2003年 07月 11日
幼稚園の集いで、「救急法」の講座に出席した。 消防団員4名のかたが、毛布の上に子供のダミーを寝かせた。 意識不明になっている子供への人工呼吸と心臓マッサージを、この人形を使って行うのである。 目を閉じてぐったりと横になっている子供の人形を見たら、なんだかいやな予感がした。 気道を確保して、ちゃんと息が吹き込まれているかがわかるようにするため、口からビニール袋の端がすこし出ており、それがお腹までつながっていて、息が入ると人形の胸がふくらむ。 そのさまもリアルで気持ち悪い。 しかも、ビニール袋は使い捨てになっていて、ひとりが練習すると、人形の口から引っ張り出す。袋はぎょっとするほど長く伸び、次のビニールの端が出てくるとそこで切り離すのであった。 ビニールを勢いよく引っ張ると、舌もいっしょにちらりと出てきて、この上なくホラーっぽい。自分の口からなにかを引っ張り出されているような感覚になる。 おまけに、参加した母親たちは非常に熱心で、次々と団員さんたちに質問を浴びせるのだが、それがまた、 「もし血まみれで、どんどん血が出ている状態だったらどう処置したらいいんですか」 とか、 「口の中に、物がいっぱいにつまっていたらどうするんですか」 などと、おそろしいことばかり想定して尋ねるのである。 みんなが順番に練習するとき、自分の子供の名前を呼ぶことになっていた。それもじっと見ているうちに耐え難くなってきた。 ただでさえ貧血で参っているというのに、とにかくいろんな気分の悪くなることばかりで、しまいに吐きそうになった。 私はちょっと感情移入しすぎたのかもしれない。 なにより、あのダミーが子供だということがいちばんまずかった。大人の人形だったら、私もふざけて、友だちの名前かなんかを呼びかけて、笑って参加していたかもしれない。 しかしあれでは、自分の子供だったら、とどうしても想像してしまう。 いざというとき、できるかな。 いや、やらなければ。 「10分間、呼吸が停止したままで放っておくと、助かる確率は50パーセントになってしまいます」 という団員の言葉を忘れないようにしなくちゃ。
by apakaba
| 2003-07-11 12:37
| 子供
|
Comments(0)
|
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
ご案内
直島の旅行情報 blog links (エキサイトブログ以外) 彼の地への道すがら 三毛猫日記 ムスリムの女たちのインド 王様の耳そうじ 細道 紀行地図へと続く道。 「いい子」をやめたら人生がきらめく! greenmanbaliの日記 すきなものだけでいいです Avance(アヴァンセ)でいこうっ ライオンシティからリバーシティへ カテゴリ
全体 映画・ドラマ 歌舞伎・音楽・美術など 生活の話題 子供 国内旅行 旅行の話 ニュース・評論 文芸・文学・言語 健康・病気 食べたり飲んだり ファッション ベトナム2023.3 ソウル2022.11 思い出話 サイト・ブログについて 1990年の春休み 1990年の春休み.remix ver. 香港・マカオ2006 シンガポール2010 直島旅行2010 バリ&シンガポール2011.1 香港マカオ2011 香港2011夏 バリ&シンガポール2011.11 台北2012 家族旅行香港マカオ2012 ボルネオ 台湾2013 ヨルダン・シリア1998 イスラエル1999 エッセイ フランス インド2000 香港2013 スコットランド 大腸がん闘病 ソウル2023.1~3 シンガポール2023 台北旅行2023 未分類 最新のコメント
ライフログ
お気に入りブログ
Tatsuo Kotaki 草仏教ブログ ガタム ( ghatam ) 子供部屋 紅茶国C村の日々 梟通信~ホンの戯言 みんなのヒンディー語教室 勝手に僻地散歩 Atelier Kotaro SALTY SPEEDY シニアバイクマンⅡ FC2ブログに移転しました 旅行・映画ライター前原利... 塩と胡椒 いいあんべぇブログ 折原恵のニューヨーク写真... ブログパーツ
以前の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||