あぱかば・ブログ篇

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2007年 07月 07日

“見せる”ことを解している博物館——国立科学博物館へ

「コシヒカリ」と二人で、上野の国立科学博物館(公式サイトこちら)へ行ってきた。
「ササニシキ」と「アキタコマチ」がまだ小さかったころに一度行ったことがあるが、せまい展示スペースに剥製がごちゃごちゃと押し込められているという印象があり、さして興味を惹かれる博物館ではなかった。
それが、平成16年に新館が“地球館”としてグランドオープンし、つづいて今年の4月に本館が“日本館”という名前で、3年間の改修工事を終えてリニューアルオープンした。

夫が少し前に仕事絡みで行ってきた。
「なかなかのものだった。昔とは大違い。パリの国立自然史博物館を明らかに意識してるな。」
という感想を聞き、是非行ってみたいと思っていた。
パリ国立自然史博物館には、拙メインサイトのフランス旅行記(こちら)の第6話「見せること、惹きつけること。attractiveな国」の中で書いているとおり、その展示に度肝を抜かれたことがあったのである。
センスがいい、としか形容できない、陳列の斬新さ。
旧態依然の博物館——無粋な蛍光灯の下、脂気の抜けた汚らしい剥製の陳列など、見たくもない。
必要以上に暗くして、そのため展示は必要以上に意味深になり、「ほら、見て。この大きさ。この精密なからだの形。美しいでしょう?これみんな、この地球上に生きるものなんだ。」と暗がりからささやきかけてくるような……官能的な体験だ。
それを、上野で体験できるのか。

行ってみて、たいへんすばらしいという感想を持った。
すっかり、以前とコンセプトを変えてきた。
改修に当たっては、パリに行って勉強したな。ということが一目でわかる。
古い建築を大事にしながら、中身は最新鋭、そして見学する者の心をつかむことを第一義とした展示の方法。
地球館3階の、大型哺乳類のブースは、ぞくっとするほど、視覚を興奮させ満足させる。
パリ国立自然史博物館“進化の大ギャラリー”にそっくりな暗さ、——人間以外の、大きな生き物への畏敬の気持ちが自然と湧き、親密ささえ覚える——暗さが生み出す効果。

日本館の、縄文人や弥生人の人形は、「コシヒカリ」が「本物の人みたい!この手、見て!すごい!」と衝撃を受けるほどの精巧さだ。
実験・体験コーナーはお約束だが、この手の設備は、子供におもねるあまり、ともするとただのプレイランドに堕してしまう危険があるのだが、さじ加減を心得た分量とレベルで好ましい。
忠犬ハチ公、南極観測の樺太犬ジロ、上野動物園の象インディラやパンダのホアンホアンなど、「えっ!ここにいたの!」と声を上げるような動物の剥製も陳列されている。

忘れてはならないのが、かつての本館、現在は日本館と名を変えた建物が、1930年に建てられた、美しい西洋建築であることだ。
吹き抜けのドームや、本場ヨーロッパに較べて控えめで日本的な愛らしさを感じられるステンドグラス、重厚な石の階段など、新築には決してない美しさがある。
「コシヒカリ」も、
「この建物、きれーい。ぶとう会が始まりそう。『美女と野獣』みたいな。この建物いいね。わたし、ここ好き。」
と、気に入っていた。
子供でも、歴史を経た建物だけが持つ味わいがわかるようだ。
お台場にある、日本科学未来館も好きで何度も行っているが、こういう楽しみは、あちらにはない。
ここは、むしろフランス的だと感じる。

“見せる”ことに関して、無頓着だった学習の場としての博物館が、こんなふうに変わっていくのを見ると、頼もしい。
“見せること先進国(妙な表現だが)”フランスに、かなり肉迫してきた!
一度は行く価値ありの博物館。
子供連れでなくても、是非。
(一つだけ難をいうなら、レストランがあまりにもお粗末であること。もっとおいしいもの出して。)

リニューアルオープン関連記事はこちら
代表的な展示を見ることができます。

by apakaba | 2007-07-07 23:44 | 生活の話題 | Comments(11)
Commented at 2007-07-08 00:16 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by キョヤジ at 2007-07-08 00:20 x
へぇ、そんなに変わったんだぁ。
百済観音様を見に行って以来行ってないなぁ。

あそこの食堂に入ってはいけません。
上野での「正しい食事」は聚楽に在り!(笑)
Commented by apakaba at 2007-07-08 00:35
あーっ!
rが抜けているー!
こっちの表記は直せたけどあっちはもういじれないから、そのままだわ。
やだなあー。
Commented by apakaba at 2007-07-08 00:37
百済観音?
特別展かなにかでしょうか?
「かはく」では、もうすぐ「インカ・マヤ・アステカ文明」展がやるみたい。
これもおもしろそう。

上野のヘンなビヤホールみたいなとこ、つぶれつつあります。
いつまでもあんな飲食店が生き残れるわけがない……
Commented by キョヤジ at 2007-07-08 12:36 x
そう、特別展。
百済観音の単体展示。
とんでもない人出だったなぁ、という記憶だけが・・・。

>上野のヘンなビヤホールみたいなとこ

ばかだなぁ、あれこそが「The上野」なんじゃん。
いわゆる「洋食」がお楽しみいただけます。
Commented by apakaba at 2007-07-08 15:49
一つのお皿にどかーんと載ってね。
でももう流行らないみたいさすがに。
8月一杯で営業を終わりますという張り紙がありましたね。
西郷さんの真下くらいにある、「近道」のあたり。
そのかわり、半端にしゃれた店が増えてきたなあ。
Commented by キョヤジ at 2007-07-08 15:59 x
>8月一杯で営業を終わりますという張り紙がありましたね

え?ホント?
あそこの名物「西郷丼」を食べなければと思いつつ未だに・・。
閉まる前にいかなくちゃ。
Commented by apakaba at 2007-07-08 16:03
あ、私はいいわ。遠慮しとく。
Commented by ぴよ at 2007-07-08 23:25 x
へえぇぇぇ・・そんなに変わったのか。
生まれて初めて国立科学博物館に行ったのは、今も忘れもしない中学校の修学旅行のグループ行動時でした。
ぴよは「国立西洋美術館」を推挙したものの、男子の激しい抵抗に遭いやむなく科学博物館になった事を今も恨んでいる(苦笑)
だって・・・すげー退屈だったもん。←コラ

でも、この日記読んで次回は中学以来久し振りに行ってみたいなと思わされましたよ。ええ。修学旅行以来一度も行ってないですから!
Commented by K国 at 2007-07-09 07:20 x
そういうところが身近にあって行けるっていうのが羨ましいですね、田舎から出て行くと見るところが多すぎて、時間をかけてジックリ見てられない。時間に追われたツアー旅行みたいになってしまってる。
または用事だけで、どこにも行けなくて東京に行っただけってのが2年前。今度はゆとりを持って行きたいものです。
Commented by apakaba at 2007-07-09 16:28
国立科学博物館レス。
ぴよさん、そうなの。
美術館か博物館で言い合うところが、真面目な中学時代……って選択ですか。
西洋美術館はル・コルビュジエ建築なんですよね。

外に、白くないシロナガスクジラがあったでしょ。あれは今でもあります。
読んで行きたいと思ってくれたら本望、書いた甲斐がありました!!

K国さん、東京に住んでいて、よかったと思うことはたまにあります。
この日は「よかった」って思いました。
ここは昭和初期の建築もとてもいいですよ。


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