あぱかば・ブログ篇

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2006年 12月 13日

わたしの“とくぎ”

朝ごはんをのろのろ食べながら、「コシヒカリ」が思案顔だ。

コ:おかーさんあのね、今、国語でやってるんだけど、“説明をする”っていうのを書かないといけないの。それでわたしはなにを説明したらいいのかこまってるの。

私:説明?って……、たとえばこれ(瓶のふた)は右に回すと閉まります、左に回すと開きますとかそういう説明文?

コ:ちがうの。自分の“とくぎ”をみんなに教えてあげるの。たとえばピアノが上手とか。○○ちゃんは一輪車の乗り方を説明して、××ちゃんは走るのが速いから、どうやったら速く走れるかを書くんだって言ってた。
でもわたしは、べつになんにもとくいなものがないから……運動だってべつにふつうだし……楽器もそんなにできないし……わたしってべつになんにもできないから……だからどうしようって思ってて……

私:はあー、そういうことね。うーん、でもね、まあ、特技といっても、みんな普通の子供だと思うよ。そんなに深刻に考えなくても、ちょっと得意というくらいでいいんじゃないのかな。
題材よりもむしろ、人に説明するその持って行き方次第で目からウロコという……

コ:目からウロコってなーに?

私:(目から鱗が落ちるの解説)
——まあそういう具合で、まだ9歳なんだから自分が人と較べてなんにもできることがないとか思う必要は、ないんでしょ。

コ:そうだね。それでねわたし、小説を書くのが好きでしょう。だから小説をうまく書く書き方、っていうのをやってみようかなって思ったの。

私:いいんじゃない。

コ:でもね「アキタコマチ」お兄ちゃんが……「そんなの人に教えたら、『コシヒカリ』だけじゃなくみんな小説をうまく書けるようになるぞ。ヒミツにしないとだめだぞ」って言うの。

私:あー、そんな心配をする必要はまったくない。大丈夫。

コ:えっ、どうして?

私:文章というものは、才能のある人間にしか書けないの。

コ:へっ?

私:そういうものなの。だからいくら「コシヒカリ」が小説の上手な書き方を説明してみんなに教えちゃっても、みんながみんな書けるようになんかなりません。大丈夫。それにしなさい。

コ:そうなんだぁ……ふふふっ。でもわたしね、もっといいのも考えたの。“たのしいおそうじのしかた”っていうの。

私:え、え、そ、それはなに?

コ:おそうじってたのしいじゃん。みんなあんまりおそうじって好きじゃないから、こうすればたのしくなるよって。“たのしい水ぶき”とか。

私:う、うーん、それもおもしろそうだね……

コ:でもそんなの“とくぎ”とは言えないし。「アキタコマチ」お兄ちゃんが「お掃除おばさんみたい、特技じゃないだろう」って言うし……

私:だれも思いつかないことを取り上げるっていうのは、いいことだと思うよ。それにさっきも言ったけど、題材はなんでもいいのよ。話の持って行き方次第なんだから。

コ:そだね。やっぱり“たのしいおそうじのしかた”にきめた!行ってきまーす!

明るい顔になって登校していった。
おそうじ……も読みたいけど、文章作りの極意も、教えてほしかったなあとちょっとだけ思う。

by apakaba | 2006-12-13 10:04 | 子供 | Comments(16)
Commented by 喜楽院 at 2006-12-13 12:54 x
他愛ない(と言ったら失礼ですが)会話のネタを
これだけ“読みで”のある一文に仕立て上げてしまう力量には、
流石だ、と思わされます。
読み手の誰もが思うであろうことを、最後の最後に眞紀さんの
独白という形で表されて、ホッとした気分になりました。

>どっかでなにか書く仕事をしているでしょう。
わたしがカクもの、といえば、「赤っ恥」「冷や汗」のタグイです。
あとは…、「背中」くらいなものです。
Commented by apakaba at 2006-12-13 15:31
いやですわ、もっとカクものいっぱいあるでしょうに。ご謙遜。
Commented by のこのこ at 2006-12-13 17:02 x
私はお尻の穴まで痒くてぼりぼりかいてましたが。

コシヒカリちゃん、その文章の書き方ってやつ、教えてくれ〜!!!
Commented by apakaba at 2006-12-13 17:13
手洗い励行でお願いします。ノロウイルスもこわいですから。
極意、知りたいよね……私も教わりたいもん。
彼女のアタマにある極意ってなんなんだ?
Commented by K国 at 2006-12-13 17:21 x
喜楽院さん、同感です
会話のネタを文章にはなかなか出来ない、学生の頃、作文が苦手だった後遺症が残ってて、あの400字詰原稿用紙を埋めるのに
字を書かずに汗をかいてたのを思い出す。
20歳くらいになってマンボウとかコリアン、ムツゴロウ等のエッセイ
を読み出してから、文章のカキカタをチョビット憶えた
今の考えがあって10歳に戻してくれたら、もう少し勉強しただろうな
と後悔の甘い思い
しかしコシヒカリはカワユイのう

Commented by apakaba at 2006-12-13 17:39
K国さんも“たのしい水ぶき”を覚えよう!
Commented by ogawa at 2006-12-13 21:41 x
クスクス・・・かーいーなぁ。
ウチの娘なんて、そんなかわいい事言わないもん。
「うちの男子なぁ、ウチがボケても、よぉ突っ込まへんねん、アカンわ」と言い切っております。
大阪の男の子はボケとツッコミが出来ないと、女の子に相手に
してもらえません・・・合掌。

娘もセッセの舞台の脚本かいていますが、コシヒカリちゃんの
極意を教えてやってください。
そのかわり娘からボケとツッコミのタイミング伝授しますので(^^;;
Commented by apakaba at 2006-12-13 22:56
ogawaさん、お嬢さんもかつては言っていたのよ。きっと。
でも悲しいかな、親は忘れる生き物……書いておかないと、忘れるのです!!
ogawaさんが今ここに書いたお嬢さんのセリフも、数年後にはナミダとともに読み返すことでしょう!多分!
Commented by ogawa at 2006-12-13 23:17 x
>お嬢さんもかつては言っていたのよ。きっと。

う~ん、小学生ころからボケとツッコミしていたしなぁ~
別府に転校したとき、同級生にうけまくっていたしなぁ。
う~ん、で、肝心なことは覚えていないし・・・
Commented by apakaba at 2006-12-13 23:58
だからー、親は忘れる生き物……二回言っちゃったよ。
とか言っている私も、きのうたまたま「コシヒカリ」が1歳になるかならないかくらいの写真が出てきて、見たらあまりのかわいさに仰天しましたよ。
人間というより、もう……愛玩動物のかわいさなんです!!
こ、こ、こんなにかわいかったんだあ!としばしボーゼンでした。親バカ。

今日の話は、朝のやりとりそのまんまです。
朝の仕事をいろいろやっている最中に、「ああ、あんなにかわいいことを言っていた娘の言葉も、こんなことしているうちに忘れていくんだなあ……手のひらからこぼれる砂のように消えていくんだなあ……」と思っていたら、家事をやるのをおいといても書こう、と思って。
ogawaさんも遅くはないぞ!!
Commented by たがめいぬ at 2006-12-14 12:28 x
この歳になっても とくぎがありません。

悲しいな。
Commented by apakaba at 2006-12-14 12:31
娘は、「自分をかえりみる」ってことを、生まれて初めてしたらしいのね。
そうなんだ、わたしって、なんにもできない子供なんだ……としょんぼりしていましたね。
生きていく上で、そういう確認も必要になってくるんでしょうねえ。
40超えても、ウン、もちろん。
Commented by キョヤジ at 2006-12-14 15:05 x
犬氏にはなぁ「とくぎ」がなくても「とりえ」がたくさん有るもんな。
Commented by apakaba at 2006-12-14 15:59
両方ない人もいるもんなあ。
40超えても、ウン、もちろん。
Commented by 喜楽院 at 2006-12-14 16:33 x
ぎく。
Commented by apakaba at 2006-12-14 17:43
オウYeah!


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