あぱかば・ブログ篇

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2006年 09月 02日

9歳の娘の、旅をする目

小3の「コシヒカリ」は、夏休みの自由研究に旅行記を作った。
大分のK国さんのおうちに、兄の「アキタコマチ」と二人だけで泊まりに行っていたことを書いた。
写真をたくさん貼って、最後の「まとめ」では東京と“いなか”のちがいを較べたりしていた。

一生懸命書いていると、「アキタコマチ」がいちいち口をはさむ。
「『かいだんをのぼっているとちゅうに死にかけたせみがいました……』」
「“死にかけた”ってひどくない?その表現。」
「じゃあなんて書けばいいの。」
「“死んでしまいそうな”とか書くんだよ。」
「あっ、そうか。」
などと二人で話しながら作っているので、私は完成するまでいっさいのぞかずにいたが、やがてできあがったものを見せに来た。

まだ大分へ降り立つ前の、冒頭部分に目を惹かれた。
実物大くらいに大きな牛のオブジェの写真とともに、こんなことが書かれていた。

1日目 ひこうきにのった。
お母さんにおくられて羽田空こうに着きました。
お母さんはひこうきにのる所までおくってくれてひこうきにはわたしと、お兄ちゃんだけでのりました。
上の写真(牛のオブジェのこと)はひこうきにのる前にみつけた作り物の牛です。
その牛の名前は[MOOON(もおおおん)]です。
ちなみに、[MOOON(もおおおん)]の意味は、うちゅうをあおぎ、そらをみつめしゅごしんとして旅のへいあんをいのっているんだそうです。
その時わたしは、牛はあまり人気のある動物じゃないけど、こんないい言いつたえをみつけて「やっぱり牛どしでよかった」と思いました。


ここを読んで、少し心を動かされた。
この牛のオブジェは千住博氏の作品なのだが、子供相手に「これは世界的に有名な日本画家の作品よ」などど講釈たれてもつまらないだろうと思い、そのときは黙っていた。
(もおおおんではなくムウンというらしい)

あの、子供たちを羽田で見送った日、私がお手洗いへ入っている間、たまたますぐ近くにあったこの牛の前で、子供を待たせておいたのだった。
私がお手洗いから出てくると子供たちは「じゃあ搭乗口のほうに動こう!」と、あっさりその場を離れたので、私のいない短い間にこんなに牛を細かく見て、写真を撮り、解説を読んで(おそらくメモに写しても)いたとは気がつかなかった。

自分がちょっと前に書いた、マカオのフェリーでのエピソードを思い出した。
あのとき、船室であの女性にずっと目を向けていたのはおそらく私だけだ。
それと同じで、旅に出る前のうきうきしているほんのちょっとの時間に、牛のオブジェを見て自分の干支のこととかを考えていたのは、あの雑踏の中で娘だけだっただろう。

だから旅行記はおもしろいんだな。
どんなに平凡な旅先でも、平凡な旅路でも、ほかの人には絶対に書けないの。

by apakaba | 2006-09-02 18:26 | 子供 | Comments(8)
Commented by ogawa at 2006-09-02 19:25 x
う~ん、まだ仕事中です(^^;;

コシヒカリちゃんの感性いいですね。
その「血」は親譲りですね。

でも、私も写真仲間とよく言います。
同じ場所に行っても見ているものが違うから、
おのずと違う視点の写真になるよね・・・とね。

ちょっと良い話で好きだな(^^)
Commented by キョヤジ at 2006-09-02 20:41 x
ぬおおお、あのヘンテコな牛にはそんな謂れがあったのかっ!(目うろこ)

他人と違う物が見える目はステキな目だ。(変な物じゃなくてね)
きちんと育ててあげましょう。
Commented by apakaba at 2006-09-02 22:35
ogawaさん、土曜もおつかれさまです。
うちの夫も二学期が始まって、ややへばっていますよ。
子供がいると、毎日のようにちょっとしたことで笑ったりじーんとしたりするけど、忘れまくるので(人数多いし。)備忘録のようにここに書いています。
血なのかはわかりませんが、宿題などで「どう書いたらいいのー」と聞かれたときに、「あなたしか書けないことを考えてみて」とだけ言うようにしています。細かく指導すると大人の作文になってしまうので……
東京と大分の比較も、オリジナリティーがあっておもしろかったですね。
でもうちの子が特別スゴイとは思ってないです。
どの子も、みんなけっこうスゴイ目を持っているの。
他人の子供にも、接していると「オオッ」の連続。

キョヤジさん、ええっ、知っていたのですかー牛の存在!!!
あれってなんか唐突……でしょ?
でも、「こちら」で案内したANAのページより、子供が撮った写真のほうが上手でした。
まあ平凡な娘ですが、私にはかわいいかわいい女の子ですよ。
Commented by ぴよ at 2006-09-02 23:53 x
子供の視点ってスルドイなぁ~!
もしかしたらコシヒカリちゃんは常々自分が丑年なのがちょっぴりイヤで
「どーせならネズミ年やウサギ年みたいな可愛いのがよかったのにぃ」
って思ってたのかも?(笑)
見た目あんまり可愛いビジュアルじゃない牛さんだけど、こんなステキな
事もする動物だったら、自分も丑年で良かったな♪って思ったんだろうね。

可愛いなぁ~♪
Commented by K国 at 2006-09-03 07:57 x
大人になると見過ごす事が、子供の頃は良く見えてる事ってありますね
忙しさにかまけて、上っ面しか見てない自分に反省、、、
いつも好奇心が溢れてる子供の気持ちを、せめて大人が摘まない様にしてあげたい、勉強で得る知識とは違う知恵を授かる気がします
Commented by apakaba at 2006-09-03 16:56
ぴよさん、K国さん、きのうのレス中にも書いたとおり、「どの子供も、それなりにスゴイ」んですよね。それを聞いて(くんで)やるか、見逃し、聞き逃してしまうか。
「コシヒカリ」の友だちで、国語大ッ嫌い!という男子がいますが、動物園へ遠足に行った作文を書かせると、「ライオンが、骨付き肉をうまそうに食べながら僕をじろっとにらんだ。僕のお弁当にも、うまそうな骨付き肉が二本入っていた。」って書いてね。
なんか、スゴイ!と思いました。
Commented by のこのこ at 2006-09-04 18:16 x
>どんなに平凡な旅先でも、平凡な旅路でも、ほかの人には絶対に書けないの。

なるほどね。勇気がわいてきたな。

のこラクダとかのこ姉とかいろんな私があるけど、私のネット上の本業はやはり旅行紀書きなのです。頑張らなくっちゃ!
Commented by apakaba at 2006-09-05 00:06
うん、そう考えないとバカバカしくて旅行記なんてせこせこ書いていられないもの。
いまどき秘境なんてどこにもないんだし、やっぱりココロの中にその人だけの旅路があるのよッ!!


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