2007年 12月 25日
きのうの朝早く、朝食のパンを買いにスーパーへ行くと、ローストチキン用の丸鶏が、一つだけ前日の売れ残りで半額になっている。 たくさん並んでいる丸鶏の中で、その一つだけが特に巨大だから、きっときのうのお客さんが持てあまして売れ残ってしまったと思われる。 半額につられてつい買ってしまう。 なので、きのうは半日がかりで巨大ローストチキンを焼いた。 スタッフィングにワイルドライスでも詰めればかっこいいがそんな洒落たもの急に準備できないので、タイ米を使ってみる。 年に一度作るだけなので、毎回テキトー極まりない料理になる。 ソースの味つけも、使うハーブも詰め物の分量も火の通り具合もレシピ不在のすべてテキトーで片っ端から忘れてしまう。 だから毎回、はなはだ自信がない。 毎回、なぜかうまく行くのが不思議だ。 これもおきまりのガトー・ショコラを焼くがてっぺんにひびが入ってしまい、粉砂糖でも隠しきれない。 がっかり。 味はいつもどおり。 これがもしも売り物だったらひびのせいで捨てられるケーキだということに誰も気づかない。 1年前のクリスマスの朝、「サンタさん来なかった」としょげていた「コシヒカリ」だったが、ゆうべまためげずに手紙を書いている。 今年、新しく買ったクリスマスツリー(関連記事こちら)に、「アキタコマチ」は言っていたとおりオーナメントを仕込んだだろうか? 「ササニシキ」は、さすがに「コシヒカリ」へのとりかえしのつかないような大ぼらを吹くのはやめたようだ。 しかしあいかわらず 「おかーさん、『コシヒカリ』になにかプレゼント置かないの。」 と気にかけている。 毎年、ここにクリスマスの話題を書いているが、やっとだんだん落ち着いてきたかな。 みんなちょっとずつ、大人になったよね。 ……、と、思っていた。 ところが、きのうの夜遅く、「コシヒカリ」が手紙の束を持って、 「ちょっと、出かけてきまーす!」 とパジャマのまま玄関から飛び出していく。 びっくりしていると、隣近所のお宅に手紙を書いて郵便受けに入れてきたのだという。 「な、なんなのそれは。なんて書いたの?」 「ん、あのねえ、“サンタより。”って書いて、サンタから手紙が届いたように書いてあるの。それで、わたしが考えた暗号のクイズがあって、それを全部解くと、差出人の名前がわかるようになってるの。それはわたしの名前なんだけどー。ふふふっ!!」 「コシヒカリ」が寝たあとで「アキタコマチ」に暗号の内容を聞いてみると、お互いの家を訪れて解くオリエンテーリング形式らしい。 「おかーさん、明日でも謝っておいたほうがいいよ。ヘンな手紙だから。」 という。 「コシヒカリ」は、ハロウィンの夜も、仮装してひとりで隣近所をまわって、果物やお菓子をもらっていた。 なんというか、すごいノリだなあ。 私が小さいころには、こういうアイデアは決して出なかったし、隣近所の大人にみずから単身でアプローチをしていくという発想自体がなかった。 近所の大人は、ただの“よそのひと”。 自分の遊びの世界と交わり、遊びに引き込むなんて、思いもつかなかった。 今だって、手紙を配ってきたおうちの方々と、私はふつうの挨拶以上の会話を親しく交わすほどのつきあいでもない。 でも娘はそんなこと意に介さず、思いついたら実行していく。 隣近所のお宅は皆いい方なので、またあそこの家の「コシヒカリ」ちゃんかなと思ってつきあってくれているのだろうか。 ともあれ、自分がサンタになった気分になりたいというのは、去年まではなかった発想だ。 去年は「犬のコーシローにもプレゼントをください」とお願いすることをやっていたが、今年は自分がサンタになった気分で手紙を書く。 これはものすごく視点が転換した証拠だ。 もしかしたら、来年は、もう自分になにかくださいとお願いする手紙はやめて、家族になにかくれるようになっているかもしれない。 兄たちも順番に、自分のことよりも下の子にそっとプレゼントを置くことに快感を覚えるようになっていた。 そうやって順番に大人になって、私にも何十年ぶりかでクリスマスプレゼントがまた来るようになったりしたら、感激するだろうなあ。
by apakaba
| 2007-12-25 12:52
| 子供
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Comments(6)
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のこのこ
at 2007-12-25 20:12
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わあ~。
なんてステキな話なんでしょう! じーんときました。 クリスマスが嫌いなんて言っちゃダメね。 この話を読んで来年再来年その先のクリスマスが楽しみになりました。
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apakaba at 2007-12-25 20:26
それがさっき家から出てみたらさー。
ちゃんと、手紙の指定どおりに全部のおうちに、メモ書きが郵便受けに貼ってあるのよ! 全部の家がメモを貼って、それを指定された順番どおりに読むと、「みたにけのわたし(ミタニ家の私)」って解答が出てくるんだって。 だから一軒も抜けたら解答が出ないの。 今日はどの家の方とも会っていないんだけど、そろって貼り付けてくれていることにホントに感動しちゃった。 子供いると本当におもしろいよ。
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kajikko
at 2007-12-26 13:01
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おお、近所の方も粋だねえ。いいところに住んでいるね。
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apakaba at 2007-12-26 14:37
そうなの、感動しました。
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kaneniwa at 2007-12-29 01:59
コメント遅くなりましたが、
ローストチキンの焼け具合、お見事ですよ。 普段は店先に並んでいない大物の味付けは 「テキトー」になります。 鶏ったていろんな大きさや形状があるので、 きっちり計量というのはできませんよね。 その「テキトー」が「適当」(適切)になるということは、 その料理勘の素晴らしさですね。 BYマーヒー
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apakaba at 2007-12-29 21:24
クリスマス。
マーヒーさん、そんなそんな、ダッチオーブン使いのマーヒーさんに褒められると最高ですわ。 >その「テキトー」が「適当」(適切)になるということは、 マーヒーさんの、このへんの言語感覚は私はとても好きですね。 |
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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