2008年 07月 11日

水に漂うしわ

久しぶりにプールへ行った。
同じコースを、かなりのおじいさんが泳いでいた。
このプールへは長くかよっているが、こんなに体中がしわだらけの人を見たことがなかった。
太鼓腹の中年男性はたくさん来ているけれど、そのおじいさんは中肉中背でとくにプロポーションの崩れはなかった。
ただ、とてつもなく体がしわだらけだった。

私は視力がいいので、ゴーグルをすれば水の中でもはっきりと見える。
水に浸かったおじいさんの体を、水中で無遠慮に見つめてしまう。
見れば見るほど、すごいしわだ。
太ももや、腕の外側など、ちょっとやそっとの老人ではしわのできない箇所もびっしりとしわになっている。
まるで、すっぽりと体にビニールをかぶせて、わざとぐちゃぐちゃにたるみをつけたみたいだ。
その体中のしわが、水の動きに合わせて、さざ波が立つように細かくゆらゆらと揺れる。
美しい光景でもないのだが、ものめずらしさに目が離せない。
泳ぐおじいさんの体を間近に見ていると、海の中の未知の生物みたいだ。
水中の藻が波で揺れているみたいだ。

私がコースを往復していると、ちょうどおじいさんに追いついた。
おじいさんはゴーグル越しの笑顔で、
「どうぞ、先へ行ってください。」
と、私にコースを譲った。
体のしわからすると意外なほど張りのある声をしていた。
「どうぞ先へ……」と差し出した左手に、いかにも古い、かまぼこ型18金の結婚指輪がはまっていた。
おじいさんを追い越してしまうと、あのめずらしい水に漂うしわの様子が見られなくなるのだが、私は素直に「はい。」と言って抜いていった。

私はあと一ヶ月でバリに行くので、もうちょっと痩せたいと思い、昼はざるそばを作り、夜は冷やし中華を作り、ドライデーにしてみた。
うまいこと体重が落ちた。
それにしてもあのおじいさんの体のしわは圧巻だった。
ああいう人を見ると、自分が今、プロポーションを気にしたりしているのがすごく小さなつまらないことのように思えてしまう。
おうちでは、かまぼこ型18金の指輪をした、おんなじくらいにしわだらけの体をしたおばあさんが待っているのかなあ。
それとも、昼間のプールのどこかにおばあさんもいたのかなあ。
それとも、もうこの世には指輪の相手は、いないのかなあ。

by apakaba | 2008-07-11 22:00 | 生活の話題 | Comments(2)
Commented by メリー at 2008-07-12 22:55 x
もしかしたらさ~、
その人、昔はすんごい太ってて、
なにかで激やせしたのかも。
ほら、100キロ超の人が、40キロ痩せたりすると、
お腹とか足とか、だぶだぶになるやん。
その人、若い頃は、100キロだったかもよん( ̄▽ ̄)
Commented by apakaba at 2008-07-12 23:13
そうか!
そんで水泳で痩せたのねん。
なんかねえ、人のカラダってすごいなーと見とれたのよ。


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