2005年 08月 18日
家族5人と夫の両親の7人で、ぞろぞろと高野山の宿坊に泊まりました。 私は、10年ほど前から高野山に行ってみたくて、行くからには宿坊に泊まりたいとずっと思っていました。 宿坊のイメージは、こんな感じでした。 ぎしぎし軋む板張りの床に、敷くだけ無駄なようなせんべい布団を敷いて、国立病院の入院患者のように、夜9時には電気も消されてしまって、アルコールなんてもってのほか、一汁一菜の粗食に一日数回のおつとめ、ユースホステルみたいに食事の配膳や片づけもみんなでやったりする。 ところが今回泊まってきた宿坊は、そのイメージのちょうど対極でした。 建物が近年焼失したため、たいへん新しく、すみからすみまで、“ピカピカ”とマンガによくあるダイヤ型のマークが見えるみたいにきれいで、大浴場・シャワートイレ完備、布団はふかふか、お部屋は次の間つきで、5人がゆったり寝られる広さでした。 ←スバラシくきれいだった宿坊、地蔵院の前にて。 関係ないけどとうとう、長男「ササニシキ」に背を抜かれた。は〜。 食事は完全な精進料理でした。 三の膳まで出る豪華な夕食に、はじめ度肝を抜かれるけれど、よく見ると全部が野菜だけで作られています。 イカのおつくりと見えたのはこんにゃくのうす切り、お肉のような揚げ物は山芋をおろして作っているのでした。 だしも鰹や煮干しの香りは一切せず、昆布でとっているので、めずらしい味に感じられました。 ただ、全体に甘い味付けがしてあり、揚げ物も多いので、全部食べきるのがやっとというくらいお腹一杯になります。 宿泊客用にとくに豪勢に作ってあるのだろうから心配ないとはいえ、もしもお坊さんたちがこんなに糖分や油を毎日摂取していたら太るだろうなと思いました。 だしの物足りなさを甘みで補うような味付けのため、お酒を飲みたいという気持ちも起こらないのでうまくできています。 (でも高野山ではアルコールは禁止ではなく、自由に飲むことができます。お酒のことは般若湯と呼ぶそうです) 昆布だしもおいしいけれど、やっぱり、やっぱり、鰹と煮干しは偉大だなあとあらためて強く感じました。 ここまで徹底した精進料理を食べたのは初めてだったので、私はたのしく食事をしましたが、おじいちゃん(夫の父)は「助けてくれー、食うもんがない」と連日悲鳴を上げていました。 ←地蔵院の近くにある、ミャンマー寺院前にて。 ミャンマー寺院おすすめです。 日本のお寺にはありえないエンターテインメント精神にあふれています。 これは“なで地蔵”なのでお地蔵さんのお顔がつるつるです。 はしゃいでいるのは「アキタコマチ」です。 足が治ってこんなに元気になりました。 そんなわけで、お料理以外はまるで高級旅館と変わらないような我が地蔵院ですが、朝のおつとめ(勤行)だけは、宿坊らしいひとときでした。 6時過ぎからお坊さんが4人でお経をあげていました。 私たちも、正座して(しない人もいる)それをじっと聞きました。 ほかの宿泊客が、ひとりも朝のおつとめに出ないことにびっくりしました。 せっかく宿坊に泊まっているのにもったいない。 聞いているというか聞いていないというか、とくに感銘を受けたりもしないしなにも考えていないんだけれど、お経はたとえればジャズを聴いているときのような感じで。 聴いているのに聴いてない、内面へ意識が向かうような感覚が似ています。 宿坊つきのお寺にもいろいろあって、私たちの泊まったところは特別きれいで新しかったのですが、冒頭に書いたようなイメージにかなり近そうなお寺もたくさんありました。 あっちもよかったかな……とちらっと思ったけれど、こんなにすてきな宿坊もあるのか、と目からウロコだったので、やはりすばらしい体験になりました。
by apakaba
| 2005-08-18 23:13
| 国内旅行
|
Comments(19)
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紫陽花。
at 2005-08-19 05:44
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高野山、レポート第一弾、待ってましたよん。お子さまとの写真、久しぶりですね。休暇、山の神聖にしてなお開放的な空気がこちらまで伝わってきて心地よい、心地よい。深山ってそこにいるだけで、心が洗われてきますねえ。5日ほど私も山籠もりして、煩悩を払ったつもりですが、さっそく東京で遊んでいると、あれが一昨日のことのようには思えません。すでに煩悩溜まりまくりです。
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K国
at 2005-08-19 07:28
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地区の商工会の旅行で五年前くらいに高野山に行き精進料理は食べましたが、甘いというコメントを読んで味を思い出しました
同行した中に建築屋がいましたので建物ばっかり見て薀蓄合戦でした
レポート「第一弾」と決められているのがプレッシャーだなあ……
掲示板レスにも書いたように、木が大きくて(高野杉というのがいっぱいあります)、どっさりあるのです。 なので木々を渡る風が涼しいの。 K国さんも高野山に行ったことがあるのですか。 そうそう、旧い建物がいっぱいありますよね。 お寺だけじゃなくて、ふつうの家も、あんまり見かけないような旧い木造家屋で。 はまっているガラスなんか、旧い建物マニアには垂涎もの。
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satomi
at 2005-08-19 10:23
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宿坊ってもっと虫とかたくさんいて、ご飯は薄味で、ちょっとやる気のない和尚が観光客の相手をしてくれる・・・・とっつきにくいイメージがありました。三木さんの宿坊体験を読んでちょっとびっくりです。意外にイメージとは違うものなんですね。
高野山には特に深い意味もなく行こうかなぁ、と(^^; せっかく関西に住んでいるのに行かないのはもったいないやぁ-くらいのノリでした。ある意味、煩悩まみれ!お、入口付近はひとけがぜんぜんなかったと、、、ありがたい情報です☆
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紫陽花。
at 2005-08-19 10:58
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あら?軽くプレッシャーかけちゃったかしら。美し国、ニッポン。今年は西へ西へと旅してる眞紀さん、隅々までレポートして欲しいわ、あなたのタッチで。
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三谷眞紀
at 2005-08-19 11:46
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satomiさん、お出かけ中だったように思ってたけどお帰りでしたか。
気づかないうちにリンク張ってくれててありがとう!! 私からもエキサイト同士でリンクしておきますね。 satomiさんのイメージそのままの宿坊も、きっといっぱいあると思いますよ。外からのぞいただけでも、ピンキリって感じだったから。 なんかワタシのハンドルが微妙に(気持ちはわかるけど!)変わっている……ように思えるのですがどうせ本名ではないのでダイジョブです。 メインサイトの掲示板はちとコワイかもしれませんが若いお嬢さんウエルカムです。 紫陽花。さん、がんばります。 きのうは断酒して書きました。うう!
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satomi
at 2005-08-19 11:49
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ごごご、ごめんなさいっ!!
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のこのこ
at 2005-08-19 13:33
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へぇぇぇ。高野山かぁ~。
どこだっけ? とアホなことを言うとまた散々な目に合いそうだから(これはどう考えても常識ですものね・汗)自分で調べてみました。和歌山・・・でしたか。行ったことないと覚えないんですよね・・・。 それにしてもいっぱいお寺があるのですね。お寺めぐりは好きです。楽しそう~。 宿坊体験、いいなぁ。 以前友達と福井県の永平寺に泊まりましたが、朝の座禅は壮観でした!ちょっと感動もの。。。せっかく宿坊に泊まって朝のお勤めに参加しないなんて、本当にもったいないですね。 しかし若くてキレイなママですねぇ。本当に。 私が今から子供生んでも絶対若くてキレイなママにはなれないので、憧れるぅ~。ホントに。
高野山、大阪と思ってる人も少なくないと思う。
和歌山県人のGinaさんも、この前初めて行ったそうです。 かなり気合い入れて「わざわざ」行く場所だもんね。 永平寺に泊まるなんてスゴイじゃないですか!! ワタシも高校だか大学生のころ観光しに行ったことはあるけど、な、なんてものすごい規模なんだ!そしてお掃除が行き渡っている!と感心した覚えがあります。 そりゃあの規模だったら、朝のおつとめも圧巻でしょう!いいなあ! コドモと共にいる写真はほとんど公開しないんだけど、たまには所帯じみたところでも、と。 ダイエットしてしかも泳ぎもイケテルのこのこさんなら永遠に若くてキレイだと思う。 satomiさんどんまいです。 先日のオフ会でも思いっきり「み、みき……さんだっけ」と言われたばかりです。
高野山の話ではないのですが。。。
子供に背を抜かれるというのは親としては感慨深いものだと親にいわれました。我が家は父が背が低い(165cmくらい)ので子供全員が両親の背を抜いたのですが、家が発展していくような感じがしてとてもうれしいと親が昔よく言ってましたわ。 三谷さんちもこれから一人抜き、二人抜き、としてその度に幸せを感じていくのでしょうね。
Ginaさんはそんなに背が高かったっけ?
うちの場合、私はとても小さいので、全員が背を抜くことは必至で、夫は巨大だし、なんか私だけ名前も二文字ですっごく仲間はずれ気分です。 将来、5人で並んで歩くのはいやだなあ。 でもGinaさんのいうとおり、最初はだっこして育てて、「おかーさん、おかーさん」と自分を見上げて、抱きついてきたりしがみついてきた子が、自分より大きくなるのは、やっぱり感慨深いものですよ。 家が発展していく感じがするというお父様の言葉には、私もしみじみしました。すばらしいお父様ですね。
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のこのこ
at 2005-08-22 11:44
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私もびっくりしたー。Ginaさんって写真見てもかわいらしい感じだし。そんなにスラっと背が高かったとは!!!
>うちの場合、私はとても小さいので、全員が背を抜くことは必至で ん~。 ウチ、チビ家族なんです。父親と息子、母親と私(151センチ)、ほぼ身長変わりません(歳とって両親の背が縮んだ分かろうじて子供のほうが高い程度)。 私も背が高い人を選ばないと子供がかわいそうかなぁ~。 私背の高い人とつきあったことないんですよ。170センチとかあるともう目線が合わなくなっちゃうんだもん。 ううむ。
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三谷眞紀
at 2005-08-22 12:08
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のこのこさん。なにごとも慣れです。
私の夫も、学生時代には「女はやっぱり、170センチはほしいな。」とか言ってました。自分の背とつりあうデカイ女が好きなんですよね。 チビ女はきらいで、「つむじとしゃべっていてもつまらん」とか言っていましたが、いまではすっかり慣れたみたいです。 背でつきあう相手を選んだことはないなあ。 背より顔かなあ。とかいったりして。
私は身長167cmなのでそんなにすごい高いってわけではないです(ヒール靴はかないし)横幅があるので、のこのこさんがおっしゃるようにスラッとでもなくて「わー、なんか図体がでかい人」と同期には言われますよ(笑)
背といえば男女付き合いにおいては微妙な要素ですよね。私はつきあってる人の背を越すようなヒールは履かない性格ですが、人によっては自分より背が高い女がいいという男友達がいるかと思えば、性格よりなにより自分より背が低いことがつきあう相手の第一条件の人(背が低い人に多いような)もいますよねぇ。。。
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三谷眞紀
at 2005-08-24 12:24
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Ginaさん、私からすれば十分、すごい高いです。
背が高かったら……と、よく思います。 男女のお付き合いで大事なのは、まず性格じゃあないんですか!? 相性がよくなければ背があっても成り立たないのでは!? と激しくふつうのコメントをしてしまいますが、そうなのか〜いろんな好みのひとがいるのね。 日本人は男女の背を気にする傾向が強いような……映画見てると、思いっきり男が背伸びしてキスしていたりしますよねえ。
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満腹ボクサー
at 2007-04-13 12:30
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apakaba at 2007-04-13 12:50
なんだよ昔話ばかりして……大事なのは現在だぞ。
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たま
at 2015-09-11 12:55
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Makiさん、こちらのコメントではお久しぶりです!今月末高野山の地蔵院で泊まるんで「高野山 地蔵院」で検索したら、なんとこの記事に辿りつきました!運命を感じましたよ(笑)
10年前に行かれたんですね〜^_^お子様達もまだ小さい! 私は今回は高野山開創1200年のライブイベントに行くんでそっちがメインなんですが、宿坊体験も楽しんできます〜。
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apakaba at 2015-09-12 16:47
たまさん、おひさしぶりです!
地蔵院泊まりとはめずらしい。他にもメジャーな宿坊いっぱいあるでしょう。 ここは旅館みたいにきれいでした。 本当に、ちょうど10年前でした。 私のブログはわりとヒット率高いんですよ。 たぶん、検索する人が少ないワードが多いんじゃないかな(通好み?) 楽しんできてください! |
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以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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