あぱかば・ブログ篇

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2007年 11月 02日

ムンク展と、フィラデルフィア美術館展

東京でこの秋に催されている目玉の美術展をはしごしてきた。

一つめは、国立西洋美術館で開催中のムンク展だ。
もう一つは、同じ上野の東京都美術館で開催中のフィラデルフィア美術館展
場所が近かったという偶然はあるにせよ、まずムンクを見てからつづけて印象派を見てよかった。

ムンクの実物を初めてまともに鑑賞した感想……「あんまりおもしろく、ない……」。
もっと感動するかと思っていた。
正直言って当てが外れた。
「不安」「マドンナ」など数点は心惹かれる作品もあったが、大部分がいまひとつ、ピンとこなかった。
なぜだろう?
思うに、ムンクという人は、本来もっとローカルな画家だったのではないか?
祖国ノルウェーでは一番の腕前、でも同時代に、さらに南へ下ったヨーロッパの地では、光に挑み、光をあやつったきら星のようなジーニアスたちが、100年残る名画を日々生み出していた。

真面目な人だったのだろう、様々な含意や、試みのあとが窺える。
でも、絵とは、それではいけないと思う。
絵は、人の目と心を一瞬で奪うもの。
その絵、一点で、手を引いて天上へと連れて行き、刃(やいば)を突きつけて胸をえぐり、人生の来し方行く先を見通してしまうような力を持つもの。
努力のあとなど、べつに絵に求めてはいない。
私には、ムンクをして天才とは呼べなかった。
シャガールの静謐には勝てない、ルドンの狂気には勝てない、ピカソの超越には勝てない、ルノワールの歓喜には勝てない、ゴッホの閉塞に、ユトリロの沈鬱に、モディリアーニの郷愁に、モネの愉悦に……ムンクは残念ながら、美の巨人たちより秀でていると感じられなかった。
それは、私にとって非常に驚きでもあり発見でもあった。
「叫び」ばかりが一人歩きして、日本では過大評価されている画家なのかもしれない。
「ムンクといったら超一流だろう」という先入観が強かった。
やはり芸術は周りの評価に惑わされないで、自分の目で見てみないことには、自分なりの感想を持つことができないのだなと思った。
そんなことわかりきっているから、こうして書くとバカみたいだが、つづけて二つの美術展をまわってみて実感を得た。

by apakaba | 2007-11-02 18:27 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(3)
Commented by ぴよ at 2007-11-03 00:43 x
中学生の頃だったか・・・ムンクの「叫び」実物を見たんですよ。
学校の美術の教科書に載ってて「こりゃー実物は相当スゴイに違いないっ!」って超期待して見に行ったんですよ。
・・・とりたてて何も感じられなくて、自分的に正直拍子抜けで。
当時は「きっと自分の精神状態が幼いからこの絵の良さが理解出来ないに違いないんだ。うん、きっとそーだ!」と思っていたんだが、
眞紀さんのこのレビューを読んで、きっと今「叫び」の実物を見ても
やっぱり当時と同じ感想に違いないんだと、妙に自信が付いた(笑)

ちなみにぴよは「マティス」が死ぬ程好きなんですが・・・
マティスの評価も是非お願いしたいです。本音トークで!!
Commented by 喜楽院 at 2007-11-03 07:57 x
>絵は、人の目と心を一瞬で奪うもの。
>その絵、一点で、手を引いて天上へと連れて行き、
>刃(やいば)を突きつけて胸をえぐり、人生の来し方行く先を
>見通してしまうような力を持つもの。

私は、時折出現する、この「恐るべきミタニ節の真骨頂」を
拝聴するために、毎度毎度ここに参上するのであります。
そして、あまりにも愚劣で無神経なコメントを
毎度毎度残していくのです。
Commented by apakaba at 2007-11-03 16:54
ムンクレス。
ぴよさん、盗まれる前に見たんですねー。
なんかね、彼って(彼呼ばわりか)多分アタマで考えすぎな人なんじゃないかな。
そのわりに、絵がそんなにうまくないぞ、と……画家に向かって絵がうまくないなんて、発言していいのかわからないけど、ほれ、いわゆるスターたちって、とりあえずものすごく「絵はウマイ」じゃない?
ピカソとかも、ささーっと描いたデッサンなんかすさまじくうまいでしょう。
ああいう「ささーっと」な感じがなくて……うん、なんかとまどいました。
でも、そんなとまどいを覚える自分は愉快だった。
マティスは、私のイメージではヨロコビの作家だなあー。
フィラデルフィア美術館展に3つ出ていた。
「青いドレスの女」はとても、とてもステキでしたよ。
やはり、ヨロコビを感じましたね。

喜楽院さん、「愚劣で無神経」って、いいなあ……「卑劣で病的」だとドストエフスキーだけど、愚劣で無神経もいいなあー。
いつもいいフレーズが降りてくるとも限らないのですが、辛抱してください!!


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