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あぱかば・ブログ篇

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2015年 08月 08日

四谷「レスプリ・ミタニ ア ゲタリ」でフランス時間を過ごす

次男「アキタコマチ」が就職してからは、うちの家族5人がそろって食事をすることは、数ヶ月にいっぺんになった。
次男が行きたいと前から言っていたレストランへ、うちの5人と義父母とで行ってみた。
四谷の「レスプリ・ミタニ ア ゲタリ」へ。
肉の塊を豪快に切り分けてみんなで分けて食べるというのが売りのレストランだという。

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コースの冷たい前菜はトビウオのマリネ。
トビウオをここまでおいしいと思ったのは人生初かも。
じゃがいも・玉ねぎ・にんじんという家庭の野菜三種の神器は、温かい。
冷たい魚と温かい野菜、ささっと食べるのがよし。


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四角いのは豚足と豚耳のガレット、丸いのはモツの入った腸詰め。
かなり癖のある温かい前菜。
うちはもちろん変わったものが大好物なので、この時点ですでに食前酒と、ワイン2本が空だ。
こういうものが苦手な人にはきのこのオムレツに替えられるという。
これも看板の一つらしいが、癖のあるものに邁進する我が家には、ガレットと腸詰めが正解だった。

「この野菜は、セルバチコだよ。」
「アキタコマチ」が教えてくれた。
「ルッコラに似ているけど、ルッコラより野性味があっておいしいでしょう。」
教えてもらわなければルッコラと勘違いしたまま食べてしまうところだった。
料理人と一緒だとこういうところは楽しい。


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これも看板の一つ、魚のスープ。
あなごをたっぷり使ったザラザラした舌触りの野性味あるスープで、ここにグリュイエールチーズを載せた薄切りパンを沈める。
ザラザラしているのは骨も入っているからだろう。
スープというと透明なスープか、生クリームを飲んでいるような滑らかさ重視のスープが多いのに、この力強さはおもしろい。


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ふたり以上の場合、前日までに注文しておくと、メインは塊の肉にすることができる。
乳飲み仔羊、ホロホロ鳥、シャラン鴨、ウサギ、仔牛、イベリコ豚(だったかな?もっとあったかな?)の中から選べるが、人数が多いので仔羊と鴨の二つを選んだ(仔羊が多いので、シャラン鴨ではなく小さめの鴨に変更)。


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豪快なビジュアル。
ローストした羊はその場で切り分け、あとは各自で好きな部位を取る。
野生児の「コシヒカリ」の本領発揮で、迷わず大きな骨付き肉を両手でつかみ、顔をベタベタにしながらいつまでもしゃぶりついている。
あの娘の「骨周り」への執着は人類を超えている。


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見ての通り、付け合わせの野菜は素朴そのもの。
でもおいしい。
仔羊についていたきのこは、また「アキタコマチ」が「これはフランス産のきのこだよ。」と教えてくれたが、いい歯触りだった。


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ワインを3本飲んで、各自食後酒を飲みながらデザートへ。
私と夫は、桃まるごと一個の軽いコンポートの中にアイスクリームの入ったもの。サワヤカ。


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お酒を飲まない義母と娘はさらにサワヤカなフルーツ。


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フランス料理修行中の次男は、もっとも通好みな感じで。
赤ワインのタルト。
食べたことのないおもしろい味! 驚き。


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義父と長男「ササニシキ」は、奥にあるつややかなオペラ。
「アキタコマチ」は、「勝負に出ている……! こんなに苦いチョコレートはなかなか使えない!」とまた驚いていた。

おもしろいお店だった。
大人数で行って、大きな肉を取り分けて食べるという形式は盛り上がる。
コースの組み立てとしては、ふたつの前菜とスープからすでに相当どっしりしているので、よほどの大食いでないと、重く感じるだろう。
さすがの我が家でも食べきれず、残りの肉を持ち帰った。
しかし、一皿一皿の気合の入り方が、そこらへんの軟弱なフレンチとは段違いのレベル。
イマドキの、見た目がちょこまかキレイで、やたらと軽めで甘くて冷たい前菜(泡立てたりムースだったり)は飽きる。

一皿ごとに、確実にフランスを思い出させるものを持っている。
盛り付けの素朴さや大胆さ、「日本人」の好みにおもねらないところがいい。

そして駆け出しとはいえプロのフランス料理人が一緒だと、いろいろ教えてくれるので楽しい。
自分だけなら「食べたことない。なんか、おいしーい」で終わってしまうところだ。
義父母の支払いなので孝行ともいえないけれど、老夫婦ふたりで食事していれば盛り上がりようがないものを、こうして大人数でドカドカと食べるのは、やっぱり幸せなことだろう。
そういう会食に最適の店だ。
楽しい夜を過ごせた。
「男フレンチ」の異名をとるレストランだそうだが、よくわかった。
飾り気なく、味に妥協しない、フランスのフランス料理そのものだった。


by apakaba | 2015-08-08 12:09 | 食べたり飲んだり | Comments(0)


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