2006年 09月 19日
<初めて読まれる方へ> この旅行記は、私が大学卒業旅行でタイ・インド・パキスタン・ネパールを一ヶ月半まわっていたときの日記を、不定期に載せているものです。文章(註・レート換算含む)はすべて22歳当時のままです。 前回までのあらすじ パキスタンを2週間ぶりに出て、インドとの国境へ。イミグレで卓球に興じ、パスポートを置き忘れるという大事件もあり。 2月19日(つづき) アターリーからインドに入国して、初めての都市アムリトサルまでタクシーに乗った。私たちとカナダおじさん、そしていつの間にか相乗りしてきた非常に脚の短いひげ面の白人旅行者の4人が乗り込む。 走り出すと、どっと気がゆるんで私は眠りこけてしまった。時々目を上げると、そのたびに道端の菜の花の緑がかった黄色が眠さにしょぼつく目に飛び込んでくる。ハゲタカも見かけた。大きい鳥だなーと思った。こんなに眠くなかったらもっとじっくり見るのに……。 ↑ だいたい、こんな景色ばかり。 ぱっと目が覚めたときに、アムリトサルに着いていた。短足のガイジンは素早く去っていった。 半月以上前に、このアムリトサルを観光したのだった。 デリーからアムリトサルまで鉄道で来て、アムリトサルからアターリー・ワガー・ラホールとやはり鉄道で移動した。今日は同じルートを、徒歩とタクシーで戻ってきた。 そして今夜はさらにデリーへ向けて、今度はバスで戻っていくことにした。 バスを使った方がいいというのはカナダおじさんのアドバイスである。たしかにバスのほうが確実に今日中に出発できるので、従うことにした。鉄道の切符を取るのは、予約が大変なのだ。 カナダおじさんは、困ったことがあったら連絡しなさいと言って、バンクーバーでの住所を渡してくれ、いずこともなく立ち去っていった。最初はそっけない人だと思っていたが、このおじさんは本当にいい人であった。 もう日が暮れかけている。 早めだが夕食をとろうと、駅前にたむろするリキシャマンたちに「近くておいしい食堂はどこ?」と尋ねる。ホラよくタクシーの運ちゃんがうまい店を知ってるっていうでしょう。 彼らは「あそこだ!」と、駅前の道を隔てた並びにある店を指さした。 その店で、推奨されたほどには特別うまくもない、いつもどおりのチャパティーとマサラ(カレー)の食事をしたあと、チャイを飲むためにチャイ屋に入った。 ところで私はここ数日どうもお腹の調子が悪く、それがチャイ屋で切実な苦しみとなってしまった。ボーイの兄ちゃんにトイレの場所を尋ねると、兄ちゃんは店の隣に建つホテルまで私を案内した。 ホテルというと聞こえはいいが、そこはなんじゃあこのボロイ建造物は、と奇異に感じるようなひどいホテルであった。でも泊まるわけでもないからそんなことはどうでもよろしい。1階のトイレに駆け込む。ああしかしさすがボロホテル、カギがぶっ壊れていていくらがんばってもかからないのである。焦る私は力ずくでカギをかけようとしてめちゃくちゃにいじくり回し、とうとう左手の親指を深く切ってしまった。この傷が今後長々と痛むことになるのだよ。 裸電球の灯りで血がだらだら流れてきたのを確認すると、私は悪態をつきながらその個室を飛び出し、2階へ駆け上がった。切り傷と便意で苦しみが二重になってしまったのである(このあとのことは読んでいただく必要がないと判断し省きます)。 デリー行きのバスは、動いていないときには知る由もなかった多くのトラブルが待ち受けていた。まず窓が振動でずずずずと開いてきてしまう。寒くてたまらない(2月のデリーの平均最低気温は9.6度)。 ヒロの座席にはちょうどお尻を乗せる部分にこぶし大の突起物が突き出ていて、とても座りにくそうである。 さらにヒロの前の席に座ったシーク教のターバン男が、歯医者の椅子かと思うほど非常識にシートを倒してきた。私たちは唖然とし、ヒロは「重い……」と苦しんでいる。ターバン男の斜め後ろである私がフザケルナという視線を送ってもちっとも元に戻さない。かわいそうなヒロはデリーまでずっとターバン男に膝枕をしたような恰好で座っていた。 しかし様子をうかがっていると、男も困っているようである。 どうやら椅子がぼろくてリクライニングが正しくセットされず、そんなつもりはないのに背もたれがばーっと倒れていってしまうらしいのだ。フザケルナの視線を送ってすまなかった。 やっぱりインドのバスは苦しみを分かち合うものなのであるよ。 私にとってはトイレ休憩がほとんどないのが非常につらかった。
by apakaba
| 2006-09-19 18:11
| 1990年の春休み
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Comments(7)
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ぴよ
at 2006-09-19 18:45
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鍵が掛からないからウ○コ出来ないなんて・・・乙女だな。(ぼそ)
今だったらきっと「見たきゃ見ろー!」と便意を優先させる事であろう。 あぁ、でもぴよもインドネシアでどうしても鍵の掛からない便所に入って (そこしかトイレがないから選択肢がない) 仕方なく「今トイレでウ○コしてますよー」とアピールするように 大きな声で歌いながら用を足した事がありました。 ・・・これも乙女の恥じらい?←ちょっと違うか(苦笑)
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apakaba at 2006-09-19 19:24
いやー今ならフツーにやるけど、なにしろ22歳だから、サ。
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キョヤジ
at 2006-09-20 12:26
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ウンコ話には誰も食いついて来ませんなぁ。(笑)
やはり、こう言う尾篭な話題はワシの出番ですか。 腹が緩い時にバス移動はホントに辛いってか危ないよね。 出発前に絞り出しておくのは基本中の基本ですな。 ドアが無かろうが仕切りが無かろうが、出すものは出すのだ! と言うことで、中国でやってきたばかりですがな@ドア無しウンコ。 便意は羞恥心をも越えるので有った。(爆)
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K国
at 2006-09-20 19:54
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apakaba at 2006-09-20 21:27
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のこのこ
at 2006-09-21 18:27
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あーあるあるあるある。
私もそういう旅が面白くて仕方がなかった。 菜の花の風景は美しいですよね本当に。 トイレのドア。 なぜにそこまでして鍵かけたかったんだろね。 私なんて今となっては鍵なんてあってもなくてもなんとも思わん。 おまけにケガ。インドで切り傷は嫌だなあ。 バス。 あるあるあるある。 座席の突起物=私ならガイドブックを服で包んで尻にしきます 開いてしまう窓=私ならガムテープで固定します。宿の窓なら新聞紙などをはりつけて補修します。 リクライニングおじさん=その場で声をかけたとえ座席が壊れていることが判明しても回りを味方につけまんまとまともな席に移ります。 ですがそれを卒業旅行の頃にできたかといえばやはり。 だから旅は面白い。
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apakaba at 2006-09-21 19:27
まだまだヒヨッコでちゅう。ぴよぴよ。うひ。
でもまだまだつづきまちゅう。 |
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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