あぱかば・ブログ篇

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2007年 05月 23日

また櫛の歯が折れ、また叔父が他界

今年のはじめに、叔父で思い出すことという話を書いた。
長年愛用している櫛の歯が折れて、イヤだなと思っていたらちょうど叔父が亡くなった……という話だった。

つい数日前に、またその同じ櫛の歯が折れた。
その翌日、またべつの叔父が亡くなったと知らせを受けた。
今夜、お通夜に行ってきた。

その叔父というのは私の亡父と同年代の人で、ガンを患っていた。
30年前に私の父は急死したのだが、父の葬儀のとき、あまりにもその叔父が落胆して嘆き悲しむので、母は異様に感じたという。
おそらくそのころに自身の病気に気がついていたようで、“次は俺か”という心持ちがあったからではないかと、母はあとで言っていた。

しかしそれから30年も叔父は生き続けた。
あちこちにガンが転移して、内臓がみんななくなってしまった……などと聞いていた。
“内臓がみんななくなって”も、人って生きられるものなのか?長くは生きられないだろう?でも去るのは今日ではないのだろう?とか考えているうちに、本当に亡くなってしまった。
会うことができずじまいになり残念だ。

1月に亡くなった叔父と同様、その叔父で真っ先に思い出すのは私の結婚式のことである。
30年来のガンだから、もちろん私の式のときもとっくにガンで、叔父さんは出席できるかな、酒好きだけどお酒は病気によくないから当然だめだろう、と思っていたのに……披露宴となる親戚同士の食事会では、ああ、とんでもなく気持ちよく飲んでいるじゃないの。
椅子から転げ落ちそうだよ。
まだお開きになっていないのに完全に酩酊して、舟漕いでいる。
「だーっ!!!」と叫ぶ叔父も心配ではらはらしていたが、この叔父は病気のこともあって、私はやはりはらはらしながら見ていた。
新郎の祖母(この人もすでに他界しました)が、
「ほら見て、あのお父さん、すっかり気持ちよさそうにできあがって、うふふ、たのしそうねえ。」
とのんびりした調子で言うのを耳にして、あ、よかった、お見苦しいとは思われていないんだ、と安堵した覚えがある。

もしかして、病気のせいで普段は好きなお酒を控えていて、今日は結婚式だから無礼講ということで久しぶりにたくさん飲んだのかな?
「眞紀ちゃんおめでとう」と、今にもこっちにぶっ倒れてきそうなくらいに真っ赤な顔で言われて、その表情を見たら、“ひええ、ガンなのに!ガンなのにいいの?!でも楽しかったのかな、今日くらいはこれでいいってことなのかな?”と新婦の私は忙しく考えた。

私が9歳で父を亡くしたときにはすでにガンだった。
ということは、私の記憶にある叔父は、ようするにずーっとガンだった。
これは本当にたいへんなことなのだ、と今日思った。
自分に起きたこの30年を振り返ると、年月というのは大変な重みを持つものなんだとしみじみ実感する。

お棺に入った顔を、私の姉とふたりで見せてもらった。
「あらー痩せたのねえ。」
「うーん、でもなんかむしろ若いように見えるな、75にしては若い感じ。」
「そうね、シワとかないよね。」
とても月並みだが、これが痛みから解放された顔なんだなあと思った。
通夜振る舞いの席は、「おつかれさんー」という慰労会っぽい雰囲気で、ほっとした。

ところで櫛はこれ以上歯が折れるとこわいので、使うのをやめてそっと保存しておこうと思う。

by apakaba | 2007-05-23 22:52 | 生活の話題 | Comments(5)
Commented by たがめいぬ at 2007-05-24 09:30 x
75歳と言うと僕の父と同じ年です。

人には色々な人生があるんだと思いますが 健康に人生を生き、長寿を全うする人 生まれた時から身体に障害を抱えその障害と共に生きる人、でも亡くなるときにはそれぞれ満足して逝って欲しいものです。

叔父さんも長い闘病で想像も出来ないほどの苦しい思いをされたのだと思いますが 最後は自分の人生に満足して逝かれたのだと思いたいですね。

御冥福をお祈り致します。
Commented by キョヤジ at 2007-05-24 12:23 x
慰労会か・・・。
今まで看てきた家族への慰労、そしてなにより頑張り続けた叔父さんへの慰労なんだろうなぁ。

不謹慎なようで恐縮だが、良い話だ。
Commented by apakaba at 2007-05-24 20:28
たがめいぬさんキョヤジさん>
いや、さー、親戚が亡くなって追悼文をココに書くと、母が喜んでプリントアウトして、親戚に配るんだわ。
そうするとみんな喜んで読むのね。
泣いたり笑ったりして。ちょっと名物になってるのですわ。たはは。
お悔やみありがとう。
Commented by ogawa at 2007-05-24 22:07 x
ご愁傷様です。
お疲れの出ませんように。

私の祖父祖母や親戚はわりと早死になのか、たぶん
同じ世代のかたより残っていません(^^;;

昨年癌で亡くなった義父が76歳でした。
だから不謹慎ですが、ここまで生きることができたら大往生。
そう考えましょうよ。

欠けた櫛、京都ではそういう櫛を供養する神社がありますよ。
お預かりしましょうか?
Commented by apakaba at 2007-05-24 22:12
ogawaさんどうも。私は疲れていませんが、母は義理の弟なのでけっこう通い詰めで疲れてましたね。まあ家族が一番くたくたでしょうけど。
お葬式がらみって、ふだんの仕事とぜんぜん違う(心の)箇所が疲れませんか。
やっぱり70過ぎて亡くなると、行く方もわりと気楽ですよ。
40代半ばとかではキツイです。お悔やみに行くのも。

>私の祖父祖母や親戚はわりと早死になのか、たぶん
同じ世代のかたより残っていません(^^;;

げー。次の櫛の歯はogawaさんか。まだ逝かないでくれ。
櫛はどうしようか悩み中です。納めるのもいいし、使わずに(これ以上折れないように)そっと取っておくのもいいかなと。


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