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あぱかば・ブログ篇

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2015年 08月 26日

死んだメジロ

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きのうの朝の散歩のとき、道の真ん中にメジロが落ちて死んでいるのを見た。
雀や鳩はしばしば無残な姿になっているのを見かけるが、メジロが死んでいるのは初めて見た。
“かわいい”と反射的に思った。
左右の羽をからだにぴったりつけて、「気をつけ」のような恰好で、首だけ右側に向け、二本の足はがにまたにちょこんと伸びていた。
飛ぶのをきゅうにやめて墜落したみたいな恰好だった。
血が出たり、内臓が飛び出したりという外傷がまったくなかった。

横顔はなぜか手塚治虫が描く漫画みたいに見えた。
白い縁取りの目はかたく閉じられ、口(くちばしというより口)はわずかに開いていた。
通り過ぎながら、
「表情筋のない生き物は、死んでも生きているのとあまり区別がつかないものだな。これが犬や猫だと、顔に苦しみが浮かんでいてかなり見ていられないけど、小鳥はあんなふうに死ぬと可憐だな」
と思っていた。

あんな道の真ん中で、車に轢かれたらつぶれてしまうだろう。
野良猫が気づいて運んでくれればいいけど。
「コシヒカリ」だったら拾ってきちゃうんだろうな。

夕方の散歩のとき、気になってまた同じ道へ行ってみた。
死んだメジロを見て、思わず「プッ」と吹き出した。
死んだメジロは、朝とまるで同じ場所で同じ恰好のまま、紙のようにぺっちゃんこに、まるで道路に鳥の模様が印刷されているみたいに、ぺらっぺらのぺっちゃんこにつぶれていた。
「車に轢かれてぺっちゃんこ。ぺっちゃんこはせんべい。せんべいは……」と口をついて出そうになるほど、見事なぺっちゃんこぶりだった。
不思議なことに、それでも血はまったく出ていず、内臓も飛び出していなかった。

今朝、また気になってあの紙のように薄くなった小鳥を見に行った。
こんどは、跡形もなく消え失せていた。
跡形もないので、道のどの辺りに落ちていたかももうわからなくなった。
こんどこそ野良猫かたぬきが、路面から苦労しながらはがして持ち去ったのだろうか。
早起きの近隣の人が、はがしたのだろうか。

跡形もなくなって初めて、あの小鳥は死んだのだなあと思った。
散歩をしていると、足元にはさまざまな生き物がぺっちゃんこになって死んでいる。
ミミズ、いろいろな虫、ヒキガエル、カナヘビ、そんなのは毎日見る。
でもあのメジロはかわいかったな。
朝と夕方と翌朝と、見事な変貌だった。


by apakaba | 2015-08-26 22:22 | 生活の話題 | Comments(0)


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