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あぱかば・ブログ篇

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2005年 09月 25日

死を考える年齢

今日で38歳になった。
年をとることには、全然抵抗がない。
というとやせ我慢みたいに聞こえるかもしれないけれど、ウソじゃなくてほんとに。
どうせどっちにしろおばさんだから一つや二つ年をとったっておんなじことよ。

ただ、理屈でなく、生理的に「イヤだなあ」と感じる年がいくつかある。
9歳の子供・45歳の男・それから39歳の奥さん。

私が9歳で父親を亡くしたとき、父は45歳で、妻である私の母は39歳だった。
(経緯についてはメインサイトessay欄「父を失った日」を参照ください)
どうしても、あてはめてしまう。
男というのは45歳になると、ある日の夕方いきなり倒れて、24時間経たないうちに死んでしまうもの。
39歳の妻は、そんなふうに突然に連れ合いを失うもの。

ああ、あと1年になってしまった。

結婚した当初、もしも夫を亡くしたら、私も生きていても仕方がないからいっしょに死んでしまおう、と考えていた。
その考えは、今になってみるととっても気楽だ。
いや、当時より愛情が薄くなったとかいうわけではないけれど、自分を取り巻き、自分につながる世界は、そこまでシンプルにはできていなかった。
子供を置いてはいけない。
親たちは、私よりも元気なくらい。まだまだ人生を楽しんでいる最中である。
それを、連れ合いひとり亡くしたからって、どうして見捨てていけるの。

夫が死んだら、私の中でなにかが永久に欠損するだろう。
だけどそれがこの世の終わりではない……ということを、年をとってきてますます思う。
「彼がいなくなったらいっしょに死んでしまおう」とシンプルに考えていた若いころの自分を、とても美しく、愚かしく思う。

母は、ドライアイスに囲まれた父の亡骸に一晩添い寝をして、このまま死のうかなあーと考えたという。
でも子供たちがいるからがんばらなくては、と思いとどまったのだと。
それを聞いたのは、父が亡くなってから何年か経ったあとだったけれど、母が一瞬でも私たちを置いていこうとしたことにショックを受けたと同時に、よく踏みとどまって戻ってきてくれた……と感謝もした。
ちょうど、“ショック”よりも“感謝”のほうを大きく感じられるだけの年齢に、なっていたのだと思う。

年をとるのは好きだ。
心の闇や、襞を知る……そして自分に肯定的になっていく。
最後の「イヤだなあ」は夫が45歳になる年、それを越えたら私もやれやれ。

by apakaba | 2005-09-25 13:51 | 生活の話題 | Comments(15)
Commented by ssnostalgia at 2005-09-25 15:12
お誕生日おめでとう!でしょう??(笑)
加齢は悲しいけど楽しいよね。ニッコリ

コメントありがとうございました。白洲さんの両性具有の評とかたのしくよみましたよ。女性は登場しないんだよね、あの本の中の性関係は。
Commented by Morikon at 2005-09-25 16:58 x
ハッピーバースディ三谷さん。

私も年を重ねていくのは好きですね。
いやでも経験値が上がるせいか、恥をかいたり、
人を傷つけてしまう頻度が減っていくのは嬉しいです。
10年前の自分は嫌いだし、
20年前の自分は更に嫌いです(苦笑)
Commented by たがめいぬ at 2005-09-25 21:17 x
>とても美しく、愚かしく思う。

すごく良い表現だと思います。

僕も27歳で死んでしまおう と 子供の頃から思っていました。

なぜ27歳なのか まったく根拠は無かったのですが それが美しいと思っていました。

今思えば 愚かだなあと思いますが 本気で 思っていました。

ただ27歳になったから 死んでしまおうとは全然思いませんでした。

今は 何年生きられるか分かりませんが 生きられるだけ頑張ろう って思います。

誕生日 おめでとう。
Commented by 紫陽花。 at 2005-09-26 07:29 x
39歳が心に留め置きたい歳という事はかつて同じでした。私も初めての海外旅行を共にした友人が亡くなった歳でもあるから。美しいままで逝った人。彼女の歳はもうとおに越えてしまった私。高校時代、美しさと頭の良さを兼ね備えてもつ神様に愛された人だなあと思っていた憧れの女性も50歳を越えずに逝ってしまった。

英語では死は、dieではなく、pass away を使うという事を知ったのは数年前、アメリカの友人のお母さんが亡くなった時の事でした。通り過ぎて行ってしまった、、と私は解釈して、亡くなった人達に、また会えるだろうなと思っています。
Commented by K国 at 2005-09-26 07:42 x
大体において世間の夫婦では男の方が先に死ぬ事になってます
その方が男にとって幸せですし、残されると惨めです
ダンナが死んだ後、奥さんはしばらく落ち込みますが半年ぐらいから
元に戻り一年したら元気ハツラツになります
女性は小奇麗にしてますが、残った男はああはなりたくない見本です
年取って捨てられないようにしとかなきゃ
Commented by 国王 at 2005-09-26 12:57 x
生まれてすぐ死ぬ子もいれば、100数十才まで生きる人もいますからね。
死というのは人それぞれというか。
あまり神経質にはならないように。
口で言うのは簡単ですが。

ちゅーか、それ以前に朕のような若造に偉そうに言われたくないか。

ちゅーか、もっとそれ以前に、朕も若くないか
Commented by apakaba at 2005-09-26 18:05
メッセージありがとうございました。

国王さん>
そうだねえ、チンも若いんだけど、「若造」ではないかな。
「若造り」かどうかは、微妙かな。
運命というのはやはりあるなあと思っています。

K国さん>
K国さんが年取って美幸さんに捨てられたら、本っ当〜に悲しいですねえ!
でも世の男たちはみんな、奥さんより自分が先立つってアタマッから信じていますね。ほんと、お父さんたちはハッピーだわ。

紫陽花。さん>
紫陽花。さんのオモヒデの中の女性は、皆さん美しい方ばかり……美しいかたは長生きできないのかしら。

私の夫は、まさにpass awayな思考です。私がいなくなったら、「いなかったことにしよう」って思うんだって。なんじゃそりゃ〜!
Commented by apakaba at 2005-09-26 18:12
レスつづき!
たがめいぬさん>
なぜか、自分のなかで区切る年齢って、あるみたいなんだね。
私は子供のころ、14歳に憧れていました。
14歳を越えて、大学生になって、ある男子が「22歳っていうのはね、いろいろなものを失っていくんだよ。」と言いました。
失っていく22歳。
それを過ぎると、ある女子が言いました。
「29歳の一年間をどう過ごすかで、30代が決まる」って。
そんなふうに、なにかしらみんな思いこみとか思い入れがあるものなのね。

Morikonさん>
たしか去年も同じ会話をしたような。
Morikonさんみたいな考え方がとても好きです。
私も若かった自分に、なんて、ぜんぜん戻りたくない(きっぱり)。
やだよそんなめんどくさいの。
せっかく積み重ねてここまで来て、まだ足りないというのにさ。
Commented by apakaba at 2005-09-26 18:20
ssnostalgiaさん>
二度目のご来訪にして、不肖ワタクシの誕生日を祝ってくださるとはくるしうない。もとい、ありがたいことです。ぺこり。

メインサイトの書評欄も読んでくださって光栄です。
ちょうど「両性具有の美」の評を書いたころに、ちょっとした白州正子さんブームが来ていました。
日本も古典にあたると、性愛にたいして本当におおらかだったな〜と感心しますねえ。
「和泉式部日記」評なんかも笑えますのでよろしければご一読ください。

しかしssnostargiaさんの映画評は院たれスティングでした。

あり?!
インタレスティングでした。
これからも期待しています。
私も映画評が好きなのでがんばって書いていきます。ふっふっふ。
Commented by 紫陽花。 at 2005-09-26 19:51 x
「今日も仕事は辛かった~~、後は焼酎をあおるだけ~♪」知ってます? 
ふぅ、「佳人薄命」はホントかもよ。わしも「私は薄命かも」と友人に言ったら、「もうそれだけ生きたら薄命じゃないわい!」って言われました。(がくっ)。
美しい人が好きです。でも、君も「美女、ええ男」を乱発し過ぎだと常日頃おもっちょるのだが。。
Commented by カルロス at 2005-09-26 21:00 x
遅ればせながら誕生日おめでとうございます。
ブログの表題からしてここに書くべきコメントかとも思いましたが(笑)
38歳で死を考える、というのも何らかな~
とはいえ、私もマレーシア旅行へ行っているとき、2年前に亡くなった同期とここに10年前に来たんだな~と妙に感傷的になりました。
両親に霊前に飾ってください、と絵葉書を送ったら今日礼状がきました。

よく覚えていてくださったね、と・・・
腐れ縁でしたので(笑)
Commented by ogawa at 2005-09-26 22:22 x
おそらく一番最後の誕生日おめでとう・・・でしょうか。
このblogは昨日読んでましたか、自分自身どうレスをつけようか
考えて一日延ばしました。

24歳とき28歳の大事な女性を無くしたとき、
「ボクも28歳になったら死のう」と思いつめたこともありました。
草場の陰で、そんなこと喜ぶはずもないのに気づくのに1年
かかりました。

29歳の時58歳の父が亡くなった時は、
「俺も58歳か・・・」と真剣に考えました。

眞紀さんの考える年齢、私の考える年齢、そしてそれぞれ
記憶に残る年齢がありますよね。
でも残った人はそれをクリアしていかないと・・・

45歳の私・・・もちろん人生をもっと楽しみたいので
もう少し生きていくことにします。
大事な娘を残して簡単に逝けませんよ・・・(^^)
Commented by apakaba at 2005-09-27 12:10
25日分レス
紫陽花。さん>
え、私のことですかー?@「美女、ええ男」を乱発し過ぎ
掲示板にも書きましたが、周りに美人が多いと思うのは本心なの。
みんなそれぞれに魅力的でうらやましいもの。
でも「いい男」って言葉はほとんど言わないけど……超・有名人クラスじゃないと……(男にはキビシイ)。

カルロスさん>
2年前、お友だちを亡くしたときにはずいぶんショックを受けていたみたいだったものね。

>両親に霊前に飾ってください、と絵葉書を送ったら今日礼状がきました。
いいことしましたね。
こういう話を聞くと、私などむしろご両親のほうに感情移入して泣きそうになります。

ogawaさん>
ogawaさんは年上の女性が好みだったのですかー、なんて冗談を飛ばせるほど、いつの間にか時は過ぎます。
時が過ぎるのはすばらしいことです。 
それにしても今年、45ですか……ヤな年だなあ。
私の父も、どんなにか無念だっただろうと思いますね。
こんな可愛い娘が成長していくのを全て見逃してさ〜っ。うへ。
Commented by K国 at 2005-09-27 12:41 x
十年ほど長生きしてしまいました
今の所当分死ぬ気配はアリマセンが、事故って事もありますので
運命は分かりません
分からんついでに、岡林全盛のころの焼酎は惨めな酒の代表でしたが
いまや超売れっ子、こんな時代が来るとはあんな歌歌ってるころには
思いもよらぬ事で
いやはや長生きをしてしまいました(まるで爺さんのコメント)
Commented by apakaba at 2005-09-27 15:24
>いやはや長生きをしてしまいました(まるで爺さんのコメント)

長く生きてるほうがおもしろいですよねー。
焼酎が人気者になってくれて本当にうれしいです。
まだまだ、日本酒に較べて偏見があるかもしれませんが。
岡林といえばたがめいぬ……かな?


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