かき集められたおねえさんたちは、三々五々、子供たちの世話にかかる。
保育園のパートさんもあと二人来ていて、少しおしゃべりもした。

泣き叫ぶ子供はほとんどいなくて、みんなスッと机の上に広げられたおもちゃで遊び始める。
そして近くにいるおねえさんに話しかけて甘える。
なんだかいやに楽だなあ……考えてみたら、この子たち全員、“下の子”だった。
上の子が小学生だからここに預けられているのだ。
下の子は強いわ。

こういうとき、私はいつも「昔の自分に似た子」をさがすのが癖だ。
これくらいの幼児のころ、私はかわいげのない子供で、こういう場所で見知らぬ大人にいきなりべったりと甘えたり、きゃあきゃあと走り回ったりする子供ではなかった。
「かまわないで、私ひとりでも遊べるから。本もいっぱいあるし」という態度で、騒いでいる子を無視して、小学生向けの難しそうな本を手にとって読みふけっているような子供だった。
笑顔がなくて大人になついてこない小さい女の子を見ると、昔の自分を見ているような気分になる。
そういう子がふと目を上げたときに、ちょっとだけにこっとしてあげる。
ベタベタされるのが嫌いだから、むやみに話しかけず、そっとしておきながらわずかににこっとすると、昔の自分に似た子は少し安心した顔になる。

c0042704_21420825.jpg
なぜフレームインしてくるの


でも今、大人になった私は、やっぱりやたらと話しかけてくる子が好きだ。
だってかわいいしおもしろいもん。
2歳の男の子は、どうにもこうにも、何を言っているのかわからない。
でもおかまいなしに話してくる。

彼はどうも「アッキー」というらしい。
ひろみさんの車はピンク色で、アッキーのパパはいつもひろみさんからピンク色の車を借りているらしい。
ひろみさんが誰なのかはいくら尋ねても「???(沈黙でにっこり)」
アッキーは最近ようやく車の絵を描けるようになった。前は描けなかった。
車に乗るときはシートベルトをする。
アッキーのシートベルトは、はるが留めてくれる。
はるが誰なのかはいくら尋ねても「???(沈黙でにっこり)」

これだけの情報をアッキーから得るのに、たっぷり20分ほどかかる。
はるというのが多分、お兄ちゃんかお姉ちゃんなのだろうが、はるの性別をいくら尋ねても以下同文。
そのうち、自分のおしゃべりに20分付き合っているこのおねえさんはどうやら現時点の自分の庇護者であるらしいと認識してきたらしく、折り紙を切って「帽子をつくるよ。せんせいのおたんじょうびなの。」と言いだした。

なぜか2歳の子供は、友情や愛情を表現するときに「おたんじょうび」と言う。
去年もおととしも、2歳児の相手をしているとそうだった。
おままごとをしながら「きょうはねえ、せんせいのおたんじょうび!ぼくがごはんをつくるから!」とか、積み木を上手に積んで「きょうはせんせいのおたんじょうび。ケーキをつくりましたー」。
アッキーから不意に言われて、そう言ってくれた保育園の子供たちを懐かしく思い出した。

2歳児にとって、人生最良の祝祭は、「おたんじょうび」なのだろう。
1歳児のときには自分や周りの子の誕生日なんか知ったこっちゃない。
でも2歳児は、月齢の早い子から順番に3歳になり、先生や家族が掛け値なく「おめでとう!」と祝福してくれるのを見て、人生で初めて誕生日というものを強く意識するのだ。
クリスマスも盆も正月も、彼らにとっての「おたんじょうび」の前には消し飛ぶ。

だからこそ、彼らは「きょうはせんせいのおたんじょうび!」と言うのだ。
3歳になり4歳になると、「せんせい、おたんじょうび、いつ?あたしはねえ6月!」などと、会話が大人になってしまう。
唐突に「おたんじょうび」で愛情表現を始めるのは、2歳児だけだ。
とてもうれしく、懐かしい気持ちになった日だった。


by apakaba | 2015-04-16 21:45 | 生活の話題 | Comments(0)


<< 週休1日、ぽかんとする日      おやゆびひめへの旅路 >>