2006年 05月 26日
夫が写真に興味を失ってから、長男が生まれた。 25歳になったばかりの若い父親は、やっぱり写真をあまり撮らなかった。 「子供をこの目で見た方がいい。写真にするとその“写真が好き”になるから……」 はいはいわかってるよ。 しかし、よそのお宅がだれしもホームビデオを撮るようになると、対抗心が出たのか 「ビデオはねぇ、だめ。オレ、ビデオ、キライ。やっぱり写真だ!」 と言い出して、カメラを持ち、写真を再開した。 それからは次々生まれる子供の写真を、それなりにたくさん撮ってきた。 その時点で一番小さい子の写真が一番多くなる、ので、いまは“イヌ専”だ。 ……ちょっと待って、私はー? 「なんで私だけあんまり撮らないのー。子供ばっかりなのー。カメラが避けてんじゃん。私の前だけ素通りじゃん。」 「だって君、ぜんぶ変な顔じゃねえか。オレは撮ってるぜ君のことは。でもちっともいい顔しないだろう。」 「な、なんであたしのせいなの……友だちがいろいろ撮ってくれるとちゃんと写ってるよ!あたしそんなにブサイクじゃないよう!」 「ブサイクじゃあねえよ、オレは女房はきれいだと思ってるぜ。でも写りとはべつでしょう。顔の造作の問題じゃないの。もうちょっと撮られることをちゃんと考えろよ。子供やイヌはうまく撮れてるだろう。オレの腕が悪いんじゃないんだよ、問題はあなたなんだよ。」 「うっそお。なんでそう人のせいにするのー。」 「うるせえな、じゃあ撮ってやるよ(バシバシバシバシバシバシ)……ホラ見ろ、変な顔ばっかりだろ。」 「ほんとだ変な顔だ。」 私は自分が写真を撮らないので、うまく表情を出させる(あるいは捉える)のは撮る人間の責任だと思ってきた。 でも、これって夫婦にはあてはまらないのかもしれない。 だって夫に写真を撮られるのって、他の人よりもずっと、気恥ずかしい。 今さらどんな顔をしたらいいの、と心の奥で思っているから、かえって表情が出ない。 カメラを介していないときは、もっといい顔で相対しているはずだ(と、信じたい)。 結婚当初にカメラから手を放して、“写真より本人がだいじだ”と言っていたのは、いま思えば正論のような気がしてきた。 そう思うと、妻の写真を壮絶に撮りまくってきた荒木経惟は、やっぱり常人じゃない。 ちなみに、夫は友だちが撮って送ってくれた私の写真を見ても、 「ん?なんかやけに発色がギンギンしてねーか?これは……デジカメだよな、この色は……」 「ははー、ポジはよく撮れるなあ、ポジはいいなあ。このピンの合わせ方は、ううむ……」 こら、興味はそっちかよ。 自分はフォトショップエレメンツの最新版で、“イヌ”“オレ”などを加工して、たまに私の写真なども「ぎゃはは!これやらしいよなあ!なあ!?」とか言って印刷したりして喜んでいます(やはり、やや変人)。
by apakaba
| 2006-05-26 10:33
| 生活の話題
|
Comments(12)
なんかキョーレツなノロケ2連発記事を読まされてしまった。(汗)
でもわかる。写真好きな人はこの写真レンズは?絞りは?構図は、と写真見る度に考えてしまうわけよ。 しかし私カメラマンの友達多いけど旦那に撮られる写真はたいてい抜群にいいぞ。 私もまだ今は旦那に撮ってもらったのは他のよりいいぞ。 だからやっぱりつべこべかわいくないこと言って損してるのは真紀さんあなたのせいなのです。ふふふ 真紀ダーリンかっこいいよねぇ。 私細い人好き!スナフキンに子供心に胸キュン(あ。これも細野だ)していました。
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う~ん、私も妻は最近あんまり撮らないなぁ。
旅行したときとか、卒業式とかの記念日ぐらいしか撮らないし。 確かに娘が生まれたときに、一気に「娘」へシフトしたし、 旦那さんと同じように、ビデオには手を出しませんでした。 昨晩からの話を読んで、自分に問いかけてみました。 結論は、「近い距離にいるから」ということかな。 つき合っているときは撮っていたし、結婚してからも しばらくは撮っていたけど・・・ 近すぎると、なぜか写欲がわかない。 旦那さんのいうこともわかる、妻に「最近、なぜ撮ってくれないの」 と聞かれて同じような返事するものなぁ~(逃げ足)
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キョヤジ
at 2006-05-26 12:48
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apakaba at 2006-05-26 14:56
(つづき)のほうへレス。
定期的なのろけは夫婦者の義務ですがな。 のこのこさん、いやーそんなかっこいいだなんてかっこいいだなんて←結局、二度言う。 私も最近は、「……あたしか?アタシが悪いのか?」って思い始めています。 だけどホラ、男って褒めてばっかりいるとたちまちつけあがるでしょう。うちのはとくにめでてぇタイプだからさ。 だから「ホラ、全然きれいに撮れてない。あなたの腕はそんなによくない!」って言いたいのかも……やっぱり私のせいかな。 ogawaさん、えええっ、そんな、ogawaさんまで「写真より本人を見た方がいい」とか言ってるのか〜! そんなめでたいこと言ってるのはうちのだけかと思ってたよ…… でも、たまに「シノヤマシノヤマ。オレはシノヤマ」とか言い出して、連写でねらってりしていますよ。 夏の水着写真あったでしょう、あれなんて30枚は軽く撮ってましたからね(ああ、どこまでもめでたい) ogawaさんだとべつに撮られてもヘーキなんですが、夫だと「ゲ。またヘンな顔に写るんだろう。ああ、やだな」って気持ちが先立ちます。あ、やっぱり私のせいか。 キョヤジさん、新婚ののろけとひと味ちがった年季の入ったのろけなの。
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K国
at 2006-05-27 07:21
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そういや~義理で撮ってるな~、若い頃はすきあらば撮ってたのですが
いまや帳尻あわせ、若いね~ちゃんを風景撮るようにしてオマケで撮ったのも、おやこんな若い子が写ってるよ、、、とか白々しく言ったりして そのわりにピントが合ってる
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apakaba at 2006-05-27 10:14
あまりに正直すぎる。
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K国
at 2006-05-27 16:50
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几帳面なA型ですから。
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apakaba at 2006-05-27 20:42
正直と几帳面はあまり関係はないのでした。
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suze
at 2006-05-27 23:10
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>だって夫に写真を撮られるのって、他の人よりもずっと、気恥ずかしい。
今さらどんな顔をしたらいいの、と心の奥で思っているから、かえって表情が出ない。 >そう思うと、妻の写真を壮絶に撮りまくってきた荒木経惟は、やっぱり常人じゃない。 わたしもその話から、アラーキーが撮った陽子夫人の写真を思い出します。また、篠山紀信との決定的な違いも、理解した気になりました。 天才と呼ばれるプロでないと、難しい題材なのでしょうか。 夫として撮る妻の写真って・・・・というか自分自身、最近家族の写真や友達の写真も、撮っていないことに気がつきました。
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apakaba at 2006-05-27 23:26
suzeさん、今月号のNAVI(クルマ雑誌ですな)の表紙を飾るおねえちゃんを見るにつけても、シノヤマさんはまったく長い長い余生を生きている人だと感じます。
78歳だってよ、どうしてくれるよ、おい。 毎号毎号、同じようなポーズ、同じような角度から同じようなイメージで。どれがどのおねえちゃんだかさっぱりワカラン。 で、まあ、荒木の夫人を撮った一連のアレは、愛とかきれいな言葉で終わらせていいものでしょうか、って感じですかねえ。 ふつうの撮りッぷりじゃ、ないでしょ。
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ぴよ
at 2006-05-28 23:13
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まあ、何だな。
例えば眞紀さんはダンナ様をバンバン撮りたいと思いますか? それから自分の姿を誰彼なく撮って欲しいと思いますか? ぴよは自分の写真、それほど撮って欲しいとは思わないんですよ。 自分の顔は見飽きてるし、「今更撮ってもらってもねぇ」って気持ちもある。 それはダーに対しても一緒。 「今更アンタの写真撮ってもねぇ」って感じです。 自分と同化しちゃってるんでしょうか? 自分の写真をセルフ・ポートレートで撮りたいと思わないのと一緒で ダーを被写体として考えられない。完全に自分と同化してるんですよね。 きっと自己愛の強い人程、自分の連れ合いの写真も撮りたくなるんじゃないかと。 アラーキーは奥さん撮るという行為によって、自分を撮っていたんじゃないかと。
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apakaba at 2006-05-29 10:09
ぴよさんふたたび。
私はそもそもカメラに興味ないので、夫を撮りたいと思ったことはないですねえ。 でも家族のなかで著しく写っている写真が少ないのがかわいそうなので、たまに撮ってあげると、「なんだこの写りは!どうにかしろ!」と必ず罵倒される。だからいじける。 近い人物を撮る気が起こらないというのは健全な思考だと思う。 近い人物をバシバシ撮る人ってちょっと(以下、略) |
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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