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あぱかば・ブログ篇

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2006年 05月 11日

香港・マカオ旅行4.異国のなかの異教篇その2

さして期待していなくて、感動するつもりのなかったところで感動するとトクした気分。
マカオのもっとも有名な観光地『セント・ポール天主堂跡』では、しばし“現在”の時間と周りの人混みを忘れた。


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蒸し暑くて雨まじりだというのに、なんちゅう観光客の数!
なんか上の階の真ん中から手ぇ振ってるヤツいるし!
この状態でどうやって感動できるんじゃい!

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間近に近寄って、ファサードを見上げたら、いきなり胸打たれるワタシ、とってもたんじゅん。

17世紀にイエズス会のポルトガル人と日本人のキリシタンが建てたという。
フランスをまわっていたとき、かなりの数の教会のファサードを見てきたが、このファサードにはむしろ、チベット仏教の、風にさらされたゴンパに入ったときと似た感慨をおぼえた。
とりたてて芸術性が高いというわけでもないのだが、それだけにかえって、技巧を超えてストレートに訴えてくる“心”を感じる。

入り口から上へ二段目の部分に、ヤシの木が彫られている。
その上の部分には、荒波を越えている船。
悪魔は追い払われて墜落していく。
さらに上の段に、迫害されていた日本人キリシタンに使われた拷問具が彫られていた。

これらすべてが“こんなに遠くまで来たのだ。こんなに苦しんだのだ。この遠いマカオ、この場所に思いのたけを込めて建てたのだ”と、切々と訴えていた。
本当に吹きつけてきたのかわからないけれど、このファサードを見ていたら、海風をうわっと感じた。

有名な遺跡とか教会とかを見て、いつも感動するというタイプでもないのだけれど、なにか心にカチッとはまるものを感じるときがある。
ここはそうだった。

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この角度から見ると、なんて薄っぺらいのでしょう。
ばったりと倒れそう。
東洋一の壮麗な教会とかつて讃えられた姿を、今はもう見ることはできないけれど、その全貌はミロのヴィーナスの“失われた両腕”だ。
あったはずのほんものの代わりに、さらに美しい建物の想像を無限に広げられる。

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裏手にまわると、地下納骨堂があった。
カメラをかまえる私の手がいっしょに写りこんで、なんだかコワイ写真になってしまったわ。
頭骨の目は空洞なのに見つめ合っている気持ちになり、「この人はだれだったのかな」と考える。

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澳門博物館にて。
見どころがいっぱいで楽しい博物館だった。
貿易中継基地として栄えていたころのマカオの街並みを再現したコーナーで、ここはおそらく薬屋さんかな?
昔の世界地図とか、航海図を見てまたたやすくカンドー。
遠くをめざす人が、理屈抜きで好きだ。

ほんと、宗教心をよりどころに……とか、貿易で富を得る野心……とか、動機はなんでもいい、“苦労して遠くへ行った人”には、心を乱されるのである。

ポルトガル人宣教師だって、強靱な体力が必要だっただろうし、ここへ着いてからもわくわくしたり、どきどきしたりの連続だっただろう。
帰りたくて泣いただろう。
ここの気候や人間になじもうとがんばっただろう。
そういうことをとめどなく想像させるスイッチがカチッと入るきっかけが、あのファサードだった。

マカオを歩きながら、
「(ヨーロッパから見れば)遠いなあ……」
「辺境だなこりゃ……」
と、何度もおなじ言葉が口をついた。

明日はミーハー魂丸出し、「香港スター」です。

by apakaba | 2006-05-11 16:52 | 香港・マカオ2006 | Comments(11)
Commented by キョヤジ at 2006-05-11 20:45 x
やっぱり予備知識はちょいとは必要だなぁ。
あのファサードに関して、キリシタン云々の事を知らないで見たら、
「ふ~ん」で終ってしまったかも知れないもんなぁ。(←ワシの場合だぞ)
とか言いながら、行き当たりばったりもまた楽しいのも事実。
Commented by ogawa at 2006-05-11 22:37 x
あれ、変はオヤヂが写っているな(^^;;
昨年のマラッカ、そしてマカオ・・・ザビエルの足跡を追う形ですが
思った以上にイメージが膨らみました。
幾多の困難は出来事もあったでしょう、あの石畳を多くの人が
多くの想いを抱いて歩いて、あの教会に行ったのでしょう。
晴れでなく雨が、そう思わせたのかもしれません。
Commented by apakaba at 2006-05-11 22:42
予備知識はほぼゼロでした。
なにしろガイドブックも、買ったけど家に置いて来ちゃったし。
あのときは、ポルトガル人だけで建てたんだとばかり思ってました。
日本人も力を合わせて……というのはさっき読んだばっかりだったりして〜。えへへ。
なんか、スイッチオン!になったんですよ。
そういうときって、ありませんか。
でもウソじゃなくてお世辞抜きで、キョヤジさんの写真は今回の旅行に傾いたかなりの要因でした。
マカオに行ってみたいなぁ……と思ったよ。
船で気持ち悪くなったけど〜。
Commented by apakaba at 2006-05-11 22:43
ogawaさん、軽ーく書くといっときながら意外とチカラが入ってしまったのでもうちょっとほめてぐでー。
Commented by ぴよ at 2006-05-12 08:59 x
異国で自分の信念と信仰を守り続ける事・・・言葉にすると簡単だけど
凄くすごーく難しい事ですよね。
眞紀さんの旅行記と画像を見て、改めてジーン♪としちゃったわ。

たまたま今、イスラエルvsパレスチナ問題の本を読んでいるからかしら?
宗教系の建物を見ると、過剰反応してしまうワ・・・
Commented by apakaba at 2006-05-12 09:30
ん、ぴよさんが読んでるのはなんの本?
ワタシもパレスチナ問題の本なら、他よりはちょいと詳しいですよ!
よかったらおせ〜て。
Commented by ぴよ at 2006-05-12 14:48 x
ぴよが読んでるのはね、真面目な本じゃなくて娯楽小説だよー。
「聖教会最古の秘宝」ポール・サスマン著(角川文庫・上下巻)

エジプトで起こったある殺人事件が、イスラエル(ユダヤ人)と
パレスチナ人との問題と絡んでる・・・らしい。
まだ上巻の途中までしか読んでないから、これからどーなるかなーと♪
普通にサスペンスモノとして面白いし、イスラエルvsパレスチナ問題も
お勉強出来てなかなかイケます!
Commented by ぴよ at 2006-05-12 14:51 x
そー言えば、↑この本読む前に読んでた本も面白かったよ。
「ワイルド・ソウル」
戦後のブラジル移民問題を扱った娯楽小説だった。
読み易いし、日本人が忘れ去っている移民問題を判り易く教えてくれる♪
でも娯楽本でしかお勉強の出来ない阿呆のぴよ(涙)
Commented by apakaba at 2006-05-12 15:41
なるほど〜そういう小説があるのね。
どうでもいいけど「サスマン」みたいに、ナントカ「マン」てつく名字はユダヤ系なんだって。
ニコール・キッドマン、ポール・ニューマン、ヒュー・ジャックマン、ナタリー・ポートマン、……どんどん思いつくけどみんな顔がいいぞ。ん、たんに俳優だから?
Commented by 9630tk2 at 2006-05-18 00:06
さかのぼってのコメントです!!!ここは僕も行きましたよ。
結構定番でしょ???路上で焼いてる海苔せんべいみたいなのを
試食しましたが美味かったのでかえりに買って帰りましたよ!!!
名前はど忘れです、、、、、。
Commented by apakaba at 2006-05-18 09:34
9630tk2さん、さかのぼり上等です。
トシとともに、どうもなにかとさかのぼる局面が増えてきましたわ。

ここはマカオきっての観光名所ですものね。
私も思わずこの回は、チカラが入ってしまいました。
海苔せんべいみたいなの、売ってましたね!
そうそう。江ノ島の参道っぽいとこだなと思ったんだけど……(←鎌倉方面の出なもんで)。
どうもなんでも忘れっぽくなってしまって、写真を撮っていないものは見たそばからどんどん忘れていってしまいます。
海苔せんべいは目の端で見ていたんだけど、言われるまで忘れておりました。ありがたい。


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