2007年 07月 25日

おそろしい夢

きのう、夜中に怖い夢を見て飛び起きてしまった。


家族で、海沿いのホテルに泊まりに来ていた。
子供たちはホテルにいて、私と夫は海への道を散歩していた。
ゆるやかにカーブしながらだらだらと下っていく、ガードレールのついた舗装道路だ。
はじめは曇りの天気だったのが、ぽつんぽつんと降り始めた。

「こういうところって濡れると危ないのよね。」
道のアスファルトが部分的に化粧タイルに張り替えられていて、滑りやすくなっているところで私が言った。
「皇后陛下が雨の日にタイルの上で滑って、転んじゃってケガしたんだって。」
でも私の頭にある皇后は、現美智子皇后ではなく今の皇太后のことだった。

雨はどしゃぶりになってきた。
道にはだんだんと雨水が流れ出してきた。
海への道を散歩するのはよそう、と二人で決めたとき、突然、その道は海へつづいてなどいないことに気づいた。
舗装道路がぐしゃぐしゃにこわれていて、その先は断崖。
海へ墜落していく、飛び込み台だ。

どしゃぶりの中、だらだら坂をホテルの建つ高台へ向かっていそいで戻り始めた。
そのとたん、坂の上から水が濁流となってザアアーッと押し寄せてきた。
それでもまだ、水の高さは膝くらいの丈だ。
がんばれば戻れる。
足を取られたら、あの海への飛び込み台を越えてしまう。

ホテルのロビーでの様子が、急にはっきりと目に浮かんだ。
「アキタコマチ」が、見知らぬ泊まり客の男性に、足の爪を切られている。
「アキタコマチ」はまだ幼稚園児ほどに幼い。
大人の男性に足をつかまれるのを嫌がって泣いているが、男性は無理矢理、犬用の爪切りで息子の爪をばちんと切ってしまう。
小さい「アキタコマチ」は驚きと痛さで激しく泣く。
あんなことをされているとは。早く帰らなければ。

痛いほどたたきつける雨は勢いを止めないが、それでも空は明るくなり、陽が差してきた。
雨粒ひとつひとつに、陽が当たって輝く。
そのアンバランスな明るさの中を、「ササニシキ」が坂の上から無我夢中で駆け下りてきた。
陽を背にしているので、どんな表情なのかわからない、泣いてパニックになっているようにも見え、私たちを見つけたうれしさで飛び上がっているようにも見える。
こっちに来たらだめだ、そんなに走ったら転んでしまう!
「走ってきちゃだめ!ガードレールにつかまって、待っていなさい!」
大きな声を出したため、一瞬だけ足もとへの集中がゆるんだ。
私は前のめりに転び、坂の下へ流され始めた。

夫と、長男が遠ざかっていく。
逆光の中、二人を縁取って飾るキラキラした水滴、私を飲んでいく泥で濁った汚い水。
私は、死ぬんだ、こうやって……こんなふうに、人は簡単に死ぬんだ……愛する人と簡単に引き裂かれ、もう会えない……疲れてもうもがけない、私はとても無念だった。


そこで目が覚めて、怖さと悲しさでそのあと何時間も眠れなくなってしまった。
こわかったよ本当に。
でも、冷静になって夢を解いてみると、みんなとっても単純なこと。
海が出てきたのは、前日に、海で遊ぼうという誘いを断り、残念に思っていたこと。
皇后陛下は、寝る直前に読んでいた本に出ていた話題。
水に流されるのは、7月23日が〈長崎大水害〉から25年で、追悼式が行われたという記事を読んでいたから。
そして家族と別れていく悲しい最後は、新潟県中越沖地震で、亡くなった方のことや、いま不自由な暮らしをしている人たちの記事を読んだからだ。

ね、私ってほんとに単細胞でしょう。

by apakaba | 2007-07-25 11:39 | 生活の話題 | Comments(10)
Commented by のこのこ at 2007-07-25 13:28 x
悲しい夢を見させてしまって申し訳ない。(笑←笑うかよ)
でもねぇ、私は怖い夢は幸せなときに見るので。
きっと幸せな証拠でしょう。

それにしても地震。
地震があったらどうするか、決めていないわ。避難所もわからない。(広報にはかいてあるけど、地元人じゃないからそれがどこなのかがまったくわからないの。)
ん~鉄筋のマンション仕様アパートだから基本的には家ん中にいるのが一番安全な気がするけど、話し合っておかなくちゃ。
Commented by apakaba at 2007-07-25 13:45
怖い夢って幸せなときに見るの?
幸せが壊れるとイヤだという意識が働くからなのかな。
私も、子供たちが小さいときはよく3人が火事で焼け死んでいく妄想に取り憑かれていました。

うちは木造のボロ屋だからぺちゃんこかなー。
だから徒歩5分の小学校ですね。出会い場所は。
5人いたら、全員が生き残れるとも思えない。
誰かを失うなら自分が死にたいと思ってる。
Commented by ぴよ at 2007-07-25 19:32 x
夢診断とかよく判らないけど、怖い夢や人が死ぬ夢って
縁起がいいって聞いた事があるなぁ。
でもたとえ縁起が良くても、怖くて目が覚めるなんて思いはしたくないのが本音だよね。
Commented by apakaba at 2007-07-25 21:14
そうなのか、やはり縁起はいいんだね。
なんとなく、ホッ。書いてみてヨカッタ。
実は夢の余韻でけっこう落ち込んでいたのです。
目が覚めてしまって、そのあと眠れなくてほんとに苦労しましたよ。
Commented by suze at 2007-07-25 22:40 x
確かに、寝る前に頭に入ったことが記憶として整理される過程で、夢として見ると聞きました。
また、怖い夢の場合、普段から無意識に不安に思っていることが合わさっていますね。
かなり前ですが母親も、道路脇の崖から車ごと落ちる夢をみたそうですが、その1週間位前に、ワタシの運転でこんなところを通ったのが原因でした。http://kanso.cside.com/neko_tabi/h_y11.htm
当時は車の免許をとって数年だったので、不安に思われてもしかたないのですが、信じてくれないといつまでも悪夢にうなされることになるでしょうね。
Commented by apakaba at 2007-07-26 07:27
suzeさん、アイテムを検証していくと恥ずかしいくらいにストレートでしょ。
実は「犬用爪切り」も、うちの犬の爪を切ったばかりでして。
不安なことはいっぱいありすぎてどれのことなんだか……。

しかしご紹介の九十九折れすごいですね。
私も運転している夢はよく見るわ。
カーブを曲がりきれなくてガードレールを破って事故する夢とか。
Commented by Kay at 2007-07-26 12:50 x
このところ目が覚めてからも覚えているような夢は見てませんね。
怖い夢というと、長女が2ヶ月ぐらいのとき、よく見た夢がベビーを抱いていて、落っことしてしまうと言う夢でした。これは新米の母親の不安がそのまま夢になっていたのだと今思うとわかりますわ。幸い一度も子供を落とすこともなく大きくなってくれましたが、目覚めたあとは落ち込みますよね。わかるわ。
Commented by apakaba at 2007-07-26 16:35
赤ちゃんを生むと、喜びと共に不安もどっさり増えることになるので、やはり愛する者を失いたくないという気持ちが働くのでしょうかね。
なんとなく、そんな気がしてきました。
余韻に浸る夢って、いい夢でも悪い夢でも、なんだかどっと疲れる。
Commented by ogawa at 2007-07-26 23:28 x
この文を読んで、何故かムンクの絵をイメージしました。

不安と不安定なイメージかな。
Commented by apakaba at 2007-07-26 23:51
ひゃー、ムンクって例のアレひとつしか知らない……不勉強で、こりゃまた……
夢日記もこんなふうに書いておくと、それなりにストーリーになっているもので。


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