あぱかば・ブログ篇

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2007年 09月 27日

一生の傷

「おかーさん、このケガもう治らないかなー。痕が消えないかなー。」

先週末、「アキタコマチ」の写真展へ向かうために「コシヒカリ」とふたりで新幹線に乗っているとき、そんなことを言い出す。
靴を脱いで、座席に膝を抱えて座って、自分の膝をさすっている。

「この傷どうしたの。」
「これねー、おばあちゃんたちと伊豆に行ったときにすっころんだ。それであんまりちゃんと消毒できなかったから痕が残っちゃった。」
「そうだったの。伊豆にはお母さんは行っていなかったね。」
「おかーさんのひざにもあるでしょう、一生の傷。バイクで転んだやつ。」
私の体にもいろいろと怪我の痕があるが、一番目立つのが左膝にある傷跡で、大学生のころにスクーターで砂利道を曲がり損ねてひどくすりむいてしまったのだった。

「うん、あるよ。ぐちゃぐちゃになっちゃって血がいっぱい出た。もう消えないだろうな。」
「これがわたしの一生の傷。あと、まだいっぱいある。こことー、こことー、こことー、こことー、あと、これはなにかなー。」
「これは蚊に刺された痕じゃないかな。すぐ消えるよ。」
一生残るかどうかわからないが、こうしてみると、女の子といっても、なんだかんだと怪我をしているものだ。

「でもさ、“一生の傷”って、なんか、いいよね!」
きゅうに娘は思いがけないことを言う。

「なんかさー、かっこいい。すごく……“おもみをせおっている”っていうか!なんか、いい!」
女の子の体に傷を残したら大変、と、一応だいじにしてきたつもりだったのに、意外だった。
いろんな傷跡を、きっと悲しみ、うとましく思っているだろうとばかり考えてきたのだ。
私も、脚が太いということもあるが、膝の傷跡が無惨なので、膝の見える服を着るのがとてもいやだ。
まだ子供だから、そういう目で自分の体を認識していないだけなのか。
それにしても傷跡に対してポジティヴ、というよりむしろロマンさえ感じているふうなのには、考え方の新しさを感じた。

その考えが深いのか浅いのかはわからないが、にこにこしながら、
「わたしはとくにこのひざのケガが好き。なんか重要なことをしたって感じがする。とくに、この、むらさき色にぷくっとふくらんでいるところが、いい。まあほんとはすっころんだだけなんだけどー。でも“一生の傷”っていう言葉の響きがいい。」
と満足そうに語る娘は、“一生の傷”に対してごくふつうの羞恥心を持つ私からするとちょっと変わっているなあと思える。
少年漫画の読み過ぎなのかもしれない。

by apakaba | 2007-09-27 10:21 | 子供 | Comments(8)
Commented by K国 at 2007-09-27 18:07 x
傷の数なら数えきれんくらいある、それぞれにエピソードがあるけど
一番ショックだったのは右肩の靭帯切った時,肩って関節が無くて靭帯で引っ張ってるので複雑な動きが出来るらしい。
その引張りがなくなったので肩が落ちてしまってて、自分の目で肩が見えなかった。
しかし医学は素晴らしい、靭帯を元通りに引っ付けてくれたので
半年後くらいにはレース復帰、野球も1年後にはツツガナク出来だした。
体には野球とバイクそれに仕事で出来た傷跡が無数、顔のエクボも傷跡だし、あまり自慢にならない自慢。
Commented by apakaba at 2007-09-27 18:42
ん〜やっぱり男のロマンだ(ケガ自慢)。
Commented by ぴよ at 2007-09-27 22:56 x
「一生の傷」がカッコイイという感覚はなかったなぁ。
ぴよも右膝に醜い傷跡があるんだけど(中学時代に派手に転んだ)
傷跡を見る度に「ああ、あの時は本当に痛かったなぁ」という思いはあるものの、この傷跡がカッコイイとは思わなかった。
上に自分で【醜い】傷跡って書いてるくらいだしね。

でもスゴイ怪我すると、後々武勇伝的にみんなで語ったりする事はあるね。「この傷跡はねー(ぷち自慢げ)」みたいな感じでさ。
Commented by apakaba at 2007-09-27 23:10
多分、推測だけど、「一生」っていう言葉にロマンを感じるんじゃないかな。
子供にとって、「一生」は想像もつかないくらいに長いじゃない。
我々からするとサ。
まぁ一生ったってねぇ……という、感覚のちがいで。

姉が中学生くらいのころ、父や母に頼み事をするとき、口癖で「一生のお願い!」と頻発していました。
私はそれがイヤでねえ。
それこそ、「おもみを感じない」よねえ。
Commented by キョヤジ at 2007-09-28 00:52 x
傷が良いとは、hiroicな気持ちなのかな。
良いんじゃないの、少しくらいの傷ならさ。
一生残る心の傷だったら困り物だけど。
Commented by apakaba at 2007-09-28 07:20
マンガの主人公が「額に一生の傷がある」とか、よくいるでしょう。
(「愛と誠」は……読んでいないでしょうが)
そういうので「イケテル」と思ってるんでしょうね。
Commented by K国 at 2007-09-28 07:30 x
子供にとって「一生」は想像もつかないくらい長い

自分が子供の頃、50歳になった時は2000年だと遥か彼方のように思ってましたが、もう行き過ぎて7年も経っちまった。
Commented by apakaba at 2007-09-28 07:48
年とると1年たつのが早いというのは、経験値が上がって「次になにが起こるか」をわかっているから……というのも大きいように思いますね。
子供には毎日毎日がどうなるか見えていない。
だからなが〜いのね。


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