2006年 01月 01日
夫と私は、うちに1台しかないテレビを独占して、デビッド・リンチのサスペンスを観ていた。 11時45分ごろ、いったん自室に戻っていた「ササニシキ」が部屋に入ってきて、いきなり 「テレビつけて。ゆく年くる年にして。早く。」 と言う。 夫が「なにいってんだお前」とまったく相手にせずに映画を見続けていると、「ササニシキ」は 「早くして!もう12時になっちゃう!」 と、焦り出す。 「うるせえな!いきなり入ってきてなんだよその言い方は!映画観てるんだから邪魔するなよ!年越し聞きたきゃラジオでもつけてろよ。」 「なんで、早くしてよ。ああ、もう早く!早くしないと!」 「うるせえよ!」 たちまち怒鳴りあい。 とかなんとか言っているうちに、12時が近づいてくる。 「アキタコマチ」も、自室で寝ずに年越しを待っていたらしく、テレビ部屋に入ってきた。 しかし父と兄がやりあっているのを見て取ると、12時になったとたんに、 「おめでとー!じゃあおやすみ〜!」 と、笑顔でさっさと引き上げた。 「ササニシキ」は泣き始めた。 絶望的な顔で泣いている。 「ササニシキ」の振る舞いにすっかり頭に来てしまった夫は、映画のDVDを止めて、別室へ出て行ってしまった。 いつ口を出そうか、黙って迷っていたけど、ううむ出番かなー。 夫に言ってみた。 なにもあんなに頭ごなしに言わなくても、いいんじゃないの。 たしかに「ササニシキ」のああいう言い方にはアタマ来るけど、やっぱりみんなで、年越ししたかったんじゃないの。 あの年で親のところに来て、いっしょにおめでとうって言おうとするなんて、まあ、ないよ。 もう来年にはないかもしれないよ。 私たちにとっては、年越しなんて毎年のことでどうでもよくっても、あの年の子供にはやっぱり、イベントなんじゃない? 私たちだって、そうだったでしょう。 遅くまで起きててもよくて、年を越すとうれしかったでしょう。 だからあの子もそうしたかったんじゃない? それをあんなふうに怒鳴りつけてたら、もう子供の心が離れて、あなたのところに戻ってこないよ。 「ササニシキ」だってあれじゃ性格曲がるよ。 「アキタコマチ」だって、顔色見てへらへら笑ってたけど、ほんとは一緒に年越ししておめでとうって言いたかったはずだよ。 「アキタコマチ」もあなたから離れるよ…… 最後の言葉が言い終わらないうちに、夫は部屋をドカドカと飛び出していった。 「アキタコマチ」の部屋へ行ったらしかった。 そのあと、泣きやんだ「ササニシキ」をテレビ部屋に呼んだらしかった。 それぞれの息子と、なにを話したかは知らない。 男同士の会話に首をつっこむほど野暮ではない。 私の役目は終わりなので、そのまま先に寝た。 夜中の12時過ぎ、我が家の今年は、かようにしてスタートした。 今朝、私がお雑煮の準備をしていると、男3人がのし餅を分担して切っていた。
by apakaba
| 2006-01-01 22:56
| 生活の話題
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Comments(13)
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キョヤジ
at 2006-01-01 23:14
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まず冒頭にてお詫び。
以下の書き込み、酔っ払いの所業にて、 ご勘弁をば。 では。 「子供」は喧嘩して仲良くなるもんだよねぇ。 お宅の旦那はまだ若い若い。 まだまだ追い越されてないよ、マキさん。 「子供達」の世話、頑張って。(笑) (只今、風雪まろやか焼酎一本やっつけ中)
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apakaba at 2006-01-01 23:35
キョヤジさん。愛してるよ(あーあ、言っちゃったよ)
わたしはただただうらやましいのみ。
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花子
at 2006-01-02 08:35
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心に痛い話だぁ。(涙)
うちの子供たち、言葉が足りないがために、怒鳴られることは多々あって、怒鳴られるともう萎縮して反論できない。 怒鳴られて反論できなかった言葉は、どう消化されているのだろうか。 私は習慣的に子供の言葉の足りなさを補いながら話を聞いてしまっている。だから「バカだなぁ。もっと上手に話しな」と思ってしまう。 眞紀さんのえらいところは、自分が飛んで行かないところですね。 見習おうっと。
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ogawa
at 2006-01-02 22:53
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satomi
at 2006-01-03 03:34
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K国
at 2006-01-03 09:37
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canadamania at 2006-01-04 00:15
明けましておめでとうございます。
ここ数年、お正月でもなんだかあまり実感がありません。ほんと新年明けたのか!?って感じです。でも子供の頃は大晦日~お正月は本当にワクワクして待ち遠しかった。この時だけは夜更かししても親には怒られやんだし、お年玉はもらえるしの良いことづくめ!やっぱり子供にとってはこの時期って特別なものがありますよね。でも大人になるといつだって夜更かしできるし、お年玉なんて今度はもらうんやなくて、あげやなあかん方やし。どっちかて言うとお正月なんて来て欲しくない(笑)だんだん、こういう喜びって薄れてくんですよね~。でも今年はこうした一瞬の時間をほんと大事に過ごし、もっと楽しんでいけたらなぁとこの記事を読んで思いました。そんなこんなで、今年もよろしくです♪
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メリー
at 2006-01-04 14:43
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ども~!遅れましたが、あけましておめでとさんです。今年もよろしうに!
なんだか三谷家では、暮れから一波乱あったようですね。 でも、ご主人もちゃんとフォローされてたみたいで、良かった良かった。 うちの息子も小さい時は、大晦日午前12時まで起きてるんや!と 必死に起きてたけど、今は、朝方まで起きてるもんやから、 なんかぜんぜん感動がない。まったくねぇ。 今年の正月は京都で過ごしたんだよね。天気良かったんじゃない? また、遊んでねぇ~。
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apakaba at 2006-01-04 22:22
たらいまっ。
一杯やって、ごきげんな夜だよ。 さてレスがたまってごめんなさいね。 順番に…… はなまちさん> 大人相手にはけっしてないような、「本気」になることが、コドモ相手のことなのです。 花子さん> 今年もよろしく。男の子は、女の子に較べて、やっぱり下手です、言葉の使い方が。兄弟の力関係、大人との力関係、そのぜんぶがその子の人格形成に、良くも悪くも、影響している。そう思うと、ほんとに毎日、油断できませんね。 ほんのちょっとしたひとことが、決定的にその子を傷つけたり、励みになったり、するのかなあと思うと…… sesamiさん> 今年もよろしく!父と男の子との確執って、女にはちょっと理解できないくらいに深くて単純。やっぱりジェンダートラブルってあるのかなーと思いますね。 とくに、なんだかんだ言っても、男の子って父親に似てくるんですよ。そこがまた悩ましいところなのです。 うちも、夫ひとりならなんとかなるけど二人三人は、いらないキャラだな…… いったん
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apakaba at 2006-01-04 22:34
つづき。
ogawaさん> 今年もよろしく!ワタシはですねえ、高校生のときは男の子と初詣に行ったりしてましたねえ。ogawaさんが捨てられる日も近いですねえ。 まあ、おそらく娘さんはお父さんを捨てないと思いますよ。ワタシは父がいないので推測ですが……お父さんがいるお嬢さんがうらやましかったりしますね。 satomiさん> 今年もよろしく。ダサイ主婦なので家族ネタにはことかかないのですよ〜。今年もいっぱい家族の話をここに書いていきますね。 K国さん> 55歳オメデト〜〜〜〜〜〜〜! いつまでもイカシタおっさんでいてください! またまたいったん。
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apakaba at 2006-01-04 22:34
つづき!
たまさんas canadamania> 今年もよろしく! 大人はコドモの気持ちをわかってくれない……というのは、自分が子供だったころの気持ちを忘れてしまうからなのね。 今の自分にとってどうか、ではなくて、「あのころ」の気持ちに立ち返らないといけないのだなといつも思っています。 あのころ、思春期のまんなかへん、ワタシはもっともっと、反抗的でした。家族で年越しなんてダサくていやで、自分の部屋に閉じこもって好きな人のことを考えたり、していました。そういう気持ちを思いだしつづけることかなー。子育てって。 メリーさん> 今年もよろしく! きのうは彦根、今日は比叡山、滋賀を満喫してきたよお! 子供たち、「あれが琵琶湖!!大きいねえ!!」と仰天していました。 でもはっきり言って、クルマないとつらいぞ、観光(アンドおそらく生活も)。またあったかくなったらクルマでゆっくり回りたい。 |
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以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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