あぱかば・ブログ篇

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2015年 05月 18日

風邪で見る夢・2

私と娘の「コシヒカリ」が家から外に出て、小高い丘に上る。
草原(くさはら)がつづいていて、丘の上にぽつぽつと建つ遠くの家の一つから、黒いボストン・テリアが転がり出てきて、さかんに動き回っている。
その様子がおもしろくて、「コシヒカリ」に「ねえあの犬見てよ。」と声をかけると、ボストン・テリアはいつの間にか黒い2匹の子犬になっていた。
子犬がじゃれあっているのがかわいいので、私はiPhoneを取り出して、動画を撮り始める。

iPhoneの画面越しに、草原の遠くから地割れが起こり、亀裂がめりめりとこちらに向かって走ってくるのを見る。
遠くにある、犬の出てきた家と、子犬がじゃれあっているその間を地割れが割く。
子犬たちは天変地異に気づかずじゃれあっている。
丘の上の家は崩れ落ちる。
セメントを流したような灰色の土砂が押し寄せてくる。
その辺りまで、動画を撮り続けている。
そのとき、私は、「画面越しに見る光景は、どんなにショッキングな物事であろうと、肉眼で見るよりも著しく現実感を損なう」ということを知る。

眼下にあった我が家やその近所は、この一瞬のうちに、すべて灰色の土砂に埋まってしまった。
とっさに「家族は大丈夫だろうか?」と、心の中で点呼を取る。
夫と次男は出勤したからとりあえず無事。
「コシヒカリ」は一緒にいるから無事。
長男「ササニシキ」は……どうだったっけ?もしかしたら、家の中か?
そういえば隣に住んでいる親は?

動画撮影を止めたiPhoneで母に電話をかけてみると出た。
「家にいないの?」と聞くと、「今、『ササニシキ』と一緒に警察署にいる」と言う。
「警察署?どうして?」

二人とも無事だったことにほっとしたが、電話を替わった「ササニシキ」が泣いているのでぎょっとする。
「お母さん。オレは……ごめんなさい。大変なことをした……。」

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今ではおじいさんになったコーシローも、しつけにさんざん苦労した


車も電車も壊滅なので、歩きで警察署まで迎えに行くことにして、無事だったコーシローにリードをつけて、パニックの街を歩き出した。
歩きながら電話をつづける。
「ササニシキ」は泣いているので話の要領を得ない。
なにか悪いことをしたのは確実なようだが、その内容を、いくら聞いても言わない。
なんだろう、スリ?恐喝?殺人?放火?政治的な活動?
親に泣いて謝らなければならない犯罪って、なんだろう。

犬を連れて、ひとけのないガソリンスタンドを通り過ぎる。
街の車は皆、灰色の土砂の下敷きになり、車を出す人がいないようだ。
「ササニシキ」は泣きながら、私と長年断絶してきたことを悔いる言葉を漏らしていた。

男の子は、子供のころにはよく泣くが、だんだん泣かなくなると親とぶつかることもなくなる。
「ササニシキ」はよく泣いていた。
最後に泣いて私と衝突していたのは、中学生のころか。
この子の泣き声を10年ぶりに聞いたのか。
犬を連れて、この世の終わりのような通りを西へ向かって歩き、泣き声の懺悔の言葉を聞きながら、10年前までの、子育てが完全に暗闇だったころの息子を思い出している。
いつの間にか過ぎたんだなあ。
終わりがないように見えていた子育てスランプも、いつの間にか終わってしまった。

「もういいんだよ。大丈夫。心配しないでいいよ。今、そっちへ向かってるからね。お母さんはいつだって絶対にお前の味方なんだから、泣かなくていいの。なにをやったとしても、お前を守るから。」
それで、なにをやったの?
と、早くそれを知りたかったのに、頭が割れそうに痛くて、起きてしまった。

子育て、スランプ (2004年の「ササニシキ」。私は読み返すたびに泣けてしまいます)
子育てに悩む   (2005年、このあたりからそろそろ、「ササニシキ」は泣かなくなり、対立は減っていきました)


by apakaba | 2015-05-18 09:20 | 生活の話題 | Comments(0)


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